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小坂正則の個人ブログ

「パリ協定」の温暖化ガス削減目標では不十分

国連環境計画の報告書
パリ協定のCO削減達成でも今世紀末に2.7度気温上昇


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ノルウェ―の化石燃料自動車の販売実績2022年の4月には販売終了の予定



「パリ協定」の削減目標では不十分

10月31日からイギリスのグラスゴーで始まった「国連気候変動枠組み条約締約国会議」(COP26)の前に国連の環境計画(UNEP)は10月26日、各国が定めた温室効果ガスの削減目標を達成しても、今世紀末には産業革命前から気温が2.7度上がるとする報告書「ギャップリポート」を公表。この報告書によると、「9月末までに更新された目標を達成すれば30年時点で従来より7.5%減るが、それでも現在の排出量とほぼ変わらない。温暖化予測の気候モデルで計算すると今世紀末の気温上昇は2.7度になるというのです。

実際にはどれだけ削減すればいいのか

「パリ協定」では各国の2030年の二酸化炭素削減目標が掲げられていますが、今世紀末に15度上昇の目標達成には、排出を30年に45%(10年比)減、50年までに実質ゼロにすることが求められています。EUは2030年までに1990年比で温室効果ガスの排出量55%削減目標を掲げて、先進国を中心に2050年に排出ゼロを宣言する動きが広まっていますが、実現に向けた計画は漠然としていて、最大の排出国である中国や4番目のロシア、産油国のサウジアラビアなどは実質ゼロにする目標年を60年や70年としています。また、これはあくまでも自主的な目標であり、罰則などはありません。
日本政府は菅政権下で、当初2030年削減目標を2013年比26%だったのを46%とし、2050年実質ゼロと、削減目標を引き上げたのはいいのですが、その過程の具体的なロードマップは何も作られていません。また原子力の20~22%活用など困難な目標を掲げたり、石炭火力発電の占める割合を全電力の32%から30年度には19%の目標を掲げているのですが、EUなどから全廃を求めて集中攻撃を受けるでしょう。

日本の温暖化対策は時代に逆行している

実際にグラスゴーのCOP26に参加した岸田首相は現地時間の2日に3分間のスピーチをしましたが、具体的な取り組みなどの話はなくて、石炭火力の全廃をめざさないことにNGOは日本政府に2回目の「化石賞」を贈ると発表しました。日本政府の温暖化対策は、地震国の日本で地中にCO2を埋めて保管するというばかげたことを本気でやろうとしているのです。地震で地中の岩盤に亀裂が入って漏れ出すのは火を見るよりも明らかです。それと原子力と石炭火力にアンモニアを混ぜて燃焼させて二酸化炭素を減らすことや、高効率の石炭コンバイン発電でCO2を20%減すことができると言うのですが、そもそも先進各国は石炭火力の全廃を求めているのに、日本政府は一向にゼロを目指そうとはしないから「化石賞」を受賞するのです。
イギリスは2025年までに石炭火力を全廃。ドイツは2035年に全廃を掲げています。
この報告書で、日本を含む49カ国と欧州連合(EU)は、将来的に温室効果ガスを実質ゼロにする目標を掲げていますが、達成できた場合でも今世紀末には報告書の2.7度から0.5度は下がって、気温上昇は2.2度に収まる可能性はあると話しています。ただ、目標は漠然としているとし、アンダーセン事務局長は「各国は実質ゼロに向けた誓約をもっと具体的にして、削減目標に盛り込み、行動を前に進める必要がある」と指摘しています。
実際の削減目標は1990年比50%以上で、2050年には実質排出ゼロを完全に実現できなければ今世紀末に1.5度どころか、2.2度の気温上昇に抑えることも難しいでしょう。

グレタの発言は対立を煽るだけで対案がない?

