2025年 07月 15日
つゆくさ通信187号発行しました
地球が沸騰する異常気象下、行われる参院選
脱原発と温暖化対策優先の候補者に投票を
小坂正則
無党派層は選挙を棄権してほしい石破首相
7月に入る前に梅雨が終わり、6月というのに35度超えの猛暑日が大分でも起きています。昨年も猛暑で米の生産量が落ちたそうですが、今年も米や夏野菜などの被害が心配です。こんな異常気象は地球温暖化の影響だとしか考えられません。
そんな猛暑の中で7月20日に参院選の投開票が実施されます。しかも3連休の中日にです。どう考えても投票率は下がるでしょう。そんな消極的な自公政権に対して、野党はばら撒きを訴えるポピュリズム政党ばかりで、野党共闘はできていません。ただ極右の保守党も参政党も「消費減税」だけは野党完全一致どころか、公明党も一部自民党の候補者も消費減税を訴えています。それを言わなければ勝てないからでしょう。
また今回の参院選の特徴として、維新も国民民主も参政党も多数の野党が改憲派ですし、原発推進派です。そして大半の政党がガソリン減税を訴えていますし、圧倒的多数が原発推進派で、「防衛予算削減」や脱原発と温暖化対策を訴えているのは共産党や社民党にれいわ新選組だけです。
選挙の争点が消費減税か給付金だけでいいの
参院選は①物価高対策②社会保障③少子化と教育④防衛⑤移民問題などが争点のようですが、各政党はバナナのたたき売りのように、我が党は消費税ゼロだとか給付金2万円だとか言って、ポピュリズムのばら撒き合戦です。米国のトランプ関税にどう立ち向かうのかや、日本が独立国としてどう進べきなのかという民主主義政治の根幹の議論がすっぽり抜け落ちています。
私は「脱原発と温暖化対策に移民政策は、社会保障やインフレ対策や防衛問題にも深く関わっていて、この国の根幹に関わる問題」と思っています。
日本は失われた30年と言われるように経済成長も実質賃金もほとんど上がっていません。その原因は、「アベノミクス」の失敗にあるのです。安倍晋三と黒田日銀総裁による異次元の金融緩和で、金利をマイナスかゼロにして赤字国債をバンバン発行して、円安誘導でデフレ脱却を目指しました。そして吉本興業など安倍友に基金として税金をばら撒いた結果、赤字国債が世界最大の1,129兆円にも膨らんだのです。円安でトヨタなど大企業の内部留保が600兆円も溜まり、大企業やその社員の賃金は上がっても、年金生活者や非正規労働者やシングルマザーなどとの貧富の格差は広がり、多くの国民は困窮生活から抜け出せないのです。
安倍亡き後に就任した植田日銀総裁は、インフレ脱却のために金利を上げたいのですが上げられません。金利を上げたら今度は満期になった国債の買い替え国債の金利も上がるので1,129兆円の国債の金利支払いが膨らんでギリシャのような財政破綻が待っているだけです。だから未だに日本の金利は世界最低です。1ドルが70円や100円だったころは円の価値が髙かったのですが、現在の円は1ドルが145円ですから、当時に比べて輸入物価は3割以上のインフレなのです。
化石燃料支出額30兆円を再エネで半減へ
2024年度の化石燃料の輸入額は未定だそうですが、2022年の30兆円から考えたら、円安で30兆円越は間違いないでしょう。しかも化石燃料は二酸化炭素の発生源です。これを半減させれば15兆円以上のお金が国内消費に回せます。仮に赤字国債で再エネに投資しても、化石燃料が減れば必ず収支は黒字になります。これをグリーンニューディールと言って、唯一の赤字国債発行の根拠です。政府は2040年には化石燃料は半減、2050年にはゼロを日本政府は目指すのですが、それを前倒しで国内の再エネに投資して、風力や太陽光やバイオマス発電や電気自動車や蓄電池開発などに積極的に投資して電力の再エネ化を目指すべきなのです。
日本は少子化と過疎化で若者は東京など首都圏に出て行っても、田舎には仕事がないから帰って来ません。再エネ産業は地域分散型が向いています。それなら田舎にも仕事が増えます。
日本の食糧需給率はカロリーベースで38%ですが、肥料や飼料、種子などを考慮に入れると、10%台にまで低下します。そんな食糧を海外に依存している国で防衛省や農水省は10%の食糧需給率で中国と戦争する気ですか。台湾は中国の領土ですから台湾へ中国軍が攻めても、内政干渉になるので、日本の自衛隊が手を出せば国際法違反です。自衛隊の出撃命令をトランプが出しても無視すべきです。
しかし、周辺が海に囲まれた日本が自国を防衛するなら、まず食糧を自国で賄うべきだし、エネルギーも再エネで100%賄うべきです。
