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小坂正則の個人ブログ

「持続可能」でも「グリーン」でもない原発をEU欧州委員会は認めるな!!

原発はCO2削減にならなばかりか、人類滅亡を加速するだけの愚かな選択でしかない
小坂正則





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ドイツ新政権の3党首
左から緑の党共同党首のベアボック氏とハベック氏、
社会民主党(SPD)の首相候補オラフ・ショルツ氏、
自由民主党(FDP)のクリスチャン・リントナー党首

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マクロン首相が21年10月に小型モジュール炉の建設を進めると表明



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大型原発と小型モジュール炉の概念図


欧州委員会が原発を「EUタクソノミー」に含める?

欧州委員会は1月1日、原発と天然ガスを気候変動防止の活動として認める『EUタクソノミー』とする方向で検討を開始した」と発表しました。『EUタクソノミー』とは2050年に二酸化炭素実質ゼロを実現させるためにEUが独自に定めた制度で、気候変動など6つの環境分野に貢献する活動を差し、それらの事業を「グリーンな投資」と呼び、普及・促進させるものです。もし、原発がこんなものに定められたら世界中で、また原発建設に弾みがつくことでしょう。
これはEU内で原子力への依存度が高いフランス、フィンランド、チェコなど、「二酸化炭素を多く排出する石炭エネルギーからの移行を果たすために原子力は欠かせない」と主張する国々から提案されたものです。しかし、原発全廃を掲げるドイツ、オーストリア、ルクセンブルクなどは、「EUタクソノミー」に天然ガスと原発を含めることに反対しています。これから欧州員会内で「原発と天然ガス」の議論が始まるでしょうが、少なくとも天然ガスはやむを得ないとしても原発だけは「EUタクソミー」に入れさせてはなりません。
EUタクソノミー規則は2020年7月に施行され、持続可能な経済活動の目的として、(1)気候変動の緩和、(2)気候変動への適応、(3)水・海洋資源の持続可能な利用と保護、(4)循環型経済への移行、(5)汚染の予防と管理、(6)生物多様性とエコシステムの保護・再生の6類型を規定している(2020年6月30日記事参照)。それぞれの目的に沿った経済活動を明示した詳細なリスト(グリーン・リスト)を委任規則によって定めており、2021年4月に第1弾として、気候変動の緩和と気候変動への適応をカバーする委任規則を公表(2021年4月22日記事参照)し、1月1日から適用が開始されています。

原発は温暖化防止対策にはならない

原発は、ウランの採掘から原発の運転、廃炉に至るまで、放射性廃棄物を生み出し、環境中に放射性物質を出し続け、持続可能性や環境保全とは真逆のものです。しかも、原発の建設から廃炉や、ウラン鉱石の採掘から濃縮に、使用済み核燃料の保管まで莫大な石油などの化石燃料を使わなければ動かすことができないのです。原発を進めている国では使用済み核燃料を地下に埋設処分することを進めていますが、計画が進んでいるのはフィンランドのオンカロだけです。そこでも地下通路には水が染み出ているそうなのです。そんなところに埋め捨てたら、地殻変動で高レベルの放射能が地上に染み出てくることが、絶対ないとどうして保証できるでしょうか。もし、安全に保管しようとするなら、それこそ原発で発電した何十倍や何百倍ものエネルギーを使わなければ安全には保管できないのです。ですから原発がCO2を出さないというのは真っ赤な嘘なのです。
しかも、地下に埋め捨てるというのは、あくまでも事故がないという前提での話です。チェルノブイリも福島原発も事故を起こした原発を安全に元通りにすることなど出来っこないのです。
東京新聞3月23日号」によると「東京電力福島第一原発事故から10年間で、廃炉作業や被災者への損害賠償、汚染地域の除染といった事故処理にかかった費用は少なくとも13.3兆円に上ることが本紙の取材で分かった。政府は処理費を総額21.5兆円と見込むが、廃炉作業などが難航し、想定を上回る可能性が濃厚。」とあります。しかし、メルトダウンした核物質はまだ一片も取り出されてはいません。これから何十年と取り組んでも不可能でしょう。不可能でも東電はやり続けることでしょうが、諦めるまでには100兆円以上使うことでしょう。そのためには福島原発1号から6号が生み出した電力の何百倍どころか何万倍ものお金とCO2を出し続けるのです。これまでに1979年のスリーマイル島原発や1986年のチェルノブイリ原発に2011年の福島と3回の大事故を起こしました。僅か32年に3回の大事故です。ということは世界中に400機もある原発が10年から少なくとも20年に1回は大事故を起こすことでしょう。そのたびに国家が滅びるほどの大被害を被るのです。ですから正しい選択は脱原発しかありえないのです。
しかも地殻変動の少ないアメリカ大陸やユーラシア大陸ならまだしも、地殻変動の激しいプレート境界線の我が日本列島で原発を動かすなんて狂気です。

