人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

小坂正則の個人ブログ

「若者たちはあなたたちの裏切り行為に気付き始めている」グレタ・トウンベリさん

国連気候変動サミットへ
世界で「グローバル気候マーチ」取組
小坂正則

「若者たちはあなたたちの裏切り行為に気付き始めている」グレタ・トウンベリさん_d0174710_17593657.jpg


「若者たちはあなたたちの裏切り行為に気付き始めている」グレタ・トウンベリさん_d0174710_22101177.jpg
大分の気候マーチ①


「若者たちはあなたたちの裏切り行為に気付き始めている」グレタ・トウンベリさん_d0174710_22105632.jpg
大分の気候マーチ②


9月23日にニューヨーク開催される国連気候変動サミットにあわせで、世界では大勢の市民が、パリ協定で定める「1.5℃目標」の達成に向けて、リーダーたちが気候アクションをとるよう声をあげました。スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんも欧州からCO2を排出しない移動手段としてヨットでニューヨークに渡り、国連サミットで各国の代表などの前で、大人たちがこどもの未来を破壊していることを涙ながに訴えて、感動的な演説を行いました。(演説全文は下記に掲載)

そして、23日から始まる「国連気候変動サミット」が各国の産業や利益を有利に導くための駆け引きの場にしてはならないと、訴えるために、9月20日には、会場のあるニューヨークだけではなく、世界規模での「全世代のグローバル気候マーチ」が400万人規模で実
9月20日に開催された「グローバル気候マーチ」は、日本23都道府県で5000人、世界163ヶ国で400万人が参加。過去最大級の気候マーチとなりました。
大分でも30名以上の仲間や通行人によって、街頭コンサートが開催されました。当日はオルガンやフルートなどの楽器による演奏や全員の合唱で、「ストップ地球温暖化」を大分の市民に呼びかけることが出来ました。

国連気候行動サミット2019の目的とは

2029年9月23日からニューヨークで開催される「国連気候変動サミット」は何を目的に開催されるのでしょうか。2018年9月10日に国連本部で、グテレス事務総長が2019年9月にサミット開催を表明して実現したもの。IPCCの1.5℃特別報告書によると、産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑えるためには、2030年までに温室効果ガス排出量を45%削減して2050年までに正味ゼロにしなければ、その目標は達成不可能だという危機感から呼びかけられたものです。
9月10日グレテス事務総長の演説によれば
“もし私たちが2020年までに気候の進路を変えなければ、私たちは気候変動を避ける機を逃すリスクを負うでしょう。そのことは、人々や私たちを支える自然システムに悲惨な結果を引き起こします。だからこそ、私は今日こうして、あらゆる場所の政治家、企業、科学者、市民に、リーダーシップを求めて訴えているのです。“
“私たちがいかにして2020年までに排出量の増大を止め、今世紀半ばまでに正味ゼロ・エミッションを達成できるよう排出量を劇的に削減していくつもりなのか、お聞きしたいと思います”
今後10年間で温室効果ガス排出量を45%削減し、2050年までに正味ゼロ・エミッションを達成するために、2020年までに自国が決定する貢献(NDCs)を強化するための具体的、現実的計画をこのサミットで実現したいとグテレス事務総長は言っているのです。
私たち人類が2030年に45%温室効果ガスを削減し、2050年には実質ゼロを達成できなければ、2099年に気温上昇1.5℃は達成困難なのです。
2015年のパリ協定ではその目標が決められましたが、現行の各国の削減目標では、この目標は達成不可能なのです。各国は自国の利益を優先して、米国のようにパリ協定から離脱するような対応もあり、GDP世界に2位の中国など発展途上国では目標さえ掲げられていない状況などもあるのです。
この会議で、各国が自国の目標を高く掲げることで、温暖化ガスの削減が実施されれば、気候変動による大型台風やハリケーンなどの被害を押さえることが出来るのです。

