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小坂正則の個人ブログ

耐震基準の見直し求められる玄海・川内原発!? 

原発の地震安全対策が九電経営を直撃する
小坂正則
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「バックフィット制度」で追加された規制基準

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九州電力川内原発の周辺に近づくとなぜか活断層が消える?


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報告書(下にアドレスを記載しています)

原子力規制委員会は昨年1月から「震源を特定せず策定する地震動に関する検討チーム」を立ち上げ、これまでの原発施設の耐震基準の見直し作業を行ってきたのですが、その検討チームが7月8日に結論を出しました。その結論というのは、耐震基準を厳しくする結論です。
もう少し詳しく説明すると、日本中の原発の近辺には活断層が走っていますし、プレート型地震の影響も受けます。そのプレート型地震や活断層が動いたときに起こる地震を「強振動予測」の計算式で計算します。それとは別に「震源を特定しない地震動」についても「強振動予測」の式によって導き出します。それで出された基準地震動の大きな数値の方を耐震設計基準として取り入れて、原発の耐震設計を行って来たのです。「震源域を特定しない地震」とはいわゆる活断層が地表に出ていなくて、見えない地震のことです。見えない活断層は日本中至る所にあります。この見えない地震の例として2004年に起きた「 北海道留萌支庁南部地震」M5.8で地下8.5キロで起きた地震を基準にして、30キロから5キロの距離で起きた地震と仮定して原発施設がどれだけの揺れが起こるかを計算して耐震基準とするのです。
ところで、今回の「検討チーム」は「1つの事例だけでは不十分である」として、2000年から2017年までに起きた89例のM5.0~M6.6以下の地震を全て当てはめて計算するとしました。ちなみにM6.6の地震はM5.8の4倍規模の地震です。机上計算では4倍の耐震設計が必要になるのではないでしょうか。

九州電力の玄海・川内原発は大幅な耐震補強工事が必要

九州電力の周辺には活断層がたくさんあります。特に川内原発の周囲には活断層が縦横無尽に走っているのですが、不思議なことに原発周辺5キロ地点には急に活断層が消えてしまいます。(上の図を参照願います)それに中央構造線も川内原発のすぐ近くを通っているのです。そんな川内原発も玄海原発も周囲の活断層が動いた場合よりも「震源を特定しない地震」の方が揺れが大きいとして、620ガルを基準地震動の耐震補強工事をやってのです。
さて、今後は「強振動予測」の調査を行って、そこで出た揺れの数値によって700ガルとなるか800ガルとなるかは分かりませんが、数千億円から1兆円は確実の耐震補強工事が必要となるでしょう。
九州電力は玄海・川内原発の再稼働のために、1兆円を越えるほどの耐震補強工事をこれまでに行いました。しかも「免震重要棟」に代わる「テロ対策施設」もこれから完成させなければならないのに、その上今度は、新たに耐震設計の見直しを求められることになるのです。もう、いい加減原発なんかやめた方がいいのではないでしょうか。巨大地震が来て大事故が起こる前に原発は廃炉にした方が、私は得だと思いますがね。

新たな知見が出たら新たな対応「バックフィット制度」

原子力規制委員会が2013年7月に出した「新規制基準」によって原発の運転許可基準ができています。しかし、規制庁は「新たな知見が出てら、新たな基準を全原発に適応させる」としています。それを「バックフィット制度」というのです。なぜ、そのような規制値のハードルが次々に上げられるのかというと、福島原発事故の教訓から導き出された制度なのです。
福島原発を襲った15メートル以上の高さの津波は、2008年に東電内部の津波対策チームは、国の地震調査研究推進本部が869年の貞観地震を元に出した地震の規模から東電内部で津波の規模を試算したら、「15.7メートルの津波が福島第一原発を襲う」という計算を出していたのです。しかし、東電経営者はこのチームの試算をもみ消してしまって、何ら対策を取らなかったためにあのような甚大な原発事故へとなってしまったのです。(ちなみに日本原電の東海原発は津波対策を行った結果、ジーゼル発電機3機の内2つが動いたので事故を免れました)そのような反省から、新たな知見が出たらすぐに新たな規制を行うという「バックフィット制度」を規制庁は作ったのです。
そのための新たな対策として、7月11日号の朝日新聞「もっと知りたい原発再稼働」以下の通りです。

