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小坂正則の個人ブログ

カテゴリ:電力自由化( 38 )

九州電力が「太陽光発電の電気買い取り」に待ったをかけた本当の理由とは

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ドイツの再エネ電力買取価格の推移(メガソーラーは安く買い取る)

九州電力が「太陽光発電の電気買い取り」に待ったをかけた本当の理由とは
小坂正則

今日はちょっと視点を変えて、この問題を別の角度(事業者と電力会社と政府)から見てみたいと思います。というのもサニックスという会社が太陽光発電の販売をやってます。以前はシロアリ駆除の会社だったのですが、いまはシロアリなどほったらかにして、太陽光発電の生産から販売までの一貫企業として九州では最大の太陽光発電企業にのし上がってきました。わずかこの2年間のことです。そしてその営業戦術は至ってシンプルです。新聞全面広告を定期的に打つだけなのです。営業マンによる無差別の個別訪問などしないのです。この会社以前は戸別訪問もしていました。シロアリの駆除のついでに太陽光発電を売っていたのです。でも、そんなことで売れる量などたかがしれていたのです。それが全面広告出したら、興味のある顧客から問い合わせの電話が殺到して、対応に応じられないという悲鳴が聞こえてきたものです。私も1年半前に電話して「説明してほしい」と問い合わせたのですが、「いつ行けるか約束はできません」という回答でした。それほどの人気が出ているのです。
それもそのはず、業界の常識を覆す価格破壊の料金を提示したからです。その結果、中国製のパネルに日本製のインバータというのが50kw未満の太陽光発電設置の常識になりました。その理由は「低圧連携が可能で費用が安い」というメリットがあるからです。工事価格が1kwあたり25~28万円ですから、2年前の半額です。だから、そんな価格で設置したら42円の売電は「儲かってしょうがない」と、小銭を稼ぎたい中小企業のおやじや小銭を持った人たちが太陽光発電に群がったのです。
こんな業界関係者も予想できないほど急激に設置価格が下がったことから、電力会社や政府はここに来て慌てだしたのです。「このままでは本当に太陽光発電の発電コストが原発のコストより下がりかねない」と。

ドイツの太陽光発電買い取り価格は15円
米国は太陽光発電も原発も発電コストは15円


ドイツは2000年から固定価格買取を行っていますが、上の図のように買い取り価格は毎年改定されています。その改定を年間4回ほど行われていましたが、現在では毎月行っているそうです。それほど設置コストが下がっているのです。そして2012年末には1000kwのメガソーラーは1kwあたり15円という価格です。現在の価格がいくらなのか探したのですが見つかりませでした。もちろんもっと下がっているはずですが、誰か知っていたら教えてください。
また、ドイツでは小規模太陽光発電と大規模太陽光発電の買い取り価格には価格差を付けています。日本もそうすべきでしょう。なぜなら、日本の大企業はグリーン減税により経費で落とせます。つまり、大企業で黒字決算になったら、法人税を取られてしまうので、その金でメガソーラーを設置すれば、法人税を払わなくて済むわけです。ですから全国の太陽光発電の82%がメガソーラーなのです。そんな法人税の節税のために設置される太陽光発電を小規模の個人や中小企業の設置と同じ価格で買い取るのは間違っています。ドイツのように価格差を作るべきです。しかも法人税を払っている大企業はわずか30%しかないのです。そんな大企業に私たちの電気料金で20年間も私たち市民がその大企業のために「固定価格買取」を支えなければならないのです。それは不合理ではないですか。ちなみに宮岡幸雄氏の著書「税金を払わない巨大企業」(文春新書)によると、昨年のソフトバンクの純利益が788億8500万円あり、納税額は500万円だったそうです。利益の0.006%なのです。太陽光発電投資で節税しているのです。おまけに固定資産税や地代の減額を設置自治体が行ってくれて初めてメガソーラーを設置しているのです。これはほんの氷山の一角です。
もうひとつの例として、ワタミというブラック企業がありますね。この会社、社員に「死ぬ気で働け」といって不当労働行為をやるのが当たり前のような社長。こんな男が自民党の参議院議員です。この会社も「環境貢献事業」とか言って、太陽光発電事業に乗り出しています。環境貢献する前に社員の労働基本権を守るのが先だぞ。こんなブラック企業などに私の電気料金から20年間もお金を取られるなんて私には納得がいきません。国民からの二重搾取です。ワタミの社員にしたら、三重搾取です。①労働者として搾取される。②法人税の節税対策で企業の義務を果たさない。③電気料金から善良な国民のお金を奪い取る。
しかも、現在の日本の買い取り価格は32円(消費税別)です。初年度は40円(税別)だったのです。その価格も20年間続くのですから、早急にドイツ並みの価格に下げるべきです。ドイツが15円なのですから。

新規の太陽光はバッテリーを設置して全量充電して、日が落ちてから売電ならOKです?

今回の九電や他の電力会社の「買い取りを一時中断する」とい決定についての反論です。
太陽光発電などは負荷変動が大きくて、原発は安定して発電が出来るという違いはあるけど、発電コストが太陽光発電と原発が同じなら、誰でも太陽光発電の方がいいと思いますよね。「ここは何としても太陽光発電の発電コストを上げなければならない」と思った電力会社と政府は「そうだ妙案が浮かんだ」と膝を打ったことでしょう。そうです。「太陽光発電には全てバッテリーをつけさせれば、これで原発が太陽光発電にまけることはない」と。
説明会で九電の社員はこのように話していました。「バッテリーや系列を一時遮断することを了解してもらえれば個別に話し合いには応じます」と。バッテリーを設置して一部を系列に繋がないというのは確かにありかなと、私も考えました。いわゆる系統へのピークカットです。つまり、50kwの太陽光なら最大で48kwhくらいの発電をします。そのとき、その10%から20%をカットしてバッテリーに退避させたら、その分の負荷変動が押さえられるので、その分を後から流せば負荷標準に少しは貢献するのかなと思ったのです。しかし、九電に問い合わせたら、「全量バッテリーに充電して、日が落ちてから系統に流してもらいます」という回答でした。
「あなた方何をふざけたことを言ってるの。それに何の意味があるの。全量充電するバッテリーがいくらすると思ってるの3000万くらいするよ。そんなのが何の意味があるの」と私が反論したら相手は無言でした。
つまり、1300万円で太陽光50kwを設置しても、それにバッテリーを2000万円以上(家庭用でも300万円ですから、その10倍なら3000万円です)の経費をかけて付帯施設を設置させるという何とも不当な要求を考えたのです。総額3300万円以上の投資が必要なら採算は絶対に合いません。ですからこのような仕組みが標準となれば日本の再エネブームは一気に沈静化する事でしょう。
しかも、そんなばかげたことを仮にやったとしたら、何が起こるか考えてみてください。昼間の一番電力消費の多い時間帯には発電ピークがなくなって、日が落ちてから夕方の電力消費の少なくなった時間帯に発電ピークが来るだけです。つまり、発電ピークを数時間遅らせるだけです。それ以外に何の意味もないのです。それよりもやるなら一部をバッテリーに入れて、それを段階的に売電させるかなど、要するにこれから導入する事業者をとりまとめて負荷変動を段階的にコントロールするネットワーク型の仕組みを考えればいいのです。それこそが国がやるべき今後の課題と責任です。も1つは関西や関東へ繋ぐ送電線を太くして流せばいいだけです。
これは太陽光発電への安倍政権によるなりふり構わない「徹底破壊攻撃」です。こんな非科学的な要求を考え出した電力会社と経産官僚のバカさかげんには失笑しか出てきませんね。

日本の電力会社が「太陽光など2.2%以上は無理」というなら20%のドイツの電力会社に来てもらおう

ドイツでは風力も太陽光発電も日本の十倍くらい設置が進んでいます。日本の再エネ電力の割合が2.2%に対してドイツは20%です。そして目標も日本が2020年に25%(この目標は民主党政権時の数値です。安倍政権は目標自体の掲げてません)に対してドイツは35%です。さらに2050年にが50%を再エネで賄うと目標を掲げているのです。そして昨年の2013年6月16日がドイツの記念すべき日となったのです。それはドイツの電力需要の61%を風力や太陽光が賄ったのです。この61%は米国やフランス・イギリス・中国や日本など経済大国の中では世界最高の再生エネの電力割合だとドイツ政府は発表していました。もちろん条件は違います。ヨーロッパは大陸ですから各国に送電線は繋がっています。しかし、ドイツでは天気予報を見ながら30分先の太陽光発電や風力の発電量を予測するそうです。そして30分先の負荷追従運転を計画するそうです。これは長年の経験や実績が20%の再エネ導入実績へと繋がったのだと思います。

太陽光の発電コストが原発よりも安くなるのを遅らせるのが目的

日本の再エネの95%が太陽光発電です。ドイツでは太陽光発電と風力が半々くらいですし、木質バイオマスは発電が一定で安定しているので負荷変動がなく、しかも電力と熱が一緒に利用できるため、エネルギー効率が80%もの再エネが順調に伸びているのです。そしてドイツを中心に世界中で再エネの発電コストは確実に下がっています。米国でも太陽光発電の発電コストは15円だそうです。また、米国では原発の発電コストも同じく15円です。つまり太陽光発電が原発の発電コストよりも安くなるのは日本でも目前なのです。日本も政府による原発への様々な優遇政策などのへのえこひいきをやめて、米国のように完全に自由競争にすれば、原発は真っ先に退場させられることは間違いないのです。だから安倍政権は何とかして電力自由化の規制改革を骨抜しようと必死なのです。しかし、原発は危険で不経済で割に合わないものだということを大半の国民には分かってきたのです。ですから安倍政権と電力会社の最後の悪あがきとして、今回の「太陽光発電は割高で役立たずだ」というキャンペーンを行ったのです。そして太陽光発電への嫌がらせで1日でも、その逆転する日を遅らせるのが目的なのです。