農営型太陽光発電で農業畜産に付加価値を
田圃や畑には太陽光発電は設置できません。(農水省が頑張って阻止しました)私も緑の山々を車で走っていて、突然、太陽光で覆われてしまった山の風景を見たら残念でなりません。特に観光地の周辺ではそう感じます。
それに比べて「農営型太陽光発電」(ソーラーシェアリング)は農地に隙間を作って太陽光パネルを敷き詰めます。半分敷き詰めたパネルの隙間から光が当たって、野菜などの生育が可能です。農業と太陽光発電が共存する仕組みです。メリットは農業だけでは収益が上がらないところに売電による収益がプラスされて農業や畜産に付加価値が付くのです。これは地方自治体などが積極的に支援すべきです。そこで就農者が増えれば雇用が生まれ、子どもも生まれます。
太陽光も風力もバイオマスも地域密着型に
政府の再エネ普及政策が大規模なメガソーラーの設置や大企業による大型バイオマス発電などを許可するから、日本中の山が太陽光に覆われたり、大型のバイオマス発電の原料をベトナムの材木やフィリピンのヤシガラを買って来るという中で、資源の奪い合いが始まり、原料が高騰して発電所の閉鎖が続出しています。環境負荷が小さくて地方に雇用を生むためにも、小・中規模で地産地消型バイオマス発電などによる再エネ普及を原則にすべきなのです。
これはドイツを見習えばいいのです。地元の企業や組合で設置した太陽光発電や風力発電の電気は都会の企業の作った電気より高く買うなら、地域の住民が組合を作って再エネ電力事業を立ち上げようというインセンティブが生まれるのです。
原発優先から再エネ優先へ
日本の経産省と電力会社による「原子力ムラ」の既得権益を守るために、福島原発事故が起きて、原子力の発電コストが一番高いにも関わらずなんとか原発推進したくて、「脱炭素化には原子力が有効だ」というプロパガンダで国民を騙しています。その先頭に立って「原発は推進」を煽っているのが連合芳野会長率いる、電力、鉄鋼、、自動車労組などです。そして国民民主の党首玉木雄一郎などです。
もちろん一番悪いのは原発に抱きつき詐欺の電事連です。そして経産省は「ベースロード電源は原発しかない」と言い、2番目が負荷調整するバイオマスと天然ガスで3番目が再エネです。EUは違います。EUは1番優先するのが再エネ電力です。もちろん再エネ電力は負荷変動が大きいので、再エネ電力が余れば止めますが、止めた分の電気代はEUが責任を持って返してくれます。
日本の電力供給の仕組みはEUと真逆です。原発の再稼働がどんどん強行されるので、太陽光や風力の電力は春や秋には半分以上が余ってしまい、停止されたままで、何の補償もありません。だから日本では再エネ普及が頭打ちです。日本もEUのように「再エネ電力を最優先にすべき」なのです。そうすれば再エネ電力がもっと増えて脱炭素化も進み、その金は国内消費に回りGDPが増えるのです。
日本は通貨発行権あるから財政破綻しない
山本太郎氏率いるれいわ新選組は「日本は通貨発行権があるから赤字国債を出しても財政破綻しない」といいますが、果たして日本は破綻しないのでしょうか。「国の借金は国民の資産」とかも言っていますが、日本の赤字国債の外国人保有率が20%台だそうです。国債の全てを日銀や銀行が保有してはいません。外国人が保有する国債が売りに出れば暴落する可能性があります。また政府はNISAや新NISAとか言って、「貯蓄から投資へ」と国民を煽っていますが、日本株式の3割は外国人が保有しているのです。日本政府が赤字国債の償還につまずいてしまえば、円が暴落して、外国人による日本株の投げ売りで株価も暴落する危険性があるのです。
ただその反論として「日本の2024年度の国際収支における経常収支は30兆3771億円の黒字」だそうです。ですから今すぐにギリシャのような財政破綻は起きないかもしれませんが、このまま日本政府が国民へ無節操に金をばら撒きを続けると、いつかは必ず財政破綻するでしょう。
「2025年4月の物価指数は生鮮食品を除く総合で、前年同月比3.5%上昇しました」とあります。積極財政主義のリフレ派やMMT(現代貨幣理論)の学者は赤字国債は無制限に出すものではないと言います。インフレが2%を超えたら赤字国債の発行はしないという理論だそうですが、日本の消費者物価はとっくに2%を超えているんじゃないでしょうか。山本太郎さんは「赤字国債で国民に10万円をばら撒いてもいいんだ」と言うのはもうやめた方がいいんじゃないでしょうか。
日本政府は難民・移民を受け入れて
