2021年 11月 05日
立民の敗北は野党共闘が原因ではない
枝野氏の野党共闘への本気度が足りなかったり…
小坂正則
枝野さんご苦労さま。そしてこれからも一緒に日本国憲法を守ろう
4年前の「国難突破選挙」は北朝鮮のミサイル発射を利用してNHKのテレビが連日Jアラートを流しながら国民に「日本は北朝鮮に攻撃される危険性がある」と洗脳しました。ですから「国難突破」選挙は自民党が圧勝したのです。そして今度の選挙はどう考えても、4年前に圧勝した自民党の水膨れした安倍チルドレンの少なくとも50名以上は落選するとマスコミは予想していました。そして、その分は立民の議席が増えると考えていたのですが、投票箱の蓋を開けて見たら、何と自民党は15席しか減っていませんでした。それに公明党は3議席増で、維新は11議席から41議席と約4倍増です。国民民主党も8名から11名と3名増。れいわも3名の議席を確保しました。減ったのは立憲民主党が14議席減で、共産党は2議席減でした。私は立憲と共産党と社民党とれいわ新選組の山本太郎が加わった4野党共闘で、小選挙区で自民党の議席を野党が奪還できるのではないかという期待して、31日の投開票日には選挙速報にかじりついていたのですが、立民の1人負けで、自民と立民などの減った議員は30議席増の維新に行ったのです。
また連合新会長の芳野氏は総選挙後に、「立民と共産との野党共闘で連合の組合員の票が行き場を失った」といい、「今後共産党との連携は認めるわけにはいかない」と公言していますが、確かに連合の一部の票は維新に行ったことは間違いないでしょうが、もし立民が野党共闘をやっていなかったら、もっと多くの落選者を出していたことでしょう。ですからこの野党共闘は決して無駄ではなかったのです。
むしろ連合を気遣って、「脱原発」や「野党共闘」を明確に出せなかったり、曖昧だったりしたことがの若者や女性の心を掴めなかったのではないでしょう。
そして、立民の敗北の最大の原因は投票率を上げきれなかったことです。それはもちろん立民だけの責任ではありませんが、共産党との共闘で離れていく有権者はいたとしても、それを上回る投票を棄権する有権者に投票所へ行かせるためのアピールが不足したのです。
今回の選挙は改憲派と改憲反対派のたたかい
「この選挙は改憲派と改憲反対派のたたかいだった」と選挙後に言ったのは元文科省事務次官の前川喜平さんです。また彼は、「維新を第三極と呼ぶべきではない。新自由主義と国家主義の最右翼ではないか」とか「立憲民主党の次期代表候補だったはずの辻元清美氏が落選したのは、返すがえすも残念だ」とも言っています。そして「政治家には言えないから僕が言うが、日本の有権者はかなり愚かだ」とも。今回の選挙は自公と維新に国民の改憲派と立民と共産や社民にれいわの立憲主義野党との戦に私たちは負けたのです。
自公に維新、国民らの憲法改正賛成派の議席を合わせると345議席で、憲法改正発議の2/3議席310議席を大幅に上回る議席数となったのです。そして、維新の大阪市長、松井代表は8か月後の参院選と同時に憲法改正の国民投票を行えばいいと記者会見でぶち上げていました。昨日には国民民主の玉木雄一郎代表は、国会での野党協議から離脱すると発表。維新と会派を組むのではないかと言われています。維新や国民の次の狙いは、立憲民主党を来年の参院選でずたずたに切り裂いて、野党は共産党とミニ政党だけという状況を作り出そうとしているのです。
吉村大阪府知事のやってる振りに有権者は騙された
投票日から翌日には枝野幸男代表は辞任を表明。国会開催の9日の総理の選出後に辞任して、年内に代表選を行うことになりそうです。そして何よりもショックなのが立民の大阪10区の辻本清美氏の落選です。しかも維新の新人に1万6千票もの差で負けたのです。この差を作り出したものは一体何だったのでしょうか。
維新によって保健所と公立病院を潰した結果、コロナ患者の死亡率が日本一高かかった大阪で、維新はコロナ対策にことごとく失敗を繰り返したのです。そしてコロナ陽性者を「自宅放置」して、多数の死者を出したにもかかわらず、連日夕方民放各社を回って、生番組で府民に「自粛要請」を呼びかける吉村大阪知事のやってる振りが府民の主婦層に「吉村知事がかわいそう」と維新の支持率を上げたのです。また、それがテレビの視聴率を取って、大阪の民放各局は、夕方のお茶の間に垂れ流した吉村の必死を装う映像が全国に流れた結果、政治に無関心な有権者は「改革の維新」という雰囲気に騙されて維新に投票したのでしょう。
そして、確かにコロナ対策に失敗した自民党に投票したくないという保守層の多くが立民にではなく、維新に入れたのでしょう。枝野氏には小池と吉村によるテレビジャックには手も足も出しようがありませんでした。はやり地方自治体でも取っている政党は有利です。テレビジャックができるからです。自民党の総裁選の過熱振りは異常でした。NHKは連日公共の電波を使って自民党の総選挙の宣伝を行ったのです。だから野党はどうしても国政選挙には絶対的に不利なのです。
