人気ブログランキング |
ブログトップ

小坂正則の個人ブログ

<   2019年 04月 ( 8 )   > この月の画像一覧

高濃度の放射性汚染土を再利用してはならない!

8000ベクレル前後の放射性汚染土は拡散しないように厳重に管理すべきだ
小坂正則

d0174710_16452838.jpg
たまり続ける汚染土
d0174710_16410092.png

「南極のペンギンでも放射能に汚染されている」という話を聞いたことがあります。地球上で放射能に汚染されていない地はないのです。だから福島原発事故で汚染した「放射能汚染土」を再利用してもやむを得ないのでしょうか。それは程度の差というものです。8000ベクレル以下の「放射能汚染土」は隔離保管しなくて、再利用することを環境省は進めています。今のところ福島県内に限って行われているようですが、東京都でも8000ベクレルを越えた汚染土は各ゴミ焼却場などに保管していますが、「8000ベクレル以下のものは再利用しても問題ない」という見解を環境省は出しているようです。
でも、私たちは8000ベクレルがどれくらいの汚染なのかと言われてもピンときませんよね。そこで、私の農園の放射性セシウムの値を測ってもらったことがありますので、そのお話を少しします。
2014年3月8日に京大原子炉実験所で働いていた今中哲二さんに大分に来て頂いて講演会を行いました。その前日に私の事務所で小さな学習会を開催したのです。その時、今中哲二さんから「私は講演に行った先で、そのお宅の土壌の放射能測定をさせて頂いているんですが、小坂さんの農園の土壌を測らせてもらえますか」と聞かれたのです。私は「もちろんOKです」と答えました。その結果、私の農場の土壌の放射性セシウム濃度は1kgあたり5.7ベクレルでした。(後からメールで教えてもらったようです)
しかもこの中には放射性セシウム134は検出されなかったそうです。セシウム134の半減期は3年ですから、もし、134が検出されたら、それは福島由来のセシウムという可能性が高いのです。チェルノブイリも大気圏核実験も30年以上経っていますから、セシウム134は消えているのです。私の農園のセシウムはチェルノブイリ原発事故と大気圏核実験で出たものでしょう。(京大の今中さんが測ってくれた数値ですので、これほど正確なものはないでしょう)一般的な土地では10ベクレル前後だと話していたような気がします。それが環境省は8000ベクレルという数値を再利用するというのですから、如何にこの値が高いかがお分かりでしょう。我が農園の1,400倍以上の汚染値です。

放射性汚染土の定義

以下の文章は環境省のHPにある「指定廃棄物について」という文章です。
東京電力福島第一原子力発電所の事故によって大気中に放出された放射性物質は、風にのって広い地域に移動・拡散し、雨などにより地表や建物、樹木などに降下しました。これが、私たちの日常生活の中で排出されるごみの焼却灰、浄水発生土、下水汚泥、稲わらやたい肥などに付着し、放射性物質により汚染された廃棄物が発生しました。
これらの汚染された廃棄物のほとんどのものは放射能濃度が低く、一般の廃棄物と同様の方法で安全に処理できます。一定濃度(1キログラム当たり8,000ベクレル)を超え、環境大臣が指定したものは、指定廃棄物として、国の責任のもと、適切な方法で処理することとなりました。(ここまで引用)
とあります。実は「環境省が指定したものだけが適切な方法で処理します」とあるように、実際には各自治体ごとにバラバラで、東日本の薪ストーブの灰も8000ベクレルを越えるものがたくさんあったようなのですが、自治体によって回収する所と回収しないところなどがありました。住民から苦情があればいやいや回収していたようです。今はどうなっているのか、私にはわかりませんが、稲ワラなどが汚染していても、自主的に計測しなければ分からないままで済むのです。環境省が進んで測定したという話は今まで聞いたことはありません。

福島原発事故周辺では1億倍の10兆ベクレルもある?

環境省のHPに「8000Bq/kgとは?」という説明文かありました。以下の通りです。

8000Bq/kgとは?
廃棄物処理の過程で、放射線の影響を最も受けるのは、埋立処分を行う作業者とされています。この埋立作業者の年間での被ばく線量※1をシミュレーションした結果、通常の処理方法でも原子力安全委員会(現:原子力規制委員会)が示した「年間で1mSv(ミリシーベルト)」を下回り、安全に処理できると確認されている基準が「8,000Bq/kg」です※2
※1:作業者は、1日8時間、年間250日の労働時間のうちの50%(合計1000時間/年)の時間を焼却灰のそばで作業すると仮定
※2:指定基準を8,000Bq/kgとすることについては、環境大臣から放射線審議会にも諮問を行い、「妥当である」旨の答申を得ています。

処理する指定廃棄物のレベルは?
原子力施設で発生する廃棄物は、10兆Bq/kg超えるものなど様々なものがあります。
一方、指定廃棄物のほとんどのものは10万Bq/kg以下であり、比較すると約1億分の1とはるかに小さいものになります。(ここまで引用)

この説明では、8000ベクレルの汚染物質でも、その近くで仕事をしても年間1ミリシーベルトを下回るというのですが、それはおかしな話です。まず、年間1ミリシーベルトは日本人が被曝してよいという自然放射能などによる被曝量です。ですから、そこで仕事をする方は、その年間1ミリシーベルトに加算されて、もう1ミリ近くを被爆するのですから年間2ミリシーベルトの被曝になるではないですか。
しかも、原子力施設で発生する汚染物質には10兆ベクレルの汚染物質もあるから、8000ベクレルはその1億分の1だという論理は成り立たないでしょう。そんな10兆ベクレルの汚染物質の近くで生活していたら、経ちどころにガンや白血病になってしまうでしょう。ふざけた比較をしないでほしいものです。赤ん坊を欺すようなジョークです。

原子炉から出る鉄は100ベクレルなのに汚染土は8000ベクレル?

原子炉等規正法のクリアランスレベル(「放射性物質」と「放射性物質として扱う必要のない物」を区分する基準となる放射能濃度) ⇒ 放射性セシウムで100ベクレル/kg以下と法律で決められているのです。それが8000ベクレルが突如として出てきたのは福島原発事故で、各地に高濃度の汚染物質ができてとても隔離などできなくなったからなのです。環境省のHPにありました。
「廃棄物に含まれる放射性セシウムについて、100Bq/kg と 8,000Bq/kg の二つの基準の違いについて説明します。ひとことで言えば、100Bq/kg は「廃棄物を安全に再利用できる基準」であり、8,000Bq/kg は「廃棄物を安全に処理するための基準」です。」(ここまで引用)
それなら、8000ベクレル以下の汚染土を再利用するということは、環境省の言う説明にも矛盾するではないですか。詳しくは「100Bq/kg と 8,000Bq/kg の二つの基準の違いについて」を検索して見てください。下の日経新聞では、現在福島に移住している田中俊一元原子力規制委員会委員長が「科学的に見れば食用作物を育てても問題はない」と安全性を主張いているようですが、それならあなたがその土壌を使って野菜でも米でも作って一生涯でも食べればいいのです。

私には汚染土をどうすればいいのか解はありません

この文章を書いている私が、正義の味方のようなことを言っているのではありません。確かに福島県をはじめとして放射性汚染土が各地に溜まっています。でも、それをどんどん再利用して誰もそこで使われている土壌が放射性汚染土であると分からなければ、触ったり、近づいて危険性を意識しなくなるではないですか。しかも問題はリサイクルされた土壌の再々利用の場合です。最初に利用される場合は人間に近づかないような配慮があるかもしれませんが、それが大雨で流されたり、再々利用されるときは誰も気づかずに拡散してしまう恐れがあるのです。ですから、私には解はありませんが、まとめて厳重な管理を行うしか方法はないのではと思うのです。原発事故は解のない問題です。だからこのような事故を繰り返さないためにも「日本中の全ての原発を一刻も早く止めろ」と、私は主張しているのです。


