2021年 07月 18日
2年前の7月15日の参院選安倍演説で「安倍やめろ」と声を上げた若者の今は!?
彼らは北海道警察に対し、国家賠償訴訟を起してたたかい続けています
小坂正則
北海道警察による言論弾圧事件へのたたかいは終わっていない
7月17日に北海道放送の約8分弱の特集番組が放映されました。その特集番組はツイッターで発信されていました。この事件は安倍晋三元首相が参院選の応援で北海道札幌市で演説している時に若者が「安倍やめろ」というやじを発したら、道警の刑事が若者を取り囲んで排除した事件です。そのほかにも当日には9名の市民を排除したのです。そしてそれから2年後の今、この若者や当時の女子学生が「今どのような生き方をしているか」を伝える番組です。昨今のテレビはNHKを筆頭に、民放のキー局TBSからテレ朝まで政権を忖度する御用放送化している中で、北海道放送はジャーナリズムとして政権との一定の距離を取って、権力の監視の役目をきちんと果たしている貴重な地方放送局のようです。
その証拠に昨年の4月26日に『ヤジと民主主義~小さな自由が排除された先に~』という45分番組を放送しています。HBC北海道放送の「権力による市民の声への弾圧」(下で視聴できます)は決して許さないという強い信念を感じます。
2019年7月15日北海道警による市民言論弾圧事件とは
参院選後半の7月15日4時40分ごろ札幌で行われた安倍首相の選挙演説に1人の男性が「安倍やめろ・安倍帰れ」というヤジったと同時に複数の制服警官と私服刑事が男性を取り囲んで、そのまま演説会場の札幌駅前から暴力的に連れ去られました。その数分後には、同じ会場で、「増税反対」と叫んだ女子学生も、警官に取り囲まれ、腕をつかまれて1時間30分以上理由も言わずに不当に拘束されたのです。
道警は朝日新聞の取材に「トラブル防止と、公職選挙法の『選挙の自由妨害』違反になるおそれがある事案について、警察官が声かけした」と説明していたのです。では公職選挙法の「選挙妨害」とはどんな行為を指すのでしょうか。公選法225条に「交通若しくは集会の便を妨げ、演説を妨害し、又は文書図画を毀棄し、その他偽計詐術等不正の方法をもつて選挙の自由を妨害したとき」と定められている。選挙の「演説妨害」について、1948年の最高裁判決は「聴衆がこれを聞き取ることを不可能または困難ならしめるような所為」としています。ですから、最高裁判例から見ても1人の人間がヤジを飛ばしたことで演説ができなくなったわけでもありませんのでこの判例も馴染みません。
また、警察官が「犯罪の抑制」のために被疑者を拘束する場合は「人の生命若しくは身体に危険が及び、又は財産に重大な損害を受ける虞(おそれ)があって急を要する場合」が条件とされています。この現場にはそんな状況があったとはとても思われません。ですからこの拘束事件は全く法令に反する違法な市民への弾圧だというしか言いようがないのです。
朝日新聞7月17日号で、松宮孝明・立命館大法科大学院教授(刑法)は警察官の行為について「刑法の特別公務員職権乱用罪にあたる可能性もある」と指摘。
その後、声を上げた大杉さんらは、「表現の自由を奪われ、精神的苦痛を受けた」などとして、北海道庁を相手に損害賠償訴訟を起こして、今日まで裁判闘争をたたかっているのです。
「生き方が変わった」という、声を上げた女子学生
当時最初に排除された大杉雅栄さんは最初から顔も名前も出して、マスコミなどの取材も受けていました。当時、女子学生のAさんは名前などは出していなかったと思いますが、この番組では顔も名前も出してインタビューに答えています。彼女はその後「この左翼活動家どもが」「ヤジを飛ばす場所じゃねえんだよ。人間やめろ」とSNS上で、ひどいバッシングや嫌がらせなどを受けたそうです。
Aさんは「声を上げた時は、世界で私だけおかしい人なのかなと不安があったんですけれど、おかしいよねと言ってくれる人も結構いるので心強い」と番組で話しています。
ヤジ排除に抗議するAさんらへの理解や支援の輪が広がり、「社会変えるために動くぞと決心するきっかけになった出来事かなと思いますね」(警察に排除されたAさん)と。
