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小坂正則の個人ブログ

バイデン大統領誕生で米国はグリーンリカバリー国家へ180度転換へ


世界中で再エネ社会への激しい競争が始まる
小坂正則

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環境政策を4年間止めた悪夢のトランプ政権

悪夢の安倍政権がこの夏にあっけなく終わりましたが、そのあとに誕生した菅政権は、ある意味もっと質の悪い政権の様相を呈しています。佐高信さんがデモクラシータイムズで「安倍政権はやくざのような政権でしたが、次の菅政権は、やくざよりもある意味もっと質の悪い半ぐれ政権」と話していました。まあ、私に言わせればどちらも「目くそ鼻くそ政権」という感じがしますが、「日本学術会議」の6名の任命拒否によって、国会では野党の追及に菅首相は任命拒否の理由を「総合的俯瞰的」から「多様性を重視した」とか「若者が少ない」や「10億円も使う国の組織が既得権益を得ているから」だとか、など二転三転のしどろもどろでグタグタの言い訳に終始しています。
菅政権は出だしこそ、「パンケーキおじさん」とか「苦労人」とか「国民のために働く内閣」とか言って、ハンコをやめるだの「デジタル庁」設置などマスコミを賑わせていましたが、今日ではコロナの第三波と「学術会議の任命拒否」しか菅政権の話題はないほどのボロボロです。まあ、コロナ第三波は直接政権に責任があるわけではないでしょうが。
しかし、それにしてもこの1週間は「米国大統領選挙」に世界中が一喜一憂したことでしょう。まさか、トランプが今後4年間、米国の大統領を続けるなんてことはないことを祈っていましたが、土壇場でかろうじて「世界最大の悪夢のトランプ政権」に終止符を米国民は打ってくれました。
トランプ政権の誕生はトランプ個人の個性だけの理由ではないでしょう。フランスでもドイツでも「ネオナチ主義」と言われる民族排外主義政党が誕生して一定の支持を得ています。ブラジルのトランプと称される、ボルソナーロ大統領の誕生やフィリピンのドゥテルテ大統領もフィリピンのトランプと称される独裁者です。世界中で経済成長が止まって、格差が広がれば民主主義を否定する独裁者的な大統領や首相が誕生するのは必然的なことなのでしょう。ある意味安倍政権や菅政権が生まれたのも日本の経済成長が止まって、格差が広がったことで、「民主主義などと言って国会がまどろっこしい議論ばかりやって、野党は政府の足を引っ張るだけだから決められないのだ」とか「議会がグダグダ言っても、議会を無視してリーダーが強権を発令して素早く決めればいいのだ」という風潮が世界中で蔓延しているのでしょう。ですからトランプも歴史の副産物なのかもしれません。
まだまだ、トランプは敗戦を認めず、悪あがきをして、バイデン大統領の就任に妨害をしていますが、国際世論から集中砲火を浴びて、トランプの時代に終止符が打たれることでしょう。
その予兆としてニューヨーク株式は大幅な株高になっています。それ理由を日本のアナリストは「バイデン政権が実現しても共和党が議会を制覇すれば、議会の反対で大企業への大幅増税はできない可能性があるので、株価が上がった」と説明していました。しかし、今日は日本の株価もニューヨークの株高につられて上がったのですから、その理由は必ずしも当たってはいないと思われるのです。それは以下の理由によるものだと私は考えます。