各国による「気候変動対策」の取組は待ったなし

それでは各国は何を具体的に行えばいいのでしょうか。以下のような取組が早急に求められているのです。

①化石燃料・高排出な農業への補助金を廃止し、再生可能エネルギーや電気自動車、気候変動に対応した手法にシフト。
②カーボンプライシングを導入し、気候リスクから大気汚染による健康被害まで、排出による真のコストを反映。
③石炭火力発電所閉鎖の加速と新規建設の取りやめ。
④公正で包括的で収益のある、健全な雇用への移行

それでは日本政府は特に何をすればいいのでしょうか。その第一は、石炭火力発電所の新規建設を取りやめることや、稼働中の石炭火力の運転を中止することなどです。また、「石炭火力の建設に補助金を出してはあらない」と国連は強く訴えています。
私たちは原発の運転再開にも反対しつつ、石炭火力の廃炉や建設中止を求めていかなければなりません。それでは「電気が足りなくなるんじゃないの」と考える人も多いかもしれませんね。しかし、心配はありません。再エネ電力の普及と負荷調整用のバッテリーの配備などで、十分乗り切ることも可能なのです。

私たちは「原発も石炭火力もいらない」

石炭火力を世界中に売り歩こうとしている日本政府と産業界はパリ協定の会議の中で、石炭火力に反対する各国のNGOなどに厳しい批判を浴びました。「もはや石炭火力は燃やしてはならない時代」に突入したのです。もちろん原発はもってのほかです。それでは電気が足りなくなるのではないかと、原発推進派から批判を浴びるかもしれません。その対策として再エネ電力の普及はこれからも求めて行きますが、大きく変化させるのは、韓国との間に高圧送電線とつなぎ、韓国や中国からも電力が輸入できるような社会を実現させるひとようがあるのです。また、宗谷岬から樺太へ海底ケーブルを敷いて、ロシアの天然ガスの電力を輸入できるのです。これらの構想を「アジア・スーパーグリッド」と言うのです。
最後にグレタ・トゥンベリさんの言葉から。
~人々は苦しみ、死にかけ、生態系全体が崩壊しかけている。私たちは絶滅に差し掛かっているのに、あなたたちが話すのは金のことと、永遠の経済成長というおとぎ話だけ。何ということだ。
~あなたたちには失望した。しかし若者たちはあなたたちの裏切り行為に気付き始めている。全ての未来世代の目はあなたたちに注がれている。私たちを失望させる選択をすれば、決して許さない。あなたたちを逃がさない。世界は目を覚ましつつある。変化が訪れようとしている。あなたたちが好むと好まざるとにかかわらず。



グレタ・トゥンベリさん演説全文 
「すべての未来世代の目はあなたたちに注がれている」

私たちはあなたたちを注意深く見ている。それが、私のメッセージだ。
 こんなことは、完全に間違いだ。私はここに立っているべきではない。私は海の反対側で学校に戻っているべきだ。それなのにあなたたちは、私たち若者のところに希望を求めてやってくる。(そんなことが)よくもできるものだ。あなたたちは空っぽの言葉で、私の夢と子ども時代を奪い去った。でも私は運が良い方だ。人々は苦しみ、死にかけ、生態系全体が崩壊しかけている。私たちは絶滅に差し掛かっているのに、あなたたちが話すのは金のことと、永遠の経済成長というおとぎ話だけ。何ということだ。

 過去三十年以上、科学は極めて明瞭であり続けた。必要な政策も解決策もまだ見当たらないのに、目を背け、ここに来て「十分やっている」なんてよくも言えるものだ。あなたたちは私たちの声を聞き、緊急性を理解したと言う。でもどれだけ悲しみと怒りを感じようと、私はそれを信じたくない。なぜなら、もし本当に状況を理解し、それでも座視し続けているとしたなら、あなたたちは悪だからだ。そんなことを信じられない。
 十年間で(温室効果ガスの)排出量を半減するというよくある考え方では、(気温上昇を)一・五度に抑えられる可能性が50%しかなく、人類が制御できない不可逆的な連鎖反応を引き起こす恐れがある。

