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小坂正則の個人ブログ

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九電は原発の負の遺産から逃れることはできない

玄海原発1・2号機廃炉で見えてきた新たな問題
小坂正則

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2月13日玄海2号の廃炉会見、九州電力の池辺和弘社長(右)

廃炉作業は莫大な経費と70年以上の長期に渡る

九州電力は玄海原発1号機は2015年に廃炉を決めましたが、玄海2号機はこれまで動かすとも廃炉にするとも決めずにズルズルと引き延ばしてきましたが、今年2月13日に九電は取締役会で正式に廃炉を決めました。これで54基あった日本の原発の24基が廃炉となることになりました。これから九州電力は玄海1、2号を30~40年かけて1機365億円、合計730億円かけて廃炉作業を行う予定ということですが、実はいくらかかるかはやって見なければ分からないのです。でも、これまでに廃炉費用の実績からある程度の試算は可能です。廃炉先進国の英国ウェールズ地方のトロースフィニッド発電所(出力23.5万キロワット、炭酸ガス冷却炉、2基)の作業現場に入った。1993年の作業開始から20年で「既に99%の放射性物質を除去した」そうですが、2026年に一旦作業を中断して放射能が少なくなるのを待って、2073年から最終処分に取りかかるそうです。総費用は現段階の試算で900億円だそうですが、実際にはやって見ないと分からないそうです。日本でも実績があります。日本原電は、東海原発(16.6万kw)の廃炉費用を850億円と見込み、2020年度までに終了させる予定ですが、長引けばそれ以上かかるのです。
東海原発の5倍以上の大きさで、しかも2機の原発を九電が果たして730億円で解体できるはずはありません。1千億円とも2千億円とも建設費くらいはかかるのではないかと言われているのです。英国の29基の原発の廃炉費用を英国政府は約9兆円だそうです。1機3千億円です。日本政府の試算では54機で3兆円だそうです。そんなに安く廃炉作業ができることはないでしょう。
しかもここから出る放射性廃棄物40万トンの内、6千トンは地下に埋設処分を行う予定なのですが、玄海原発は処分地をこれから探すそうです。高レベル廃棄物の処分地が日本中で決まらない現状で、原発から出る放射性廃棄物を受け入れる地域が果たしてあるのでしょうか。この放射性廃棄物の処分地は24基の原発の全てがこれから探す予定です。ここにも「原発のトイレのないマンション」が明らかになります。

九州電力が倒産する日はもうじき?
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上の図は九州電力の債務と資産の図です。どう見てもこの資産と債務では一般的には「債務超過」で倒産していてもおかしくはありません。福島原発事故以後、原発依存度が40%以上という九州電力は代替え燃料費用で年間2千億円もの燃料費がかかっていましたので、毎年大幅な赤字でした。川内原発が動き出した2015年8月と9月に再稼働した結果、僅かながらの黒字決算が続いているので、融資している銀行団や保険会社は倒産させてはいません。
2011年以降は毎年大幅な赤字決算だったのですが、2015年から2017年度にかけては毎年500億円程度の黒字を確保しています。ただ川内原発1、2号機と玄海原発3、4号機の再稼働のために安全対策などに9千億円以上投下したため、年間500億円くらいに黒字では債務超過を解消するには焼け石に水です。
しかも、原発には大きなリスクがつきまとっているのです。それは地震などで原発事故が起こる危険性があることと、地震によって事故にならなかったとしても、基準地震動を越える地震が襲ったり、他の原発で事故が起きたら、全国の原発は一斉に停めて安全点検や新たな対策が必要になるのです。ですから一旦止まったら再稼働まで何年もの長期にわたって安全対策に取られてしまうのです。実際に福島原発事故で、玄海原発は7年以上も止まっていたのです。その他にもリスクがあります。それは「司法リスク」です。原発運転差し止め裁判で住民側が勝ったら、判決が覆されるまで止まるのです。