世界中の「グリーンリカバリー」が株高に反映

今朝のテレ朝「モーニングショー」では「再生可能エネルギー世界からの遅れどうなる」という特集番組を流していました。その内容は、次期バイデン米国大統領が表明している政策の第一は、コロナ対策で、マスクの義務化と定期的に全国民にPCR検査を無料で実施するという政策を発表しています。そして次は「パリ協定」へ米国がすぐに復帰することを表明しています。そして米国は「2050年に二酸化炭素実質ゼロを目指す」と宣言し、4年間で210兆円の予算をかけて「グリーンリカバリー」の再エネ普及政策を行いと表明しています。などの番組の内容でした。それに世界で2番目に二酸化炭素を排出している「中国は2060年には実質二酸化炭素ゼロを目指す」と言い、世界の温暖化対策のリーダーに中国は踊り出ようとしているのですと、説明。
それに対して日本はいまだに原発に依存して、2030年の再エネ普及目標は22~24%という低い目標。EUなどでは40%以上の目標ですと話していたのです。
ドイツを筆頭にEUは「パリ協定」の締結と同時に「グリーンリカバリー」(*注)を積極的に進めると表明しています。特にその内容は、電力の再エネ率を大幅にアップすることや、電気自動車などの環境対応自動車の開発を進めて、「石油で動く自動車の生産を35年から40年には認めない」という政策などをドイツやフランスや英国では打ち出しています。ところが米国政府は「温暖化はフェイクだ」というトランプ大統領によって、石油産業と石炭産業を保護する政策を取ってきました。
そこで、次期大統領のバイデン政権は、トランプによって失われた4年間を取り戻すために、一気に世界をリードする「グリーンリカバリー」政策を取ることでしょう。その表れがここ最近の株高に表れているのではないかと私は考えます。
私は日本の株高は政府による金融政策で作り出した官製株高と思いますし、実際の経済を反映していない株バブルだと考えていますので、株高が決していいことだとは思いませんが、米国の経済政策の影響で日本の株も引きずられて高くなったのだと思います。
ただ、残念ながら日本の株高や日本政府の経済政策や環境対策は決して十分なものではないでしょう。

日本の後ろ向き環境対策が世界から取り残される

120か国が「2050年二酸化炭素実質ゼロ」を表明している中で、遅ればせながら先週、菅政権は日本も「2050年二酸化炭素実質ゼロ」を表明しました。しかし、そのための工程表は何も示していません。ただ示したのは「原発は積極的に利用する」と「旧式の石炭火力は廃止する」などだけです。それでどうして「2050年二酸化炭素実質ゼロ」を実現させるのでしょうか。菅義偉氏は2050年の30年後にはこの世にはいませんから、今30年後の約束をしたって責任を取る必要などありませんから、言いっぱなしでいいのでしょう。でも、目標達成のためには工程表が必要です。それには「1年後にはどこまで、5年後にはどこまで、10年後にはどれだけを達成して20年後にはどれだけ」という具体的なも公表達成表を作って、その都度検証して修正する必要があるのですが、日本政府の2030年の再エネ目標22~24%はすでに今日達成まじかなのです。それに原子力を60年動かしたとしても2030年20~22%目標ですが、実際には15%しか達成できないのです。
じゃあ政府や電力会社肝いりの原発はどうするのか。はっきりさせる必要があるのです。
日本の電力事情の一番の原因は送電線を電力会社が独占していて、新規参入の新電力が公平に使えないことです。現在でも高圧送電線には余裕が十分あるのですが、電力会社は原子力発電所が動き出すことを想定して半分以下しか送電線を開放していません。新電力に自由に送電線を開放したら、その分だけ自社の電気が売れなくなり、自分で自分の首を絞めることになるからです。
もう1つの問題は全力自由化で「発送電分離」を一応実施されたのですが、世界中で行われている、送電線会社を電力会社から完全に別会社にする所有分離ではなく、既存の電力会社の子会社にして、送電線の利用を制限する「法的分離」でごまかしているのです。
この話は別の機会に譲ります。

