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小坂正則の個人ブログ

原発60年以上運転や新規原発まで言いたい放題?!

福島原発事故忘却の岸田政権は電力不足を口実に

小坂正則

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日本政府は2燃連続の不名誉な化石賞を受賞
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エジプトで開催されたCOP27

GX実行会議は原発推進会議だ

 岸田首相は7月27日に第1回「GX実行会議」を開催しました。「GX実行会議」(グリーントランス・フォーメーション)と言い、「グリーンエネルギー推進会議」とでも言うのでしょうが、中身は全く真逆の原発のGをもじって「原発推進会議」と言うべき会議です。
 その中で岸田首相は、この夏の電力逼迫や今年の冬から来年の冬にかけて電力不足の危機がやってくることが予想されると言い、その対策のために、「いま動いていない原発を早急に動かす」と発言したのです。特に規制委員会が動かしてもいいと答申した原発が、まだ住民の同意ができなくて、動かしていない新潟県の柏崎刈羽原発などの再稼働を速めるや、これまで「原発廃炉は原則40年で例外的に60年運転」を「60年以上運転できるように原子炉等規制法を見直す」や「新規原発建設をこれから進める」など、福島原発事故を忘れたかのような暴言を発言したのです。

新規原発は2050年CO2ぜロに間に合わない

 そしてウクライナ戦争で化石燃料が高騰していて、原発を動かせば電気料金を安くできるなどと、これまたウソの経産官僚の意のままに岸田首相は「官僚原稿」を棒読みしたのです。
 原発推進派の安倍晋三首相でも「新規原発建設を進めたい」と腹では思っていても、会見では「できる限り原発に頼らない社会をめざす」と言っていたのに、岸田首相は311以降「新規原発の建設を進める」と初めて会見した首相です。原発の発電コストは年々上がっていて、太陽光や風力などの再エネ電力の発電コストは毎年下がっています。今や世界では太陽光の発電コストは1~2円です。蓄電池のコストを入れても5円そこそこです。それに比べて原発の発電コストは15円以上です。コスト競争に関しては、お話になりません。
 また、「原発を日本の温暖化対策に役立てる」というのですが、原発新規立地は計画から運転まで30年以上かかります。「2050年実質CO2ゼロ」には間に合いません。もちろん老朽化した原発を動かせば福島原発事故の二の舞を招く可能性も高いし、小型原発など現実にはコスト高で不可能です。

電力不足キャンペーンに騙されてはならない

 前回のつゆくさ通信で、私の原稿「大手電力の勝手を許せばこの冬に本格的な電力危機を起きるか」という文章を書きました。大手電力は2017年から5年間で新規建設から廃止施設を差し引いて、1600万kwの発電設備容量が減っているそうです。日本は省エネと人口減少と不況によって、電力需要は確実に減っています。現在のピーク時の発電需要は最大で1.5億kwだそうです。そして、現在大手電力や発電会社の設備容量は2.7憶kwあるそうです。原発の3300万kwを差し引いても2.37憶kwもあります。ですから原発などなくても日本の電力は足りているのです。しかし、老朽の石油火力などは発電コストが高いのでほとんどを動かしていません。しかし、「容量市場」で、それらの動かしてもいない発電施設に1兆円以上のお金が新電力会社から入る仕組みなのです。「電力が足りない」というなら、止まっている施設を動かしてもらえばいいだけの話です。
 みなさん電力不足と聞くと、発電施設をどんどん作る必要があると思うかもしれません。しかし、電力という商品は、貯めて置くことが非常に苦手なんです。電気は瞬間ごとに需要と供給を一致させなければなりません。ですから、「電力不足」を政府や電力会社がキャンペーンを張るのに騙されてはいけません。彼らの言う「電力不足」とは変動する需要と供給のほんの「1時間未満の過不足」を言うだけなのです。逆にそれ以外の時間帯は電力が余って仕方ないのが日本の現状なのです。

日本の電気は足りないのではなく運用の問題

 日本では電力が足りないのではありません。政府の言う電力不足とは、電力需要の大きなピークに供給が間に合っていないだけなのです。ですから、電力需要増の時に需要を抑えて大きな波を小さな波に変えてやれば問題は解決するのです。これまで日本の既存電力会社は電力需要をどんどん増やすために、電力需要のピークに合わせて発電所を増設してきました。しかし、需要が減ったら、作った発電所は止めて、遊ばせておくのです。それに比べて欧米では発電所はできる限り沢山作らず、できるだけ需要の波を押さえて、最低の発電所でいかに効率的に「設備利用率」を高めることで利益を出すかに知恵を絞っていたのです。それが「ピークカット」や「負荷平準」の考え方なのです。