小型モジュール炉でも原子力産業は生き残れない

小型原子炉とは現在商用化している出力100万キロワット級の原子炉に比べて出力が小さくて、工場で原子炉本体を作って、何本もの原子炉を集合させて動かすもの。 従来の原子炉よりも構造が簡素で発電規模も小さく、理論上はメルトダウンしにくいと言われているのですが、最大の欠点が1機が10~30万キロワットしかないので建設コストが割高になることだと言われています。
そのような小型モジュール炉を日本の日立と米国ゼネラルエレクトリックの合弁会社はカナダに建設しようとしています。また、昨年10月、フランスのマクロン大統領はフランスは原子力開発から撤退はしないと表明し、今後2030年までに10億ユーロ(約1300億円)を投資して小型モジュール炉を開発すると表明しました。小型モジュール炉の開発によって、フランス政府が最大の株主の原子力発電会社アレバを再建させようとしているのです。アレバはフランス政府が株の45%を保有し、アレバSAが40%、三菱重工が5%日本原燃が5%など、日本企業も投資をしている半官半民の原子力企業です。ところが2000年代から建設が始まったフィンランドのオルキルオト原子力発電所3号機の建設が度重なる安全対策などの設計変更で完成が遅れに遅れて、それに伴う訴訟の影響で建設費用が膨らみ、多額の赤字を出すようになり、2014年度に約50億ユーロの損失に陥り、アレバは倒産の危機に直面したのです。現在、フランス政府により再建中で、マクロン大統領は小型モジュール炉によってアレバの再建・復活を夢見ているのでしょう。
しかし、発電コストを下げるために原子炉の大型化を進めたものが、小型化すればするほど発電コストはアップするわけですから、太陽光発電などとの価格競争に太刀打ちできるわけはなのです。

ドイツ新政府がEUを脱原発に導く

メルケル政権は2021年12月31日に3機の原発を止めました。ドイツの3党連立新政権(社会民主党・緑の党・自由民主党)も残る3機を今年中に停止させると明言しています。しかし、核兵器を保有するフランスは核兵器開発の原子力産業を支えるために、原発を動かそうと必死です。EUといっても、決して一本にまとまっているわけではありません。それぞれに駆け引きが行われていますが、ドイツ緑の党の強い姿勢から、ドイツが方向転換することは考えらえれないでしょう。なぜなら脱原発と再エネ・EVはCO2削減による温暖化対策だけではなく、21世紀の国際成長戦争なのです。特に中国と西側諸国との激しい競争がここ10年で決定的な勝負がつくでしょう。「グリーンニューディール」を進める米国とEUはEVや再エネ普及によって、ますます石炭火力と原発の発電コストが再エネよりも高くなり、石炭も原発も経済合理性がなくなってくるのです。
全世界で繰り広げられているEVとバッテリー開発と再エネ競争によって、電力のイノベーションが加速して、エネルギー革命がすぐ目の前まで来ているのです。しかし、その勝者が誰なのかはまだ分かりません。中国か米国か。日本のトヨタは生き残れるのか。これは日本の若者の雇用を守るという意味でも重要な国際競争なのです。
そんな、日本の産業界が生きるか死ぬかの国際的な産業競争時に、呑気に核武装と原発再稼働を夢見る安倍晋三の仲間みたいな能天気な人たちに次の時代を任せるわけにはいかないのです。


by nonukes | 2022-01-23 22:41 | 原発再稼働は許さない | Comments(0)