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「アジアスーパーグリッド」で日本の再エネも大きく変わる

多くの皆さんはこう思っているでしょう。「太陽光発電や風力は確かにクリーンでいいけど再エネだけで全ての全力を賄うのは無理だよね」と。そんなことはありません。決して再エネ100%は夢ではありません。しかも、「再エネ100%は50年先の話」でもありません。だって、再エネを30年で20%とう目標が、わずか2年で7000万kwも持ち込まれたのですから、10年もすれば100%なんか決して夢ではないのです。その解決策が「アジアスーパーグリッド構想」なのです。超高圧直流送電線を日本列島に横断させます。それで日本中の再エネ電力を相方向に自由に行き来をさせます。日本は東西に長いので太陽が照ってる時間が1時間以上の時間差があります。ですから、その時間差は負荷調整の役目をします。また全国の風力のばらつきも全てを系統につなげたら平準化するのです。そして、その高圧直流送電線は福岡と釜山を海底ケーブルで繋ぐのです。その費用はわずか600億円だそうです。孫正義さんは「わずか600億ならソフトバンクが敷設してもいい」と話してます。だって送電線利用料を取れば儲かるからです。そしてその高圧直流送電線は中国からモンゴルにも繋ぐのです。孫正義さんはモンゴルで太陽光発電と風力発電事業を計画しているのです。そして北海道からは樺太経由でロシアにも繋ぎます。ヨーロッパのようにアジアを1つの電力ネットワークで繋ぐのです。そうすればインドが昼間なら日本は夕方ですから太陽光発電の電力は世界の半分くらいを行き来できるのです。おまけに超伝導の直流送電線は送電ロスがわずかなのです。日本・韓国・中国・ロシアなどを結ぶ東アジアスーパーグリッドの費用は20兆円だそうです。劇的にコストが下がっていく再エネルを超伝導高圧直流送電線が繋がる日はそう遠くはない話でしょう。
こんな夢のある社会を私たちは1日も早く実現しなければなりません。負の歴史遺産の原発など、さっさとさよならしましょう。そのためにはお隣の国の韓国とも中国ともロシアとも仲良くしなければなりません。しかし、それは安倍政権には絶対に出来ない国際協力事業であることだけは間違いありませんが。
by nonukes | 2014-10-08 00:15 | 電力自由化 | Comments(2)

安倍政権のめざす「原発の価格保証制度」は電力自由化に値しない

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安倍政権のめざす「原発の価格保証制度」は電力自由化に値しない
小坂正則

今年の2月28日に安倍政権は「2016年から電力小売り事業参入の全面自由化を行う」という年閣議決定を行いました。これで「日本もドイツのように自由に電力会社を選ぶことができる」と多くの方が思っているかもしれません。しかし、私たちが携帯電話を自由に選べるような自由などが望めるわけでは決してないのです。
まず、基本方針として「小売りの自由化」や「電力事業への参入の自由化」は決定しましたが、それは自由化のための入り口に過ぎないのです。自由化のための最大の問題は発電と送電と配電の3事業を完全に分離して、公平で透明性のある適正な競争が行われることが保証されることが一番重要なのです。
2月に閣議決定された中身は経産省の中に設置してた「電力システム改革専門委員会」が3段階の行程で「電力自由化」を行うと決めたのです。まず、2015年に①広域系統運用の拡大はかる。そして2016年に②小売及び発電の全面自由化を行う。そして最後に2018年から20年までに③発送電分離によって送配電部門の中立性を確保する。という計画なのですが、安倍政権になってから激しい電力会社の巻き返しによって3番目の発送電分離が怪しくなって来ているのです。この発送電分離が完全に別会社にするのではなく、電力会社の子会社や系列会社として残す方向に向かっているのです。なぜなら、電力事業で一番儲かるのは発電部門ではなく、送電部門だからです。送電線を確保していれば送電線は競争がないので、安定して利益が確保できるからです。発電部門はこれから生きるか死ぬかの激しい競争に晒されるからです。ですから、送電部門は一企業が行うのではなく公共インフラとして公的に運営されるべきなのです。さて、本来は3番目に行うという発送電分離の内容が決まってから1番目の広域系統運用や2番目の電力市場化などに取りかかるべきなのですが、発送電分離を最後にしてどうして電力市場の開設などが出来るのでしょうか大変疑問です。

太陽光発電の電力を邪魔するために電力会社や国は広域運用の拡大工事をやらない

電力自由化の工程表によれば2015年には「広域系統運用の拡大をはかる」ということは電力会社間の連携送電線を太くして、自由に電力を売り買いできるようなインフラ整備を行う予定なのですが、それもまだ計画は出来ていません。特に太陽光発電などの電力固定価格買取制度をスムーズに進めるためにも連携線を太くすることを早急にやる必要があるのですが、国は全くやる気はないようなのです。というのも、9月24日に九電が「太陽光発電などの電力事業の申し込みを一時中断する」と発表しましたが、その理由に挙げたのが、「太陽光発電など変動の激しい電力が多くなると負荷変動が大きくて停電になる」というのですが、九州の電気を中国や関西の送れば、その募集の中止は必要はなくなるのです。なぜなら九州は確かに申し込みが多いのですが、中国や関西では申し込みの量が少ないから、そっちに送れば解決する問題なのです。ですから、再生可能エネルギーの電力を増やすためにも系統連携線を太くする作業は早急にやらなければならないのですが、太陽光発電の電力を拒否するために、あえてその作業を行わないのではないかと疑われるのです。

「原発は安くない」から何とかしてくれと関電社長が言いだした

「競争環境下で原子力発電をこれまで通り民間が担っていくには、予見性を持って事業に取り組める環境整備が大事。費用が確実に回収されることが大事だ。そのための官の支援を是非ともお願いしたい」。9月19日の定例記者会見で、電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は訴えた。国に求める支援策として八木会長は、「廃炉に絡む財務・会計リスク緩和措置」、「原子力燃料サイクル事業における新たな官民の役割分担」、「規制や政策の変更、電力システム改革による競争の進展といった環境変化を踏まえた措置」を挙げた。(東洋経済 2014年10月02日)
つまり、八木電事連会長は原発は高くて電力自由化の競争にはとうてい参加できないと白状したのです。
その八木会長の声にあうんの呼吸で応えるように、資源エネ庁のエネルギー部会で経産省は「原発の電力価格保証」案を出してきたのです。この案というのは電力市場で売り買いする場合、原発の最低価格を保証して、その価格よりも実際の価格が下がって売り買いされたら、その差額を補償するという考えです。これはまるで再エネの電力固定価格買取制度と同じような原発価格補償制度です。そしてその差額は誰が払うかというと、消費者から均等に徴収するというのですから、そんな制度は自由化でも電力市場取引でも何でもありません。第二の総括原価方式です。
この制度は英国ですでに行われている制度で、原発の最低価格補償が15.7円で、しかも35年間価格を補償するというのです。英国では原発100万kw1基作るのに1兆円以上かかるということからこのような方式を採用したそうです。フィンランドのオルキト原発は1基2兆円以上ということです。日本でも新規の原発を建てるためには40年間の価格補償がなければ投資出来ないということで、安倍政権は新規原発の原発建設を目論んでいるのでしょう。

既得権益を守ってきたのは自民党の族議員と官僚と経済界のトライアングル

国の規制には大きく分けて2つがあります。1つは経済的規制です。これは「地域独占」などいま最も大きな問題とされているものです。そしてもうひとつが社会的規制です。これは環境保護や健康被害への規制や労働者の権利を守るための規制などです。再エネ固定価格買取制度などは一見すると経済規制のように見えますが、これはれっきとした社会的規制です。化石エネルギーによる二酸化炭素の排出によって生じる地球温暖化防止のための制度なのです。
日本のこれまでの経済政策は各省庁の官僚が取ってきた護送船団方式といって、各産産業界の既得権益を守るための利益を調整して来たのです。そのために各省庁内ににガス村や電力村や道路族村など各産業分野と官僚と政治家のトライアングルが出来上がって、それらが時には対立したり談合たりして日本社会に様々な経済規制を作って彼らの既得権益を守ってきたのです。そのための財源としてガソリン税や電源開発特別税などの特定財源を原資に自民党の族議員が全国に高速道路や原発を作り続けてきたのです。
その政策は70年代の高度経済成長までは大きな問題も出ることなく進めることが出来ました。なぜなら日本社会全体のパイが大きくなれたからです。しかし、80年代後半からバブルがはじけて経済成長が止まった後は、これまで経済規制分野が日本社会の経済成長や新たな産業の誕生を阻害する要因として大きな社会問題となって来たのです。
その経済規制を壊したいい例が通信事業の自由化でした。そしていま、電力自由化が20年前からヨーロッパを中心に世界中で進められてきたのです。電力自由化は日本の経済成長やエネルギーの効率化を阻害する最も大きな規制改革です。ただ、TPPなどの貿易自由化は改革の側面はあるのかもしれませんが、それによって国民皆保険や医療格差や食の安全などが脅かされるという社会的な問題が生じる可能性があるのです。それに比べて電力自由化には「再エネ導入」など以外には社会的規制の必要性がない「電力会社の既得権益」なのです。ただし、自民党タカ派の連中や外務省の中には「原発や核燃料サイクルから撤退することは核武装の可能性を捨て去ることになり、防衛上の外交カードを失うことになる」という人にとっては大きな問題なのでしょうが。