コロナ禍で広がる「自粛警察」や「感染者たたき」。異論を排除する風潮は、ますます強くなっているとAさんは危惧します。「いやー悪くなってるんじゃないかなと思います。コロナとかもあるので。(表現の)手段が奪われている感じはしますね」「お互いの存在というか、いろんな声があることを認めあえる社会がいいですね」とAさん。
Aさんは「去年、札幌の労働組合に就職。パワハラや違法残業などに苦しみながら、立場が弱く、声をあげられない人が多くいることに気が付きました。Aさんは2年前の自分の姿と重ね合わせる」と話しています。
国会で118回ウソをつき、日本の民主主義を破壊し尽くした安倍晋三
コロナ禍で「マスク警察」や「自粛警察」など市民があたかも警察官になったかのように市民の行動を監視する風潮が蔓延しています。それは戦前の軍国主義国家日本のような息苦しい国になりつつあります。そんな暗黒社会へと導いた張本人は8年余り続いた安倍政権の仕業です。
昨年まで8年間余り続いた安倍政権によって、日本国憲法と日本経済をボロボロに破壊されて、日本国は政治も経済も三流国へと落ちぶれてしまいました。それは国民の基本的人権や平憲法を破壊するための「特定秘密保護法」「共謀罪法」や解釈改憲による「集団的自衛権」の行使を可能とする「安全保障関連法」と失われた20年とも30年とも言われる日本のマイナス経済成長に陥れたインチキ「アベノミクス」によって完成させられたのです。しかも、日本のマスコミはどれも政権を忖度してNHKなどのように御用放送や御用新聞と化して、世界180か国の「報道の自由ランキング」が民主党政権時代の2011年は世界11位だったのが、2021年には世界67位へと急降下したのにも表れています。それだけではありません。政権による人事権の官邸支配が進んだ結果、官僚の忖度政治が進んで、モノ言う官僚は左遷されるか、退職してしまって、残った官僚はカスばっかりなのです。その代表格が「森友事件の公文書改ざん」で赤木俊夫さんを自殺に追いやった元税務省理財局長の佐川宣寿でしょう。こんな官僚だらけで日本が先進国と言えるわけはありません。
なにせ「森友・加計事件」や「桜を見る会」で日本の最高の言論の府である国会で「桜を見る会」だけでも118回も嘘の証言を繰り返した安倍晋三こそ、日本の国際的な信用も経済も言論の府である国会審議も破壊し尽くした極悪非道な犯罪者の張本人です。
憲法の表現の自由は、あなたが声を上げて初めて体現できる
香港の民主主義は中国共産党の習近平によって、ボロボロに破壊されてしまいました。米国の民主主義もフェイクニュースで国民を騙すトランプを米国人の良心によって、破壊寸前に踏みとどまらせることができました。日本国の民主主義も経済もボロボロに破壊した嘘つき安倍晋三の後に政権を取った、菅義偉も、安倍に輪をかけたような強権主義者です。自分に異を唱える者はバッサリ切り捨てられるので、政治家も官僚も菅に異を唱える者は誰もいません。だから、自粛を守らない居酒屋へ金融機関と酒卸に脅させるというような違法な手段を強行したのです。まともな官僚なら「これは違法性が高い」と思っていても、誰も菅に「おかしい」とは言えなかったのでしょう。
言論の自由も表現の自由も国民の「基本的人権」は、ただ憲法の条文に書いてあるから守られるのではありません。国民はその権利を行使しなければ、「基本的人権」はただ絵にかいた餅でしかありません。「日本は中国とは違って言論の自由がある」と漠然と思っているだけではあなたには自由はありません。警察や政府など国家権力が、私たちの自由を奪おうとする敵対者と対峙して初めて自由は自らのものとして体現できるのです。北海道の元女学生が警察と対峙して気づいたように。
最後にイェーリングの『権利のための闘争』によると
ドイツの法学者イェーリングが1872年に出版した『権利のための闘争』によると、「世界中のすべての権利=法は闘い取られたものである。重要な法はすべてこれに逆らう者から闘い取られねばならなかった。私たちは自分の権利を明らかに侵害されたとき、それに対して抵抗しなければならない。個人または国家であれ、権利侵害に対する抵抗は、私たち1人ひとりの義務なのだ」とイェーリングは言っています。私はこの言葉は近代市民社会に生きる、私たちの原理論だと思います。
by nonukes
| 2021-07-18 17:07
| 小坂農園 薪ストーブ物語
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