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小坂正則の個人ブログ

侮辱罪改正案は政治家や公務員への批判をさせない言論封殺法だ


「安倍は嘘つきだから国会議員をやめろ」と言えば侮辱罪で禁固刑可能
小坂正則


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侮辱罪改正で安倍晋三への悪口は逮捕が可能

5月11日の東京新聞「政治家への批判委縮・侮辱罪での国会論戦」に以下のように書いています。
「閣僚や国会議員を侮辱した人は逮捕される可能性があるか」。4月27日の衆院法務委員会で立民の藤岡隆雄氏は、二之湯智国家公安委員長にただした。最初は「ありません」と明言した二之湯氏だが、次第に「あってはならない」と表現を弱め、最後は「逮捕される可能性は残っている」と答弁を転換。藤岡氏は「とてもこのままでは容認できない」と批判した。
 政府案は、「拘留(30日未満)または科料(1万円未満)」となっている現行の侮辱罪の法定刑に「1年以下の懲役・禁錮もしくは30万円以下の罰金」を加える。ネット上の誹謗中傷が社会問題化する中、厳罰化で抑止力向上につなげる狙いがある。衆院法務委で4月26日に行われた参考人質疑で、一昨年に交流サイト(SNS)上で中傷を受けて亡くなったプロレスラー木村花さん=当時(22)=の母響子さんは「言論の自由に重きを置くなら、それに見合った責任を伴わせてほしい」と訴えた。(ここまで引用)
東京新聞の記事によると国会答弁で国家公安委員長が「閣僚や国会議員を侮辱したら逮捕される可能性はある」と言ったのだから、こんな恐ろしいことはありませせん。まるでロシア市民が「ウクライナへの侵攻をやめちろ」と言って逮捕されるように、また戦前の特高警察の時代に逆戻りします。ではなぜこれまでの「侮辱罪」の「拘留30日未満」が禁固1年以下に変わっただけで何が大きく変わるのでしょうか。
今までの法律で定められている「拘留」は、1カ月未満の期間、役務なしで拘留場に留置される刑罰ですが、このための専用の施設がなく、有名無実の法律です。しかし、侮辱罪が改正されたら普通の刑事犯罪のように逮捕拘留から起訴されて裁判で禁固刑が確定して刑務所へ送られるのです。

名誉棄損罪と侮辱罪の違い

「侮辱罪」という刑法は適応されることが少ないのであまりよく知られていません。実は刑法上の「侮辱罪」と「名誉棄損罪」は大きく違うのです。
刑法には人の名誉や尊厳を傷つける罪として名誉毀損(きそん)罪(3年以下の懲役など)があるが、条文や判例によって、指摘された事実が公共の利害に関わり、公益を図る目的があり、内容が真実もしくはそう信じた相当の理由が認められる場合は罰せられない。また、公務員や選挙の候補者の名誉を傷つけても、真実であれば罰しないとする明文規定もある。(東京新聞引用)
とあるように、公共の利益があり、公益を図る目的で「安倍は嘘つきだから国会議員をやめろ」と言っても、安倍は19年11月~20年3月に国会答弁を118回嘘の答弁をしたのは事実ですし、特別職公務員の国会議員の名誉を傷つけても罰せられなかったのです。しかし、「侮辱罪」は公共や公益を図る目的や公務員に対しての例外などもないのですし、「侮辱」を規定する概念が曖昧なので、恣意的に使われる可能性が大なのです。
例えば「安倍はバカだから国会議員をやめろ」とか「安倍は嘘つきだから国会議員をやめろ」と言っても相手がそれを侮辱と取れば侮辱となりえます。発言した本人が正当な意見のつもりで発した批判でも、言われた相手にしてみれば侮辱とも感じられる事があるでしょう。特に安倍晋三は自尊心だけは人一倍強い人間ですから、そんな発言を安倍の前ですれば彼は「侮辱罪」で告訴するかもしれません。そうなったら発言者は逮捕されて最高懲役3年罰せられるのです。
ですから日本ペンクラブは「侮辱罪が表現行為を罰するものである以上、厳罰化によって言論・表現の自由が不当に制限されることはあってはならない」と声明を出すなど、懸念も指摘されているのです。