今度の総選挙で麻生太郎は「北海道のコメがおいしくなったのは温暖化の御かげ」などと、温暖化を賛美するような発言を北海道で行いまいました。米国のトランプ元大統領や日本の政治家や起業家は目先の売り上げや景気には敏感ですが「温暖化」に対して懐疑的であったり無関心の者が多いのです。
ですから、「温暖化で不利益を被るのは私たち若者だ」とか「私たち若者の未来を奪わないで」と言って、いま世界中で多くの若者が「気候変動危機」に立ち上がっているのです。
知識人や文化人と称する評論家や学者などはグレタ・トンベリーの発言を批判していますが、その1人である、真山仁氏(小説家)は2020年6月16日の朝日新聞で「グレタの発言は批判を煽るだけで対案がない」とか「彼女はCO2の排出を抑えるためにガソリン車を止めて全て電気自動車に代え、飛行機も利用せず、可能な限り電車で移動するなどは一見対案のように見えるが彼女の求めいるCO2削減なんて到底無理だ」「彼女の批判には現実性がない」と言い、グレタの対案を実現するためには「原子力発電をふやすことしかない」と、無理やり原発を代替案として持ち込もうとします。「このままでは結果として原発推進が進むのは避けられなくなる」として、真山仁氏は「自分には対案がある。それは地熱発電だ」と言うのです。私も地熱発電を否定はしませんが、その前に発電単価が安いものに風力や太陽光にバイオマスなどがあるのです。

次世代の主役が決まったら世界中で一気に普及する

つまり大人と称する人たちは、可能性にかけるのではなく、できない理由を「ああでもない。こうでもない」と御託をべ立てて、努力をしようとしないだけの「言い訳人間」たちなのです。それは政治家にはもっと顕著に言えます。日本の重厚長大企業(三菱や日立や鉄鋼など)の経営者たちは「再エネなんて割高でコストに見合うまでは長い時間がかかる」と、自分に言い聞かせて、原子力発電や石炭火力発電にしがみ付いて世界から取り残されてしまうのです。その政治家版が自民党の原発族や石炭族です。彼らは「再エネは不安定で割高」と、今でもそう思っているのでしょうか。それなら自民党の甘利や安倍や高市たち原発族はバカか勉強を一切しない政治家劣等生です。
ここにその証拠があります。EUは2035年化石燃料車販売禁止を決めていますが、米国カリフォルニアを含む12州も2035年化石燃料車販売禁止を打ち出しています。ハイブリッドも販売できません。そして、ノルウェ―はEUよりも10年早く、2025年には化石燃料車の禁止を打ち出したのですが、何と今年にはガソリン車などの販売が10%を切ったそうで、半年後には化石燃料の新車は販売終了する勢いなんだそうです。つまり、私は何を言いたいかというと、将来の方向性が決まったら、産業界も個客も一気にその方向へ集中周十倍もするということなのです。そしてそれへの加速化は計画よりも数倍も数十倍も早く達成されるということなのです。太陽光発電は今日のようなコストが90%以上安くなるのに20年も30年もかかりましたが、一定の技術がほとんど完成している自動車のガソリンからEVに切り替えるには、技術的な壁はほとんどありません。社会がこれで進むと決めれば、一斉にその方向に進むのです。そして、大量生産化が実現するとEVのバッテリーやコストは安くなり、安くなれば加速的に販売も増えるのです。
これはパソコン高性能化と低価格化でも証明された現象です。今頃、今後10年かけて高性能のエンジン開発を行うと決めた日産は自殺行為としか言いようがありません。ホンダは2025年にはエンジン部品工場を閉鎖し、2040年にはエンジン車全廃を発表しています。私の一番の心配は、トヨタがEV化に乗り遅れて倒産するのではないかということです。部品メーカーをたくさん抱えているトヨタの苦悩は分かるのですが、恐竜が絶滅したような目に合うのではないでしょうか。

