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小坂正則の個人ブログ

「核のゴミ捨て場」を日本中どこにも作らせてはならない!

北海道寿都町「核のゴミ捨て場」調査を正式に応募
小坂正則
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10月9日、寿都町片岡春雄町長はNUMOに正式応募する



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泊原発を囲むように寿都町と神恵内村がある



8月13日に北海道新聞は「北海道寿都町が核の最終ごみ処分場の調査応募を検討中」という記事を配信。翌月9月11日、同じく道内の泊原発のある泊村(人口1,587人)に隣接の神恵内(かもえない)村(人口825人)の商工会が誘致を村議会へ請願したと報道しました。その後、僅か1ヵ月足らずの10月9日に、北海道寿都町の片岡春雄町長は原子力発電環境整備機構に正式に「文献調査」を申し込みました。また神恵内村の高橋昌幸村長も「最終処分場は国が推進しているが、これについては私自身は関心を持っている」と話し、寿都町に先を越されてはならないと応募に応じる構えです。これに対して、10月9日の朝日新聞によると、「経産省幹部の1人は『あと10自治体ぐらいに手をあげてほしい。200億円かかっても、高い経費ではない』と言った」と伝えています。

過疎自治体に付け入る国の札束攻撃

泊原発立地の泊村は人口1,587人で寿都町は少し大きくて人口3,113人。神恵内(かもえない)村は僅か人口825人しかいない人口減少の激しい過疎の村です。もともと原子力発電所の建設は人口減少の激しい過疎地の自治体と漁業などの後継者のいない地域を狙い撃ちするように建設が強行されてきました。農業や漁業の盛んな自治地では激しい反対運動で、原発建設も高レベル廃棄物処分場計画もことごとく潰してきたのです。
07年に高知県の東洋町(当時の人口3,007人:現在の人口2,598人)の町長が「核のゴミの受け入れ文献調査の応募をした」と議会で事後報告をしたところ、地元はもとより四国中の住民や労働組合などの激しい反対運動により、町長リコール運動で反対派の町長が誕生して、核のゴミ建設計画を潰した経緯があるのです。
しかし、政府と原子力発電環境整備機構(NUMO)は原発建設のように強引に建設を強行しても住民の理解を得ることは無理だと考えて、「過疎化で財政状況が厳しくなり、手を挙げざるを得なくなる自治体をじっくり待つ」、持久戦に作戦変更したのです。しかも過疎の各自治体で「高レベル廃棄物地下処分」の受け入れ競争をさえようという考えているようです。2つの自治体は文献調査だけで20億円という、お金に目が眩んで手を挙げたのでしょう。しかも今回の2自治体がほとんど同時に手を挙げたり挙げようとしてるのは政府やNUMOによる裏工作があったと考えるのが自然です。北海道では、今後も続々と手を挙げる自治体が出るかもしれません。

政府による都市と地方の格差の結果

私は「高レベル廃棄物地下処分場」を日本中のどこにも、絶対に作ることは許しませんが、少子化と過疎化で財政が窮迫する地方自治体の不安や焦りの気持ちも分からないでもありません。ましてや10か所も手を挙げる事態になれば、実際に建設へ向けて国が進める自治地以外の自治体は濡れてに粟の20億円が転がり込むことになるので、ある意味、「姑息な財源確保策」と言えないわけではありません。しかし、そのような「今だけ、カネだけ、自分だけ」の姑息な金もうけによって、町や村の将来を若者に、胸を張って話すことができるでしょうか。町民や村民が生きていくためにはお金はなくてはなりませんが、お金だけがあっても若者が誇りをもって自分の町や村の将来に希望が持てるわけではありません。
非正規雇用が多い日本の若者が結婚や子どもを作ることにためらうのは、お金がないからだけではありません。いえ、むしろ都会では非正規雇用でも結構の賃金を稼ぐことはできます。でも、結婚や子どもを作ることにためらうのは、不安定な仕事で自分の将来設計が立てられないからです。収入が少なくても正規職員や農林水産業などの自営業で「夢や希望」が持てれば、今が苦しくても、若者は歯を食いしばって夢に向かって努力するものです。そして、それこそが幸せであり、結婚や子どもを作ろうと思うのだと私は考えます。必要なことは私たち大人が、自分の住む地域の将来設計を責任を持って描くことです。それこそが若者に夢と希望を与えるのです。