福島の汚染土再利用 住民の反対根強く 国・東電に負担軽減の思惑
2019/4/29 日経新聞 

東京電力福島第1原子力発電所事故で出た汚染土壌の処分計画がつまずいている。国は昨年末、汚染土を除染して長期間保管した後でほぼ全量を再利用する方針を打ち出したが、住民の反発で思うように進まない。計画にこだわる背景には処分費用を抑えて国や東電の負担を減らす思惑が垣間見える。
「再利用は住民の理解がなければ進まない。絵に描いた餅にしてはならない」。3月19日に開いた環境省の検討会で大学教授らが再利用に向けた技術的な課題を詰めた。
福島第1原発事故ではセシウムなどの放射性物質が大量に放出され、汚染が広がった。国は汚染土を集める除染を進め、放射線量を毎時0.23マイクロ(マイクロは100万分の1)シーベルト未満まで下げ、住民を帰還する計画をまとめた。
汚染土壌の総量は1300万立方メートル。除染作業は7市町村に残る帰還困難区域を除き18年3月で終え、福島県内の10万5千カ所に仮置きする。国は12年7月に閣議決定した「福島復興再生基本方針」で福島第1原発近隣(同県大熊町・双葉町)の中間貯蔵施設で長期間保管し、貯蔵開始から30年以内に福島県外で最終処分する計画を立てた。
ただ1300万立方メートルもの土壌を集約した後、再び県外の別の場所に運ぶのは現実的ではなく候補地のあてもない。国の検討会で座長を務める東京農工大学の細見正明名誉教授は「再利用で量を減らさないことには最終処分は到底できない」と指摘する。こうした専門家の意見を踏まえ、国は汚染土を最大99%再利用する方針に踏み切った。
再利用は放射線量が1キログラム当たり8千ベクレル以下まで下がった汚染土。農地や公園などの造成、高速道路や防潮堤の公共工事に利用を見込む。環境省は再利用で、最終処分する汚染土の量が最大99%削減できるとしている。
17年3月に住民の避難指示が解除された同県飯舘村では再利用が始まった。低地を汚染土で埋め立てバイオマス燃料の原料作物を栽培する。原子力規制委員会の初代委員長を務めた田中俊一氏は同村に移住。汚染土を再利用した場所で放射線量を調べ安全性の確認を続ける。田中氏は「科学的に見れば食用作物を育てても問題はない。(収益面を考慮して)住民の要望もある」と話す。
ただ再利用が頓挫しかけているケースもある。

「安全なら東京五輪の工事に使えばいい」「風評が心配だ」

3月7日に同県南相馬市で開いた住民説明会。環境省が市内を通る常磐自動車道の拡幅工事に汚染土を使う計画を説明したところ出席した10人の行政区長らが抗議した。同省は3月中の工事着工を断念。同省福島地方環境事務所の中尾豊次長は「丁寧に説明していくしかない」と肩を落とす。
同県二本松市でも約200メートルの市道整備で汚染土を活用する計画を市議会で説明したが、反発が相次いだ。住民の反対署名運動まで広がり計画の中止を余儀なくされた。
なぜ国は住民の反対が強いにもかかわらず汚染土の再利用を進めるのか。除染費用を抑えて東電などの負担を減らす意図が見え隠れする。
政府は16年12月、福島第1原発の処理にかかる費用が約21.5兆円に達するとした。これは原子炉の廃炉や住民などの賠償も含むが、中間貯蔵建設も入れた除染費用は5.6兆円にのぼる。当初は3.6兆円だったが、すでに2兆円膨らんだ。
除染費用は事故後に購入した東電株の売却などで充てる計画だったが、それでは足りず中間貯蔵施設の費用では税金の投入も決まった。これ以上、除染費用を膨らませたくないというのが国の本音だ。最終処分地を新たに作れば莫大なコストがかかる。再利用できれば費用が大幅に減る。
長崎大学の鈴木達治郎教授は「国民負担は不可避となっており、政府は費用の内訳や見通しを説明し、透明性を確保すべきだ」と語る。
事故から8年がたち、放射線への差し迫った危機はなくなった。しかし汚染された土壌をどう処分するか。住民にとっては先送りできない現実的な課題として突きつけられている。

by nonukes | 2019-04-29 16:43 | 原発再稼働は許さない | Comments(0)

チェルノブイリ原発事故から33年目の昨日ビラ撒きを行いました


私に取ってはアッという間の33年でしたが……
小坂正則



d0174710_18244060.jpg


d0174710_18304807.jpg

d0174710_18312235.jpg

私たち「伊方原発をとめる大分裁判の会」の仲間11名でJR大分駅前でビラ撒きを行いました。以下はそのビラの内容です。
私にとって33年前と言えば、32歳の子どもは3人いましたが、血の気の多い若造でした。ちょうど川崎の郵便局から大分中央郵便局へ転勤になったのが、前年の9月1日で、その翌年の4月26日に旧ソ連ウクライナでチェルノブイリ原発事故が起こったのでした。当時は「ソ連で大変な事故が起こったんだなあ」と、暢気にしていたのですが、まさか日本まで放射能が襲ってこようとは夢にも思っていませんでした。それが確か数日から1週間経たない内に日本でも放射能が確認できて、「大変なことになりそうだなあ」と少しだけ不安になりかかっていたのです。
ちょうど5月の連休に私の実家の甘夏ミカンの収穫を手伝っていたのですが、元私が住んでいた川崎の友人に電話して「無農薬の甘夏ミカンを送ってやろうか」と、電話したら、友人の川崎市会議員の女性は「小坂さん何言ってるのよ。みかんなんかいらないわよ。それよりも子どもたちに牛乳や野菜をそのまま食べさせてはだめよ。日本にも放射能がたくさん降って来てるいるんだからね。昨日慶応大学の藤田祐幸さんの学習会があったのよ。大変なことなのよ」と、川崎の友人たちはパニックになっていたのです。
それから、私の大分での反原発運動が始まったのです。その時川崎の「たつのこ共同保育所」のお母さんたちが呼んで学習会を行った講師の藤田祐幸さんとは、その年か翌年かに大分に来て頂いて30年来のお付き合いをさせていただいたものです。私の33年間もあっという間でした。


本日は旧ソ連のチェルノブイリ原発事故から33年目

 今から33年前の1986年4月26日に、旧ソ連のウクライナにあるチェルノブイリ原発で、レベル7の史上最大の原発事故が起こりました。その放射能雲は8000キロ離れた日本にもやって来て、当時は日本でも野菜や牛乳が飲めないなどの騒ぎとなったものです。当時の日本政府は外国からの輸入食品1キログラム当たり、放射性セシウムが370ベクレル以上の放射能汚染食品は輸入禁止措置を取ったものです。
 そして今でもチェルノブイリ周辺では年間5ミリシーベルト以上の汚染地は立ち入り禁止措置を取っています。原発周辺のウクライナやベラルーシでは今でもガンや白血病などの健康被害の子どもたちが多いと言われています。30年経ったチェルノブイリ原発は新たな鉄鋼製の石棺が世界中の資金によって造られました。33年経った今でも、チェルノブイリ原発事故は終わってはいないのです。それが原発事故による放射能汚染の恐ろしさです。

復興オリンピックやっても福島原発事故は終わらない

 2011年3月11日には日本でもレベル7の史上最大級の東京電力福島原発事故が起きました。それからまだ8年しか経っていません。政府や福島県はウクライナやベラルーシの年間5ミリシーベルトの4倍の汚染値である、年間20ミリシーベルトでも安全だと言って、避難解除地域の被災者の帰還を積極的に奨めています。しかし、帰還した人は僅かしかいません。小さなお子さんを持つ親たちは、子どもたちの健康被害が心配で帰還することに二の足を踏んでいるのです。また、原発事故による健康被害の1つと言われている甲状腺ガンやガンの疑いのある子どもたちが福島を中心に周辺地域には200名以上もいます。それに、自主避難者2千家族が無償で住んでいた民間住宅や公務員住宅から今年3月いっぱいで福島県は支援を打ち切り、行き場がなくて4月現在でも公務員住宅に残っている71家族からは2倍の家賃を取ると福島県は脅しています。
 廃炉作業の最も重要な核燃料デブリの取り出しも全く進んでいません。これから何十兆円もの税金を使って、何十年もかけて、外国人労働者まで総動員して廃炉作業は続けなければならないのです。政府は「復興オリンピック」などと浮かれていますが、このような被災者を苦しめる福島原発事故は何1つ終わってはいないのです。
「伊方原発運転差し止め裁判」第4次原告募集!

