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小坂正則の個人ブログ

憲法23条「学問の自由」に手を突っ込んだ菅義偉を総選挙で自滅へ

「日本学術会議」新会員の任命拒否は憲法23条違反
小坂正則



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官邸前で抗議を行う市民のみなさん

安倍晋三を上回り独裁政権化する菅義偉首相

3年に1回、210名の定員の半分105人を改選する「日本学術会議」の新委員に対して、6名の学者を菅政権は新任拒否を行ったことが10月1日に判明しました。日本学術会議は8月31日に内閣府に提出したが、総会直前の9月28日夜に、任命しない理由を言わずに6人を推薦名簿から外されたそうです。その6名の学者は「特定秘密保護法」や「共謀罪」や集団的自衛権の行使を可能にした「安全保障関連法」など、これまでの安倍政権が強行採決して法案を通した「アメリカの戦争に参加するための法案」に強く反対した学者のみなさんです。これまで安倍政権は「モリカケ」や「さくらを見る会」などで、法律を無視して改ざんやウソの答弁を繰り返して、説明責任を果たさず逃げ回った挙句、安倍晋三は潰瘍性大腸炎という仮病を使って、とっとと逃げてしまいました。
安倍晋三の尻拭い菅政権は、今回の新任拒否も大きな問題にはならないだろうと決め込んでいたのでしょうか。
しかし、骨抜きにされた国営NHK放送や民放各社もなぜかは知りませんが、「学問の自由への介入だ」とか「なぜ拒否したのか説明がない」と元気に菅政権を批判しています。ところで、日本学術会議とはどんな組織なのでしょうか。

日本学術会議は戦争追随を反省してできた科学者組織

戦前の学者や教育もマスコミも戦争賛美の翼賛体制の下で一体となって侵略戦争に突き進んで行きました。その反省の下で日本国憲法が作られて、教育の憲法として教育基本法ができ、憲法23条「学問の自由」を守るために科学者の国会として設立されたのが日本学術会議です。以下は10月3日、朝日新聞より引用。
日本学術会議は、理系から文系まで日本の全分野の科学者を代表する機関として、戦後まもない1949年に発足した。根拠は日本学術会議法(48年制定)。科学が戦争に動員された反省から、内閣総理大臣の「所轄」で経費は国庫負担としながらも、政府から独立して職務を行う「特別の機関」と規定された。先進国の学術団体は、もっと明確に国から独立していることが多い。学術会議の事務局によると、全米科学アカデミーや英王立協会は民間団体とされ、運営財源も国に依存していないという。(ここまで引用)

なぜ学者や学問に国と一定の距離が必要なのか

考えてみてください。中国という世界第2位の経済大国には学問の自由はありません。政府に楯突いた研究や発言は一切行えません。北朝鮮やロシアも同じです。学者は政府のいう通りに研究して、政府の意に従うしかないのです。それに比べて米国や英国など自由主義国家では、学問や科学者は自身の良心にのみ従えばよく、国家に拘束されることなく自由に研究し発表できるのです。しかし、日本国家が政府の意のままに研究や発表をしなければならないということになれば、日本の研究発表の信ぴょう性は疑われ、国際的な信用度は地に落ちてしまいかねません。なぜなら、このまま菅首相が自分の意のままの科学者しか日本のアカデミズムの殿堂に入れないようでは、国際的な信用度は地に落ちて、日本を代表する科学者は中国やロシアの御用学者と同じと見なされるでしょう。特に理系の科学者は政治的な発言と自分の学問の領域は異なりますが、文科系の学者の研究は政治と密接につながっているからです。
6日「立憲デモクラシーの会」の声明文によると以下のように訴えています。
日本学術会議法は、同会議は210名の会員で組織され、会員は、同会議が「優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し・・・内閣総理大臣に推薦する」ものとする(同法17条)。会員の任命権者は内閣総理大臣であるが、任命は日本学術会議の「推薦に基づいて」行われることとされている(同法7条2項)。
 一般に、「何々に基づいて」という文言は、行政機関の権限行使を強く拘束するものと理解されている。しかも、日本学術会議法は、同会議が「独立して」その職務を行うものとしており(同法3条)、同会議の政府からの独立性を尊重すべき旨を明確にしている。会議による会員候補者の推薦は、内閣総理大臣の任命権の行使をとりわけ強く拘束するものと理解することができる。
 今回の首相の行動は、現政権が学問の自由を掘りくずそうとしているのではないかとの強い懸念を与える。学問の自由は、一般国民の学問研究の自由を保障するだけでなく、大学の教員を中心とする高等研究教育機関の構成員の権利をとくに保障している。(ここまで引用)

