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小坂正則の個人ブログ

私たちは若者たちの希望と多様性を支えよう

日本の危機は北朝鮮でも台湾有事でもない少子化による人口減少だ

小坂 正則

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日本国は500年後には消滅する

 日本の直近2023年の出生数が72.7万人で特殊出生率が1.20人だそうです。東京都は0.99人です。24年は昨年より7千人以上減って、70万人を割る予想です。これは危機的な状況です。女性しか子どもは産めませんので、来年生まれる女の子が35万人としたら、その子が30年後に産む女の子(出生率を1と仮定)は17.5万人で、また次の30数年後に、次の子が産む子は8.75万人で30年ごとに産まれる女子は半分になるのです。300年後に産まれる女の子は340人です。しかも特殊出生率は毎年減っていますので韓国のように0.8だったら、もっと少なくなるかもしれません。これほどの少子化とは、この国にとって一番深刻な問題なのです。

私でも少子化は重要な問題だと気づいていた

 私が少子化対策に関心があるのは、厚生省が出した日本の100年後の人口予測グラフを見て考えたのがきっかけです。このグラフを見たのは30年以上前のことだと思います。しかし、それから30年以上経っているのに、政府は全く少子化対策を取り組んできていないのです。なぜなら1970年以降、日本の出生数は毎年下がることはあっても上がることはなかったのです。少子化対策は10年や20年で成果が出ることのない深刻な課題なのに、時の政権は目先の裏金やパー券を売ることに血眼だったのです。だから私は、この問題は脱原発の次に重要な課題だと考えています。それには3つの理由があります。1つは政府のエネルギー長期予測では原発をどんどん作らなければ電気の需要はうなぎ上りの上がるというが、人口が減れば電力需要も減ることと矛盾するからです。2つ目は、これだけ急激に人口減少が続くのに、政府はなぜ少子化対策にとりくまないのかという疑問。3つ目が日本は移民や難民を世界で一番受け入れない国家です。しかし技能実習生という名の現代版奴隷労働力としてアジア諸国の若者を使い捨てにしていることが腹立たしいからです。コロナ前には別府のAPU大学の留学生が遊びに来ていました。皆さん優秀な女子学生です。彼女たちは日本が大好きだそうです。技能実習生のアジアの若者が日本に永住したいというのなら、日本で結婚して子どもを産んで育ててくれたら人口増加になるからです。

子育て支援は少子化対策ではない

 政府も地方自治体も、少子化の原因は子ども産んでも保育園に預けることができないから産まないんだとか、子ども手当などで子育て支援を行えば子どもを産んでくれると言って、子育て支援をやってきました。その最たるものが「子ども家庭庁」です。 そこでの子育て支援や子ども中心の政策を謳っています。しかし、少子化対策の専門家などは以前から「子育て支援は少子化対策ではない」と力説しています。もちろん「子育て支援は意味がない」ことではありませんし、社会が子どもを育てるという考えは重要ですが、女性が子を産むための要因ではないのです。皮肉なことに子ども中心の考えは少子化を進めるらしいです。子どもを大切に育てようと思っている親は子どもを多く産まないという統計があるそうです。私の家庭も4人の子がいました。なんだかんだ言って適当に育ったような気がします
 
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 上の表の上の線は子どもを産んだ女性の平均出生率です。このグラフから読み取れるように、戦後52年から58年までは3.6人だったのが、1973年まで急激に子ども産む数が減り、2.2人です。1970年から2003年頃までの30年間は2.2人が続いていました。結婚して子どもを産んだ女性の大半が2人は産んでいるのです。そして下の線は合計特殊出生率です。1973年から未婚の人を含む合計出生率は毎年のように減り続けたために、子どもの産まれる総数が減ってきたのです。これから分かるように、少子化は子どもを産んだ人に育児支援を与えても子どもは増えません。非婚・未婚者に結婚してもらい、子どもを産めるための賃金や住宅提供などの施策が必要なのです。
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 上のグラフは年代別の50歳時点で未婚の男女の未婚率です。下段は女性です。1990年頃から50歳の男女の未婚率が急激に増加しています。1990年で50歳という人は70年では30歳です。結婚して第1子か2子を産むころです。30歳で結婚してなくて子どものいない単身者が増えた結果、急激に合計特殊出生率が減ったことが実に見事に裏付けられています。