あなたも514名の原告と一緒に原発裁判に参加しませんか


 「伊方原発を第二のフクシマにしない」ことを誓って、私たち「伊方原発をとめる大分裁判の会」は熊本・大分地震が起きた2016年の9月に、大分県内の住民だけで「伊方原発運転差し止め請求」を大分地裁へ提訴しました。これまで3年間に第2、3次提訴を行って、今日までに514名の原告団となりました。この514名の原告数は、これまでに大分地裁で行われた住民による裁判では最大規模の裁判だそうです。
 これまで3年間で12回の口頭弁論が開かれましたが、地裁判決が出るまでには、まだ数年はかかる予定です。
 そこで、多くの大分県民が「原発事故の不安」を抱いていることや、「1日でも早く伊方原発を止めてほしいと願っている県民がたくさんいる」ことを裁判長に示すために、第4次提訴を行うことにしました。一人でも多くの大分県内のみなさんのご参加をお待ちしています。大分県民であればどなたでも参加可能です。未成年者でも外国人でも参加できます。詳しくは下記までお問い合わせください。

伊方原発をとめる大分裁判の会
事務局長 小坂正則
携帯090-1348-0373
fax097-532-3772
HP:http://ikata-sashitome.e-bungo.jp/



d0174710_21254958.jpg
4月27日大分合同新聞朝刊より



by nonukes | 2019-04-27 18:31 | 小坂農園 薪ストーブ物語 | Comments(0)

電力3社の原発で遅れているのは大規模自然災害対策工事

いま動いている9原発は福島原発事故で活躍した免震重要棟さえない
小坂正則


d0174710_16322110.jpg
5層の「深層防護」の考え方


d0174710_16324383.jpg
欧米標準装備の二重の格納容器とコアキャッチャー

d0174710_18105657.jpg
4月24日のTBSのニュースNスタ

強気の規制委委員会は果たして本気か

18日の規制委員会の会合で、各紙が「テロ対策工事が遅れている」というにユースを一斉に流していました。本日24日の規制委員会会合の続報がありました。TBSの18時からのニュースNスタでも流れていました。
日経新聞4月24日ネット版では以下の通りです。
「原子力規制委員会は24日の定例会合で、原子力発電所に設置が義務付けられているテロ対策施設が期限内に完成しない場合、原則として原発の運転停止を命じることを決めた。九州電力川内原子力発電所1号機(鹿児島県)はテロ対策施設の設置期限の2020年3月まで1年を切り、九電は建設が間に合わないと説明していた。川内1号機は停止される可能性がある。
テロ対策施設は「特定重大事故等対処施設」と呼ばれ、2011年の東京電力福島第1原発事故後にできた新規制基準で設置が義務付けられた。原子炉から離れた場所に建て、遠隔制御で原子炉を冷やす設備を備える。原子炉が航空機の衝突などによる攻撃を受けても、電源や冷却機能などを失わないようにする。
九電と関西電力、四国電力は17日、テロ対策施設の完成が規制上の期限から1~3年程度遅れるとの見通しを原子力規制委員会に報告していた。
期限に間に合わない原発は「基準不適合」となるが、規制委は24日の定例会合で期限の延長を認めなかった。不適合状態になった原発は原則として運転停止を求める方針を全会一致で決めた。」(ここまで引用)
参院選を前にして、ここで規制委員会が「まあ少し猶予期間を与えてもいいか」と、いつもの優しさを電力会社に与えたら、世論はどんな反応をするだろうかと考えたのでしょう。それとも官邸が関与した可能性もあります。安倍政権は夏の参院選が関ヶ原の戦いと考えているのです。安倍政権の長期政権樹立と憲法改正を何が何でも成し遂げるために、全力で7月21日まで戦い抜く決意だからです。そのために衆参同日選挙も取りざたされていますし、消費税先延ばしから、5%へ切り下げという説も取りだたされています。「常識も良識も通用しない」何があってもおかしくないのが安倍政権なのです。ですから、「ここは『原則論』で世論を静まらせて来年3月に最終結論を出そう」と考えたのではないでしょうか。と言うのも「原則として」という枕詞がついているのがくせ者です。

特重施設は福島原発事故級の自然災害施設

このニュースはどこの新聞社も「テロ対策」と流していますが、「特定重大事故等対処施設」の設置目的は第一に大規模自然災害で、次にテロ等と書いているのです。原子力発電の事故防護策を講じる「深層防護」の基本的な考え方は、第1層「異常の発生防止」、第2層「異常の拡大防止」、第3層「異常が拡大しても、過酷事故に至らせない」、第4層「過酷事故の進展防止」と続き第5層「放射性物質の影響から人と環境を守る」までとされているのです。これまで、日本の原発には3層の「過酷事故に至らせない」ための緊急炉心冷却装置(ECCS)などしかありませんでした。しかし、福島原発事故の反省からやっと第4層の過酷事故を防ぐ施設として「特定重大事故等対処施設」の設置義務が課せられたのです。それは福島原発事故で、メルトダウンした1~3号機の水素爆発を防ぐことができなかったことの反省を踏まえた施設なのです。もちろん「テロ対策」ではないと言えば言いすぎですが、ことさらのように「テロ対策」を強調することで、福島原発事故を遙かに超えるような事故を想定しているような飛躍した安全対策のように国民を欺す言い方だと私には強く感じるのです。想定外の事故という意味で、テロ対策や航空機対策と言うならば二重の格納容器やコアキャッチャーなど、欧米では標準装備の施設を設置すべきなのです。この特重施設は想定外のテロなどではなく、あくまでも福島原発事故級の想定内の大規模自然災害対策なのです。ですから、規制委員会は、特重施設が設置されてないのに9機の原発の再稼働を許可したこと自体がおかしいのです。

特重施設が完成するまで動いている原発は止めさせよう

今度の参院選は憲法改正や安倍独裁政権の長期化など、安倍自民党の企む戦前回帰の日本を取り戻させるのか、民主主義を回復させるのかの大きなたたかいです。その中でも、「人為的なテロ対策施設ができていないのではなく、福島原発事故のような大規模自然災害を防ぐための欧米では標準装備以下の施設だ」ということを多くの国民に理解してもらいましょう。そしてこのような「特重施設が完成するまでは9原発は動かすな」と訴えようではありませんか。
そして安倍晋三首相が世界中で嘘をばらまいている「日本の原発は世界最高レベルの安全対策が講じられている」ということの嘘が、このニュースでばれてしまったではありませんか。だって、欧米では標準の「二重の格納容器」もなければ溶け出した核燃料をすくい取る「コアキャッチャー」もない原発で、しかも大規模自然災害時に別の場所から給水したり、電力を供給したりする特重施設も完成していないのです。しかもそれだけなら福島原発事故級の安全対策ですが、今動かしている9原発は東電福島原発にはあった「免震重要棟」さえ完成してないで動かしているということをもっと声を大にして訴えていきましょう。

d0174710_16374036.jpg

by nonukes | 2019-04-24 16:37 | 原発再稼働は許さない | Comments(0)

「テロ対策の施設が未完成だけではなかった」九電の原発には「免震重要棟」もない

「特定重大事故対応施設」は第4層「過酷事故収束」の必要施設
小坂正則

d0174710_13305302.jpg
特定重大事故対処施設と免震重要棟の概念図

d0174710_13373070.jpg
東京電力福島第一原発の免震重要棟の内部

4月19 日の朝日新聞に「対テロ施設、建設間に合わない原発9基が停止の可能性」という以下の記事が出ていました。
再稼働した関西、九州、四国の電力3社の原発全9基が停止を迫られる可能性が出てきた。新規制基準で義務づけられている原発のテロ対策施設の建設が設置期限に間に合わないためだ。3社は期限の先延ばしを含めた対応を原子力規制委員会に求めているが、委員からは厳しい意見が相次いでおり、3社の見通しの甘さが露呈された形だ。
3社によると、九電川内(鹿児島県)や玄海(佐賀県)、関電高浜、大飯、美浜(いずれも福井県)、四電伊方(愛媛県)の6原発12基で建設工事が遅れ、設置期限を1年~2年半ほど超える見通しという。玄海の超過期間は精査中だという。最も早い川内1号機は来年3月に期限を迎える。
テロ対策施設は、航空機の意図的な衝突の際などに遠隔で原子炉を制御する。当初の設置期限は新基準の施行から5年だったが、2015年に、再稼働に向けた原発本体の工事計画の審査を終えてから5年以内に設置することになった。
建設が遅れた理由について、3社は「安全性を向上させた結果、高度で大規模な工事が必要になった」などと主張。関電の役員は17日の規制委の会合で、「見通しが甘かった」と陳謝しつつ、「土日なしの工事で最大限の努力をしてきた」と理解を求めた。(ここまで引用)
テロ対策がまだくらいまあいいか?