日本は「独占」と「総括原価方式」で利益
欧米は「設備利用率アップ」で利益

 この考え方の違いはどこで生まれたのでしょうか。それは日本の電力会社の歴史に刻まれています。日本は戦後、本土は2016年まで9電力体制による「電力地域独占」体制で電力事業は繰り広げられて来ました。ですから、非効率でも電力市場には競争相手がいなかったのです。しかも電力会社の電気料金は「総括原価方式」で決められていましたので、投資額や必要経費の3%を利益として計上されるので、非効率の発電所でも設備投資をすればするほど電気料金に反映して利益が生まれていたのです。
 それに比べて欧米では電力会社同士の競争が激しいので、できるだけ発電所を作らず個々の発電所の「設備利用率」を高めて電力を売るという真っ当な商売が繰り広げられていたのです。

電力負荷調整制度の制導で問題は解決する

 政府や電力会社のいう「電力不足」は、ほんの1時間足らずの電力不足へ対応を行えば済む問題なのです。それは電力需給が逼迫したら、「負荷調整契約」を結んだ企業の電力消費を抑えてもらい、その代わり電気料金を値引きすればいいのです。
 九州電力は20年も前にDSM(デマンドサイドマネジメント)という実験を行っていました。
 例えば10社の大きなビルにDSMを導入してもらい、10分間ごとにエアコンの間欠運転をやってもらうと、総量で10%の電力消費が削減できます。 しかし、それでは冷房が止まって暑くなったりしないのかと疑問に思うかもしれませんが、ビル内の人は何も気づかないそうです。まだ冷気が残っていて、急には暑くも寒くも感じないのです。このようなことを政府や電力会社が行えば1時間足らずのピークカットは簡単に解決できるのです。

深夜電力利用の電気温水器を昼間に動かせ

 皆さんご存じない方も多いと思いますが、5月の連休や秋の昼間などの冷房も暖房も不要な季節は太陽光発電が最も電気を作ってくれる季節です。その昼間は需要に対して供給が多いため、九電などは輪番制で太陽光発電や風力発電を30分毎に止めているのです。
 九州電力管内では2022年度の制御率は5.2%、7億3,000万kWhの太陽光発電や風力発電を運転を止めて、再エネ電力を捨てているのです。そのため「せっかく再エネで発電した電力が無駄になって、CO2排出量を減らす目標に逆行する」ことを行っているのです。今年度は、九州以外に北海道・東北・四国・沖縄の4電力会社エリアでも発電所をとめる予定です。
 そこで昼間の余った電気を有効利用しようと、電力を大量に使う電炉最大手の東京製鉄という会社がありました。東京製鉄はクズ鉄を集めて電気炉で鉄を溶かしてリサイクル鉄を作る会社です。この会社は大量の電力を使うため、夜から深夜にかけて割安な深夜電力で製鉄していました。それを昼間に使うように変更する実験を北九州の工場で行っています。ただ、雨が降ったり曇ったりすると、昼間の電力が余らないので、九電から2日前に発電予測を聞いて、労働者を昼間にシフトして操業するのです。
 また、私の契約電力会社は地元の「新電力おおいた」ですが、太陽光発電と電気温水器の設置している棟は電気温水器の運転を深夜から昼間に変更して、昼間の太陽光の電気の余った時間帯にお湯を沸かしています。それが条件で、一般の太陽光の売伝価格より1円高い10円で買ってくれるのです。
 この「夜から昼間に電気温水器の運転を変える」という方法を全国的に広げたら、昼間の電力需要が大きく伸びて、太陽光発電を止めるなんてバカなことをしなくて済むのではないでしょうか。
 うがった見方かもしれませんが、政府や大手電力会社は、「原発優先」の考えしかなく、再エネを進めるような対策はちっとも取らずに、ただただ昼間の太陽光発電を目の敵のようにして、太陽光や風力を止めることだけに血眼になっているようにしか私には思えないのです。

春・秋の昼間の太陽光の電力は0円で売買

 現状の電力卸市場では電気が余ってしまうので、その時は市場価格は0円で売買されているのです。実際には市場価格が0円でも卸市場の手数料がかかるので、1kwhあたり0.01円ほどのタダ同然の価格で売買されています。
そこで、卸市場に無料で流すよりも、その間の電力を発電会社が蓄電池に貯めて置いて、需要が出て卸市場価格が高くなったら販売するという方法を取る会社が増えています。それは蓄電池の価格が下がったから可能なのです。
 実際に、政府は発電施設も持っていない会社が電気を貯めて、それを卸市場に流すことを今年度から認可しました。これまでは発電施設を持っている会社が自社の太陽光の電気を自社の蓄電池に貯めて、それを後から売ることは認めていたのですが、蓄電池だけの電力会社も認められるようになりました。 北海道などで実証実験が国の補助金で行われています。これからは原発に補助金出すのではなく、蓄電池の設置にこそ政府は投資すべきなのです。そうすれば電力不足も解消し、太陽光を止めるなんてことも不要になり、原発再稼働も不要になるのです。