憲法学者の木村草太教授も批判

10月3日の朝日新聞には以下のように東京都立大の木村草太教授(憲法)の話が掲載されています。
憲法23条が保障する学問の自由には、「個人が国家から介入を受けずに学問ができること」と、「公私を問わず研究職や学術機関が、政治的な介入を受けず自律すること」の二つが含まれる。学術の観点から提言をする日本学術会議は、学術機関の一種だ。
憲法23条は「公的学術機関による人選の自律」も保障しており、今回の人事介入は学術会議の自律を侵害している。学問の自由に、公的研究職や学術機関の自律が含まれるのは、一般的な解釈だ。
 江藤祥平・上智大准教授の話
「学問の自由」を保障する憲法23条は、明治憲法時代に起きた滝川事件や天皇機関説事件など、学説が国家権力に侵害された歴史を踏まえて作られた。自由を守る手段として、研究者の人事が大学の自主的な判断に基づいて行われることが大切だと、最高裁の判例は明快に語っている。
今回の任命拒否で問われているのは、この自主的な判断への介入の当否である。日本学術会議は大学ではない。しかし、日本学術会議法が冒頭で「科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与することを使命」とすると明記していることを考えれば、同会議が「学問の自由」の実践と深くかかわる組織として設立されたことは明らかだ。3条で職務の独立性を強調しているのも、同会議の自律性を大切にしているからにほかならない。
さらに17条は、同会議の会員への推薦の基準を「優れた研究又は業績」という専門家集団でなければ判断しえない事柄に委ねており、そうした知見を持たない内閣の任命拒否を想定していない。こうした同会議の特質を考えると、理由を明らかにせず候補者の任命を拒否するのは、同会議の自律性に対する侵害であり、自律性を守る盾である「学問の自由」への挑戦といえる。

化けの皮が剥がされた独裁者菅へ一斉抗議

10月1日の記者会見で加藤官房長官は、「会員の人事などを通じて、一定の監督権を行使することは法律上可能になっている。直ちに学問の自由の侵害にはつながらないと考えている」と述べています。しかし、このようなことを許していては、多くの学者に「政府の意に沿わない発言をしたら6名の科学者と同じ道を進むことになる」という影響を与え、自粛や忖度を招くことに繋がるのです。だからNHKさえ批判の声を上げたのです。
そして6名の「新任拒否」のニュースが連日のように報道される中で、記者の質問に菅首相は「任命拒否の理由に関しては『個別人事に関するコメントは控えたい。総合的、俯瞰ふかん的活動を確保する観点から判断した』とし、詳しくは説明しなかった。対象の6人が特定秘密保護法や安全保障関連法などを批判していたこととは『一切関係ない』と語った。憲法が保障する学問の自由への侵害との指摘があることについては『全く関係ない』と発言(10月5日東京新聞)とまだまだ強気の姿勢を貫いていました。
しかし、官邸前では連日のように抗議のデモが取り囲んでいますし、6名の科学者は勇気を持って、政府の新任拒否に対して声を上げて抗議をしています。それだけではありません。「日本学術会議」も組織的に抗議と6名の承認を求めています。また菅義偉首相の出身大学の法政大学田中優子総長は「今回の任命拒否は憲法で保障される『学問の自由』に違反する行為だとし、『全国の大学および研究機関にとって、極めて大きな問題であるとともに、最終的には国民の利益をそこなうもの』と抗議の声明を発表しています。
また、静岡県の川勝平太知事は7日の定例会見で、「菅義偉という人物の教養のレベルが露見した。『学問立国』である日本に泥を塗った行為。一刻も早く改められたい」と強く反発した発言を行いました。