この記事を読んだ私も「たいしたことではない」と思ってしまったのです。だって、北朝鮮の脅威を安倍政権はことさら騒ぎ立てていましたが、ここ1年で随分おとなしくなったし、「航空機が墜落する可能性」といえば、それは地震が襲うよりも遙かに小さな確率でしかないかと思ったからです。でも、ちょっと気になったので九州電力のホームページを調べてみたのですが、どこにも「免震重要棟」という記載がないのです。川内原発1、2号も玄海原発3、4号も免震重要棟を建設することを条件に規制委員会から運転再開の認可をもらったのだけど、2016年に急きょ免震構造を耐震構造に格下げして、それで代用するとして、規制委員会の田中委員長に大目玉を食らったという記事がでていました。それでも電力会社の味方の田中委員長は「まあいいか」と変更を許してくれたそうなのです。
「免震重要棟」から「耐震設計棟」へ変更になったと、そこまでは確認できたのですが、その後この「耐震設計施設」が完成して稼働しているという記事が見当たらないのです。ですから、私は九電本店の広報課に電話で確認しました。

私「特重施設」の建設はまだだと言うことですが、福島原発事故で活躍した「免震重要棟」のようなバックアップ施設は完成しているのですよね。
職員「いえ、免震重要棟から耐震設計棟へ変更になりましたがその施設もまだ完成していません」
私「では耐震重要棟というのかは知りませんが、それがなくて運転しているのですか」
職員「原子炉の近くに耐震施設に代わるような建屋で事故時にバックアップできるようにはできています」(ここまでが会話)
ということは耐震重要棟でも免震重要棟でも、まあいいとして、いざ事故が起こって原子炉がメルトダウンしたら適当に建てたプレハブのような建屋であの過酷な事故対応を行う気なのかと呆れてしまったのです。

福島原発に免震重要棟がなかったら東日本は死の町になっていた

以下の文章は私の友人の松山の小倉さんのブログ「伊方原発の廃炉のために」の中からの引用です。
そもそも東電福島第一原発の免震重要棟は、06年の中越沖地震のおりに東電の柏崎刈羽原発の緊急時室が地震でドアが開かず機能を果たさなかった問題を受けて、新潟県泉田知事が東電に申し入れ、柏崎刈羽にも作り、福島にも311の半年前だかに完成したばかりの建物でした。あれがなかったら地震による被害も大きかったですし、放射能の上昇を受けて、ただちに撤退しなければ、となっていたかもしれません。東電の総員撤退をさせないで済み、結果的に東日本を救った、と言っても過言ではないのが、この免震重要棟建設という「過酷事故のための対策所」建設対策だったわけです。
 これはIAEA提唱の5層の深層防護の第4層である「過酷事故の収束・緩和策」の範疇の対策だった、といえるでしょう。311前には電力会社の自主的対応に任されていたこの第4層対策の法制化は、新規制基準の中で拡張された目玉商品なわけですから、規制委員会に対して、免震事務棟を(そのうち)作りますから許可をしてください、と九州電力が言っておいて、手のひら返しでお金が掛かるから作りません、を許しておいては、原子力規制委員会が骨なしだ、ということになります。
(もう原子力規制委員会はお手盛り委員会だということはみんなの共通認識になってしまっていて、今さらそんなこと言うな、と言われるかもしれませんが・・・)(ここまで引用)
つまり、それだけ重要な施設を作らなくてこの川内原発は2015年8月、9月から3年間以上の間運転をしていたというのです。「それがまだまだ完成しないけど運転させてください」と九電などの3電力会社9原発は動かし続けると言うのです。そんなことが許されるでしょうか。

「特定重大事故対応施設」とはどんな施設のこと?

マスコミの悪いところは規制庁や電力会社の説明をそのまま鵜呑みに記事にすることです。もっと、視聴者や読者に分かりやすくかみ砕いて説明し、九電が免震重要棟から耐震施設に格下げして、それでもいまだに作っていない理由を、掘り下げる必要があるのです。しかし、電力会社か規制庁は頭がいいと言うか、ずる賢いと言うか、規制委員会で決めた、特重施設の目的は、下記にあるように、テロ対策が1番の目的ではありません。第1の目的は大規模自然災害です。それをあたかも「テロ対策施設」であるかのように誤魔化して、マスコミに情報を流したのでしょう。マスコミの記者も、それを鵜呑みにして記事を書くのですから、記者魂を疑います。私のような素人でも、ちょっと調べたらすぐ分かったのですから。こずるい電力会社のエリートや規制庁の官僚に騙されるとは情けないことです。この記事の表題は「大規模自然災害の施設が未完成で原発を動かし続けている。福島原発事故で活躍した免震重要棟も出来ていない」に私ならします。
規制委員会の「特重施設等の設置に向けた更なる安全向上の取組状況について」というPDFによると、「特定重大事故等対応施設」というのはテロ対策だけではありません。「シビアアクシデントを起こさない対策に加えて、大規模自然災害やテロも含めて様々な事象により万が一シビアアクシデントが起きた場合の対策として必要な機能を全て備えることが求められている」と、その目的を謳っています。そして具体的には「緊急時制御室(免震重要棟)」に「電源」「水源と溶融炉心冷却ポンプ」「格納容器スプレイポンプ」など、原子炉格納容器や建屋内にある緊急時の施設が使えなくなった場合に、遠隔地からバックアップするための施設です。

南海トラフ地震が来て原発がメルトダウンしたらどうするのか
「特定重大事故等対応施設」という、この施設があって初めて第4層の「過酷事故の収束・緩和策」を取ることができるのです。ですから、これらは何も「テロ対策」などではありません。自然災害のために最も重要な施設なのです。特に日本は地震と津波と火山噴火という自然災害の危機が迫っている国に於いて、それへの対応施設がなくて、「原発を動かしていい」と考えること自体が異常なことです。この施設を完成させるために5年間の猶予が法律で与えられていますので、少なくともその日が来たら速やかに運転停止をしなくてはなりません。この国は法律に則って成り立っている法治国家だからです。
しかも、30年以内に70%から80%の確率で南海トラフ地震が襲ってきます。南海トラフ地震はユーラシアプレートの下にフィリピン海プレートが沈み込んで起こるプレート地震ですから、この地震の影響で中央構造線が動くかもしれないのです。そうなると、伊方原発や川内原発が影響を受ける可能性は限りなく大きいのです。一刻も早く原発の運転を止めるか、少なくとも5年を過ぎた時点で「特定重大事故等対応施設」ができるまでは運転を止めるべきです。


by nonukes | 2019-04-23 13:42 | 原発再稼働は許さない | Comments(0)

原発に補助金をつぎ込み、パリ協定に原発推進を書き込ませる?