トヨタは電気自動車競争で生き残れるか

「パリ協定」を支える「グリーンリカバリー」の目玉は再エネ普及と電気自動車です。再エネは温暖化防止のためのエネルギー政策だから分かるけど、何で電気自動車が再エネと関係があるのかと疑問に思う方もいるかもしれません。しかし、再エネと電気自動車は一対なのです。再エネの中心である太陽光発電と風力発電は天候に左右されます。太陽光は夜は発電しませんし、風が吹かなければ風力は発電しません。そのために太陽光などの電力をバッテリーにためておく必要があるのです。電気自動車がその役目を果たすのです。
一般家庭の自家用車の稼働率は僅か3%そこそこです。97%の自家用車は駐車場に停めあられています。そのバッテリーを太陽光のバッテリーとして利用できるのです。
また、再エネでできた電力を電気自動車に利用すれば運転中は二酸化炭素ゼロです。自動車を作るためには多くの二酸化炭素が排出されますが。
ですから、「実質二酸化炭素ゼロ社会」を実現するためには電気自動車が必須なのです。
しかし、2020年の米国がパリ協定に復帰して、バイデン政権は温暖化対策のリーダーシップを取ろうとしているのですが、トヨタはいまだにまともな電気自動車を市場に出していません。確かにプラグイン・プリウスはバッテリーで60キロは走りますが、プリウスは中途半端です。トヨタはハイブリッドが売れたので、まだまだプリウスは環境車として、社会的な認知が続くと考えていましたが、トランプ政権が終われば、残念ながら時代は急激に進むのです。カリフォルニア州ではハイブリッド車は環境車としては認めてくれません。中国政府は今のところハイブリッドは環境車として認めてくれていますが、中国には電気自動車を作る会社が山のようにあり、電気自動車で日本に追いつき追い越そうとしています。数年もしたらトヨタのプリウスは中国では走れなくなるでしょう。世界中で売れているプリウスのシェアも5年と持たないことでしょう。
一刻も早くトヨタはプリウスのおいしい夢を捨てて、電気自動車へ全力で参入してテスラや中国の電気自動車を凌駕する世界最高の電気自動車を販売するべきです。それこそが日本の自動車産業と雇用を守る唯一の政策なのです。日産や三菱やホンダやスバルも頑張ってほしいものです。

私たちの「パリ協定」実現に向けてできること

日本政府の遅れた環境政策に、文句を言うだけなら誰にでもできます。私は菅政権にいちゃもんをつけるだけにここで発言しているのではありません。
日本に住む他国籍の方も含めて全ての国民には、「パリ協定」の実現に向けてできることがあります。1つは原発や石炭火力しか使いたがらない既存電力会社の電力からガス会社などの新電力にに乗り換えて、電力の既得権益をぶち壊す小さな挑戦者になるのです。あなたが原発は嫌だと思っていても、思うだけなら電力会社も政府も変わりません。あなたが契約している電力を新電力に乗り換えるだけで、電力会社は経営を脅かされるのです。あなたのその小さな行動が日本政府や電力会社の背中を押して「パリ協定」の実現に貢献するのです。もう1つは選挙権のある市民は、選挙で原発や石炭火力を推進する政党ではないで、再エネを推進する政党に投票することで、政治を変えることができるのです。米国ではそれが実現できました。化石燃料中心の共和党は敗れて、再エネを進める民主党が勝ったから、米国は180度エネルギー政策の転換に向けて舵をくりことができたのです。これは日本でも可能なのです。
来たるべき総選挙では既存の電力会社の既得権益を守ろうとする政党に投票するのか、再エネを進める野党に投票するのかを選択できるのです。
バイデン大統領を選んだ米国市民のように、私たちも賢い消費者と有権者になって、「ストップ温暖化」をめざして、日本を変えるために立ち上がりましょう。



(*注)グリーンリカバリー(英語:Greenrecovery)とは、新型コロナウイルス感染症の流行で冷え切った世界経済の再起を図るのに際し、脱炭素社会など環境問題への取り組みも合わせて行おうとするアフターコロナの政策。世界恐慌からの回復を画したニューディール政策になぞらえ「グリーンニューディール」と形容されることもある 。(ウィキペディアより)

by nonukes | 2020-11-10 13:40 | 小坂農園 薪ストーブ物語 | Comments(0)

  小坂正則

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