「国益や企業利益の交渉には任せられない」と、立ち上がった若者に続こう

 2017年の8月にスウェーデンのグレタトンベリーが15歳で、国会前に毎週金曜日に「気候のための学校ストライキ」という看板を掲げて、ひとりで座り込みをして4年が経ちました。いま彼女は19歳です。その彼女が撒いた種はしっかり芽を出して、世界中の若者を大人の言うことを聞かない「物分かりの悪い若者」に変えました。「君たちはしっかり勉強して大人になったら社会の仕組みが分かるよ」とか「子どもたちの将来のためにいまは我慢の時なんだよ」とか、「家では優しい大人たちが、一歩社会に出たら自分を殺して長いものに巻かれて、会社や上司の言いなりになる」という大人たちを彼らは乗り越えたのです。
 トンベリーはアスペルガーの発達障害をもっている女性です。だから、人への忖度や人との協調が苦手です。だからこそ、場の空気を読まない彼女だからこそ、大人の言いなりにはならなかったのです。
 彼女たちは「大人たちは嘘つきで、私たち若者の未来を奪っている」と訴えています。なぜなら各国は自国の利害や企業の利益を優先して、できるだけ犠牲を少なくするための交渉ごとで、何とか逃げ切ろうとしているのです。だから大人たちや政治家は、やろうと思えばできることでも自分から進んでやろうとはしないのです。だから彼女はできることの最大限のCO2削減を先進国は率先してやるように要求しているのです。
 また、彼女の論理は決して幼稚でも現実離れをした空論でもありません。彼女は「地球温暖化」のことだけで騒いでいるのではありません。「グレタ・トゥンベリさんは、炭素排出、感染症流行、動物の苦しみという3つの問題を解決するため、世界的な食品生産と消費のあり方の変革に照準を合わせる姿勢を表明した」と2021年5月24日のロイターの記事があります。それによると、(以下転載)

人類が植物由来の食事でCOを年間80億トン削減可能

 農業が環境に与える影響や、新型コロナウイルスなど動物が発生源とされる感染症の拡大は、食品生産の変革によって軽減されると表明。「われわれと自然の関係は壊れてしまったが、関係は変革できる」と訴えた。
 これまでグレタさんは政策当局者や化石燃料からの炭素排出に怒りを向けるのが常で、農業に焦点を合わせ、気候変動と感染症流行を結びつける発想は新しい。
 グレタさんは、「気候、生態系、健康の危機は、全て関連し合っている」と指摘。動物から人間への感染は飼育方法が原因とし、植物性食品を中心とした食事に移行することにより年間最大80億トンの二酸化炭素排出が削減できる可能性があると付け加えた。
 世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルスがコウモリから他の動物を介して人間に感染した可能性が高いとしている。また、1990年から2004年に発生した感染症のうち60%は動物が感染源との報告もある。
 一方、健康や環境への配慮から代替肉への需要が世界的に高まっており、20社以上が同分野への参入に向けて実験室で魚や牛肉、鶏肉の試験生産を行っている。バークレイズ証券によると、代替肉市場は29年までに1400億ドルの規模になる見通し。
 動画の中でグレタさんは、「今の食料生産のやり方を続ければ、大半の野生動植物の生息地を破壊することになり、無数の種を絶滅させるだろう」と続け、「気候危機の元凶といえば、もちろん化石燃料企業が思い浮かぶが、農業や土地の使用による二酸化炭素(CO2)排出量を合計すると、全体の約4分の1になる。これは大きい」と述べた。「私たちが植物由来の食事に変えれば、二酸化炭素の排出量を毎年最大で80億トン削減できるだろう」 (AFP)(ここまで引用)
 彼女の論文を別ページに掲載していますが、彼女は「気候変動」だけを訴えるヒステリックな少女などではありません。彼女は若くしてしっかり問題の本質を見極める目を持った科学者です。1年間で4千種の動植物が絶滅している地球の環境破壊に対しても声を上げています。地球の危機は温暖化と森林伐採による動植物の絶滅の危機とプラスチックなどによる海洋汚染など、様々な地球環境の危機に地球は見舞われているのです。そのどれを取っても重要な課題です。私たちもグレタのように目をそらさず、しっかりと直視して一緒に考え行動しよう。
人々が不可能とか夢だと思っていたことも、人々が可能かもしれないと思った時から、それは夢ではなくなり現実へと一歩近づくのです。
私たちは「空論だ」とか「現実性がない」と言って、若者の思いや夢を切り捨てたりしないで、彼らの話をしっかり聞いて、そこから地球の危機を救うために若者と一緒に立ち上がろうではありませんか。





by nonukes | 2021-11-03 17:06 | 小坂農園 薪ストーブ物語 | Comments(0)

  小坂正則

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