破綻したアベノミクスを繕う「原子力マフィア」の悪あがき
小坂正則
d0174710_11342456.jpg
3月23日の朝日新聞


d0174710_11371246.jpg
資源エネ庁:原子力小委員会第5回会議資料

d0174710_11405148.jpg


d0174710_11423871.jpg


d0174710_11425842.jpg


3月23日の朝日新聞のスクープと言えばいいのか、それとも経産省官僚による観測記事なのかは定かではありませんが、「原発支援へ補助制度案 経産省、2020年度創設めざす」という記事がありました。朝日の記者が経産官僚から聞き出した記事なのでしょう。この記事を要約すると、
「原発については、発電事業者と電力小売事業者との間で取引する際の市場価格に一定の価格を上乗せすることを認めるものだ。原発を温室効果ガスを排出しない「ゼロエミッション電源」と位置づけ、環境への貢献で付加価値をもたらしている、との理屈だ。」また「モデルにするのは、米国のニューヨーク州が導入する「ゼロ・エミッション・クレジット(ZEC)」という制度で、原発の電気について市場価格への上乗せを認める。直近では、原発の発電量1キロワット時あたり約1.9円を価格に上乗せして売ることができる。日本の電力業界関係者は「赤字の原発が黒字になるくらいのインパクトがある」と分析する。」とあります。
また「経産省が検討を進める背景には、東京電力福島第一原発事故を受けた規制基準の強化で安全対策費用が高騰し、原発でつくった電気の価格競争力が低下していることがある。それでも政府は原発を「ベースロード電源」と位置づけ、30年度の電源構成に占める原発の割合を20~22%に引き上げる目標を掲げており、特別扱いしてでも原発の競争力を維持するねらいがある。」
つまり、これまで「原子力は低コストだから普及させる必要がある」と国民に説明していたのが、太陽光発電などの発電コストが世界中でどんどん下がっていることと、電力自由化で電気料金が相対的に下がる傾向がある中で、今後電気料金が上がる気配がないので、既存の原子力を中心に販売している9電力会社の経営が厳しくなることが予想されるから原発の電力に特別扱いを考えているのです。

「安いから原子力」が「原子力は必要」へ手段が目的化

これと同じような記事が以前にもありました。2014年の9月21日に開催された、資源エネ庁の「エネルギー部会」で経産省は「原発の電力価格保証」案というものを参考資料として出したそうです。
この「価格保証」というもは電力自由化で電気が市場で売り買いされるようになると、電気が余った時には電気の売り買いが発電コストを下回ることもあり得るので、「長期間に及ぶ投資が必要な原発の安定経営を保障するために一定の価格を下回った場合にはその差額を価格保証する」というものです。この制度はイギリスが既に実施しているものです。私の過去のブログです→https://nonukes.exblog.jp/21179510/
また、上の画像は2014年8月総合資源エネルギー調査会原子力小委員会第5回会合の資料4が上記の画像の一部です。その中に、2014年第186回通常国会で電力自由化による電気事業法の1部改正における付帯決議が決定されています。その中身は、「電力自由化による競争下の電力事業で原子力発電と核燃料サイクルを行うことに不安のないように適切な処置を講ずること」また、その対策は「必要な措置を速やかに検討し遅滞なく実施するものとする」とあるのです。これが今回の原発優先政策の案が出てきた背景なのです。
そして官僚の皆さんは、恥ずかしげもなく、4月20日の新聞によると「政府、国連に「原発推進」の戦略案提出へ 温暖化対策で」と朝日新聞の見出しです。地球温暖化防止「パリ協定」に、原発による二酸化炭素削減案を提案するというのです。世界では急激に発電単価の下がった再エネ電力によって二酸化炭素削減と新産業のイノベーションで、経済成長と雇用の創出を世界中で競争しているのです。そんな世界の中に、いまだに原子力に未練を残しているバカは日本の官僚と電力会社と自民党しかいません。

「巨砲・巨艦主義」の戦艦大和を造って破滅した日本海軍の二の舞

悲しいかな、この国の官僚制度は戦前から1ミリの変わってはいません。1945年8月15日のままに今日まで受け継がれています。それは「一度決めたことは途中で変更できない」という前例主義です。1953年に「原子力の平和利用」を掲げて、日本政府も科学者もこぞって「原子力の平和利用」に夢を託しました。私の尊敬する故人の科学者高木仁三郎さんや久米三四郎さんに、現在もご活躍の小出裕章さんも、みなさん一度は、原子力に明るい未来の可能性を信じていたそうです。しかし、現実は全くの真逆だったのです。そのことに気づいた時期が、1979年の米国スリーマイル島事故からか、1986年ソ連のチェルノブイリ事故からかの違いはあるでしょうし、小泉元首相のように2011年福島原発事故からかもしれませんが、方向転換できた方とできない官僚的思考の人間の違いだけなのです。公務員は仕事上で異論を言うことは大変な勇気がいります。私も以前公務員の端くれでしたが、その中で郵政民営化を労使双方が反対していた中で、私は民営化賛成でした。でも、公にはほとんど「民営化賛成」と声を出すことはできませんでした。しかし、このお国の進路が破滅に突き進むことが明白なのに、なぜ日本は戦争を回避できなかったのか、誰も反省をせず、一億相懺悔というわけの分からない総括で、「赤信号みんなで渡れば怖くない」風の「過去を水に流す」ことで「戦争責任」なども忘れてしまったのでしょう。そのツケが今日の日本へ襲いかかっているのではないでしょうか。

この現実を見れば日本の繁栄が「砂上の楼閣」であることが誰でも分かる


d0174710_11442719.jpg
4月19日の新聞各紙は一斉に「2040年の世帯数、15年比5%減 75歳以上が4分の1」という記事を配信しています。
「国立社会保障・人口問題研究所は19日、世帯数の将来推計を発表した。2040年の世帯総数は5075万世帯となり、15年と比べて4.8%減少する。世帯主が75歳以上の世帯は15年の888万世帯から1217万世帯に増え、全世帯の4分の1を占めるようになる。医療や介護のニーズが高い後期高齢者世帯の急増に向け、政府や企業は対応を迫られる。▼同研究所が15年の国勢調査に基づいて、40年まで5年ごとの都道府県別の世帯の数を推計した。▼40年の推計で全世帯に占める一人暮らしの割合は39.3%で1994万世帯。このうち75歳以上の独居は512万世帯で、全体の10.1%になる。15年の6.3%から4ポイント近く上昇する。▼世帯主が75歳以上の世帯の割合を都道府県別でみると、青森、秋田、長崎、鹿児島で30%以上。東京は18.2%となる。」(ここまでは日経新聞)
大分合同新聞によると「2040年には高齢者世帯の内一人暮らしの割合が大分県では40%」とありました。日本の平均値ですが、人口減少も加速化して、移民労働者は140万人以上いても日本の総人口は2050年には30%減という最高値を厚生省は掲げています。それだけではありません。国民実質所得はこの20年間ほとんど増えていないどころか減っているのです。労働者の実質平均賃金は20年でマイナスです。米国も英国も80%くらいは増えているのにです。
高齢化と少子化と「貧困と格差の拡大」で国内消費はどんどんこれからは落ち込むばかりでしょう。老人はそんなに多く消費しません。消費をするのは若者と子どものいる家庭です。その子どもの出生数が1973年には200万人だったのが、44年経った2017年には100万を切っているのです。ですから、50年前の半分しか消費する人(働く人も)が誕生していないのです。それに日本から工場がなくなれば、働きたくても雇用の場は減って、労働者の賃金は下がるばかりでしょう。おまけに世界中で電気自動車社会になったら、世界のトヨタも潰れてしまう可能性も大きいのです。そんな暗澹とした日本の将来に「大量生産=大量消費」の象徴のような「原子力発電」が生き残れるはずはありません。この間の日本全国の電力消費傾向を見れば一目瞭然です。いくら電気自動車が普及しても電力消費拡大には結びつかないでしょう。だったら、40年や60年間という長期間で投資を回収する原子力など不可能なことは小学生でも分かります。安倍や中西(経済連会長)は小学生以下ということでしょうか?

d0174710_19434170.jpg
d0174710_11435921.jpg





by nonukes | 2019-04-22 11:44 | 小坂農園 薪ストーブ物語 | Comments(0)