就職氷河期が結婚できない若者を作った

 1990年から2005年に日本では何が起こりましたか。答えは「就職氷河期」(ロスジェネ)時代の到来です。それまでの日本は高度経済成長が続いていました。米国の1ドルが235円の円安で、貿易輸出が活発でした。日本の半導体や家電製品が世界を制覇する勢いでした。日本はバブル景気で土地や株式などの値上がりの好景気が続いていました。
 1979年には「ジャパンアズ・ナンバーワン」という本も出版されました。しかし、ドル高、円安の影響で米国の不況が続く中、1995年先進5カ国の国際会議でドル高是正を行うことが決まり、円は1ドル250円が3年後には150円まで高くなったのです。その間何が起こったか。山一証券が97年に倒産。日本が世界シェア50%だった半導体の生産を米国の要求で規制されたりしました。
 また円高不況で自動車や家電が海外へ工場を移転させました。日本の経済はそれから今日までGDPも世界と比べると成長スピードは遅く、労働者の賃金はこの20年とも30年とも上がっていません。

「派遣法」が結婚できない若者を生み出した

 1985年に「派遣法」が成立して、いつでも首切りができる雇用主に有利な労働契約制度ができました。しかし、このころの派遣法は専門的な技能労働者だけが対象でしたが1999年に一部拡大、2004年の小泉内閣は全業種で派遣ができるようになり、非正規社員が若者の22%という今日のような状態になったのです。現在の男女の未婚率は大体平均したら22%ぐらいです。つまり非正規労働者の数とぴったり一致するのです。
 それに非正規労働者の平均賃金は月額22万円です。そこから社会保険料や税金や家賃など取られたら生きていくことだけで精いっぱいです。結婚なんか考えることも不可能でしょう。仮に非正規の男女が結婚したとしても、決して子どもなんか持てません。しかも結婚の意欲も湧かないでしょう。これが日本の少子化の一番の原因です。

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見合や職場結婚がなくなり恋愛結婚

 私が20歳前半の1975年ころは、女性が25歳になったら「売れ残りのクリスマスケーキ」と揶揄されていました。12月24日にクリスマスケーキが売れ残って25日になったら半額セールになるという意味でしょうか。女性を蔑視する偏見です。職場では25歳になったら上司から「まだ結婚しないのか」とか、結婚したら「子どもはまだ産まないのか」などセクハラが公然と行われていました。しかし、それがなくなったら、今度は職場結婚や見合い結婚が急激に減りました。だから出会いのない若者は結婚するチャンスが減ったのでしょう。
 戦後すぐの若者たちは恋愛結婚が3割で、見合い結婚が7割だったそうです。当時の若者の恋人がいる率は3割で現代でも独身で恋人がいる若者は平均3割だそうです。つまり、恋人がいる率は変化してないのです。ただ今日では結婚したカップルの9割が恋愛結婚で、見合いは5%だそうです。だから急激に結婚が減ったのでしょう。核家族化と、お祭りや盆踊りなどの、地域社会での濃厚な関係性がなくなったからでしょうか。