見せかけ高支持率にも陰り!?菅政権を追い落とそう

菅首相が安倍晋三の仮病辞任の後釜に二階幹事長と2人で画策し、政権を手に入れたまでは筋書き道理にことは運びました。そして「パンケーキおじさん」や「令和おじさん」として、内閣支持率が急上昇した結果「いつでも解散総選挙を行える」と虎視眈々と解散総選挙を行おうとしていたのです。ところが安倍政権のようにはマスコミを押さえつけることができずに、マスコミが一斉に批判の声を上げました。そして支持率へ大きく影響する事態となったのです。おまけに杉田水脈による性被害者への差別発言「女性はウソをつける」なども、これからじわじわと支持率に影響してくることでしょう。
10月26日には国会も召集される予定ですが、野党は「日本学術会議」の憲法違反問題や杉田水脈の「女性はウソをつく」問題などを国会で追及することでしょう。
また9月15日には新生「立憲民主党」が旗揚げして、国会議員総勢150名の大野党ができました。立憲民主党には、保守リベラルの小沢一郎氏や中村喜四郎氏などの大物政治家がいます。決して自民党に見劣りしない個性豊かな政治家がそろっています。
そして共産党の志位委員長も野党統一候補に協力すると表明しています。野党がまとまって小選挙区で自民党と真っ向勝負すれば勝ち目は大いにあります。負ける選挙は野党支持者や無党派層は関心を示しませんが、野党が勝てそうだと思えば、選挙情勢は大きく変わります。
野党が勝てるチャンスが増えれば無党派層が投票に行き、投票率は確実に上がります。野党統一候補と保守との一騎打ちの総選挙になれば、必ず投票率は上がり、投票率が上がれば野党は一気に有利になるのです。
「学問の自由」を脅かす菅独裁政権を倒すための前哨戦として、真正面から解散総選挙に受けて立とう。

任命拒否
2020/10/3 長崎新聞


〈準備の整った、また、順調に進行している物事に介入して、振り出しに戻してしまうこと〉…105人あるはずの名簿に99人しか名前がなかった。最初に気付いた人は、こう感じなかっただろうか。「ちゃぶ台返しだっ」▲“学者の国会”とも呼ばれる日本学術会議の新会員任命を巡り、同会議の推薦リストから6人を外した菅義偉首相の対応が波紋を広げている。推薦された候補者が任命されなかったのは初めて▲新しい安全保障法制に異を唱えた憲法学者や“共謀罪”を「最悪の治安立法」と批判した刑事法の学者らが除外された。「意趣返しかっ」と考えるのはごく自然な想像なのだが▲もちろん政権はこれを認めない。首相は「法に基づいて適切に対応した結果」と短く語る。全く問題ない、指摘は当たらない-を連発した前政権の官房長官時代を見る思いがする。繰り返しだ▲昨日の識者評論に〈さながら腕利きの人事部長〉との新首相評があった。ただ「部外の推薦通り」が慣例の人事に口を挟み、手を突っ込む人事部長は見たことも聞いたこともない▲キライだから入れない。手法が子どもっぽい、と書いたら失礼が過ぎるか。スタートが高支持率だった分だけ世論の失望もきっと深い。「しっぺ返し」の倍返しが待っていそうな気がしてならない。(智)



by nonukes | 2020-10-08 19:36 | 小坂農園 薪ストーブ物語 | Comments(0)

  小坂正則

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