 あなたたちは50%で満足かもしれない。でもこの数字は(後戻りできない変化が起こる)転換点のほか、(永久凍土が溶けることなどで温暖化が進む)ほとんどのフィードバック・ループ、有害な大気汚染による温暖化、公平性や気候の正義といった側面を考慮していない。この数字はあなたたちが空気中に出した何千億トンもの二酸化炭素(CО2)を、私たちの世代が、(現時点で)ほとんど存在していない技術で吸収することを当てにしている。だから、50%の危険性は私たちには全く受け入れられない。私たちはその結果と共に生きていかなければならない。

 地球の気温上昇を一・五度に抑える確率を67%にするには、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最善の見立てでは、二〇一八年一月一日時点で世界に残されたCО2排出許容量は四千二百億トンだった。現在では三千五百億トンを下回った。よくも従来通りの取り組みと技術的な解決策で何とかなるなんて装うことができたものだ。現状の排出レベルでは、残されたCО2排出許容量に八年半もたたずに達してしまう。
 現在、これらの数字に沿って作られた解決策や計画は全くない。なぜなら、これらの数字は都合が悪すぎるからだ。そしてあなたたちはまだ、このようなことを口にできるほど成熟していない。

 あなたたちには失望した。しかし若者たちはあなたたちの裏切り行為に気付き始めている。全ての未来世代の目はあなたたちに注がれている。私たちを失望させる選択をすれば、決して許さない。あなたたちを逃がさない。まさに今、ここに私たちは一線を引く。世界は目を覚ましつつある。変化が訪れようとしている。あなたたちが好むと好まざるとにかかわらず。
 ありがとう。


国連気候行動サミット2019
(UN Climate Action Summit 2019)
国際連合広報センター2019年08月15日

全世界の温室効果ガス排出量は記録的な水準に達し、しかもピークに達する気配を全く見せていません。記録が残る中で、過去4年間は歴史上最も暑い4年間となり、北極圏の冬の気温は1990年から3°Cも高くなっています。海水面は上昇し、サンゴ礁は死滅へと向かっています。私たちは大気汚染や熱波、食料の安定確保に対するリスクの高まりを通じて、気候変動の健康に対する影響が生命を脅かすほど大きいことを認識し始めています。
気候変動の影響は全世界で見受けられており、人々の生活に実質的な変化をもたらしています。気候変動は国民経済を混乱させ、今だけでなく将来にも更に大きなコストをもたらします。しかし、私たち全員がよりクリーンで強靭な経済へと一気に移行することを可能にする手ごろで拡張可能な解決策もあることがわかってきています。

最新の分析を見ると、私たちが今すぐに行動を起こせば、12年以内に炭素排出量を削減し、世界の平均気温上昇を産業革命前に比べ2°Cよりもはるかに低く、さらに場合によっては最新の科学で求められる1.5°Cの水準にまで抑えられることがわかっています。

ありがたいことに、私たちには「パリ協定」があります。気候変動に歯止めをかけ、その影響を逆転させるために必要なことをはっきりと定めたビジョンに富む、実行可能で未来志向の政策枠組みです。しかし、野心的な行動が伴わなければ、協定自体の意味がなくなってしまいます。

アントニオ・グテーレス国連事務総長はすべてのリーダーに対し、今後10年間で温室効果ガス排出量を45%削減し、2050年までに正味ゼロ・エミッションを達成するために、2020年までに自国が決定する貢献(NDCs)を強化するための具体的、現実的計画を持って、9月23日にニューヨークで開かれる国連気候行動サミットに参集するよう呼びかけています。

“私たちがいかにして2020年までに排出量の増大を止め、今世紀半ばまでに正味ゼロ・エミッションを達成できるよう排出量を劇的に削減していくつもりなのか、お聞きしたいと思います”