電力自由化のためには「発送電分離」と再生可能エネルギーを進めよう

OECD加盟国内で発送電分離が行われていない国はメキシコと日本だけです。そんな北朝鮮のような独裁的な電力供給体制を維持している既存の電力会社を優先した「地域独占」と「総括原価方式」は一刻も早くやめなければなりません。そのために一番重要な改革は「発送電完全分離」した上での電力自由化です。そして政府が電力会社の経営に口出ししない経営の自由化が必要なのです。発送電分離の自民党案はすでに「電力会社の送電子会社化」が取りざたされています。送電会社が発電会社の子会社であれば利益の付け替えなどが行われて、送電線使用料を高めに設定して新規事業者に高い送電線使用料を科せられる可能性が高いからなのです。資本関係のない送電会社が必要な理由はここにあるのです。
そして送電会社は公共インフラとして発電会社が平等に競争して利用すればいいのです。その時点で既存の電力会社が原発を持っていたとしても、国からの一切の保護をなくして競争するのであれば原発を動かせばいいでしょう。もちろん社会的規制を通った原発でなければなりませんので、文字通り「世界一厳しくて安全な原発」でなければなりません。当然のこととして「コアキャッチャー」や「二重の格納容器」など世界中で最先端の最も厳しい安全基準をクリアーしてもらってのことです。

既存の電力会社には電力自由化競争に参入する資格などない

そして「電力自由化」後に新たに国民へのツケを押しつけられる問題が浮上するでしょう。それは核のゴミの維持管理費用負担です。六ヶ所村再処理工場の建設費が12兆円以上で、これから全ての核のゴミを再処理したら19兆円も必要になると言われています。もちろん再処理は早晩中止されるでしょうし、核のゴミの処分場である「もんじゅ」も電力自由化とともに消えるでしょう。しかし、既存の電力会社はそれら核のゴミの費用は電気料金に1kwhあたり1円の上乗せをして消費者から取っていたのです。それらの費用は新規の発電会社から取ることが出来なくなりますから、既存の電力会社は自分の電気料金からそれらの費用を出さなければならないので、売り上げが半分になれば1kwあたり2円の電気料金の負担金になります。つまり、自由化して電気の売り上げが減れば減るだけ、コストは大幅に増すのです。自由化すればいよいよ既存の電力会社はやっていけなくなるのです。もっと端的に言えば、既存の電力会社が全て倒産してしまったら、いま残っている核廃棄物の管理費用は結局は国民が負担するしかないのです。つまり、国民が後で電力会社の尻拭いをさせられるのであれば、早く原発をやめて出来るだけ核のゴミをこれ以上増やさないことが最善の策なのです。その分だけ国民の負担は減るのですから。だから、彼らには自由化の前にこれらのマイナスの資産をきちんと精算してもらわなければ本当は自由化競争に参入する資格はないのです。原発の廃炉費用だって積み立てが足りないのですから、これらの費用も積み上げたら1社で数兆円以上の核のゴミという負債を抱えていて、これからそのゴミを永遠に管理し続けるという義務を果たさなければならないのです。そんな電力会社が自由競争の中で本当に生き残れると思いますか。
実際には完全自由化して地域独占と総括原価方式をやめたら既存の電力会社は原発のない沖縄電力以外はバタバタと倒産してしまうでしょう。つまり、今の電力会社というのは国の保護の元で国民の税金を当てにして生きてきたし、これからも生きていこうとしている「寄生虫」のような国営企業以外の何ものでもないのです。(続く)



by nonukes | 2014-10-05 15:37 | 電力自由化 | Comments(0)

「固定買取制度一時中断」問題を考える第Ⅲ 「買い取り中断は国の陰謀だ」

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上の図が資源エネ庁が出してきた脅しの資料です

「固定買取制度一時中断」問題を考える第Ⅲ 「買い取り中断は国の陰謀だ」
小坂正則

九州電力が太陽光発電などの買い取りを中断するという発表をした9月24日以後、太陽光発電のメーカーや事業者の間で大混乱を引き起こしてます。私のところにもいろんな業者や設置者から、今後の見通しについての問い合わせや相談が相次いできました。
私は昨日のブログに書いたように「なぜ3月の時点でこの事態は予想できたはずなのに今頃発表するのか」という質問に対して、九電は「これまで検討してきた結果、今日まで時間がかかった」という回答や「申し込みの件数や量は日々集計していない」という回答でした。私にはそんなバカなことはないだろうと発言を疑ったのですが、どうもその真意が初めて分かったのです。

いま買い取り中断を発表する理由は「川内原発再稼働」のため

固定買取が決まってわずか2年間の今年6月時点で新たに運転を開始した設備は約1,109.3万キロワットです。しかも全体の申し込み量は約7000万キロワットという規模になってきたのですが、国はこの間、太陽光発電を導入した場合に対策を全く取ってきませんでした。つまりこの事態は電気屋なら誰でも予想できた事態なのになぜ今まで対策を取らなかったのかをまず考えたのです。それは安倍政権は端から再生可能エネルギーなど早く打ちきりたかったのです。そのためにパニックになる事態を待っていたのでしょう。
九電の説明では7月までに系統連携した太陽光発電が340万kwで、これから申し込みがあった分は840万kwだと言っていました。その内訳は言ってませんが、新聞報道などによると全国の申し込みの82%が大型メガソーラーだとうことです。つまり、142万kwしか個人や中小零細業者の分はないのです。これらの小型の太陽光発電は優先して接続しても系統への負荷はほとんどないのです。また、そもそも大型メガソーラーは売電のためには負荷変動が大きいので、そのための施設の設置は義務づけられていたはずです。だからこの発表はありもしない事実を大げさに言っているだけなのではないでしょうか。連携に支障があれば系統しなくてもいいという付帯条文があるのですから、何の問題もないのです。大型メガソーラーにバッテリーやバックアップ発電を義務づければ済む問題なのです。
しかも九電はきっと3月に時点で国へ相談していたはずです。「このままならパンクします」と。しかし、資源エネ庁は「まだ待つように」と指示していたのだと思います。こんな失態を九電が自ら招いたとは考えられないからです。そして「川内原発再稼働」のベストタイミングで「買い取り一時中断」というビッグニュースと一緒に「再生可能エネルギーは皆さんの高負担を招きます。今皆さんが負担している225円がやがて935円まで跳ね上がるのですよ。そんな負担皆さん出来ますか」という脅しです。まあ、脅しといってもこれは事実なのですが、そして「そんな高負担よりも原発を動かした方が安くていいです」よね。というキャンペーンに使いたかったのです。
もうひとつの理由は、太陽光発電がどんどん増えていって、設置価格がどんどん下がっていけば当然買い取り価格も下がりますが、どんどん普及して設置価格が下がってしまって15円などになってしまったら、いよいよ原発の生き残りが不可能になってしまうことを恐れたのです。ですから、九州本州連携線の増強などの議論は一切せずに、とにかく「太陽光発電は高すぎる」と「負荷変動が大きすぎて系統にはもうこれ以上入れられない」というキャンペーンをやって来たのです。これは「川内原発再稼働」キャンペーン以外の何ものでもありません。ドイツでは14%も系統連携出来ていて、日本はわずか2.2%が現状です。もちろんヨーロッパは地つながりで他国へ電力を売ることが出来るので全く同じではないにしてもせめて5%まではこれまでも導入できると言ってきたはずです。今止める根拠はありません。

太陽光発電を入れるための闘いをこれから事業者自らがやっていくことが出来る

昨日の九電の説明会の中で「負荷変動を調整するために一定量を上回ったら系統から切り離す装置やバッテリーを設置する計画のある事業者様には別途連携の話し合いを進めます」という説明がありました。その話を逆手にとって、九電を攻める戦略を立てたのです。確かにある系統線の中で需要がない場所では系統連携してもらえません。そのためには発電が終わった後に一定量を流すことは安定供給の意味からは蓄電池があればないよりもあった方がいいでしょう。それなら、それを付ければ九電の太陽光発電排除は防げるのです。今後はバッテリー業界のめざましい発展が考えられます。特に小規模事業者はそんなに高負担にならずにバッテリーを設置できるからです。そのための事業化を私は私の関連する事業者と組んでさっそく進める予定です。もちろんすぐには出来ませんが、これから九電と話し合いをしてどれくらいの規模のバッテリーを設置すればいいのかを聞いて、そこから針の穴を広げて行きたいと思っていいるのです。
もちろん本来は、九電は小規模の事業者や地元の業者を優先して入れれば、まだまだ相当量は受け入れられるのです。その証拠に、設置規模に対して発電量はだいたい半分からよくて2/3です。現在の申し込み全てを入れても1260万kwの半分なら600万kwだし、多くても800万kwでしかありません。その一部は連携線を通して関電などに送ることが出来ますので、全部入れても問題はほとんどないのです。問題は「原発再稼働」だけなのです。私たちは国(資源エネ庁)の企みにだまされないようにしましょう。1日も早く九電は系統連携を開始して、事業者の倒産や失業者が出ないように早急に対策と、いつから開始するなどという見通しを出すべきです。このままでは本当に九州の設置業者は倒産してしまします。多くのパネルを在庫として抱えている企業は、その支払いから従業員の給料も支払えなくなってしまうからです。

再度提案します

①九州電力は超大型メガソーラーなどを除いて、小規模事業者で地元の業者の申請順に系統連携を1日も早く再開するべきだ。
②国は地元優先のルールを作って、早く窓口を再開するために電力会社への指導を行え。早期対応しなければ九州の中小零細事業者の倒産が相次ぐ可能性がある。
③太陽光発電の買い取り価格が高すぎるので国民負担の軽減のために価格の早急な引き下げを行え。そして太陽光発電以外の風力やバイオマス発電や地熱の窓口を閉じる何の根拠もないのだから、早急にこれらの窓口を再開しろ
④北本線(北海道と本州を繋ぐ系統線)や九本線(九州と本州線)の増強工事を早急に行えば、何の問題もなく全ての系統へ連携できる。ただし、超大型メガソーラーは負荷平準の義務化を明文化しろ。それでなければ、一般消費者が大企業の利益を保証するような仕組みは国民は納得できない。



