2019年 10月 16日
地球が壊れかかっている!気候変動対策は待ったなし
小坂正則
扇状降水帯豪雨や超巨大台風は地球温暖化のせいだ
10月12日土曜日に超巨大な台風19号が日本を直撃しました。先月には巨大な台風15号が千葉県を襲い、千葉県全域で大規模な停電が長期間続いて、鋸南町などでは屋根が吹き飛ぶような大きな被害を受けました。それから翌月に、今度はもっと巨大なこれまで経験したことのない巨大台風19号が日本列島を襲って大雨を降らして、河川の決壊などにより16日現在75名の死者を出し、家屋の浸水や倒壊が広範囲に起きる大きな被害となりました。
これはどう考えても、異常気象の影響です。太平洋の海水面の温度が平年温度より1℃上昇していることが原因だと言われています。その影響で台風が海水面の気温によってエネルギーを蓄えて超巨大化するのです。地球温暖化の影響だと言われていることが現実として、私たちの日常生活に大きな影響を与えるようになったのです。
つまり、毎年襲ってくる超巨大台風や集中豪雨で日本の何処かで、たくさんの人びとが悲劇の犠牲者になるのです。それを私たちはただ黙って見ているだけで、ただ涙を流すことしか出来ないのでしょうか。これは人類による人災です。決して自然災害などではありません。そして明日は、その犠牲者が私かもしれないし、あなたかもしれないのです。
二酸化炭素削減に消極的な米国は地球への犯罪行為
1992年に国際連合の主催によりブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催され、「環境と開発に関する国際会議」で、地球温暖化対策と生物多様性が失われていることへの取組がが急務であることが議論されました。その後、1997年に京都で開かれた地球温暖化防止京都会議で、各国の温暖化ガスの削減に向けての取組の数値目標が決められた「京都議定書」が発効されました。その後2016年にパリ協定が決まりました。パリ協定は2020年からの温暖化ガスの削減目標を決めるもので、2016年には米国のトランプ大統領は脱退を宣言して、現在米国は脱退したままです。このパリ協定では、今世紀末に地球の温度上昇を2℃以内に押さえることを目標にしています。希望観測的には1.5℃に押さえることが最大の目標です。ただ、そのためには現状の各国の取組では不十分なのです。
国連のグテレス事務総長は、「今後10年間で温室効果ガス排出量を45%削減し、2050年までに正味ゼロ・エミッションを達成しなければ世紀末に1.5℃達成は不可能だ」と言います。そのための会議を9月23日から国連本部で「国連気候行動サミット2019」が開催されたのです。その会議で「2020年までに各国が決定する貢献目標を強化するための具体的、現実的計画をこのサミットで実現したい」とグテレス事務総長は言っていたのです。
京都会議から22年が経って、地球環境はますます最悪の状態へ突入しつつあります。すでに一刻の猶予もないのです。そんな地球が瀕死の状態なのに、国連では各国は、自国の利益を優先して、少しでも温暖化ガスの削減目標を引き下げる駆け引きや、化石燃料の利用制限を緩和させて、自国の経済成長を優先することに明け暮れているのです。
グレタ・トゥンベリーさんの怒りは世界中に燃え広がる
私たち人類が2030年に45%温室効果ガスを削減し、2050年には実質ゼロを達成できなければ、2099年に気温上昇1.5℃は達成困難なのです。2015年のパリ協定ではその目標が決められましたが、現行の各国の削減目標では、この目標は達成不可能なのです。各国は自国の利益を優先して、米国のようにパリ協定から離脱するような対応もあり、GDP世界に2位の中国は発展途上国だと言って、目標値さえ掲げていないのです。
この会議で、各国が自国の目標を高く掲げることで、温暖化ガスの削減が実施されれば、気候変動による大型台風やハリケーンなどの被害を押さえることが出来るかもしれません。世界中で多くの種が絶滅しています。だから地球環境は瀕死の状態なのです。
そんな中で開催された9月の国連会議でスゥエーデンのグレタ・トゥンベリーさんは涙を流しながら次のような怒りのアピールを行いました。
地球の気温上昇を1.5度に抑える確率を67%にするには、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最善の見立てでは、2018年1月1日時点で世界に残されたCО2排出許容量は4200億トンだった。現在では3500百億トンを下回った。よくも従来通りの取り組みと技術的な解決策で何とかなるなんて装うことができたものだ。現状の排出レベルでは、残されたCО2排出許容量に8年半もたたずに達してしまう。
現在、これらの数字に沿って作られた解決策や計画は全くない。なぜなら、これらの数字は都合が悪すぎるからだ。そしてあなたたちはまだ、このようなことを口にできるほど成熟していない。
あなたたちには失望した。しかし若者たちはあなたたちの裏切り行為に気付き始めている。全ての未来世代の目はあなたたちに注がれている。私たちを失望させる選択をすれば、決して許さない。あなたたちを逃がさない。まさに今、ここに私たちは一線を引く。世界は目を覚ましつつある。変化が訪れようとしている。あなたたちが好むと好まざるとにかかわらず。
若者中心に未来の生命のために今こそ立ち上がろう