都市と地方の格差解消政策を

もちろん800人の村民だけでは、村の若者に「夢と希望」を与えることは難しいでしょう。国の責任が一番大きいことは言うまでもありません。しかし、残念ながらこの国の首相が「今だけ、カネだけ、自分だけ」の国では、若者に「夢や希望を持て」と要求する方が酷かもしれません。むしろ、政府は村を疲弊させて村人に究極の迷惑施設である「核廃棄物処分場」を押し付けようとしているのですから。そこで私たちはこの国の方向を根本的に軌道修正する必要があるでしょう。
これまで原発や核のごみ処分場などは、都市と過疎地域の格差を拡大させて、消滅都市と言われるような少子化と過疎化の村や町を各地に作り、過疎自治体は、電力会社などの大企業と政府から「迷惑施設」を受け入れざるを得ないようなに仕組まれてきたのです。これを軌道修正することは、地方自治体が生き残るために必要な財源や雇用の支援を国が行うしかありません。原発立地自治体への電源開発交付金のようなブラックなお金ではなく、例えば「固定価格買い取り制度」などの電力買取価格に都市と地方で格差をつけて、地方の住民が作った太陽光発電や風力発電の買取価格を高くして、中央の大企業などが地方に再エネ電力施設を作った場合には安くするなど方法を取るべきなのです。ドイツでは地元の住民による協同組合出資による風力発電の電力は買取価格を、中央の企業が作る風力発電の電力やりも高くするなどの政策を取ってきました。地方に高速道路や橋などの公共工事を持ってくることだけが地方への支援ではありません。不在地主への固定資産税の増額や再エネ電力の買取価格に格差をつけるなど方法はいくらでもあります。福島原発事故で証明されたことがあります。危険な原発は地方に押しつけて、ひとたび事故が起これば、自分たちの電気でもないのに、福島の住民は放射能被害に苦しむ。そして、その電気を使って便利で豊かな生活をおくるのは東京の住民です。こんな不公平で矛盾した話しはありません。

国の甘い説明に騙されてはならない

高レベル放射性廃棄物は地下300メートル以上の地下にトンネルを掘って、そこに5重のバリアで固めて埋め捨てると国は説明してきました。ところが、その地で直下型の地震が起きたりして、「核のゴミから放射能が漏れだしたら誰が責任を取るのか」という反対派の追及に対して、現在では「もし、そのような事態になったら、掘り出して別の場所に移設する方法を検討する」などと説明をしています。それがどれほど嘘で不可能かということを皆さん考えてみてください。地下300メートルの地にエレベーターで核のゴミを運ぶのですが、放射能が強くて人間は近づくことはできません。それは全自動のロボットが運ぶのです。そのエレベーターを仮に1万年間使えるようにするとしたら、毎年2回の定期点検と、50年に一度は取り換えも必要でしょう。点検を2万回行って、エレベーターの取り換えを500回も行う必要があるのです。これが10万年なら、その10倍です。何兆円、何十兆円ものコストがかかるでしょう。そんなことやるくらいなら地上で保管する方がはるかにコストは安いでしょう。
一度埋め捨てたら、どんな事故や地震が来たとしても「もう掘り返すことなどできません」と言って責任を放棄するのです。官僚と政治家の言葉を信じてはいけません。
できてしまった「核のゴミ」をどう始末するかは、「原発の電気の恩恵を受けた国民全員の責任だ」と言って批判する人がいます。特に御用学者や自称ジャーナリストのインチキ文化人がよく言います。だから、私は2000年に大分で開催された科技庁主催の「高レベル放射性廃棄物地下処分シンポジウム」でパネラーとして参加しましたが、その時「核のゴミの処分方法を議論するなら、まずはこれ以上ゴミを出すのをやると国が表明したら、私たちもそのテーブルに着くけど、どんどん処分不可能な核のゴミを作っていて、国民全員に責任があると言われても、私にはその責任を負うことはできない」。「原発はトイレのないマンションだから私たちは原発を作るなと声を上げてきたのだ」と反論しました。

日本中どこにも「核のゴミ捨て場」は作らせない!

国は日本中の過疎地に、札束で頬を叩くようにして、誘致に手を上げさせようとしています。もし、北海道民や地元の寿都町住民が「カネが入ればいい」とか無関心でいたら大都会の住民のエゴを僅かなお金で背負うことになるのです。一度お金をもらって立地調査をしたら、国は次々をお金をチラつかせて、北海道の過疎自治体のどこかが、結局は受け入れざるを得なくなるのです。立地調査を受け入れたが最後、北海道に核のゴミ捨て場が建設されることでしょう。
少なくとも埋め捨てるなら東京電力が出した核のゴミは東京のど真ん中に穴を掘って、その地下にこそ埋めるべきです。
関西電力の核のゴミは大阪城の真下にでも埋め捨てるべきでしょう。原発の建設には広大な敷地が必要ですから、大都会では建設できないと言って電力会社は逃げてきましたが、核のゴミ捨て場は地下ですから地上の施設はわずかな敷地しか必要ではないのですから。
「全国どこにでも核のゴミ捨て場にしてはならない」のです。唯一考えられることは地上管理しかありません。電力会社の敷地にこれから人類が死滅するまで地上で永遠に管理し続けさせるのです。そしてその施設は「人類の愚かな行為」の記念碑として子孫に伝え続けるのです。北海道のみなさん。国の甘い言葉に騙されてはなりません。今すぐ「核のゴミ捨て場建設」に対して反対の声を挙げて、立ち上がりましょう。これは立地自治体だけの問題ではありません。北海道、いえ日本中の問題です。東アジア全体の本題です。日本中の原発反対の市民は「核のゴミ捨て場を日本中どこにも作らせない」の声を挙げましょう。



by nonukes | 2020-10-11 15:45 | 原発再稼働は許さない | Comments(0)

  小坂正則

by nonukes