「太陽光バブル」崩壊 九電・再生エネ契約中断

2014年10月01日 佐賀新聞


九州電力が25日から再生可能エネルギーの新規買い取り契約を突然中断し、佐賀県内で太陽光発電設備を設置する事業者に混乱が広がっている。顧客からの契約取り消しが相次ぎ、接続契約前に着工している物件は資金回収のめどが立たない。業界では「このままでは倒産する会社も出る」と悲観的な見方も出始めた。
九電の発表後、九州一円で太陽光発電の販売・施工を手掛けるSUNシステム(小城市三日月町)には、契約取り消しの申し出が数十件寄せられた。買い取り中断の対象になるのは、顧客との直接契約分だけで数十件。設備販売や住宅メーカーなどからの施工依頼分も含めると、数百件に達する恐れがある。
パネル数千枚分の大型発電設備の設置計画もあり、「仮にすべての商談が白紙になれば、億単位の売り上げが泡と消える」と同社。中断期間がいつまで続くか分からず、「新規の契約は見込めない。マーケット自体が止まる」と先行きに不安を募らせる。

太陽光発電設備は、九電に接続契約を申し込んだ後、融資のめどが立った時点で着工するケースが多いという。九電との契約が済んだ物件の工事で数カ月は食いつなげるが、その後はつぎ込んだ資金が回収できなくなる恐れがある。県内には数百件の関係事業所があり、ある事業者は「年末にかけて倒産が続出する」と予測する。
影響は、住宅メーカーにも広がっている。固定価格買い取り制度(FIT)導入後、各社は九電への売電収入による住宅購入費の負担低減をアピール。全量買い取りの対象となる出力10キロワット以上の太陽光パネル付き住宅を精力的に手掛け、消費税増税後も需要を開拓してきた。
県内や筑後地域で太陽光発電住宅を販売するクローバーホーム(福岡県筑後市)は、買い取りが中断される住宅、分譲地を50件程度抱え、「新規ならまだしも、既に契約を申し込んだ分まで保留にするのはあり得ない。顧客にどう説明すればいいのか」と憤る。
九電への批判が高まる中、10月1日には事業者向けの説明会が佐賀市で開かれる。先の事業者は「送変電施設の容量に余裕がある地域が県内にもある。一斉に買い取りを中断するのは無謀」と指摘しながらも、「太陽光のバブルがはじけた」と諦めにも似た思いを口にした。

=識者談話= 「ベストミックス」構築急げ

国の「電力システム改革に関する制度設計ワーキンググループ」委員の松村敏弘・東京大社会科学研究所教授
接続申し込みが急増したのは、国が定めた買い取り価格が高すぎたからだ。買い取り費用は賦課金として電気料金に上乗せされる。価格の値下げ圧力が強まるのは当然で、今回の駆け込み申請につながった。
ただ、事業者の中には、とりあえず枠だけでも確保しようと申請したところもあるはずだ。九電はこうした歩留まりを早急に検証して受け入れ可能量を見極め、対応を考えるべきだ。
「原発再稼働を見据えた買い取り拒否」との声もあるが、申し込み分は再稼働しなくても受け入れられる量をはるかに超えており、そうした指摘は当てはまらない。直近の解決策としては買い取り可能な上限を設けることなどが考えられるが、発電が安定している地熱やバイオマスなど再生エネルギーにおけるベストミックス(最適な組み合わせ)の早期構築が欠かせない。
出力だけで需給調整している現状にも課題がある。現行の電力システムは逼迫(ひっぱく)時に価格を上げたり、余った場合に下げる発想がない。価格で需給調整ができれば、蓄電池の必要量も減る。電力自由化は、こうした大手独占の硬直したシステムに風穴を開け、柔軟な対応を後押しするはずだ。


再生可能エネ"固定価格買取制度"は曲がり角? 家計負担は月935円に増加の試算
御木本千春  [2014/10/01]

経済産業省は30日、総資源エネルギー調査会第4回新エネルギー小委員会を開催し、「電力会社の再生可能エネルギー導入に向けた対応と課題」に関する会議を行った。
現在の再生可能エネルギーの導入状況を見ると、2012年7月の固定価格買取制度開始後、2014年6月時点で新たに運転を開始した設備は約1,109.3万キロワットとなり、同制度開始前と比べて約5割増加した。制度開始後に認定された容量のうち、運転開始済量の割合は約15%。制度開始後の導入量、認定量ともに太陽光が9割以上を占めていた。
2014年6月末までの認定量が全て運転開始した場合の発電電力量(電源構成比の約2割)について、賦課金負担の試算を行ったところ、賦課金単価は3.12円/キロワット時、単年度総額は2兆7,018億円となった。現在の賦課金は0.75円/キロワット時、単年度総額は6,500億円であるため、この4倍以上に増加することになる。また、一般家庭の1カ月当たりの負担額は現在の225円から935円に上昇すると見込んでいる。
併せて、同会議では北海道電力、東北電力、四国電力、九州電力の4社が、買い取りの申し込みが急増し、発電電力が需要を超える計算となるほか、送電線の容量を上回るおそれがあるなどとして、10月1日から新規契約を一時中断することを発表。また、沖縄電力も新規契約を制限していることを明らかにした。
by nonukes | 2014-10-02 13:17 | 電力自由化 | Comments(0)

九州電力による固定買取制度の受付一時中断の説明会に参加して「今こそエネルギー政策の国民的議論を」


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九州電力による固定買取制度の受付一時中断の説明会に参加して「今こそエネルギー政策の国民的議論を」
小坂正則

本日10時30分から12時過ぎまで九州電力大分支店で開催された「固定買取制度一時中断」の説明会に参加してきました。まず、驚いたことに、会場に九電大分支店の2階大ホールに入れないほどの人で溢れていました。ざっと見て250人はいたでしょう。後から後から参加者が来て、結局最終的にはロビーで聞いている方などを含めると500人が参加したとニュースは伝えていました。
説明はマスコミやHPに流している資料の説明などで30分を費やして、11時ころから質問を受けてました。最初に発言した方は私の知り合いの方で、太陽光発電事業に昨年から手広くやっていた方です。「先行投資した資金の回収が不可能になるではないか」という、深刻な質問でした。多くの方が「いつ再開するのか。先行者を優先してくれるのか」といった質問が相次ぎました。中には「この説明会は我々にとっては抗議集会なのだ」と気勢を上げる方もいましたが、中には冷静に「この事業で飯を食っている方がたくさんいることは九電も分かっているでしょう。それが全部ストップするということは電車でいえば全線ストップするということと同じなんです。一部運転を止めるというなら、被害は小さいかもしれないが、このような荒療治は企業の倒産などが相次ぐ事態になる」という批判には大変説得力のある発言でした。

この事態を予測できたはずがこんなに大きな問題になるまで放っておいた責任は大きい

さて、私がした質問は「1点は3月に7万件の申し込みがあったといいますが、それから今日までどれだけの申し込みがあったのですか。次に何で今日まで中断するという決定を延ばしてきたのですか。少なくとも3月時点で、一時中断を決めて、そこで説明会を行えば、4月から今日までの方は被害がなかったのではないですか。」
「もう1つは毎日営業所に上がってくる申し込みの申請書の数と規模を本社で集計していなかったのですか。集計作業は毎日やっていなかったのですか。それとも1週間に1度の集計だったのですか。1カ月に一度の集計だったのですか」と聞いたのです。回答として「4月から7月までに2万件の申し込みがありました。営業所へ上がった申し込みの集計は特段やっていませんでした。必要に応じてやってました」というようなニュアンスの回答でした。
「そんないい加減な作業を本社はやっていたのですか。そんなことをやってるから今日のような取り返しの付かないようなハードランディングになってしまうのではないですか。契約をして土地を賃貸した方や土地を購入した方もいるでしょう。損害賠償問題になりますよ」と、私はいいました。

今後九電や国はどう対応すべきなのか。解決策を考える

九電がぐずぐずしていたから、今日のような大きな問題になったのですが、今回の問題を私は2つに分けて考えたいと思います。1つは今までに申し込んでいる方の処遇をどうするかという問題です。そしてもう1つは再生可能エネルギーを今後どうやって効果的に広めていくかという問題です。
今日来ていた方々は死活問題の方もいるでしょうし、会社が倒産する方もいるかもしれません。その問題も大きいのですが、まず、前回私が書いたように、地元の太陽光発電の系統連携を優先して、小さな施設と地元優先で受付を再開することが解決策です。3月に7万件の申し込みということですが、その95%以上が小規模の個人事業者や中小企業の申し込みだと思います。それを再開すれば工務店などの企業倒産も防げるでしょう。10万キロを超えるような超大型の施設はバッテリーなどを設置して負荷平準を自らの資金で行えばいいのです。
次に今後どうするかという問題の方が重大です。
九電の資料によると九州は全国の申し込み量は272万kwで、全国の20%を占めているそうです。しかし、四国は68万kwで、わずか5%です。次いで中国は30万kwで11%です。関西は12万kwでわずか12%です。このばらつきがいかに大きいかが分かと思います。関西電力が12万kwということは関西電力には系統の余裕がいっぱいあるということなのです。東電は37万kwです。全体の14%です。なぜ関西や東京が少ないかといえば、地価が高いため適地が少ないからでしょう。九州は地価が安くて、過疎地が多いし、温暖なので太陽光発電に適しているからです。この問題は各電力会社間の連携線を増強すれば済む問題なのです。
また、それらの増強するお金を誰が負担するのかという問題も残っています。これを電力会社や国がやればいいというかもしれませんが、国がやるということは税金ですし、電力会社は電力自由化が目前に迫っているのにそんな投資はしません。そのルールをどう作るかという課題が1番の問題です。
そして最大の問題は国がどこまで再生可能エネルギーを増やすのかという目標値を示していないことが一番の問題です。「全体で再成可能エネルギーの電力20%をめざすのか」それとも「原発を中心にしていくからこれ以上は太陽光発電なんかやめるのか」という議論を国民的にする必要があるのです。ただ、13年度で全体のわずか2.2%しか占めていないのです。