新電力のシェア拡大で原発は無用の長物
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九州電力の販売電力量のグラフを見てください。毎年のように電力販売量は減っています。2007年に最高販売量を達成して以降、2011年の福島原発事故で節電が広がってこれまで10年以上も電力販売量は下がり続けているのです。このグラフは一昨年のものですが、2016年度が786億kwhでしかた、2017年度は768億kwhとまたまた下がっているのです。なぜこんなに毎年電力販売量が下がっているのでしょうか。その1つが省エネの普及です。省エネ冷蔵庫や省エネエアコンに何と言っても大きいのがLED照明の普及などがあるでしょう。それに新電力のシェアが確実に九州電力の「原発の電気はいりません」というお客さんが増えたこともあるのです。2018年5月現在で九電から新電力への乗り換えは低圧電力(一般家庭)で6.5%です。東電管内で14%。関西電力管内で13%で、全国平均では10%です。これに大口電力を含めると全国で13.5%は新電力に乗り替えているのです。

原発廃炉費用を新電力にも負担させる

地域独占の電力会社の電気料金を決める方法として「総括原価方式」が採用されてきました。2020年の「発送電分離」以降も離島など電力自由化の恩恵を受けることができない地域には残るものです。これは電力会社の資産や経費の3%を利益として電気料金を決めるという方法です。ですから資産や経費が多ければ多い程、利益が得られるという方法です。そこで、廃炉となれば資産価値はゼロになるため、経産省はまず、これまで運転されてきた原発の廃炉費用を捻出させるために2つの方法を導入しました1つが廃炉となった「資産価値ゼロの原発」を「資産価値があると見なし」てその分を電気料金算出のための資産として計算していいことにしたのです。もう1つは電力自由化となって、新電力に乗り替えたお客は電力会社の廃炉費用を払わなくなるので、そうすると原発の廃炉費用が賄われなくなることから、新電力へ乗り替えたお客にも廃炉費用を負担させることにしたのです。しかも廃炉費用だけではなく、東京電力福島原発事故の処理費用も送電線の使用料金(託送料)の中に含まれているのです。

世界中で投資家は原発から撤退している

日立が英国の原発輸出を諦めて、三菱はトルコの原発輸出を諦めたように、日本の原発メーカーの東芝は新規原発建設からは完全に足を洗いました。実は日立も新規原発建設は諦めて、廃炉事業に舵を切っているようなのです。日経新聞2018年12月12日号によると「米ゼネラル・エレクトリック(GE)と日立製作所の原子力発電合弁会社、GE日立ニュークリアエナジー(GEH)は10日、原発の廃炉事業を手掛ける米企業を買収すると発表。欧米で需要が増えている廃炉ビジネスの拡大につなげる」とありました。三菱重工も赤字部門の航空と原子力の縮小へと舵を切るのは時間の問題です。
そして日立の会長で経済連の会長でもある中西会長が正月会見で「国民が反対するものを民主国家ではやることはでいない」とか「原発の国民的な議論が必要だ」と私たち国民の大きな期待を寄せた方が、安倍首相か菅官房長官に怒られたのか知りませんが、一転して1月15日には「再稼働をどんどん進めるべきだ」と言い、原自連(代表小泉純一郎)の河合弘之事務局長が「公開議論をぜひ行いましょう」と呼びかけたら、「時期尚早ですからお断りします」と、随分腰砕けになったようです。
日経新聞2月14日号によると「足元では原発再稼働は電力各社の収益にプラスだが、長期的にみると原発のコスト競争力自体も揺らいでいる。米投資銀行ラザードは世界の新設案件を比較し、18年時点で原発のコストは石炭火力の約1.5倍と分析。欧州で普及が進む太陽光や陸上風力発電と比べると約3.5倍の高さになる。」ここまで引用(日経新聞2019/2/14)とあるように再エネ電力の普及がジワジワと真綿で首を絞められるように効いてくるのです。1兆円もの原発コストを20年で回収するなどあり得ないのです。
日本の総理大臣がバカなのでそれに付き合わされている経済界も可哀想ですが。身から出た錆です。「原発ルネッサンス」とホラを吹きまくった今井尚哉内閣総理大臣秘書官に欺されてWHを6千億円で掴まされた東芝が実質的に倒産したように、もはや世界中の資本主義国家では「原発は負の遺産」以外の何ものでもないのです。安倍政権に騙され続けている大手9電力会社は倒産の憂うべき事態に至っても致し方のないことなのでしょう。「石炭から石油」へと産業構造が変化したように「原発から再エネ」は歴史の必然性なのですから。


by nonukes | 2019-02-22 18:34 | 原発再稼働は許さない | Comments(0)