中西経団連会長は気が狂ったか?「原発は新設して60年以上以動かすべきだ」

重厚長大産業の経営者は日立の中西会長のようなバカばかりなの?
小坂正則

d0174710_13280936.jpg
3月11日の中西経団連会長のエモーショナル発言

d0174710_13385288.jpg
2月14日原自連の吉原毅会長(右)と河合弘之事務局長の反論

d0174710_13405208.jpg
電事連のCMに懲りずに出続ける石坂浩二


中西会長殿ご乱心のこれまでの発言経過

一昨日8日の中西経団連会長(日立会長でもある)は会見で、以下のような発言をしました。
「複数の可能性を想定した電力システム全体の将来像のもとで、再エネも原子力も、次のステップへ進める必要がある。これは企業だけでできることではなく、資源エネルギー庁にも対応をお願いしたい。再エネは、安定した電力供給を確保しつつ拡大していかなければならない。原子力も、投資回収ができなければ、経営判断として、事業から撤退することになる。安全性が確認された原子力発電所は、地元の理解を得て再稼働していくことが求められる。リプレース・新増設に向けた検討も必要である。日本の将来を考えれば、不稼働期間を運転年限から除外する、あるいは運転期間を60年超に延長するといった可能性について、技術的な検証を行う必要がある。」(経団連のHPより転載)
という発言を聞いて、私は「殿ご乱心を!」と感じました。
中西殿様は正月会見でいいことを言ったような気がしたのです。「国民が反対するもの(=原発)はつくれない。全員が反対するものをエネルギー業者や日立製作所といったベンダー(設備納入業者)が無理につくることは民主国家ではない」といい、「原発を進めるには国民的な議論が必要だ」という発言をしたのです。
その発言を受けて、小泉元首相は「公開討論会はすばらしいことだ。頑張ってくれ。僕も出るよ」と吉原さんに言ったそうです。 そして、 小泉純一郎元首相が顧問を務める市民グループの「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」(原自連)が、2月14日に記者会見を開催し、事務局長の河合弘之弁護士は、1月11日および2月13日の2度にわたり経団連に公開討論会開催の要請書を手渡したのですが、2月15日に経団連は原自連に「現時点において公開討論会を開催する考えはない」と電話で伝えたというのです。
そして3月11日には「経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)は、自ら必要性を訴えていたエネルギー・原発政策に関する国民的な議論をめぐり、「エモーショナル(感情的)な反対をする人たちと議論をしても意味がない。絶対いやだという方を説得する力はない」と語った。そして、「反原発を通す団体では議論にならない。水と油だ」などとして断ったそうです。「原発と原爆が結びついている人に『違う』ということは難しい」とも発言したのです。おいおいちょっと待てよ。小泉元首相をそこまでバカにしていいの?「小泉さんは原発と原爆の違いが分からない?」というの。
今年になって、中西会長が自分で一石を投じた「国民的な原発是非の議論」を一方的に破棄して、今度は安倍官邸の腰巾着の規制委員会でも言い出せない、「原発60年以上延長運転も」と言い出す有様なのです。

原子力規制委員会も骨抜きにされたが、それを100倍も上回る中西発言

2011年3.11までは経産省の中に原発を推進する「資源エネ庁」と「原子力安全・保安院」が同居するということが行われていました。米国では全く独立した1つの組織として「原子力規制委員会(NRC)」が原発の運転許認可から抜き打ち検査まで厳しく規制しています。ちなみに日本の現在の規制委員会では「避難計画」は運転許可の審査対象外ですが、米国では事故時の避難計画が十分でなければ原発の運転許可が下りません。ニューヨーク州ロングアイランドという半島の先にたショーラム原発があります。1972年建設開始して1984年完成しましたが、避難計画が不十分として規制委員会が運転を認めず、1989年に一度も動かすことなく廃炉が決まったのです。
日本の規制委員会が米国のNRCに比べものにならないほどお粗末だという現実がありながら、しかもフクシマを経験したこの国の経済界のトップが「原発をどんどん再稼働させろ」や「60年以上運転させろ」というのですから、呆れて開いた口がふさがりません。
2012年9月にできた日本の規制委員会とそれをサポートする原子力規制庁は環境省の外局という形で経産省からは別れたのですが、それでも規制委員はそのほとんどが原発推進派の学者で固められています。唯一と言ってもいい、島崎邦彦委員長代理のみが原発推進派ではない地震学者でした。ですから、彼が居た2012年9月から2014年9月までの2年間はまともな新規制基準の審査が行われていましたが、電力会社や自民党から排除の声が出て、安倍政権は2年間の任期で再任せずに辞めさせました。ですから、新規制基準で決まった、「原発の運転は40年。ただし例外として60年もあり得る」という規制基準が、今では「原則40年運転」を骨抜きにして60年運転が既成事実となってしまったのです。しかし、それすら中西会長は「生ぬるい。もっと延長させろ」とトチ狂った発言をしているのです。

原発マフィアの甘ったれた要求に乗ったらこの国は潰れてしまう

経団連は「重厚長大」産業と言われる石油・鉄鋼や電力などを中心とした戦後の日本を高度成長へと導いた大企業中心の政治団体です。政府自民党と二人三脚で経済政策を引っ張ってきたのです。しかし、政府と経済界の重陣が引っ張ってきた日本経済がにっちもさっちも行かなくなって「失われれた20年」がいまでは「失われた30年」と言われるまでに成長が止まったままの日本経済です。日本経済をどん底に落とし込んだ戦犯が安倍政権の「アベノミクス」と経団連なのです。
日本には中西日立・経団連会長のようなバカばかりしかいないのでしょうか。孫正義さんやトヨタの豊田章男社長や楽天の 三木谷浩史社長などは、中西ほどバカではないと私は思うのですが。日本の経営者にも政府におんぶに抱っこで、「この夢を永遠に」と考える「今だけ、金だけ、自分だけ」の身勝手な将来の発展性のない過去の栄光にすがって、自分たちの利権だけを守りたいという輩だけではないはずです。
もっと、電力などは規制緩和して市場開放と自由競争を広げて、世界に打って出るような夢を持った、イノベーションに積極的に投資するような経営者はいないのでしょうか。まあ、この国の総理大臣がウソつきでバカだから、経済界も同じレベルの人間しか出世できないのかもしれませんが。経産省官僚もほとんど安倍晋三と同列か、出世のために自分を殺して官邸の下僕と化しているようです。

原発反対派を「エモーショナル」という批判はソックリお返しする

これまで日本ではほとんど原発推進派と反対派が同じテーブルで議論することなどありませんでした。その理由として推進派は公開討論を行えば反対派にコテンパンに負けてしまうから決して公開議論をしてこなかったのです。もう20年も前のことですが、原子力文化財団が「原子力の講師を無料で派遣します」という案内を見つけた私は電話してお願いしてみました。「私は再エネNPOの者ですが原発推進派の学者と私たち再エネ推進派との議論をしたいのですが、講師を派遣してもらえますか」と。すると、事務局の職員は「私どもは原発の必要性を学ぶ学習会には講師を派遣しますが、原発反対派との討論への派遣はしません」と。九電にも頼んだことがありますが、ここでも断られました。これまで唯一行われたのは日テレの「朝まで生テレビ」の「原発徹底討論」のみでしょう。ですから、よくマスコミなどで白々しく「推進派も反対派も冷静な討論を行うべきだ」という「ケンカ両成敗」のような批判をする人がいますが、それは論外です。反対派はいつでもどこでも公開討論に応じます。ただ推進派は逃げて逃げて逃げまくっているのです。
今回の中西会長の発言の「原発と原爆を一緒に考えるような感情的な人と議論しても時間も無駄」のような発言も、逃げる口実に考え出した淺知恵です。
実は日本には原発推進派の学者はほとんど居ません。実際にはいるのですが、「私は推進派ではありませんが、現状では今ある原発を動かすのはやむを得ない」と言って良識ぶったり、「私は原発には中立である。二項対立はやめて冷静に議論を行うべきだ」とか、これも嘘っぱちです。原発反対派は「私は原発反対です」と明確に言いますが、推進派の学者や文化人は自分のことを推進派という学者はほとんどいません。しかし、反対派という学者以外のエネルギー学者は全て「隠れ推進派」と思って間違いありません。自称文化人で唯一推進派は石坂浩二ただ1人です。ご本人が推進派と名乗っているかどうかは知りませんが、フクシ事故の後も電事連のCMに出ているんだから、推進派に間違いないでしょう。このオッサンお金もたっぷり稼いでいてフクシマの悲惨さを知ってか知らずか、よくもまあしゃあしゃあと「原発が必要」とか言えるものです。ただその逃げない態度にはある意味たいした玉です。原発の利権にすがっている文化人も学者も大勢いるのですが、総じて「私は原発推進派ではありません」と、「自分の本心を隠して」生きているのです。
この国の政治は腐りきっていますし、テレビはNHKを筆頭に御用放送ばかりで、NHKしか見ない有権者は「安倍首相は偉大な総理大臣で、原発はなくてはならない唯一の日本人の選択肢」と考えるのでしょう。

