2023年 08月 12日
木原官房副長官の妻による殺人容疑捜査打ち切り
木原事件は安倍政権による第2の山口敬之逮捕中止事件だ
小坂正則
週刊文春が6月末に発売された7月6日号で木原官房副長官のゴシップ記事は、銀座の高級クラブに夜な夜な通う木原官房副長官には愛人がいて、自分の隠し子と愛人と3人でデートする写真や愛人宅から官邸へ通う木原氏の写真入りで掲載されました。 麻生副総理の愛人は公認されていることだし、木原の愛人など、私には全く興味もないのですが、次の週には木原氏の妻が元夫の不審死の容疑者だったということと、その事件の再捜査を木原氏が介入して捜査を取りやめさせたのではないかという、政権を揺るがすよう大疑惑事件となって今に至っているのです。
木原氏の現妻は2006年に元夫の不審死が自殺と処理されていましたが、2014年に木原氏は妊娠したX子さを入籍します。そして同じ高級クラブのA子さんは半年後に出産して、愛人関係になるそうです。ところが2018年6月に大塚署で、2006年の自殺は不自然であるとして、警視庁捜査1課を中心に40名体制で再捜査が開始されます。木原氏の妻は10回に及ぶ任意の取り調べを受けていたところ、10月になって突然捜査1課の取り調べは解散させられるのです。その時、捜査現場の中心人物のレジェンド刑事と言われるベテラン刑事は上司に「捜査は明日で解散」とだけ告げられて、この事件は闇に葬られることになったのです。
木原誠二が妻の捜査に介入した疑いが濃厚
そこから週刊文春は動き始めます。この事件には最初から政治家が大きく関わっています。まず、警視庁が木原衆院議員の妻を取り調べるのですから、当時の二階幹事長に捜査の話を持ち込みます。すると二階氏は「好きなようにやればいい」と言い、「そのかわり捜査状況は逐一教えてほしい」と話したそうです。二階氏は木原を呼びつけて「お前はなんでX子と結婚なんかしたんだ。すぐに別れろ」と言ったそうです。しかし木原氏は「俺がいなければ彼女は逮捕される」と拒否したとか。
そこから木原氏は警視庁捜査1課の佐藤誠刑事に対して、「お前のようなやつはクビにしてやるからな」と脅されたそうです。捜査1課は妻を警視庁の事情徴収から帰るタクシーの中で、夫婦の会話をタクシーのドライブレコードが記録していて、その会話を証拠として持っているそうです。車内で木原氏が「俺が手を回したから心配するな。刑事の話に乗ってはだめだぞ。お前は黙っているだけでいい」と話したそうです。
また、2018年10月に木原氏は自民党情報調査局長に就任。情報調査局長とはスパイ活動や公安警察などの情報を管理する政治家による、警察権力トップのポストなのです。そして彼がこのポストに就任した直後に妻の捜査は終了したのです。これほど分かりやすい捜査への介入事件はありません。
この事件は自民党内の権力争いが表に出た
この週刊文春のスクープの元はどこから出たのかを考えたら、二階氏の関与がなければ、これほどのリアルな記事は書けません。なぜなら捜査1課の刑事以外では二階氏だけが捜査調書を持っているからです。しかも菅前首相と二階元幹事長はこの間、岸田政権から完全に干されて冷や飯を食っています。 しかも菅政権時に二階幹事長を下すように提言したのは岸田氏だそうですが、岸田には政権担当能力も政界を牛耳る能力も殆どありません。無能や三世議員だからです。岸田政権にとって木原官房福長官は「影の総理大臣」だと言われるほど、悪賢くて有能な政治家であることだけは事実のようです。木原氏は「2006年にちゃんと捜査をしていたら、俺は彼女と結婚などしなくてよかったんだ」と溢していたそうです。当時は独身の木原氏には大物政治家の娘の結婚話が浮上していたがX子が妊娠したのでそっちは諦めたそうです。
事件の本質は木原の事件介入と警察の忖度
これからは想像の世界ですが、二階氏を幹事長から引きずり下ろした菅前首相と二階氏が手を組んで岸田降ろしのために仕組んだ政治案件ではないかと思われるのです。しかし、これが自民党内の政権争いだとしても、警察の捜査は公正・公平でなければなりません。犯罪者を政治の力で無罪にすることなどは決して許せません。ましてや殺人犯や共犯者などを無罪にすることは死亡したX子の元夫の家族にとっては浮かばれない話です。
木原の妻X子は共犯者で、実は第三の真犯人Zが週刊文春の次号では浮上するそうです。この事件は下手な小説を上回るスリルとサスペンスに富んだ事件です。ネットの世界では、「#木原福官房長官の辞任を求めます」がトレンド入りしています。しかし、「週刊文春」を読まない人やネットをやらない人にとっては、まるでなんのことかもわからない事件なのです。なぜならテレビも新聞もほとんどニュースには取り上げていないからです。