気候変動対策において、緩和だけに取り組む計画は効果的で信頼性があるとはいえません。持続可能な開発目標(SDGs)に沿った、経済の全面的な変革に向けた道のりを示す計画であることが必要です。勝者と敗者を生み出したり、経済的不平等を拡大したりすべきではありません。公正な移行という文脈の中で、公平であるとともに、悪影響を受ける人々に新たな機会や保護を提供する計画であることが欠かせません。また、重要な意思決定者として女性を含めるべきです。ジェンダー面で多様な意思決定があってこそ、これからやってくる大変革の時代に生じる多様なニーズに取り組むことができるのです。

国連気候行動サミットには政府、民間セクター、市民社会、地方自治体やその他の国際機関が参集し、次の6つの領域で 野心的な解決策の策定を図ります。それらは、グローバルな再生可能なエネルギーへの移行、持続可能で強靭なインフラと都市、持続可能な農業と森林・海洋の管理、気候変動の影響に対するレジリエンスと適応、官民金融と正味ゼロ・エミッション経済の整合性です。

ビジネスも私たちの味方についています。気候変動対策を加速すれば、大気を浄化し、自然の生息地と生物多様性を保全し、私たちの環境を守りつつ、経済を強化し、雇用を創出することもできるからです。

新たなテクノロジーと工学的な解決策はすでに、化石燃料主導型の経済よりも低コストでエネルギーを供給しています。太陽光と陸上風力は事実上、すべての経済大国で最も安価な新規大量電力の供給源となりました。しかし、私たちは根本的な変革を進めなければなりません。

そのためには、化石燃料や高排出型農業への補助金を廃止し、再生可能エネルギーや電気自動車、気候変動対応型の手法にシフトする必要があります。気候リスクから大気汚染の健康被害に至るまで、排出の実質的コストを反映するカーボンプライシングも必要です。また、石炭火力発電所の閉鎖を加速し、新規発電所の建設を取りやめるとともに、より健全な代替産業で雇用を置換し、変革を公正で包摂的な、収益の上がるものとしなければなりません。



アクション・ポートフォリオ

実体経済に変革をもたらす行動のインパクトをできるだけ高めるため、国連事務総長は、温室効果ガス排出量を削減し、適応とレジリエンスに関するグローバルな行動に資する潜在的な可能性が高いと認識されている、下記のアクション・ポートフォリオを優先課題と定めています。

金融:すべての優先分野で炭素除去を推進し、レジリエンスを高めるため、官民の資金源を活用する
エネルギーの移行:化石燃料から再生可能エネルギーへの移行を加速するとともに、省エネを大きく前進させる
産業の移行:石油・ガス、鉄鋼、セメント、化学、情報技術などの産業を変革する
自然に基礎を置く解決策:生物多様性の保全、サプライチェーンやテクノロジーの活用などを通じ、林業、農業、海洋、食料システムの各分野で、また、これらを横断して排出量を削減し、吸収源の能力を拡大し、レジリエンスを高める
都市と地方での行動:低排出型建物に対する新たなコミットメント、大量輸送と都市インフラ、および、都市部貧困層のレジリエンスを焦点に、都市と地方のレベルで緩和とレジリエンスを強化する
レジリエンスと適応:特に最も脆弱なコミュニティーや国々において、気候変動の影響とリスクに対処し、これを管理するためのグローバルな取り組みを進める
これに加えて、さらに3つの重要分野が設けられています。

緩和戦略:野心的な自国が決定する貢献(NDCs)と、パリ協定の目標を達成するための長期的戦略に向けた勢いを作り出す
若者の巻き込みと世論の動員:気候変動対策に全世界の人々を動員するとともに、6つの変革領域を含め、気候行動サミットのあらゆる側面で若者の参画を図る
社会的・政治的ドライバー(促進要素):大気汚染の削減、ディーセント・ジョブ(働きがいのある人間らしい仕事)の創出、気候変動適応戦略の強化など、人々の福利に影響する分野での取り組みを進め、労働者と脆弱な立場にあるグループを守る






by nonukes | 2019-09-28 18:02 | Comments(0)

  小坂正則

by nonukes