民政策に反対を掲げる政党が多数です。国粋主義の極右、保守党や参政党は当たり前ですが、れいわ新選組もその1つです。れいわ新選組は「移民によって日本の低賃金が支えられているから移民制度は反対」だそうです。国民民主は「外国人への過度な優遇を見直す」と言って反対のようです。私はこの「移民政策反対」には断固反対です。
日本の90年代の不況時に小泉内閣によって派遣法ができて、低賃金といつでも首切りができる派遣社員という名の非正規労働者の若者を大量に生み出したのです。現在の若者の40%が非正規雇用という現状を作ったのは自民党と財界です。
それこそが低賃金と所得格差を生み出した原因です。移民がいるから低賃金なわけではありません。日本の若者は3K(きつい、汚い、危険)職場には、賃金が高くても行きません。4K(きつい、汚い、危険、給与が安い)職場を支えているのは外国人労働者です。
日本は1981年に難民条約を批准し、1982年1月1日より難民受け入れ国となりました。これまでに日本が受け入れた難民の数は、認定された人が僅か190人。補完的保護対象者として認定された人が1,616人。難民と認定されなかったものの人道上の配慮で在留を認められた人が335人、合計で2,141人です。僅かな人しか受けいれていません。
難民とは政治的に不当な弾圧などを受けて自国に残れば殺される可能性があるなどの人です。そして、移民も経済難民の一種です。日本政府は難民をわずかしか受け入れないので、移民はなお受けいれない考えが蔓延しています。
日本で働く外国人労働者数は過去最高の230万人です。移民として日本に滞在する方々の大半は留学生と技能実習生です。留学生は卒業したら大半は自国に帰ります。技能実習生は最長5年です。だから若い労働力の底辺労働者です。彼らは米国やEUのように永住する移民ではありません。(政府が永住権をほとんど認めません)日本政府は東南アジアの若者を奴隷労働のように労働搾取する、非人道的な国家です。
私はイスラエルによるパレスチナ人の殺害を逃れて難民になる人や中東を追われた人々を何百万人も受け入れるドイツのように、日本政府も100万人単位で受け入れるべきだと思います。そして全ての移民に、結婚も子を産むことも認めて、永住したい人は永住してもらうべきです。それこそが財源が不要な日本の少子化対策です。
「子ども家庭庁」は2025年度の予算総額は、7兆3,270億円。前年度は6兆2,207億円で2年合計13兆5千億円を注ぎ込んでも効果ゼロです。いえ、子ども手当など、少子化対策予算を注ぎ込んでも毎年子どもの生まれる数は極端に減っています。効果ゼロどころかマイナス効果です。私の「移民受け入れ」案は予算ゼロで効果抜群です。
中国が日本を侵略するから国防費倍増だと言って、日本政府は米国のオンボロトマホークを買って中国を牽制していますが、400年経ったら日本は無人島です。中国はそのころ無人島の日本に来て領土にできますよ。
スリランカ人のウィシュマさんが入管職員の不当な扱いで殺されました。そんな移民に対する不当な扱いこそ、山本太郎代表が先頭に立って入管法の改正をし、難民や移民の方々が安心して暮らせるような「異文化共生」社会実現のために頑張ってほしいものです。
ヘイトスピーチは相手の心を傷つけます
埼玉県で在日クルド人や川崎では在日朝鮮人の排斥デモやヘイトスピーチを行う輩がいます。デモは表現の自由と憲法で保障されていますので、何ら問題はないと思う人もいるかもしれません。
ところが、もしあなたが米国やヨーロッパを旅行していて「日本人は出ていけ」や「日本人は我が国に来るな」というプラカードを突きつけられたどう思うかを考えてみませんか。あなたの心は傷ついて「二度とこんな国なんかに来るものか」と思うでしょう。だからヘイトスピーチ(いわれのない誹謗中傷)は違法(川崎市などは条例で違法)なのです。だから「移民は日本から出ていけ」や「移民制度反対」などはやめてほしいのです。
2021年3月6日に名古屋出入国在留管理局の施設で収容されていたスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさんが体調不良を訴えながらも必要な医療を受けられず亡くなった事件です。遺族は、国を相手に損害賠償を求める訴訟を起こし、収容中の映像の開示を求めています。
上の原稿はつゆくさ通信187号の記事です。
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by nonukes
| 2025-07-15 13:14
| 小坂農園 薪ストーブ物語
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