今こそ国民的なエネルギー政策の議論を巻き起こそう

現在の再エネ料金は国民1戸当たり225円だそうです。最初は150円といわれていたのですが、このまま全量の再エネを電力会社が購入すれば毎月1000円弱を各家庭が負担しなければならなくなるといわれているのです。それは大きな問題です。私たち一般消費者が大企業の利益を20年間負担し続けるというような制度は、もってのほかです。
法人税を値下げしてもらって、内部留保金が336兆円もあって、おまけに法人税を払っている大手企業が、実は3割しかなくて大半の大手企業が法人税を払っていないのに、濡れ手に粟の利益を20年間も保証してやることはありません。
早急にFITの価格の見直しと、この制度に大企業のメガソーラーを排除するということも含めて検討すべきです。だって米国では、太陽光発電の1kwhの発電コストが15円を切っているそうなのです。ですから、FITの制度でなくても、もうすぐ、市場価格で売電できるようになうのです。あと、2~3年もすればそんな時代が来るでしょう。メガソーラーの電力を一般消費者に向けて販売すれば十分成り立つ時代がくるのです。ただ、再生可能エネルギーは優先的に系統に流すことが出来るという優先政策は必要ですが。
このFITという制度をどうするのかという、いわば「日本のエネルギー政策の行く末を決める重要が議論」を資源エネルギー庁のわずか5人の専門委員という、実は企業の代理人や電力会社に近い学者たちが密室で決めることを任せるのではなく、オープンにして市民の意見を聞くようにパブリックコメントや国会審議などを通じて、国民の大半が納得ゆくような落としどころをみつけることを私は求めます。


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再生エネ買い取り なぜ中断 政府、計画性なく認定
2014年10月1日東京新聞

 東京電力や関西電力、九州電力に続いて、北海道、東北、四国、沖縄の4電力も太陽光発電など再生可能エネルギーの受け入れ手続きを中断する。2012年に施行された再生可能エネルギー特措法は、最大限の普及を目指して電力会社に全量の受け入れを義務付けているのに、なぜ中断するのか。背景を探った。 (吉田通夫)


 Q せっかく拡大してきた再生エネの受け入れをなぜ中断するの。


 A 太陽光や風力は人の力ではコントロールしにくくて、余ったから発電しないようにする、という急な操作は難しい。季節や時間帯によって発電量が拡大するケースが想定され、電力各社は申し込まれた発電をすべて受け入れると昼間の最大の電力が、管内の需要を一時的に上回る恐れがあると説明している。


 需要を上回る電力が電線に流れると、家電や工場の機械が故障したり、あるいは送電設備が故障して大規模な停電を起こす可能性があるという。


 Q でも、法律で全量の買い取りが義務付けられているはずでしょ。


 A 例外規定があって「電気の円滑な供給の確保に支障が生じるおそれがあるとき」は断ってもいいとされる。各社はこれを断る理由にしている。


 Q なぜ、こんなことになったの。


 A 政府の計画性のなさが大きな要因だ。


 例えば九州など一部の地域で一時的に電気が余って不安定になるなら、受け入れ余力のある別の電力会社に引き取ってもらえばいい。そのために九州や四国と本州を結ぶ送電網を増強するなど広域で電力をやりとりする方策が考えられる。余った電気を蓄電池にためて、足りないときに使えるようにする手もある。いまは蓄電池が高すぎるとしてなかなか実用化されていないが、普及してたくさん作られるようになれば安くなるとの予想もある。


 Q いろいろ手はあると。


 A 買い取り制度を始めた民主党政権も、引き継いだ自民党政権も計画はどんどん認定してきた一方で、再生エネの受け入れ態勢の整備は怠ってきた。特に安倍政権は原発推進を優先させる姿勢が目立つ。


 Q どうすればいい。


 A 再生可能エネルギーの発電は電力会社の言うように瞬間的に大きくなる時もあるが、太陽光なら夜は発電できないなどで年間発電量は小さい。震災前は電力全体の1%程度しかなく、震災後の一三年度も2・2%だけ。国際比較でも低い水準だ。


 経産省は有識者会議で再生エネの受け入れ策を再検討する。受け入れ策が行き詰まったとして、原発再稼働を急ぐ理由にするのではなく、どうすれば再生エネを拡大できるか官民合わせて知恵を出し有効な策を早急に打ち出すべきだろう。



再生エネ買い取り中断 北海道・東北・四国電も

2014年9月30日 東京新聞夕刊

 北海道電力、四国電力、東北電力の三社は三十日、太陽光を中心とする再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度に基づく契約の手続きを十月一日から中断すると表明した。「申し込みの急増により、需要を超える恐れがあるため」と説明している。既に九州電力は二十五日から受け付けを中断。東京電力、関西電力も一部地域で制限するなど、再生エネルギーの受け入れを抑制する動きが広がっており、経済産業省は十月中に専門部会を設置し、改善策を話し合う。
 北海道、東北、四国の三電力では、特に太陽光を中心に買い取り価格が下がることが決まっていた直前の三月に駆け込みの申し込みが急増。「一時的に管内の電力需要を上回る可能性がある」としている。買い取った電力をすべて接続した場合、送電網の容量を超え、安定供給に支障が出る恐れがあると判断した。
 中断する期間は今後の対応策が固まるまでの「数カ月」と説明。住宅用の太陽光発電は出力が小さいため、影響は少ないと判断し、買い取りを続ける。
 太陽光や風力による発電は昼夜や天候によって発電量が大きく変わる。発電量が一時的に需要を上回る可能性がある一方、雨天や風のない日には急激に減る。このため電力が余った場合は、ほかの電力会社に流したり、蓄電池に充電して夜間に送電したりするなど、電力を安定させるための調整が必要になる。しかし、送電網の整備や蓄電池の開発などの対応が遅れている。
 こうした事態を受け、経産省は専門家委員会の下に部会を設けて当面の受け入れ量の上限を検証し、将来の受け入れを増やすための方策を検討する。部会は学識者五人程度でつくり、年内に三、四回会合を開く。また、再生エネルギーの固定価格買い取り制度は「電気料金の上昇につながる」との指摘もあるため、専門家委員会は、買い取り制度の仕組み全体を見直す方針。
by nonukes | 2014-10-01 17:13 | 電力自由化 | Comments(0)

電力自由化とアジアスーパーグリッド

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「日本の科学者」5月号へ掲載した原稿をここに載せます。この5月号は昨年の11月に大分で開催された「自然エネルギーアイランド九州の未来」という講演会の内容を再録したものです。私の話以上に他の方のお話が非常に興味ある内容でした。もし、必要な方は送料込みで600円でお譲りします。売価は税込み600円です。私までお知らせください。なお、この原稿は最終稿ではありません。最終稿をどこに保存したか分からなくなってしまいました。みなさまのご批判をお待ちしています。
090-1348-0373( 小坂)
E-mail:nonukes@able.ocn.ne.jp

電力自由化とアジアスーパーグリッド
NPO法人 九州・自然エネルギー推進ネットワーク
代表 小坂正則
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私が再生可能エネルギーに取り組んだ理由

私は一介の再生可能エネルギーNPOの代表です。再生可能エネルギーの学術的な研究者ではありません。ですから、詳細な技術的可能性についてとか、電力を巡る経済的、法律的な問題に詳しいわけではありません。私はチェルノブイリ原発事故から反原発運動を始めた一市民です。私が「原発反対」を訴えると、私の周りの者から「原発を止めたら電気はどうするのか」という批判をよく聞きました。そこで、私は再生可能エネルギーを自分たちで作って「こうすれば原発に頼らなくても電気などのエネルギーを作ることが出来る」という代替案を示すために2001年に再生可能エネルギーNPOを立ち上げてたのです。
原発の代替エネルギーを作らなければ原発を止めることは出来ません。地球温暖化などの問題から化石燃料を出来るだけ使わずに原発を止めるには再生可能エネルギーを増やすしかありません。そのためには電力自由化によって自由にクリーンな電気を売り買いできる環境を日本に実現させなければならないと考えたのです。そこで「発送電分離」を導入して日本の電力市場に適正な競争と公平な送電線利用を実現させることが必用だと思うようになりました。
新しい技術というものは発明者は偉大ですが、それを経済的に成り立たせる仕組みを考え出すことも偉大なことだと私は思います。ですから、私は国の電力供給の仕組みを変えるという政治的な取り組みと平行して、私の住んでいる大分に再生可能エネルギーを普及させるとう個別実験的な取り組みについても挑戦して来ました。

電気の産直運動を始める

まず、私たちが最初に取り組んだことは太陽光発電を公共施設に設置することです。そしてその電気を県や市などの公共施設に販売することです。これを私は「電気の産直運動」と呼んでいます。電気事業法によって、電力は電力事業者にしか販売は出来ません。そこをどうくぐり抜けるかが1つの課題です。非営利NPOは太陽光発電の設置に当たっては約半額の補助金が国(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構:NEDO)から出ていました。その補助金を使って公共施設に太陽光発電を設置し、電気は無償で施設に供給して、その代わり電気代相当額の交付金をNPOに県や市が交付するという方法をを考えました。もちろん違法ではありませんが、全く問題がないかどうかは司法の判断を受けてはいませんので、私には分かりません。
現在までに公共施設や民間施設など、合わせて10機約138kw の太陽光発電を設置しました。
再生可能エネルギーといえば、みなさんすぐ太陽光発電や風力発電などを思い描くでしょうが、電気だけがエネルギーではありません。太陽熱温水器や薪やメタンガスなども立派な再生可能エネルギーです。ですから、私たちは木質バイオマスの熱利用も進めたいと思ってペレットストーブの販売や薪ストーブ設置業者と協力して、安価な薪の供給などにも取り組んでいます。日本の国土の67%は森林です。日本は世界3位の森林国です。しかも国内林業が疲弊していて、林業の再生に大きく貢献する木質バイオマスのエネルギー利用は日本に取っては最も重要な取り組むべき課題だと私は思っています。木質バイオマスの普及は大分などの過疎地域の市町村の過疎化対策や新規産業の育成や雇用の創出に大きな効果があることから、バイオマス熱利用は、私のライフワークです。しかし今回は紙面の都合上、残念ですがこの話は割愛させていただきます。

