オール電化が経済的だというのは真っ赤なウソ
昨年7月の中旬に私は自治労の大会に呼ばれて約100名の地方自治体職員の前で話す機会があった。その参加者に次のような質問をした。太陽光発電を設置している方はどのくらいいますかと。すると3名の方が手を挙げた。次にオール電化の方はと聞いたら、10名から15名くらいが手を挙げた。そして私はオール電化が環境にもよくないし、決して儲からないことを話した。
08年10月に公正取引委員会から九電のチラシの文言『オール電化は1年間に10万円お得』に排除命令が出たこと。また、エコキュートは10年しか持たないため、100万円するエコキュートを買って年間10万円節約できたとしても10年で壊れたらもうけはゼロだということなど。
本当のことを知ったら皆さん驚きの声を挙げた
その後各テーマの報告者の1人がこう話し始めた。「今日の報告をするのに私は資料を準備して備えていたのだが、そんな報告どころではない。私は先週オール電化の契約をしたばかりだ。そんなに損なら契約を破棄すべきではないかと思い始めている。今日の報告が手につかない。それでも思い直して報告します…」と話した。私はコメントの中でこう話した。「『オール電化』や『エコキュート』を契約した方が仮に九電を相手取って損害賠償裁判を起こしたら面白いと思いますよ。きっとあなたは裁判に勝つはずです。ウソの宣伝を信じてあなたはエコキュートを購入したのですから」と発言した。会場からため息混じりのどよめきが聞こえてきた。
1kw48円で電気を買う制度はオール電化を駆逐する
昨年の11月から一般家庭の太陽光発電の剰余電力は電力会社が1kw当たり約48円で購入することになった。この制度にもガスによる燃料電池の剰余電力は買わないなど様々な問題は残してはいるが、太陽光発電の普及には一歩前進だ。しかし、面白いことに電力会社が進めてきたオール電化戦略に矛盾が生じることとなった。これまで太陽光発電を設置する家庭は剰余電力を高く電力会社に買ってもらうために電気温水器を設置して『深夜電力契約』や『オール電化』契約を結んで太陽光発電が作った昼間の電気を高く買ってもらっていた。
その原理はこうだ。深夜電力契約やオール電化契約は深夜電力が6円以下の安い代わりに昼間は30円以上という高い電気料金設定になっている。だから電気温水器などで深夜に安い電気を使ってお湯を沸かす代わりに昼間は高い電気を使うというわけだ。ただし、太陽光発電で作った電気も電力会社は高く買ってくれるということで一般契約の家庭よりも早く太陽光発電の元が取れるはずだった。しかし、『1kw48円で売電』の制度はオール電化の家庭に不利となる。だって、一般家庭の電気料金は1kwが約20円くらいだから、これまでは電力会社に売る電気も1kw20円くらいだったのが、この秋から買う価格は20円で売る価格は48円となる。しかし、オール電化の家庭は売る電気は48円だが買う電気は35円なのだから。
エコな生活が一番早く太陽光発電の元が取れる
太陽光発電の元を早く取りたいならオール電化を今すぐやめて昼間の太陽光発電が稼働している時間帯はできるだけ電気を使わずに、すべて電力会社に電気を売るようにすることだ。だって、自分の家で発電した電気を自家消費したのでは、いくら48円で電力会社が買ってくれるといっても売るわけではないから、ちっとも儲からない。仮に100円で買い取りますと言っても売れないなら同じだ。だから昼間、太陽が輝いている時間帯は電気を極力使わない。そして太陽光発電の電気は全量電力会社へ売るように努力する。そして、太陽光発電の発電が終わった夕方から電力会社の電気を使って家事を行うのが一番賢い方法だ。そこでオール電化の家庭をシュミレーションしてみよう。
オール電化契約は深夜電力契約に変えて、ガスコンロを使おう
昼間の暖房から調理まですべて電気で行うのだから売る電気は限られている。そのくせ太陽光発電の発電が終わった後は一般家庭は20円の電気がオール電化の家庭は夜の10時か11時までは相変わらず最高35円の高額な電気を買わされる。こんな損な仕組みはない。だったら、オール電化の家庭は今すぐガスを使う一般契約に代えよう。そして暖房は薪ストーブかペレットストーブにして電気を極力使わない。そしてできるだけ太陽光発電の電気は電力会社に売ろう。ただし、現在の光熱費の中のお湯を沸かす熱源にガスと電気と灯油のうちどれが一番安いかと聞かれたら私は深夜電力だと言うだろう。だから深夜電力契約の魅力は残っているが、オール電化の必要性は全くないのだ。深夜電力契約だけを残して、電気温水器だけ動かして、あとはすべてガスやそのほかの熱源に代えよう。
もちろん電気温水器も熱効率から考えたら決して環境に優しい熱源ではないが、深夜電力の料金を捨て値で安くしている現状では、確かにほかの熱源より安い。だからオール電化住宅はせめて深夜電力契約に変えて、IHクッキングヒータをやめてガスコンロを使おう。そうすれば電磁波の危険性もなくなり、おいしい料理は蘇り電気は高く売れて家計も潤う。こんないいことはない。