女性が生きやすい社会は子どもも増える

 昔のようなおせっかいなおばさんやおじさんは今日では見当たりません。それに上司が「まだ結婚しないのか」と女性に言うのはセクハラです。しかし、まだまだ女性や男性や障がい者や同性愛者などの社会的弱者にとっては、日本は生きづらい社会です。
 裏金自民党は時代の変化に付いてこれない旧式の価値観の政党です。ですから、教育勅語を学校教育に取り入れろとか、「戦前の天皇元首制に戻すべきだ」などと寝言のようなことを主張します。まあ、その先頭に立っていた安倍さんは幸か不幸か、お亡くなりになりましたが。自民党は「選択的夫婦別姓」すら認めないのですから、同性婚など裏金自民党政権が続く限り永遠に認めないでしょう。先進国G7で同性婚を認めていない国は日本だけです。台湾は2019年に同性婚を合法としました。韓国も実質的に認めています。
 東南アジアでは同性婚を認めていない国は「裏金自民党」が忌み嫌うロシアに中国に北朝鮮だけです。忘れていました日本もです。なんてことはありませんね。裏金自民党が一番嫌う共産主義国と日本だけが男女の性の自由を拘束しているのです。結婚に対しては日本は共産国家のようですね。ちなみに日本共産党は同性婚に賛成です。(お忘れなく)
 同性愛者や障がい者は女性など少数弱者が生きやすい社会は時代の趨勢です。フランスは先進国でも特殊出生率はトップの国です。フランスは2015年ころまでは特殊出生率が2.0だったのですが、2020年には1.83まで減っていますが、世界的にも高い国です。
 その理由は明快です。結婚して産まれた子と非婚で出産した子の割合が5割でほとんど同じだそうです。結婚しなくては子は産めない日本社会との文化の違いです。それにフランスは子どもは社会が育てるという考えで、子育て支援が進んでいます。若者への家賃補助や大学の学費が無料など、結婚のハードルがなくて、子育てが充実しているのです。
 産む産まないは女性の自由です。産みたくないのに無理やり社会的な圧力で産ませることはできません。しかし、産みたい女性は結婚しなくても自由に産める社会であった方が自由でいいでしょう。
 しかも明るいデータがあります。20代の女性に将来子どもが欲しいかと聞いたら8割以上ができれば子を産みたいと答えています。子どもを産みたい人は産める社会であれば、少子化にストップをかけることは不可能ではありません。

移民・難民を日本もEU並みに受け入れよう
 
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表は2016年の難民受け入れ数と認定率
ドイツが26万人で41%、韓国は57人で1%、日本は28人で、僅か0.3%

 20世紀は戦争の世紀と言われていましたが、21世紀でも、一向に戦争は終わりません。特に中東での争いはEU各国に大量の難民が押し寄せました。それには知り合いや身内がEUに先人といて住んでいるので、言葉も通じて暮らしやすいからドイツや英国やフランスに難民や移民が一挙に目指すのでしょう。日本は中東からは遠くて移住を希望する人は僅かでしょうが、それでも難民受け入れを拒否し続けています。先進国が「難民を受け入れる」のは国連の約束ごとなのに、です。
 入管のHPによると2022年の「難民認定申請の処理数は7,237人で、前年に比べて1,087人(約18%)増加しました。難民と認定した者187人」だそうです。「難民とは認定しなかったものの人道的な配慮を理由に在留を認めた外国人が1,760人」とありました。この人道的配慮で在留資格を与えられた方々は一時的な措置ですから決して安心して日本では暮らせません。いつ強制退去させられるかもわかりません。
 ドイツが年間300万人難民や移民を受け入れるのに、なぜ日本は難民や移民を受け入れないのでしょうか。ミャンマーでは軍事クーデターにより国軍の独裁政権が市民を虐殺しています。今こそミャンマーの若者や市民を大量に受け入れて、軍事独裁政権にNOを突きつけるべきなのです。

「技能実習生」を「育成就労」と名前を変え

 外国人労働者を技能実習生として、日本政府は日本の高度の技術を学んでもらい、自国に帰って高度の技能を生かしてほしいという建前で、ホタテの貝殻を開く仕事や、農家のねぎを収穫する仕事だけを3年間やらせて、何が高度の技術の習得でしょうか。みな労働力だけを低賃金で搾取する、現代版奴隷労働です。
 さすがに余りにも本音と建て前は違いすぎるので、今年からは技能実習生とは言わずに、「育成就労」と呼び名を変えたそうです。しかし、妻帯はできません。日本への永住は基本的にはできません。
 米国が強いのは半分以上が移民だからです。日本人はもともと様々な民族が混ざってできできた混血民です。
 これからの日本は、アジアは元より、中東やアフリカなど経済難民や移民を受け入れて、日本の各地に彼らのコロニーを作ってもらい、互いの文化や生活習慣を認め合いながら、多民族国家を目指すべきだと思います。そうすればいろんな肌色の子どもたちが元気に暮らす、やさしい日本ができて、私たちの町や村も消滅の危機を逃れて、生き残れるかもしれません。