孫正義さんのアジアスーパーグリッド構想

私が今回取り上げる「アジアスーパーグリッド構想」はソフトバンクの孫正義さんが立ち上げた「自然エネルギー財団」の構想を元にして書いているのですが、孫さんの構想と違うところはロシアの天然ガスを利用した天然ガス発電を日本の電力会社がロシアで実施して、その電気を日本へ送電するというところです。
それではスーパーグリッドとは何なのか。基本的なことからお話しします。私たちの家庭に来ている電気は交流です。それを電気製品で使う時は、わざわざ直流に直して使っています。自動車のバッテリーは一般的には12ボルトの直流です。それなら一般家庭も自動車のように直流の電気を流せば交流を直流に変換するアダプターなど不要で交流直流変換ロスなど生まないので効率的だと思うのですがそうは行かないのです。
エジソンは1878年に直流電流を使った電灯会社をアメリカに設立しました。しかし、直流電流は電圧をあげたり下げたりすることが困難だったため電力の利用が集中する時間帯には電圧降下によって電灯が暗くなるなどの問題に直面したそうです。そこでエジソンの部下だったステラはエジソンの元を離れて交流電流の電灯会社を始めたそうで、師弟による直流交流戦争が引き起こされたのです。結果はエジソンの直流は長距離送電に不向きだとしてステラが勝利しました。その後、世界中に交流方式が広がって現在に至っているのです。しかし、100年以上の月日が経って、エジソンの昔年の思いが現在に蘇って来たのかもしれません。直流送電の時代が来ようとしているのです。
スーパーグリッドとは、高圧直流電流を送電線に流すことにです。将来的には液体水素マイナス193度で電線を冷却して送電すれば原理的に送電ロスはゼロに限りなく近くなると言われています。ですから直流は送電ロスが交流に比べて遙かに少ないことなどが最大のメリットです。高圧直流電流は1000キロメートル送電してロスは3%と言われています。高圧交流は約10%のロスがあるそうです。
また、直流電流は変圧が難しいという問題も現在では克服されているようです。
この高圧直流送電線を日本列島に縦断させます。そして福岡から韓国へ海底ケーブルでつなぎ、韓国から中国を経由してモンゴルまで延ばす計画が孫さんのスーパーグリッド構想です。そしてモンゴルの砂漠に太陽光発電と風力発電を設置して、そこで出来た電気を日本に送る計画です。この構想の実現には莫大な資金や各国の協力が必要ですが孫氏は2012年5月、当時の韓国大統領・李明博氏(イミョンバク)を訪ね、この日韓海底ケーブル敷設計画への協力を求めたところ、内諾を得たということです。また、モンゴル政府との間ではすでにこの構想に対して全面的に孫氏に協力するという協定も結んでいるそうですし、中国の習主席にもソフトバンクの幹部が直接会って、構想への支持を得ているそうです。ただしこれは国家間の緊張関係が取れていない今日の段階では実現は不可能でしょうが、事業自体はビジネスとして互いの国家の利益になる事業ですから、国家間の軋轢を越えて実現できる可能性は大きいし、私はこの構想は決して夢物語ではないと思っています。 また、孫正義氏のご両親は中国系韓国人だということもこの一大プロジェクトを成功させる大きな力となることでしょう。現在の安倍政権が続く限りはこの構想も実現しにくいかもしれませんが、安倍政権が終われば、一気に実現に向かうかもしれません。
また、この事業だけでも数兆円の建設費用が必要ですが、一般的な設備投資としても決してできない事業ではありません。なぜなら、電力の相互利用はこれから発展する中国にとってはますます必要なエネルギー安全保障だからです。短期的には日本の電力需要を満たすためにモンゴルやロシアから電力供給を受けるのですが、将来的には莫大な電力需要が生まれる中国へ日本の再エネ電気を供給することが出来るようになるのです。

電力危機を救うためにはロシアから天然ガス発電の電力を日本へ

日本は現在、全ての原発が止まっています。そのために天然ガスや石炭などによる代替発電が行われています。それらのコストが政府は年間4兆円と言っていますが、どうもそれは怪しくて、実際は2~3兆円くらいだと言われています。省エネで原発事故前に比べて15%消費が削減されているそうですし、4兆円の内訳は石油換算だそうです。実際は石炭や天然ガス発電のコストは随分低いのですが、それでも確実に国内のお金が海外に出ていることに違いはありません。電力会社の天然ガス輸入コストが1MMBTU(天然ガス25立方メートル)あたり、約20ドルです。米国は2.5~4ドルでEUは12ドル。国際的な価格に比べたら2倍以上の価格で日本の電力会社は購入しているのです。いわゆるスポット価格で購入するので、「足下を見られて高く買わされている」といいます。
アメリカのシェールガスの発見によってロシアの天然ガスの価格も随分下がっているということですが、シェールガスが日本に入ってくるまでには、現地で液化装置の建設などのための時間がかかります。実際に日本に入ってくるのは2年後と言われています。米国現地でのシェールガス価格が1MMBTUあたり約2.5~4ドルとしても液化コストと日本までの船賃などの費用が6ドルといわれていますので、それを加えればそんな極端に安くはなりません。また、米国からの輸入出来る量も限られていますから天然ガス全体のコスト削減効果は数パーセントともいわれています。
天然ガスを熱利用するためには日本までガス本体を運ぶ必要がありますから、液化して船で運ばなければなりませんが、電力利用の場合なら、現地で発電して送電線で電気を送るだけですから輸送コストは格段に安くなります。
ロシアの天然ガス発電の産業用売電価格は1kwhあたり約3円と言われています。この間の円安で少しは高くなっているかもしれませんが、随分安い価格です。しかもロシアの発電所は旧式のタービンを使っていますので、日本の最新鋭のガスコンバインド発電所を建設すれば、もっと安く発電できるでしょう。これまで普通の火力発電所のエネルギー効率は40~50%弱でした。ところが現在のガスコンバインド発電用タービンの材料が改善されて高温に耐えるタービンの開発で1500度の温度に耐えるタービンでは59%のエネルギー効率を実現しています。1600度の熱に耐えるタービンの実用化が出来たことにより、2015年には62%効率の発電所が日本では運転を開始します。このように技術革新によって、日本の天然ガス発電所の発電コストはどんどん安くなっているのです。
北海道出身の元国会議員、鈴木宗男氏がロシア北海道天然ガスパイプラインの設置を提唱していますが、私は、それよりも送電線で日本に電気だけを送る方がコスト的にもやすくつくのではないかと考えます。高圧直流送電線を使ったコストから、1kwあたり1~2円として、5円からそれ以下の発電コストで原発の代替え発電が可能になると思います。

国内に列島横断スーパーグリッド建設の意義

北海道は風が強くて日本で最も風力発電の適地が多いといわれていますが、北海道内での電力需要が小さいため、風力発電の設置規模は29万kwで、東北電力(55万kw)や九州電力(41万kw)などに抜かれて東京電力(35.7万kw)にさえ抜かれています。(2011年度現在)なぜ北海道が風力発電の適地が多いにも関わらず設置が進んでいないのかは、他の電力会社へ送る送電線が脆弱なことなどが原因の1つです。北海道電力と本州間には通称「北本連系」(きたほんれんけい)という60万kwの海底ケーブルで結ばれているだけなので、この細い送電線では北海道の電力を本州へ十分に送ることが出来ないのです。
日本の風力発電は2010年全国ので230万kwですが、世界一の中国は4229万kwで、次いで米国の4000万kwです。ドイツが2700万kwと日本の10倍以上です。日本の風力発電はFITの導入にも関わらず伸び悩んでいます。その主な理由は電力会社がこれまで風力など深夜でも電気を生み出す発電方法は原発と競合するために様々な嫌がらせを行ってきたのです。負荷変動が大きい風力に対して負荷変動を低減させるためにバッテリーの設置を求めたり、解列枠(電力会社が電気が不要な時には風力の系統を切ってしまうなど)の設定など世界に例を見ないほどの設備や条件を求めたことが何よりの証拠です。
また電力会社は地域独占ですから自分の電力供給地域だけで電気を賄おうとしてきた閉鎖性が各電力会社間の送電線を脆弱なままにして来た理由でしょう。ですから電力会社による地域独占の閉鎖性を取っ払う意味でも「列島横断スーパーグリッド」は効果があるのです。
また、日本は東と西では電気の周波数が異なるために北海道から大阪へ電気を送ろうとすれば、周波数を50ヘルツから60ヘルツ変換しなければなりませんのが、直流送電線のスーパーグリッドによって、北海道の電気を九州まで送ることも難なく可能になり、おまけに周波数の問題は解決されるのです。交流への変換はスーパーグリッドの末端で行えばいいのですから、そこで各地の周波数に変換するだけで解決します。

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by nonukes | 2014-04-16 23:45 | 電力自由化 | Comments(0)

ソフトバンクが電力小売りに参入「2016年から一般家庭向け販売も」

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ソフトバンクが電力小売りに参入「2016年から一般家庭向け販売も」
小坂正則

1月31日の朝日新聞などによると「ソフトバンクグループが企業向けの電力小売り事業に参入する。再生可能エネルギーで発電した電気を販売し、2016年には家庭向けに販売することを目指す」という。「太陽光発電などの再生エネルギー事業に参入している。グループの子会社「SBエナジー」が発電した電力を、子会社の「SBパワー」が販売する」という。またロイターによれば、「SBエナジーは2015年度末までに28.9万キロワットの太陽光発電所や風力発電所の建設を計画している」という。
現制度では、電力の販売先は大口に限られているため、当面は企業向けになる見通しだが、家庭向けの販売も視野に入れている。2016年の電力小売り全面自由化を前に、いち早く小売り事業を手がけることにしたようだ。
通信サービスと電力をセットで契約すると割引する料金プランも視野に入れているという。ソフトバンクは「電力小売りが全面自由化されれば家庭向けの販売も視野に入れる」(広報)としている。同社の携帯・固定通信の契約数は5000万件規模で、通信サービスとの連携も検討の対象になる。
経済産業省では電力会社による市場の独占体制を改革するため、電気事業法改正案をとりまとめ、今国会に提出、2016年をめどに発電と送配電を分離させ、小売の全面自由化を目指していく。これが実現すれば電力会社は発電事業者と送電事業者、小売事業者とに区分けされ、消費者が自由に電力会社を選択できるようになる。