国民が政治家に公然と批判できなくなる

3月25日に札幌地裁で、安倍やめろと言って警察に排除された「札幌ヤジ裁判」の判決で、原告が全面勝訴した裁判でしたが、実はこの裁判は高裁に移ってこれから再度争われるのです。しかし、高裁でも同じような判決が出るかは分かりませんし、最高裁に移ったら、きっと札幌地裁のような素晴らし判決は出ない可能性の方が高いでしょう。なぜなら第一次第二次安倍政権によって指名された最高さん判事は15名中10人に及ぶのです。残りの5名は菅政権です。ですから安倍晋三が選んだ10名がみな右翼的な判事かどうかは知りませんが、決して国民の側に寄り添う判事が大半だとは思えません。じつは高裁判決が最も重要なのです。高裁判決を覆して最高裁に上げるには条件があります。憲法上著しい齟齬がある場合でしか上告できないのです。もちろん地裁段階でも憲法上の判断を下したのですから最高裁まで行くかもしれませんが。
この「侮辱罪」は安倍晋三への国民の批判を鎮めるために官邸が準備して来たのではないかと考えます。なぜなら菅政権にも岸田政権時にも首相の演説中に聴衆が公然とヤジを飛ばしたことはありませんし、これまでの歴史上にもほとんどありません。しかし、2017年7月1日の秋葉原で、東京都議選の演説で安倍晋三首相は大勢の聴衆のヤジに対して「こんな人たちには負けるわけにはいかないのです」と、首相にはふさわしくない発言をしています。本来なら首相は反対する国民も含めて全国民のために政治を行うのですから、「そこで私への批判をしている方々も含めた国民のためにもこの選挙へ皆さんの関心と都民の投票をお願いしたのです。野党も与党も共に頑張りましょう」と言えば首相の肝っ玉の太さが示されたのです。しかし、小心者の安倍晋三はその真逆の発言をしました。それから安倍官邸は警察官僚を次々に要職につけて、警察国家に作り上げようとしてきたことの一環ではないかと私は考えています。
沈黙するNHKなど御用マスコミをたたき起こそう

今年の参院選は6月22日告示、7月10日投開票の予定です。すると告示まで僅か2ヵ月しかありません。それにしては選挙の争点もほとんどありませんし、NHKは国会中継も意識的にやってません。昨年秋の衆院選の前日のNHKでは衆院選特集の番組は全くありませんでした。翌日の日曜日に衆院選投開票があることを忘れているようなテレビ番組でした。今国会の最も重要な争点は、「侮辱罪」に「敵基地攻撃能力」や「核武装」に「防衛費をGDPの2%以上に引き上げる」「緊急事態条項」が必要なのかなど「憲法改正」の是非など重要課題は山積みなのです。夏の参院選挙を国民の関心を呼ばないで低投票率にして与党を勝たせようとしているかのようなNHKなどの忖度マスコミの尻を叩いて有権者の選挙への関心を奮い立たせようではありあせんか。

まだやれることはたくさんある

5月19日に衆院本会議で自民党・公明党・維新・国民民主党の賛成多数で可決しました。反対したのは立民と共産党とれいわくらいでしょう。これからは参院で審議されます。まだまだできることはたくさんあります。日本ペンクラブなどの批判を受けても、まだまだ国民の多くが「侮辱罪」の問題を知ってはいません。参院選の争点の1つとして立憲野党と協力しながら、「侮辱罪」の廃案と参院選のために野党と市民が協力して国民有権者への関心を高める行動を取ろうではありませんか。


by nonukes | 2022-05-19 17:12 | 小坂農園 薪ストーブ物語 | Comments(0)

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