原発マフィアを倒すために参院選で自民党にNOを突きつけよう

この誤った認識を変えるのは第二の福島原発事故が起こるか、第二の福島原発事故が起きる前に安倍政権を私たちに手で倒すしかありません。夏の参院選で野党共闘を実現させて、安倍政権を倒して原発再稼働に厳しい政権を作って、脱原発を実現させましょう。そうすれば新たな新エネ産業が拡大して、若者の雇用も増えることでしょう。

by nonukes | 2019-04-10 13:42 | 原発再稼働は許さない | Comments(0)

再エネは太陽光発電だけではありません。木質バイオマスの熱利用も立派な再エネ

昨夜からの雨で薪屋の仕事も束の間の一休みです
小坂正則

d0174710_09410403.jpg
一昨日撮った写真です

d0174710_09440528.jpg
小雨の中の今朝の薪作業場全景


d0174710_09442968.jpg
乾燥中の薪棚

d0174710_09445306.jpg
小雨の中の薪作業場

百姓と薪屋には決まった休みはありません。休みは雨の日だけです。そんな雨が昨夜から降って来て、今日は束の間の一休みです。当方のNPOの薪屋の薪作りもいよいよ終盤です。今年の秋から冬の薪は昨年10月頃から今年3月頃までには割って、乾燥棚に積み上げています。今作っている薪は来年の1月から3月にかけてのお客様用と石焼きピザやさんなどの通年用とカシ・クヌギの2年乾燥の薪などを作っているのです。薪屋の需要はおおむね秋から春までの半年ですが、薪作りは10月頃から5月中までです。なぜ6月から9月に薪作りをしないかというと、理由は簡単で「蒸し暑くて仕事をしたくない」からなのです。
ですから、私は薪作りに関しては8ヵ月働いて4ヵ月休みなのです。もちろん雨の日は休みですが。薪を作るにはチェンソーと薪割り機を使います。まあ、薪割り機はそんなに事故を起こすことはないでしょうが、チェンソーは一歩間違えば大事故になる可能性があるため、細心の注意が必要なのです。蒸し暑くて注意が散漫になる可能性のある夏の季節は、できる限りチェンソーを扱わないようにしているのです。

庭木屋とゴミ処理場と薪屋は「三方両得」

実は、私が薪屋を始めた11年前から、薪の原料の大半は植木屋さんや土木工事業者が伐採した立木を私の事務所の作業場まで持って来てくれるので、「薪屋は儲かりそうだ」と思ったことが、薪屋を始めたきっかけでした。なぜ立木をわざわざ私のところまでタダで持って来てくれるかというと、立木は一般廃棄物なので、事業者は野焼きで燃やしたりどこにでも捨てることはできないのです。ですから、法律で産廃業者に引き取ってもらうか、ゴミ焼却場に持って行って処分してもらわなければならないのです。当然産廃業者に引き取ってもらうには処分費がかかりますし、公設のゴミ焼却場に持ち込みには、お金も取られるし、「木の長さを60センチ以内に細かく切って持ち込むように」ということも言われていたそうです。別府のゴミ焼却場の場合ですが、現在は分かりません。そこで、10年くらい前にゴミ焼却場の所長さんから、私に相談がありました。「うちに持ち込む業者に小坂さんとこに持って行くように指導してもいいかね」と。私は「こちらこそお願いします。大助かりです」と。所長さんは「うちに持ち込まれても裁断機の刃を傷めて交換するのに金がかかるし、生木は助燃剤にもならないから、生木はほしくないんだ」という話でした。立木を切る業者は処分費が必要なくて、儲かり、ゴミ焼却場ではゴミが減って儲かり、私は寝て待っていれば薪の材料が手に入って儲かるという、つまりこれこそ「三方両得」という話だったのです。

薪屋に起きたちょっとした異変

ところがこの「三方両得」が壊れかかっているのです。
皆さんもご存じかと思いますし、想像してもらえば分かると思うのですが、日本の林業は衰退の一途でした。杉を代表とした針葉樹の林業は、人件費がかかる割に材木価格が低迷していて割に合わなかったのです。その現象は広葉樹でも言えることで、広葉樹の材木は主に紙の原料チップとなっていたようです。産廃業者はお金をもらって材木を集めて、それをチップに砕いて製紙会社へ販売していたのです。ところが、この事業スキームに異変が起きたようです。私もそんな「濡れ手に粟のような商売は長くは続きませんよ」と産廃業者に話していました。その理由は2つあります。1つは林業労働者は減る一方で針葉樹の建築材の需要はこれから増えます。なぜなら中国の経済発展が需要を喚起させるからです。それにもう1つがバイオマス発電などのエネルギー需要が増えるからです。
ですから、ここに来て針葉樹も広葉樹も需要がどんどん増えているのです。
それは2012年から始まったFIT(再エネ電力固定価格買取制度)によって、バイオマス発電所が増えて、バイオマス原料(杉などに針葉樹や広葉樹材)の奪い合いが始まり、価格が高騰しているのです。材木の端材の値段だけではありません。建築材の材木価格も中国の需要高騰で値段が上がっています。まあ、上がったといってもこれまでが安すぎたのですがね。材木の値段が上がれば、林業労働者の賃金も少しは上がるかもしれませんね。つまり、私が「楽して儲かる」事業スキーム自体が異常な現象だったのです。「木質バイオマスの価値を市場が正当に評価しつつある」というのが現在の林業を取り巻く情況の明るい兆しかもしれません。ただ、日本の林業を世界水準で利益を出して、再生可能な産業に育てるためにはまだまだ課題山積みですけどね。
日本の山の複雑な地権者の数と、そもそも私の年代の山主の大半が境界線を知らないという現状があります。このままでは日本中の過疎地が崩壊するのと連動して、業者は木を切りたくても地権者が誰だか分からないという深刻な問題がもちあがっているのです。(この問題へ別に書きます)
ですから、これまで私のとこまで運んできてくれていた業者の方が「小坂のところにタダで持って行くよりも材木仲買御者へ売った方が金になる」ようになったからなのでしょう。
それは仕方ないのではなく、適正な需要と供給のバランスが成り立つようになった、いわば林業という産業が正常な状態になりつつある証拠なのです。
ただ、私としては寝て待っていればよかった原料が手に入らなくなったのですから、それへの対応は深刻な問題です。今は近くの雑木林のオーナーさんに立木を分けてもらい、私はアルバイトの男性と2人で切り出していますので、薪製作コストが跳ね上がっています。そろそろ値上げを検討せざるを得ない状態になって来ました。でも、いままで低価格で販売していた「二酸化炭素ゼロ」の環境に優しい薪ストーブの燃料の薪の値段が少し上がったとしても、環境に優しい薪ストーブの暖かさの価値をご存じの優しい薪ストーブオーナーの皆さんは理解してくれることを願っています。そこでこの冬から少しだけ値上げをしようかと考えている今日この頃です。

このチラシは昨年度までの価格表です。今年は少し値上げの予定です
d0174710_09451298.jpg

by nonukes | 2019-04-10 09:50 | 林業再生 | Comments(0)