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これで初めて日本にも電力自由化競争が始まる

「ガスエネルギー新聞」2月3日によると、福岡を拠点に天然ガスを供給している西部ガスが160万kwの天然ガス発電所を建設して発電事業に乗り出すことを検討するそうです。そしてゆくゆくは「電力販売」も検討するという。電力事業というのは、長い「間地域独占」と「総括原価法式」によって「原発ムラ」の利権構造に守られていましたが、311以前から指摘されていた規制緩和や、311の福島原発事故で、電力会社がこれまで行ってきた犯罪的な電力事業構造が明らかになり、原発が一番高い発電方法だったことなど、様々な「電力のウソ」が暴露されて来た結果でしょう。これまでのウソに塗り固められた既存の「9電力会社体制」に風穴を開けるためにソフトバンクの孫正義氏らの企業家による下克上の電力戦争がいよいよ始まろうとしているのです。
平等に競争できるためには「発送電分離」が偏って既存の電力会社に有利な方法にならないように「完全資本分離」を求めてこれからは私たちは世論喚起と国会対策などを行っていかなければなりません。なによりも国民の関心と監視が必要です。
by nonukes | 2014-02-04 13:56 | 電力自由化 | Comments(0)

スーパーグリッドで孫正義は日本の電力会社と原発ムラをぶっ潰せるか

スーパーグリッドで日本の電力会社と原発ムラをぶっ潰せるか
小坂正則
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アジアスーパーグリッド構想とは

今朝の朝日新聞を開いて、私はビックリした。明日と明後日の講演の結論としてお話しする予定に「アジアスーパーグリッド構想」が3面の全面に掲載されていたからだ。孫さんは「孫正義のエネルギー革命」にも書いているそうだが、この構想は以前からささやかれていた。しかし、現実味がなかったのが、孫氏が語ると一気に現実感が漂ってくる。朝日新聞を見ていない方のために簡単にその記事の要旨を説明しよう。

孫正義の構想で、日本には電気が足りないと騒いでいるがモンゴルの砂漠には強い風が吹いていて風力発電の適地だし、砂漠だから太陽光発電も可能だろう。ここに1000万キロワットの風量発電を設置すれば原発10基から7基分の電気を賄える。それを中国、韓国を通って、日本海を海底ケーブルで通して九州に送り込み日本で販売するという構想だ。そのためには高圧直流送電線と海底ケーブルを設置しなければならない。モンゴルで発電する風力発電のコストは約3円、それを日本に運ぶための経費が約7円、合計10円は原発のコストよりも安い。だから電力販売競争には十分太刀打ちできるという。また、2012年には韓国の大統領にも会って、その構想への協力をお願いしたそうだし、中国の当時の国家副で今は主席・習近平氏にもソフトバンクの社長が会って協力を要請したという。また、既にソフトバンクとモンゴルの合弁会社はモンゴルの砂漠の使用契約も結んだという。極めつけが最後の言葉だった。

孫氏は国内の電力会社の買収も考えていた!

もうひとつ、日本の電力会社の「壁」も立ちはだかる。日本の送電網は、地域ごとに電力会社が独占しており、海外から電力を持ってきても、国内で自由に送ることはできない。
地域を独占する電力会社の「壁」を突き崩そうと、孫は一時、国内の電力会社の買収を考えた、と周囲は明かす。ただ、反原発を掲げる孫が買収すれば、原発を廃炉にするしかない。そうなれば、巨額損失で経営は成り立たない。上場企業のソフトバンクにとって、株主が許さない話だった。
でも、孫はいう。「原発の代替手段はいくつもある。廃炉の道筋も決まってないのに、再稼働をどんどん進めるのは反対だ」
創業から約30年で、ソフトバンクを売上高3・4兆円(12年度)のグループに育てた。米携帯電話3位スプリント・ネクステルも買収した。米経済誌フォーブスの13年版の「日本の富豪50人」によれば、個人資産は91億ドル(約9100億円)。日本人3位だ。(朝日新聞からの引用)

規制緩和の騎士孫正義は日本の電力会社と原発ムラをぶっ潰せるか

これほどのショッキングな話しはない。私もソフトバンクが電力事業に乗り出すという計画は当然ながら認識していた。彼は無駄な所に投資などしない。「311以後、彼は脱原発を進めなければならないと誓った」と、話していた。しかし、私たちのようなただ怒りや悲しみだけでないだろうと私は思っていた。彼は良い、悪いは別として「新エネルギーによる電力事業は儲かる」という感が働いたのだろう。だからポント10億円だったか、100億円だったかのポケットマネーを出して「自然エネルギー財団」を立ち上げたのだ。私たちがいくら夢を語っても夢は夢のママ。孫氏が夢を語れば現実になる。
私は今朝の新聞を読んで、孫氏の構想に鳥肌が立ってきた。原発ムラを解体して、孫氏が利益を上げるのは原発ムラの人びとに利益がいくよりはよりマシだし、ソフトバンクの資金では各国の協力さえもらえば資金はいくらでも調達できるだろ。最後は国内の電力自由化と発送電分離の法的整備が最大のネックになる。私たちも孫氏の構想に協力できるところは協力しよう。でなければ、これまで経産省の電力自由化論者の官僚もことごとくに失脚してきたからだ。誰が裏で糸を引いていたかは分からないが、壮大な力がこの国を動かしていることだけは確かなようだから。その力は原発ムラよりももっと強大な力のようだ。今朝の朝日の孫氏の「経済新話」はこれからも連載が続くというから楽しみだ。
by nonukes | 2013-09-11 12:28 | 電力自由化 | Comments(0)

「発送電分離なら原発持てない」八木電事連会長発言?

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発送電分離なら「原発持てない」 八木電事連会長 朝日新聞2月16日

電力会社から送配電部門を切り離す「発送電分離」について、電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は15日の記者会見で、「今の状況では(原発は)多分持てない」と述べた。送配電網が切り離されれば売り上げが減り、原発の維持費用などを出せなくなると心配しているからだ。
経済産業省の専門委員会は8日、「5~7年後をめどに分離を進める」との報告書をまとめた。電力会社の子会社に送配電部門を移す「法的分離」(別会社方式)を想定している。
これに対し、八木氏は「低廉で安定的に電気を送れるのか検証されていない」「お客さまの利益につながるシステム改革にはならない」と反対した。

電力会社は送配電部門の利益がなくなれば、原発のように投資や維持費にお金がかかる施設を維持していくのが厳しくなる。さらに原発が止まったままでは火力発電の燃料費もかさむ。
 八木氏は「電気をできるだけ低廉で安定して送るために原子力はうまく活用すべきだ」と述べ、原発再稼働も求めた。

ちょっと待って!原発の発電コストは一番安かったのではないの?小坂正則

こんな国民をバカにした発言を私たちは黙って見過ごすわけにはいかない!これまで40年以上もの間、「発電コストが一番安いから原発を建設する」と、電力会社も国も、そう説明してきたのじゃなかったの。しかし、電力事業に適正な競争を導入しようという段になったら、手のひらを返したように「ちょっと待って!発送電分離などされたら原発を持ってる電力会社は潰れてしまう」など、今さら言わないでよ。

これまで、私は九電株主総会で何度も質問しました「各電源構成ごとの発電単価を教えてほしい」と。すると彼らは「発電単価は企業秘密ですので具体的な数値は公表できません」と。「しかし、資源エネ庁による平均的なコストから説明しますと原発は一番割安い発電方法です」と、私たち株主をバカにした説明をしていたのです。私は株主です。だから株主は自分の会社が本当に利益を出すためにどれだけのコストがかかっているのかを知る権利があるのです。原発ではなくほかの発電方法にした方がもっと儲かるのではないかという株主の正当な疑問にキチンと会社は答える義務があるにもかかわらず、彼らは私ら株主をバカにした説明に終始していたのです。確かに彼らは原発の方が儲かってはいました。それというのも、総括原価方式で、原発にかかるコストを利益率に組み込むことができるからです。しかし、この方法は反社会的な企業の行う裏技です。決して行ってはならないコンプライアンス違反の行為です。原発のコストはちっとも安くないのに、私たち消費者は電力地域独占という制度に縛られて高い買い物を電力会社に無理矢理させられていたのです。そんな地域独占を解体しようという議論が始まったら、彼らは急に「ちょっと待って」と言い出したのです。

OECD加盟34カ国で発送電分離してない国はメキシコと日本だけ

私たちの国の一般家庭の電力についていえば北朝鮮と同じです。なぜなら電気を自由に売り買いする権利が一切ないのですから。OECD加盟34カ国の中で発送電分離してなくて電力会社が送電部門を独占的に占有している国はメキシコと日本だけなのです。しかし、昨年の8月に行われた田中優さんの講演会で、「来年にはメキシコは発送電分離が予定されているので、とうとう日本だけになるのです」と話していました。この裏付けはまだ取れてはいませんが。やはり私たちの国は北朝鮮とあまり変わりないのではないでしょうか。だって、八木電事連会長のこんな馬鹿げた発言をマスコミも私たちも平気で許しているのですから。北朝鮮の金さんにひれ伏すしか生きられない北の人びととどこが違うのでしょうか。北の人びとに1日でも早く自由が来ることを願いながら、私たちの国でも不自由な現状を改めようではありませんか。
私は自民党員や自民党支持者よりも、いっそうの自由主義者ですから、電力を自由に買えない社会など我慢できませんし、許せません。一刻も早く電力の完全自由化と発送電分離(所有分離)を求めます。しかし、影に隠れて会社の悪事を支えている労働者や労働組合も最低ですね。郵便局を2年前に退職した私は連合組合員を辞められてホッとしています。だって、連合という原発推進の組織に入って、その組織を私の組合費が支えていたのですから。以下の新聞記事をお読み下さい。