個人宅の太陽光と蓄電池が揚水発電の代替え

 昼間の太陽光発電の余った電気を蓄電池に貯めて夜自分の家で使うことをV2Hと言って、蓄電池や電気自動車のバッテリーに昼間貯めて夜に電気を使うことが可能です。しかし、その蓄電池の電気を送電線に流して電力会社に売ることは法律で禁止されています。その電力会社が個人の太陽光発電と蓄電池の電気を夜売っていいように法律改正してくれたら、再エネ電力の有効利用と負荷調整によって個人の太陽光と蓄電池で行うことができるのです。
 そうすれば日産リーフに貯めた電気を夜には送電線に流して太陽光と蓄電池の所有者はそれだけ高く電気を売ることができて、日本の電力の負荷調整と再エネ普及が一般家庭の参加で安価でできるようになるのです。個人宅の太陽光発電と蓄電池や電気自動車が「揚水発電」の役目を果たして原発など完全に不要になるのです。

COP27今世紀末地球の平均気温2.8℃上昇予測
 COP27がこの秋エジプト開催されました。その中で、国連環境計画は温暖化対策を現状から強化しなければ地球の平均気温が2.8度上昇するとの報告書を発表しています。その理由としてコロナ渦の反動で経済活動が活発になり、温暖化ガスの排出が大幅に増えてることやロシアによるウクライナ侵攻で、天然ガスの供給が不足して、その分石炭火力が増えたことで、CO2が大幅に増えているのです。 「国連環境計画」は、「このままでは2100年には1.5℃どころか、2.8℃上昇する」と予測しているのです。ですから、早急に日本政府の対策見直しが必要なのです。
 日本政府は2030年に2013年比46%(出来れば50%)CO2削減を掲げていますが、現状では到底目標達成は無理です。それを達成するために昨年の原発の発電割合7%を2030年には22%にするという菅政権の目標なのですが、到底無理なので岸田首相は「再稼働できていない全ての原発を動かす」や「新規原発建設」と福島原発事故を忘れたかのような発言を繰り返しているのです。
 このような日本政府の脱温暖化計画は実現不可能ですし、事故の危険性の大きな原発にCO2対策を頼るのではなく、石炭火力の廃止と再エネと省エネと蓄電池+EVによる再エネ100%社会の実現をめざして、2030年にはCO2の60%以上の削減を実施すべきなのです。
ノルウェーは2025年にガソリン車の新車販売は禁止されます。しかも昨年には90%の新車はEVだったそうで、2022年には全ての乗用車はEVになるそうです。また英国は2030年にはガソリン車の新車販売は禁止されます。ドイツやフランスなどのEUと、米国カリフォルニアも中国も2035年にガソリン車全面禁止です。日本は2035年には「電動車」しか販売できないのですが、「電動車」にハイブリッドが入っいます。しかし、ほかの国では大半がハイブリッドはガソリン車として販売できなくなるのです。
 11月2日にトヨタの豊田章男社長が岸田首相に面会して、「日本のエンジン車を作る中小企業などがEV化によって失業する可能性があるので助けてほしい」と泣きついたそうです。
 トヨタの2017年に掲げた「電動化普及ロードマップ」によると、2030年にHVとPHVが50%でEVが10%という目標だったのです。英国の2030年EV100%ととは比べ物になりません。なぜこんなに遅くなったのでしょうか。それは現在のハイブリッドが世界でバカ売れしているので、2030年以降も売れると考えたのです。しかし、中国やEUはハイブリッドが苦手なので、日本を締め出すためにEV化を急いでいるのです。
 世界のトヨタがまだ実質的にはEVを1台も販売していません。トヨタは世界から2周回遅れで、このまま行けばトヨタは5年後には中国に置いてけぼりを喰らって10年後には倒産しているでしょう。
 自動車産業は400万人の雇用を生んでいます。全労働人口の10%を占めているのです。車が売れなかったら鉄も売れません。バッテリーもだめです。日本沈没のシナリオに突き進んでいるのです。
 それを支えているのが自民党・岸田政権です。原発とガソリンエンジンという終わった産業に未練をもって、何とか歴史の流れに抗おうとしても一度世界の成長戦略の方向が決まったら一気にその方向に社会は突き進むのです。なぜ自民党は博物館入りするような過去の産業にしがみ付くのでしょうか。
 日本の若者の雇用を守るには、成長戦略の舵を素早く切るトップの責任です。豊田章男も岸田首相も退陣すべきです。


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by nonukes | 2022-12-04 13:12 | 原発再稼働は許さない | Comments(0)

  小坂正則

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