カルロス・ゴーン氏逮捕で見えてきた暴力的な日本の人質司法



今こそ中国や北朝鮮並みの前近代的な日本の刑事司法制度にメスを入れよう
小坂正則


d0174710_13145933.jpg
3月6日保釈されたカルロス・ゴーン氏

d0174710_13101077.jpg

弘中弁護士は「考えられない」を連発し激しく憤った。=4日午後、日本外国特派員協会


「長期勾留による自白の強要」は冤罪の温床

昨年11月19日に「証券取引法違反」で東京地検特捜部に逮捕されたルノーと日産と三菱自動車のCEOのカルロスゴーン氏は、その後、今年1月には「特別背任罪」などで追起訴されましたが、108日間という長期勾留が世界中から批判を浴びたことで、3月6日には裁判所が保釈を認めました。しかし、「オマーンルートで特別背任罪が立証された」として4月5日に電撃的な再逮捕されたのです。裁判所が1度保釈を認めた被告人を再逮捕して勾留するということ自体が非常に異例なことで、オマーンルートの特別背任が疑われるにしても保釈したままで進めればいいことだし、これらは一連の事件であり、全く異なる事件の被疑者としての容疑が上がったのであれば逮捕はあり得るでしょうが、どう考えてもゴーン氏が11日に記者会見を行うと表明したことやツイーターでゴーン氏がつぶやいたことに対する見せしめ逮捕以外の何ものでもないでしょう。
郷原弁護士は4月5日朝日新聞で「今回のゴーン氏の「4回目の逮捕」と捜索押収も、常軌を逸した「無法捜査」であり、ゴーン氏弁護人の弘中惇一郎弁護士が「文明国においてはあってはならない暴挙」と批判するのも当然だ。その手続上の問題は、今後、重大な人権問題として取り上げられることになるだろう。」と書いています。
田中龍作氏によると、ちょうど4月1日には国土交通省の塚田副大臣が「北九州下関道路」の新設工事に対して私は麻生副総理と安倍首相のお二人に忖度して北九州ー下関を繋ぐ道路建設に予算を付けました」という疑惑が持ち上がった矢先のゴーン氏逮捕だったので、田中龍作氏は「塚田副大臣疑惑潰しのゴーン逮捕ではないか」と主張しているのです。

「オマーンルート」の特別背任罪を問うのは大変難しい

ゴーン氏を有罪に持ち込むには「証券取引罪」という「形式犯」の微罪では裁判所がビビッて有罪は無理だと法律関係者の声が大半です。だから、どうしても「特別背任」の重罪を問いたいのでしょう。しかし、オマーンへ39億円の不要な送金といいのですが、郷原弁護士によると「井上氏(自動車ジャーナリスと)は、「粗利益27億円」と「39億円」とを比較しているが、年間の「粗利益27億円」と、8年間で39億円の支払いを比較するのはおかしい。1年なら5億になる。通常、販売奨励金は、売上高に応じて算定するはずであり、年間売上高540億円の1%弱という5億円の販売奨励金が特別に高額とは言えないだろう。…検察は、ゴーン氏が、SBAへの支払のうち500万ドル(同約5億6300万円)を自らに還流させたと主張しているようだ。確かに、正規に支払が予定されていた販売奨励金の金額に、ゴーン氏側への還流分を上乗せして支払ったということであれば、その分は、「経営判断原則」の範囲外の個人的流用となる余地もある。しかし、その点の立証のためには、SBA側から、「当初から、日産が支払うべき販売奨励金に上乗せした支払を受け、それをゴーン氏側に還流させた」との供述が得られることが必要だ。SBA側からそのような供述が得られていないことは間違いなさそうだ」(ここまで引用」)
もしオマーンのオーナーとゴーン氏が結託して奨励金を山分けしたとしても、オマーン側の証言は取れないでしょう。ましてやオマーン側のオーナーは日産に対して大変ご立腹で「日産の代理店をやめる」と発言しているそうなのです。この方は中東での発言力が大きくて、日産側にとっては中東全体に影響が出て、莫大な経済的損失につながる怖れがあるのです。ですから日産の西川社長にとっても痛し痒しのオマーン事件なのです。

世界中に暴露された日本のひどい刑事司法制度

ゴーン氏の強欲さやお金への執着心には辟易しますが、彼は優秀な弁護士の側近が法律に抵触しないように迂回させたりして私利私欲に走ったのでしょう。ゴーン氏もケマイン諸島を迂回させて税金を誤魔化す日本の大企業の経営社と同じようなつまらない人間なのでしょう。ですから私はゴーン氏を支持する気など毛頭ありませんし、日産がルノーに統合されることにも反対です。日本の企業をみすみすフランスに取られることに賛成はしません。ただ、官邸の菅官房長官の意を受けた東京地検特捜部が法律をねじ曲げてゴーン氏を逮捕してごり押しの有罪にしようとした今回の強引逮捕は無理筋だと考えるのです。
ただ、この事件が世界中に報道されたことで日本に住む私たちにも分かったことがありました。「日本の司法の常識が世界の非常識だった」ということがです。
日本の刑事事件の有罪率は99.6%だそうです。中には99.9%だという説もありますから1000人起訴されて無罪は1~4人なのです。ほとんどの刑事犯は有罪にされるのです。それほど日本の警察官が優秀なのかは大変疑問です。欧米では70%台だそうですから、その差は歴然です。そこにどんな違いがあるのでしょうか見てみましょう。

日本と欧米との刑事事件の取り調べ手法の違い

日本では警察に逮捕されたら取り調べが3日間で、裁判所に勾留延長の申請をして10日が2回認められます。ですから警察は最大23日拘束できるのです。その間に無罪釈放するか、起訴するかを検察が決めます。何らかの犯罪の容疑で逮捕された被疑者は警察署で取り調べを受けるのですが、今回は大事件なので、いきなり東京地検が取り調べしています。本来なら取り調べは警察や地検で受けて、夜は法務省所管の拘置所に収容されるべき勾留決定後の被疑者・被告人を、引き続き警察の留置場に収容する、日本特有のシステムとして「代用監獄制度」があるのです。この制度によって起訴されるまで23日間の間警察署で深夜にまで及ぶ拷問取り調べを受けることがあるのです。こんな制度は他の先進国にはありません。国連の「拷問禁止委員会」は2013年5月23日、代用監獄制度に対する「深刻な懸念」が表明され、代用監獄制度の廃止を検討するべき」と勧告しています。
また、日本の取り調べには弁護士は同席できませんが、私もそれが当たり前と考えていましたが、世界ではそれが非常識だそうなのです。取り調べに弁護士が同席できれば脅迫も拷問も誘導尋問もできなくなります。日本の司法改革でやっと取り調べの可視化が議論されて、取り調べのビデオ撮影が一部取り入れられていますが、これも問題があります。一部撮影や編集を認めたら警察に不利な映像と録音は編集されてしまいます。取り調べの全ての録音録画が捜査の可視化の最低条件です。
そして「人質司法」と言われる長期拘留です。「森友事件」被告の籠池夫妻は300日もの長期にわたって拘留されました。5600万円の補助金不正搾取ですが、全額返金していますし、形式犯です。殺人罪などのような重大犯ではありません。それも初犯ですからどう考えても在宅起訴は当たり前です。あれだけ有名人ですから逃亡の怖れもありませし、証拠は全て検察が押さえていますので、今さら証拠隠滅の怖れもないのに、籠池氏の口封じのために逮捕拘留したのです。国策捜査そのものです。
「日本の裁判所が検察の下僕」とよく言われるのですが、それは検察と裁判所が人事交流を繰り返しているので、仲間意識が強く裁判所は検察に頭が上がらないのです。これも検察の横暴を裁判所が押さえることができない理由の1つでもあります。

犯罪を起こさなければ逮捕などされないから普通の市民は関係ないか?

「人質司法」や「代用監獄制度」など、確かに日本の司法制度は戦前のままで、北朝鮮や中国とほとんど同レベルの暴力司法と言われても仕方ないかもしれないけど、そもそも犯罪を起こさなければ警察や検察に裁判所のお世話になることもないので、「普通の市民である私には関係ない」と、みなさん思っていませんか。
それがどっこい、そうではないのです。満員電車に乗って通勤しているサラリーマンのあなたがいつ痴漢の冤罪で逮捕されるかもしれないのです。被害者の女性があなたに違いないと思って、痴漢に間違えられて逮捕されるかもしれないのです。ですから刑事犯罪も他人事ではないのです。「人質司法」や「代用監獄制度」や裁判長に誘導されて判決を出す日本の「裁判員制度」などやめて、米国のような市民だけで評決を出す「陪審員制度」へ刑事裁判は改めるべきなのです。


by nonukes | 2019-04-07 13:16 | 小坂農園 薪ストーブ物語 | Comments(0)