大手電力や電力関連各社の労組が参加する電力総連も14日、電力制度改革案が「現場の実態が踏まえられないまま検討が進められた」と批判する文書をまとめた。国の責任の明確化などを求めていくという。(産経新聞2月16日)
by nonukes | 2013-04-18 03:01 | 電力自由化 | Comments(0)

1キロワットも発電しないで最高益を出す発電会社を支える電力会社

腐れ切った電力会社 その3
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電気を1キロワットも発電しないのに電力会社に支えられて最高益を出す発電会社がある

日本原子力発電(株)という会社がある。この会社は多くの国民にはあまり馴染みのない会社だ。なぜなら、原発を3基(東海第二原発、敦賀原発1号、2号)を持っているが、電力卸会社なので作った電気は全て電力会社へ売り、直接消費者に電気を販売したりはしないからだ。しかし、最近この会社がにわかにマスコミを賑やかすことが多くなった。
なぜかというと、2011年3月の東日本大震災と東電福島第1原発の事故以後、この会社の原発は3基ともすべて止まっていて、原発が稼動していないにもかかわらず、原電の12年3月期の連結売上高は1460億円あったというのだ。なぜ電気を1キロワットも発電してないのに1460億円もの売り上げがあったのか皆さん不思議に思うかもしれない。しかし、各電力会社は発電量に関わりなく原発の維持管理費用を原電に支払う契約になっているのだ。実質倒産している東電が最高の464億円、関電が340億円、中部電力が307億円、北陸電力が213億円、東北電力が116億円と原電へ支払っている。この会社は沖縄電力を除く、原発を持っている9電力会社を中心とした原子力ムラの互助会組織なのだ。
いくら互助会組織といえども、各電力会社は原発が止まっていて、火力発電の燃料増で赤字が続いているというのに、自分たちの仲間とはいっても、関係ない一企業にそんなに湯水のようにお金を出し続けられるものだと皆さんは不思議に思うかもしれない。
しかし、ここにも「腐れ切った電力会社」のヤミの仕組みがある。

電力会社が原電へ支払った1460億円は全て電気料金

何のことはない。東電などが原電へ支払った維持管理費用はちゃっかり電気料金に紛れ込ませて、私たち国民がセッセと電気料金という形で支払っているのだ。中小零細企業はこの4月から値上げされた電気料金のために自主廃業を余儀なくされた会社もあるというのに、「総括原価方式」という電気料金算出のトリックによって、このような企業へ湯水のように国民のなけなしのお金が使われているのだ。
1キロワットも発電していない、この会社の社員1,376人の平均年収637万円という高額。そして、東海第二原発は建設から35年経った老朽原発で、おまけに東海村の村長は廃炉を要求している。敦賀原発1号機は43年といますぐ廃炉の原発。敦賀2号機は建設から26年と新しい原発だが、活断層が真下を走っていて、これも原子力規制委員会は日本で最初の活断層による廃炉が決定されそうな原発だといわれている。つまり、日本原電は八方ふさがりの状態なのだ。だからエコにミストの間では、日本原電は倒産の可能性が大きいと噂されている。だから、倒産したら最後は電力会社が丸ごと面倒を見ることになる。この会社が債務超過に陥ったら、その保証だけではとどまらず、廃炉費用も各電力会社によって費用負担を分け合うことになる。しかし、その費用とは結局電気料金という形で私たち消費者が支払うことになるのだ。こんな会社、サッサと精算した方が出費がそれだけ少なく済むのではないだろうか。それにしても、倒産間近の企業の社員の平均年収が637万円とは…。
このようなおかしなことが堂々と繰り広げられているのは、全てが地域独占で利益は原価に積み上げられる「総括原価方式」という電力会社の既得権益を守る仕組みがあからだ。
by nonukes | 2013-04-04 23:44 | 電力自由化 | Comments(0)

発送電分離で電力業界に自由競争を導入しよう

腐れ切った電力会社 その2
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電力改革、閣議決定 発送電分離、骨抜きも毎日新聞 2013年04月03日 東京朝刊

 ◇業界・自民に慎重論
 政府は2日、電力制度の改革方針を閣議決定した。大手電力会社の送配電部門を別会社にする「発送電分離」や、家庭など小口利用者向け電力供給の全面自由化などの抜本改革に踏み切る。実現すれば、大手電力が地域ごとに小口の電力供給を独占する体制が崩れ、競争が活発化して電気料金が下がるなどの効果も期待される。ただ、電力業界や自民党には慎重論も根強い。消費者本位の電力制度を実現できるのか、改革の推進力が問われる。

 「消費者にとって選択の幅が広がる。最終的には、支払う電気料金の低下につながる」。茂木敏充(もてぎとしみつ)経済産業相は2日の記者会見で、電力改革の効果を力説。安倍晋三首相も2日の日本経済再生本部で、「改革方針の内容を速やかに実行に移し、遺漏なく実施すること」と指示を出した。

 今回の改革は、大手以外の発電会社が増える環境を整え、競争を起こして電力会社の経営効率化や料金値下げなどを誘発する狙いがある。首相は、電力小売りの全面自由化や、電力大手の送配電部門を別会社にする発送電分離を打ち出すことで、改革姿勢をアピールして政権浮揚を図るとともに、経済活性化につなげたい考えだ。

 とりわけ発送電分離は、大手が抵抗してきた改革の本丸だ。

 新たに発電事業に参入する企業(新電力)は、顧客に送電する設備を持たない。このため大手電力の送配電網を借りて送電しているが、「送電網などを借りる料金(託送料)の根拠が不透明で、割高だ」「送電容量が不足しているなどの理由で十分に使えない」などの不満が根強い。発送電一貫体制は新規参入を阻む障害とみなされてきた。送配電部門を別会社にすれば、新電力も公平に使えるようになり、経産省幹部は「競争の障壁がなくなる」と指摘する。

 しかし、改革がスムーズに進む保証はない。「絶対に容認できない」「大手電力が値上げに追われ、文句を言えないうちにやろうとするのが見え見えだ」。3月18日の自民党経済産業部会では、発送電分離への反論が噴出した。政府原案は関連法案提出を「15年」と明記していたが、「15年提出を目指す」という努力目標への後退を余儀なくされた。その後の党総務会でも、原発再稼働への最大限の努力や、東京電力の経営安定化など4項目の条件順守を求める念の入れようだった。

発送電分離の雲行きは不透明になってきた小坂正則

民主党政権ではまがりなりにも「発送電分離」は2015年に法案提出と決められていたのだが、自民党は閣議決定で「2015年に法案提出をめざす」と、トーンダウンしている。菅官房長官は「めざすは実施するという意味」と記者会見では説明しているが、はたしてそうだろうか。自民党の原発推進議員と電力会社の激しい巻き返しに遭って、「発送電分離法案」が骨抜きにされてしまう可能性が非常に高い。なぜなら、電力会社は送電部門で利益を得ているので「発送電分離をされたら原発などやってられない」と、早くも関西電力社長、悪名高き電事連会長は発言している。

原発は一番安い発電方法ではなかったの?

2月15日の記者会見で電事連の八木会長は「今の状況では(原発は)多分持てない」と述べた。送配電網が切り離されれば売り上げが減り、原発の維持費用などを出せなくなると心配している。電力会社は送配電部門の利益がなくなれば、原発のように投資や維持費にお金がかかる施設を維持していくのが厳しくなる。さらに原発が止まったままでは火力発電の燃料費もかさむ。(朝日新聞2月16日)
ちょっと待ってよ。これまで原発は火力や水力よりも安くて、1kwhあたりわずか5円から6円の発電コストだと説明していたのに、なぜ、発送電分離したら原発はやってられないの。これまでいってた「原発は安い」は真っ赤なウソだと自白したの?今さら自白されたからといって、はいそうですかと、私たち消費者はもう騙されませんよ。さんざんこれまで騙されてきた私たちも、これだけコケにされたのではちょっとは気づきますよ。

発送電分離で電力業界に自由競争を導入しよう

電力会社が地域独占で企業同士の競争がないという、これまでの日本の常識が間違っていたことが311福島原発事故で証明された。独占事業にあぐらをかいていた電力会社の安全対策とは①国民へ原発安全広告やキャンペーンを行うことと、②読売、産経、日経などの御用マスコミなどを中心にマスコミ広告を定期的に打つことと、③御用学者へお金を流すことと、④原発推進議員を応援することが、安全対策の中身の全てだった。アメリカのNRC(原子力規制委員会)は原子炉へのテロ対策や航空機が原子炉へ激突した場合のリスク管理や全電源喪失に対する訓練など想定外の事故対策も求めていたことが、311以後分かってきた。日本では規制委員会もなかったのだから何をはいわんやではあるが。
原発ムラを中心になれ合いで行われてきた電力業界に、自由主義社会では当たり前の「競争原理」を導入することが、今回の「発送電分離」と「電力自由化」の目的なのだ。
電力業界に適正な競争と新規参入で開かれた電力事業にすることで電力事業の発展の可能性が非常に大きい。自然エネルギーやスマートグリッドや電気自動車の普及や省エネ技術の導入など、これから日本の企業が世界に打って出る技術開発やニュービジネスの絶好のチャンスが電気事業には眠っているのだ。
私たちは自民党を中心とした反動勢力や電力会社の抵抗を阻止して、2015年には法案提出と送電会社を子会社化する分離ではなく、完全に送電会社と発電会社を所有分離して別会社にする分離を求めていこう。送電会社を電力会社の子会社にすれば、やはり、親会社の顔色をうかがいながら新規参入の発電会社や電力会社へ差別的な対応を取る可能性があるからだ。完全に別会社にしなければEUや米国などのような「電力自由化」にはならない。
by nonukes | 2013-04-03 11:34 | 電力自由化 | Comments(0)

  小坂正則