昨年の夏からスゥエーデンのグレタ・トゥンベリーさんは国会前で「気候のためのストライキ」を一人でやりました。その影響は世界の若者を動かしています。9月20日の世界一斉行動には650万人の若者が参加して「気候マーチ」が実施されました。しかし、米国のトランプ大統領や中国の習近平主席は温暖化ガス削減に消極的なのです。
また、昨年10月28日にブラジルの大統領に就任した、極右の社会自由党の「ブラジルのトランプ」と呼ばれた元軍人ジャイル・ボルソナーロ大統領はブラジルのジャングルを違法な野焼を行う農園主などの犯罪を見逃すことで、違法な野焼きが行われて、今年1月から8月までに九州の面積に匹敵する43,500平方キロの森林を焼失させたというのです。G7サミットでフランスのマクロン大統領が23億円を拠出してブラジルの森林火災の消火に協力すると提案したところ、ブラジルのボルソナーロ大統領は「自国の世界遺産の教会の火災を防げなかった国が余計なことを言うな」とフランス政府の提案を拒否したそうです。ブラジルのジャングルは「地球の肺」と言われるほど二酸化炭素の吸収源として機能しているのです。そんなミニトランプなどをうち負かす動きが世界中で起きつつあります。それはトンベリーさんがトランプ大統領を睨み付けた勇気ある行動に象徴されています。
世界中の若者を中心にして、今こそ立ち上がるときなのです。
日本は原発も石炭火力も止めなければならない
私たち日本の多くの国民は石炭火力発電はあまりよくないことは分かってはいるけど、「原発よりも石炭火力の方がまだましだ」と思っている国民が大半です。しかも日本の石炭火力発電所のタービンを作っている重工メーカーのタービンは従来の石炭火力に比べて20%も二酸化炭素の排出削減できる優れものなのです。ですから、私も「まあ、原発よりは少しましだし、旧型の石炭火力を新型の高効率の石炭火力に転換するのはまあいいんじゃないか」と思っていました。でも、世界の温暖化対策を求める市民や環境団体は「原発と全く同じレベルで石炭火力もノー」なのです。
日本政府は原発による二酸化炭素削減を加えて、温暖化ガスの削減を目指しています。それは私たちは受け入れられませんが、地方自治体も積極的かどうかはさておき、温暖化対策には取り組んでいます。その温暖化対策を強化するために市民も協力しなければなりません。それはひとり一人に出来ることをやることや、石炭火力発電の電気を買わないなどの取組や署名行動や政府や企業へ温暖化対策に積極的に取り組むように求める行動などに立ち上がりましょう。
市民と企業と行政は連携して非常事態に取り組もう
以下の「気候非常事態宣言」は長崎県壱岐市が9月25日に出した非常事態宣言です。米国トランプ大統領は問題外ですが、日本政府の温暖化対策も原子力や石炭火力から抜け出せない、不十分で消極的な計画でしかありません。壱岐市のように積極的な温暖化対策を官民が一緒になって取り組むように、私たちは自分たちに出来ることは自分たちで取り組み、大分県内の地方自治体や日本政府には壱岐市のような「非常事態宣言」の発令を求めて行きましょう。
気候非常事態宣言
2016年、日本を含む175の国と地域が、気候変動の脅威とそれに対処する緊急の必要性を認識し、温暖化に対して「産業革命前からの気温上昇を2℃より低い状態に保つとともに、1.5℃に抑える努力を追究する。」ことを目標とした「パリ協定」について署名しました。
既に、産業革命前に比べて約1℃の気温上昇によって、世界各地で熱波、山火事、洪水、海面上昇、干ばつなどの極端な気候変動が頻繁に引き起こされ、多くの人々や自然が犠牲となっており、地球上で安心して安全な生活を送ることが困難な状況になりつつあります。
日本各地でも、猛暑、台風、集中豪雨、洪水などの気象災害により痛ましい被害が発生し、本市においても、集中豪雨による災害や水不足などの異常事態が発生しています。また、藻場が減少し、本市の基幹産業である漁業も深刻な影響を受けています。
本市は、地球温暖化に起因する気候変動が人間社会や自然界にとって著しい脅威となっていることを認識し、ここに気候非常事態を宣言します。
気温上昇を1.5℃に抑えるためには、2050年までに CO2排出量を実質的にゼロにする必要があります。
この脱炭素化の実現に向けて、社会全体で次の活動に取り組みます。
これらの活動は、SDGs 未来都市として、SDGs の達成と新たな成長と発展につながります。
1 気候変動の非常事態に関する市民への周知啓発に努め、全市民が、家庭生活、社会生活、産業活動において、省エネルギーの推進と併せて、Reduce(リデュース・ごみの排出抑制)、Reuse(リユース・再利用)、Recycle(リサイクル・再資源化)を徹底するとともに、消費活動における Refuse(リフューズ・ごみの発生回避)にも積極的に取り組むように働きかけます。特に、海洋汚染の原因となるプラスチックごみについて、4R の徹底に取り組みます。
2 2050年までに、市内で利用するエネルギーを、化石燃料から、太陽光や風力などの地域資源に由来する再生可能エネルギーに完全移行できるよう、民間企業などとの連携した取組をさらに加速させます。
3 森林の適正な管理により、温室効果ガスの排出抑制に取り組むとともに、森林、里山、河川、海の良好な自然循環を実現します。
4 日本政府や他の地方自治体に、「気候非常事態宣言」についての連携を広く呼びかけます。
令和元年9月25日
壱岐市長 白川 博一
by nonukes
| 2019-10-16 10:55
| 小坂農園 薪ストーブ物語
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