立民は連合を気にして「野党共闘」が消極的だったり比例票を逃したり様々な要因が重なって…
今回の総選挙に対して自公は選挙中から「今回の選挙は体制選択選挙だ」といい、「自由と民主主義を選ぶのか、立民共産党の共産主義容認体制を選ぶのか」と、言って立民攻撃を繰り広げました。それに選挙後マスコミはこぞって「野党共闘は失敗だった」とまくし立てています。果たしてそうだったのでしょうか。今回の4野党による野党共闘は289小選挙中の217選挙区で実現。結果は62人の当選となったのです。しかも、自民候補に1万票以内に迫った選挙区が32もあったのです。もし、今回の選挙で立民が共産党との候補調整をしていなかったら、62人の大半が落選していたかもしれないのです。
また、野党共闘を批判するのは立民を中心とした野党ではありません。批判するのは「野党共闘」を面白く思っていない、御用マスコミと自公と維新と国民民主などに自民党を応援する電力総連や鉄鋼など組合の体をないていない、連合内の御用組合連の連中です。
しかし、枝野立民は中途半端な立ち位置で、連合にはいい顔をして、共産党とはあまり近づきす過ぎないような立ち位置で選挙に臨んだから負けたのです。
立憲民主党はリベラル保守として、小沢一郎氏や中村喜四郎氏に岡田克也氏などの長老がいます。彼らの保守票の票集め役として働いてもらいながら、ジェンダー平等の観点から女性幹部全面に出して、夫婦別姓制度の導入など、リベラルさを十分発揮しながら野党共闘を続けるべきだったのです。立民と共産党は政策的には似たところが多いですし、自公の横暴な国会運営に対しても共産党と連携するのは当たり前です。ですから「野党共闘」を今後も積極的に進めるべきなのです。
山本太郎氏の掲げる「消費税ゼロ」はあり得ない
れいわ新選組の山本太郎氏は選挙後の会見で、「インボイス廃止、消費税ゼロで共闘できるよう、話し合っていきたい」と語り、実質的に次の参院選では「消費税5%ではだめで消費税撤廃を条件」に立憲や共産党との選挙協議で求めることでしょう。そうすると「れいわ新選組」は左から立民を攻撃する勢力となり得るのです。むしろ維新との共闘もあり得るかもしれません。
「れいわ」がどう主張しようとも、消費税廃止などはあり得ません。現実として消費税が国税の半分近くを占めていて、社会保障の多くを担っている現状で、それに代わる財源をどう確保するのかということを説明できないですよね。現代貨幣理論(MMT)の支持者は、「自国通貨を持っている国は財源は赤字国債をバンバン刷ったらいい」という無責任な政策を振り撒いているのです。今日の国税の財源は現行の消費税の国民全員の負担にプラスして、法人税の累進税率徴収と金融商品への総合課税と所得税の累進率強化で賄うべきなのです。消費税の間接税は生活弱者へのしわ寄せが大きいという問題に対しては、所得の少ない非正規労働者やシングルマザーなどの生活困窮者への直接現金給付という形で救済すべきです。
野党共闘と市民の国民運動で改憲阻止と参院選へ
立民は議員党員中心で、一般党員がほとんどいません。だから党の足腰といわれる、実働部隊がいないため、ビラ配りやポスター貼りなどを行うボランティアの運動員がいないのです。これまでの民主党や民進党は、足腰の部分を連合の組合員に担ってもらっていたので、連合に頭が上がらなかったのです。次の参院選までに足腰を強くすることはできないかもしれませんが、立民は若者の支持を得るために積極的に若者に働きかけて、立憲主義を支持する市民との政治課題への連携を強め、地域の住民に信頼される政党をめざして、開かれた市民政党になるように全国の立民の市議や県議なども含めて国会議員は組織拡大に奮闘すべきです。
そして今度こそ、野党共闘で自公と維新の暴走を止めるために、普段投票に行かない有権者に憲法9条の改憲を阻止して、緊急事態条項などを許さないためにあなたも今度こそ投票所に行こうという呼びかける、国民運動を幅広く呼び掛けて投票率を大幅に上げるのです。
それこそ創価学会婦人部や生長の家などの宗教者とも連携して、平和憲法を守る国民運動を全国規模で作るのです。そして公明党への切り崩しだって試みるべきでしょう。すべてのたたかいは平和憲法を守るためです。改憲派の国会発議を阻止するために、共産党や社民党にれいわも含めた改憲阻止の国民運動を組織して、憲法改悪させないたたかいと参院選をリンクしてたたかうのです。
by nonukes
| 2021-11-05 23:26
| 小坂農園 薪ストーブ物語
|
Comments(0)