大分県の自然エネルギーを象徴する小鹿田(おんた)焼
大分県日田市から西へ20分ほど車で行くと、小さな集落に10軒ほどの小鹿田(おんた)焼の窯元があります。ここでは谷川の水を使って唐臼(からうす)で粘土をつぶし、足でロクロを回して粘土を成形し、赤松の薪を燃料にして登り窯で陶器を焼く素朴な民陶が300年前から続いています。素朴な陶器の小鹿田焼を求めて来る県外からの観光客も多く、自然と調和した暮らしを守ってきた小鹿田の人々から、私たちは多くのことを学ぶことができるでしょう。
大分県は日本一の自然エネルギー県だった
2008年9月にNPO法人環境エネルギー政策研究所と千葉大学の共同研究「エネルギー永続地帯2007年度試算結果」が発表されました。この中で、大分県は民生用エネルギー需要の31.4%を自然エネルギーが占めており日本1位。2位は秋田県で18.3%。3位は富山県の17.7%と、大分県は他県を大きく引き離して全国1位を独走しています。
その中身を見ると、電気では地熱発電が秋田県の3倍以上と全国1位で、バイオマス発電も全国2位です。そのほか別府などの温泉熱エネルギー利用も全国1位です。このように大分県は様々な自然エネルギーを利用した豊富な資源に満ちた県なのです。
注)「永続地帯」とはその区域の民生用電力需要と熱需要を、その区域での再生可能エネルギーで計算上賄うことが出来る区域を指します。自給率が100%を超えている区域が100%エネルギー永続地帯となります。
大分県が日本一だということが喜べる?
きっとあなたも大分県が日本一の自然エネルギー県だという事実にびっくりしたのではないでしょうか。実は大分県の自然エネルギーが多いのではなくて、他県の自然エネルギー利用がヨーロッパなどに比べて余りにも少ないのです。ちなみに2003年度の日本の第1次エネルギーに於ける自然エネルギーの割合は0.3%で、世界平均の約1/10です。
世界と日本の自然エネルギーへの取り組みの違い
ドイツは2006年度で世界の風力発電の設備容量の27.6%を占めており、日本は1.5%で、ドイツの1/18以下です。また、太陽光発電では日本は2002年まで世界の48%のシェアーを占めていましたが、2005年にドイツに抜かれ、2007年度にはドイツの1/2まで減ってしまいました。2007年度には単年度でスペインにも抜かれてしまいました。
各国の電力に於ける自然エネルギーの目標値を見てもその差は歴然としています。
2014年までに日本は総発電量に対する自然エネルギー比で1.63%という目標を掲げていますが、ドイツは2010年までに12.5%で、2030年には45%の目標を掲げています。イギリスは2015年に15%、中国でも2020年に21%、アメリカは2020年に15%と、各国は日本より1桁以上高い目標を掲げているのです。このように日本は自然エネルギーの目標がドイツ・EUなど先進各国に比べて極めて低いのです。
なんでドイツは自然エネルギー大国になったの?
ドイツで太陽光発電などの自然エネルギーが爆発的に普及したのには訳があります。電力買取法という法律で1kwhあたり約75円で電力会社は太陽光発電の電気を買い取ってくれるのです。日本では20円から25円です。だから2002年では日本の半分しかなかったドイツの太陽光発電が2007年には日本の2倍にも増えたのです。ドイツでは銀行に預金するよりも太陽光発電を設置した方が儲かるから、国民が競って太陽光発電を取り付けているのです。反対に日本は2005年に補助金制度が終わった結果、太陽光発電の設置が激減しました。2008年暮れから補助制度は再開しましたが、太陽光発電の設置で日本がドイツを抜くことはもはや不可能と思われます。
日本は自然エネルギーに恵まれていないの?
そんなことはありません。日本列島は急峻な山に囲まれており、雨の多い国です。そこには豊富な水量の川がありますから水力発電の可能性が大です。日本は国土の約70%が森林で、面積比率で世界3位の森林国です。豊富な木質バイオマス燃料があるのです。また、豊富な太陽光もあれば、海に囲まれた国なので波力や潮力発電の可能性も充分あります。遠浅の海では洋上風車の建設も可能です。このように日本は世界有数の自然エネルギーの資源大国なのです。自然エネルギーを使うと得をするような制度を作れば、日本の自然エネルギーは爆発的に普及することでしょう。
私たちも頑張っています
わたしたちは大分県内に太陽光発電「てるてるちゃん」を、多くの県民の寄付などで設置しています。昨年までに7機設置し、年間84,000kwhの電気を作っています。 写真は高崎山お猿館の「てるてるちゃん7号機」です。