少子化対策のための財源は

 最後にお金の問題です。昨年の6月13日にポンコツ岸田首相は会見で「異次元の少子化対策」を行うと発言しました。中身は官僚の原稿なので、余り意味はありません。「経済成長と少子化対策は車の両輪だ」と。予算は3兆円半ばを組むと。 若い世代の所得を増やすことはいいのですが、相変わらず、子ども手当の所得制限をなくすなど。少子化対策の本質には一切踏み込んではいませんでした。
そして1年が過ぎましたが予算は未だゼロ円です。しかも税収を使わず、労働者の社会保険料に子育て予算を紛れこませたのです。これって詐欺師のような犯罪行為です。少子化対策が一丁目一番地ならまず国家予算を組めと私は言いたい。

防衛予算増額の半分は少子化対策予算に

 防衛予算だけ2倍にして、あとは全て減額するなんかあり得ません。防衛予算がGDPの2%などとんでもない話です。
 日本は米国の属国なので、ご主人様の言うことは聞く必要があるなら、当面は1.5%で行きますといえばいいでしょう。経済成長すれば税金は増えるのですから。そして少子化対策予算は少なくとも3兆円は確保するべきです。5年間で48兆円の防衛費増額は半分の24兆円に抑えるのです。

再エネイノベーションを進める

 まず、最低賃金を上げれば、中小零細企業は労働者へ賃金を払えず倒産する企業も出るかもしれませんが、少々倒産しても、求人難ですから新たな雇用先はあります。むしろ生産性の悪い職場や低賃金のゾンビ企業が倒産しないから生産性が上がらないのです。まずは最低賃金を段階的にでも1500円くらいまで引き上げるべきです。中小零細には財政補填すればいいのです。そのための予算は法人税を上げて、限定的な中小零細企業の賃金の一部は国が面倒を見ればいいのです。

ドイツは環境税収を使って正社員を増やした

 ドイツは1999年に1トン当たり250ユーロ(2020年換算では1ドル103円だったので、2,750円:現在1ドル161円換算では4300円)環境税を導入しました。そこで、大企業などは環境税導入に猛反対したのですが、環境税の増収分の半分を正社員を積極的に雇用した企業への社会保険料の補助金にするという条件で、大企業も降りて、正規雇用の労働者が増えたそうです。
 それと化石燃料を削減を誘導して、再エネ産業を育成して、若者の雇用を増やしたのです。
 ところで日本の炭素税(ドイツの環境税)はどれだけかというと、1トン当たり289円です。これは鼻くそ程にもなりません。だからすぐにでも炭素税(環境税)を導入して、そこで得た税を温暖化対策や再エネ導入と若者の雇用と賃金アップや大学生の奨学金返済支援などの少子化対策に使うべきです。
 しかし、日本政府がやって来たことはドイツとは真逆です。安倍政権の掲げた3つの成長戦略は「原発」と「武器」と「カジノ」です。このような反社会的な産業がいくら栄えても雇用も増えないし、国民は幸福にはなりません。だから日本は30年間成長しなかったのです。
 昨年の夏に「気温が沸騰」とグテーレス国連事務総長は言ったのですが、昨年9月の気候サミットで彼は「人類は地獄の蓋を開けてしまった」と主張しました。それほど人類は温暖化防止は待ったなしなのです。それこそ緊急課題ですが、それは大きなビジネスチャンスでもあります。日本発の「プロブスカイト太陽電池」や電気自動車や再エネや蓄電池に省エネ技術などに、政府は先行投資して、若者の雇用を生み出して、若者の賃金が底上げされたら、それが少子化対策にも繋がるのです。




by nonukes | 2024-08-28 13:36 | 小坂農園 薪ストーブ物語 | Comments(0)

  小坂正則

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