日本のテレビと新聞は死んでしまったか
2019年のネット広告が2兆1千億円で、テレビ広告が1兆8600億円と、すでにネット広告がテレビを大きく上回っています。この数字は現在ではもっと引き離されているでしょう。今の若者は決められた時間にしか見れないテレビ番組に、自分の生活時間を合わせるよりも、好きな時に動画やゲームをやったり、無料のネットニュースを見ることが文化になっているのです。
ネット上では無料の新聞記事が読めるのですから、新聞の退潮はもっと深刻です。朝日新聞は2014年には800万部だった新聞購読者が2022年には397万部と半減しているそうです。まあ、800万部は公称ですから実際は600万部くらいから300万部くらいに激減していることでしょう。しかも今年5月から3500円が4000円に値上げしました。物価上昇の折の値上げですから、また購読者が減った可能性があります。全国の新聞社はいつ潰れてもおかしくはありません。そこで朝日新聞は大幅な人員削減を行っていて、優秀な記者ほど辞めているそうです。
私は40年来の朝日新聞読者ですが、近頃朝日新聞もちっとも面白くありません。これは朝日に限ったことではないでしょう。安倍政権下の森友加計学園事件では官邸記者クラブは官邸の御用聞きのように、政権寄りで安倍政権を忖度した記事しか読めませんでした。菅官房長官に鋭く切り込んだ質問をしていた記者は、東京新聞の望月衣塑子記者と朝日新聞の南彰記者(新聞労連中央執行委員長)と北海道新聞の記者ぐらいでした。
なぜなら、官邸記者クラブ所属記者は官邸に目をつけられたらオフレコ情報をもらえなくなるから、どうしても官邸のいいなりになって、鋭い追求ができないのです。
これと同じことが警視庁記者クラブにも言えます。サツ回りの記者は、記者会見の前に警察から事件のオフレコ情報をもらわなければ、新聞発行に間に合いません。テレビも同じです。他社では事件の全貌を掴んでいるのに我が社では生ぬるいニュースしかできなかったら、視聴率に大きく響くから、どうしても警察の顔色をうかがいながら事件記事を書くのです。そんな関係の中で、警視庁が忖度して事件をもみ消したなどというニュースは警視庁記者クラブにはどうしても記事を書けないのです。
7月28日に元警視庁捜査1課の佐藤誠元刑事が記者会見を行いました。その中で彼は、「7月13日に警察庁露木長官が『木原氏の妻の件は事件性はない』と言ったのが腹立たしかったので、私は会見に臨むことにした」と話しています。また、佐藤氏の記者会見にはフリーランスの記者やネットメディアの記者は事件の真相を暴こうと内容の濃い質問をするが、大手メディアの記者クラブの記者は的外れの質問ばかりで、読売の記者に至っては「あなたの発言は地方行員法の守秘義務違反にあたるのではないか」などと、警視庁側の立場の質問などがあったそうです。(佐藤章元朝日新聞記者:情報)
ジャニーズ事件の隠蔽と同じ御用マスコミ
このようにテレビや新聞など大手マスコミは権力に寄り添っておもねるように、この事件については全く報道しないか、ベタ記事で何が何だかわからないようなアリバイ記事しかかいていないのです。NHKや民法のテレビや新聞を読むだけの人は、政権を揺るがすような「木原副官房長官による警察介入事件」は全く知るすべがないのです。
これと同じような事件が今年ありました。それはジャニー喜多川による性暴力事件です。この事件は50年も前から行われていた少年への性加害事件です。それも業界では知らない人はいないという公然の性犯罪が警察もテレビも新聞も黙殺や共犯者として振る舞っていたのです。この事件に対して積極的に現在報道しているのがTBSです。それに対して全く報道をしないか、してもおざなりの報道しかしないのがテレ朝です。テレ朝にはジャニーズ用の練習部屋があったそうですし、そこでは喜多川の破廉恥な行動をテレビ局の職員は目にしていたそうです。ですからテレ朝はジャニーズ事務所の共犯者の恐れすらあるのです。もちろんジャニーズ事務所は喜多川の共犯者でもあり、テレビ局に圧力をかけてこの事件を公表にしないようにもみ消し工作を未だに行っているのです。
安倍の友だち逮捕妨害の第2の山口紀之事件
憲政史上最大の長期政権を築いた安倍晋三政権はお友だちの利益のために法を歪めて、権益をもたらし、犯罪者の逮捕をやめさせるなど、北朝鮮か中東の独裁国家まがいの国家権力の私物化を繰り広げてきました。民主主義社会では「法治主義」が原則です。法の下では皆が平等という考えです。ところが安倍政権は「こんな人たちには負けるわけにはいかない」と、「国民の中に自分の仲間と敵を作って、一国の首相が見方のためにたたかい、敵を打ち負かすことを正当化」しているのです。一国の首相は国民全体の幸せのために法治主義で、この国を納めなければならないのですが、残念ながら安倍晋三は大学を裏口入学して裏口卒業したために憲法99条(憲法擁護の義務)を学んでいません。
