2010年 08月 01日
田中優さんの『ヤマダ電機で電気自動車を買おう』を読もう
2010/08/01
小坂正則
田中優さんは毎年のように大分に来てもらっている私の師であり、友人だ。彼の最新作『ヤマダ電機…』が7月に出版された。
本のタイトルが何ともニクイ。ヤマダ電機の宣伝かと思ったくらいの奇抜さだ。これまで当たり前だと思っていたことが当たり前ではない時代がやってきた。その一つが電気自動車の到来だ。いままで自動車はトヨタ・日産・ホンダなどの大手自動車メーカーしか優秀な自動車を作ることができなかった。だからトヨタは世界一の企業となった。しかし、電気自動車はパソコンを組み立てるように、モーターと電池さえ買ってくれば町工場でも簡単に作ることができる。(中国では実際に町工場で手作りの電気自動車が作られているそうだ)自動車のパソコン化へと急激に変化が訪れようとしている。近い将来ヤマダ電機で電気自動車の安売りなんかが実現するだろう。そのように、電気などのエネルギーも電力会社から売ってもらわなくても優秀なバッテリーやキャパシタの普及で自分の家の電気は自分で賄うこともいずれ可能になるだろう。『電力会社の原発の電気はいりません』と宣言して、電線を切ってしまうことも可能な時代がすぐそこまで来ている。また、自分の家の電気使用量の削減のためにLED照明器具に替えることや、省エネ冷蔵庫にかえることで、楽して省エネができ、その上儲かる仕組みや、電力会社も設備投資が抑えられて儲かる仕組みを彼は提案している。おまけにその案を実施すれば「原発など止めても電気はまかなえる」と。
第二章で、『エネルギーで地域経済の活性化を』というテーマで、電力会社の分割を提案している。これは私の目指す『市民電力会社』の設立の仕組みなんだけど、電力会社の発電と送電と配電の3つの事業は分割して、それぞれ別会社にすべきだという。先進国で電力会社の1社だけに地域独占を許しているのは日本だけだ。発電は誰でも参入できるようにする。そうすれば小川で発電する小水力発電やバイオマス発電など自由に誰でも一定のルールを守れば送電線に電気を流すことができるようになる。しかし、送電線だけは公共インフラとして非営利で維持する。そして配電(電気の小売り)もまた誰でも一定の条件さえ守れば自由に参入することができるようにする。そのような仕組みができたら私の目指す『市民電力会社』も実現できるのだ。
このようにしてドイツもアメリカも自然エネルギーの電力会社が次々にできていった。このような電力自由化でドイツなどは自然エネルギーの割合が増えていったのだという。そのほか『炭素税』を導入したドイツ政府は、その税の一部を企業の厚生年金の負担金に還元すると提案したところ、『炭素税』の導入に反対していた企業が賛成にまわり、アルバイトを正社員にするようになり正規雇用が増え失業率が下がったという。「これら全ては制度つまり仕組みの問題だった」と田中優さんはこの本の中で語る。
さあ、優さんの本を読んだら、今度は、その仕組みを変えるために行動するのは私たちの番だ。政治家に働きかけたり、企業に働きかけたり、まわりの友人や知人や奥さんや恋人に働きかけて、みんなで「田中優さんの仕組みがいい」と大きな声を上げれば、『田中優さんの仕組み』も実現させることは可能なんだ。さあ、この本を読んだみなさんは『田中優さんの仕組み』を実現させよう。まだ読んでいない方は『ヤマダ電機…』を買って読もう。そして図書館にリクエストをしよう。図書館にリクエストをして本を置いてもらえればもっともっと多くの人に、この本を読んでもらえる。
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by nonukes
| 2010-08-01 16:17
| 自然エネルギー
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