だから2014年4月に起きた元TBSのワシントン支局長の山口敬之による準強姦事件で逮捕状が出たにも関わらず、同年6月4日に成田空港で逮捕直前に逮捕を止めたのが安倍政権だったのです。ですから今回の「木原官房長官の警察への介入」も安倍政権が関わっていた可能性もあるのです。もちろん木原誠二による単独犯かもしれませんが。
今こそ安倍政権の負の歴史を清算しよう
また自民党安陪派による「統一協会との癒着」など、この国の民主主義と公平な選挙制度を著しく傷つけたのが安倍政権でした。
上げればきりがありませんが、安倍政権下では森友事件で公文書改ざんを指示した佐川理財局長の逮捕妨害や無罪にするなど、安倍政権がどれほど日本の治安や安寧を著しく傷つけたかもしれません。その意味では、戦後日本史の闇を暴く絶好のきっかけになるかもしれません。
私は日本の政治腐敗や貧富の格差が拡大すれば、それだけ落ちこぼれた若者などによる暴力やテロが横行して、治安が不安定になり、人々の安全・安心な生活が蝕まれていきます。
現在闇バイトなどと言って、白昼堂々と銀座の宝石店に強盗が入ったり、白昼居直り強盗による殺人事件などが横行しています。世界一治安のいい国と言われていた日本の治安も米国並みの犯罪国家になってしまわないためにも、政治家の信頼と公正公平な政治や格差の是正によって社会正義の実現が必要不可欠なのです。
そのためにも、来年から始まる山上容疑者の裁判で安倍政権の悪事が次々と出てくるでしょうし、統一協会解散命令が出れば、その裁判で統一協会と安陪の癒着が暴露される可能性もあります。
2014年の閣議決定によって「集団的自衛権の行使容認」から翌年の9月19日に成立した「安全保障関連法案(平和安全法)」の強行採決や、岸田政権が強行した「敵基地攻撃能力」や軍事費の倍増などもすべては安倍政権が強いた路線に沿った決定事項だったのです。
このような平和憲法をないがしろにして、今年の正月にタモリが「今年は新しい戦前」といい、元内閣法制局長官の阪田雅裕氏は「憲法9条は死んだ」と言わせるような日本へと大きく舵を切ったのです。
そのようなきっかけはトランプやバイデン大統領に抱きつき詐欺のように米国にすり寄って、米国の言いなりの軍事国家を目指す安倍政権の亡国政治の集大成が今日の日本の政治を大きく歪めたのです。安倍晋三が声だかに叫んだ「台湾有事は日本の有事」ではなく、「台湾有事は日本の有事ではありません」が日本の立場です。日本はフランスやドイツのように中国と友好親善外交で米中対立を煽るのではなく中立の第3の道を歩むべきなのです。
「ミュニシパリズム」で社会正義の市民革命
これまで安倍政権が日本の歴史に残した大きな経済的・政治的な負の遺産を、私たちは平和憲法の下で1つ1つ覆して行って、この国に公平・公正な社会正義を実現して行かなければなりません。
それは非常に困難な道のりです。強大な自公政権と、第2自民党を名乗る維新や国民民主が公然と自公政権を支えていいるからです。
しかも野党第一党は自公政権を倒す気はありません。そんな無気力な野党に期待しても政府の暴走を止めることは不可能でしょう。
しかし、昨年の杉並区長選で「ミュニシパリズム」を掲げる岸本区長が誕生する原動力となった人々のたたかいや、今年4月の統一地方選の兵庫県明石市長選でも、私は大きな可能性があると感じました。
また7月23日の兵庫県三田市長選では、自公に立民と国民が相乗りの現職市長に対して、無所属で無名の田村候補が泉前明石市長の応援で当選したのです。泉前明石市長応援の影響はもちろんあったでしょうが、それだけではないでしょう。田村新市長勝利の要因は「土建行政から市民生活優先」という住民目線の政策が人々の共感を得たのです。
このように経済界や労働組合や宗教団体という巨大な利権組織に属さない普通の市民でも、地域に根付いた住民自治や民主的な市民の合意形成を尊重する政策を訴えて、市民の共感と連帯が実現できたら、巨大組織にだって打ち勝つこともできるのです。これこそが、いまの日本でも実現できる「ミュニシパリズム」の市民革命です。
by nonukes
| 2023-08-12 13:44
| 小坂農園 薪ストーブ物語
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