関西電力は福井県にある高浜と大飯、美浜の3原発について、大山(だいせん)(鳥取県)の噴火で敷地に降る火山灰を厚さ10センチと想定し、規制委も認めた。だが、その後に見つかった論文を踏まえ、規制委は従来の研究よりも大規模な噴火が過去にあったと認定。関電は厚さが約2倍になると再評価した。規制委は先月、関電に想定を引き上げて審査を受け直すよう命じた。
 昨年12月にインドネシアのスンダ海峡で起きた津波は、関電高浜の津波対策に影響した。火山噴火による山崩れが原因とみられ、津波警報が出されなかったが、関電は津波警報を前提に対策を定めていたためだ。規制委は今月、審査をやり直す方針を決めた。(ここまで引用)
また、7月9日に日経新聞「原発安全費、想定の3倍超す 関電・九電1兆円規模 エネルギー政策に影響も」によると、「中部電力に対しては、規制委が内閣府が示した南海トラフ地震の影響を厳しく見積もるよう求めた結果、中部電が建設した22メートルの防潮堤を上回る22.5メートルの津波が来る試算値となった。中部電は想定見直しに慎重だが、規制委から求められれば防潮堤の追加工事が必要になる」(ここまで引用)
このように、それぞれ新たな知見が出たら、その度に新たな対策を規制庁は求めてくるのです。

底なし沼にはまってしまった電力会社

2013年にできた規制庁による「新規制基準」の審査の許可を得て、現在動いている原発は全て加圧式原発です。その内訳は九電の玄海3、4号機、川内1、2号機に、関電の高浜3、4号機と大飯3、4号機と四電の伊方3号機の合計で9機です。そして規制庁の審査が終わって、運転許可が下りているけど地元の同意が取れてなくて動かせないのが、東電の柏崎刈羽の6、7号機、関電の高浜1、2号機、美浜3号機、日本原電の東海第二原発で合計6原発です。そして規制庁の審査中の原発が北海道電力の泊原発3機など合計12原発が残っています。その他、まだ申請もしていない原発が東京電力の柏崎刈羽原発1~5号機に北陸電力志賀原発など14原発が残っているのです。この中の志賀原発1号機は活断層が地下に走っていると疑われている原発ですから許可は下りないでしょう。また東電の福島第二原発の4機は福島県が運転を絶対認めないと言っていますので動くことはないでしょう。そこから言えることとして、現在許可が下りている6原発と審査中の12原発は動く可能性はありますが、それ以外は動く可能性は少ないでしょう。
それらの規制基準の審査に合格するために電力会社は安全対策工事を行っているのですが、その工事費が天井知らずの高額しているのです。
原発を持っているJパワーも含めて電力会社全体で、「今年6月末時点で対策の総額は約4兆8千億円」と7月9日の日経新聞は伝えています。また「原発依存度が高い関電は、13年時点の見込みと比べ3.6倍の約1兆250億円」と伝えています。この中には「テロ対策費用」と言われる「特重施設」は入っていません。おまけに審査に合格した原発も「特重施設」は運転から5年以内に作ればいいので全く作られていませんし、設計図もないありさまです。九州電力は川内原発(鹿児島県)と玄海原発(佐賀県)でのテロ対策施設の建設に約4600億円を見込み、これを含めたら1兆円どころの騒ぎではありません。1.5兆円に迫るのではないでしょうか。

九州電力へ追い打ちをかける新たな耐震対策

そこまで再稼働に金をかけて一体元を取れると考えているのでしょうか。「最初はそんなに金がかかるなんて考えてもいなかったが規制庁が厳しくて、気づいたら引き返せなくなった」というのが本音なのではないでしょうか。このような高額投資はそれを回収するには「電気料金を値上げするか、その他の必要経費を切り詰めるか、できるだけ長く原発を運転し続けるか」という選択肢の全てを使って運転し続けるしかないでしょう。でも、そのような危機的な状況にある九電にまたしても第三の規制庁による改善命令が出そうなのです。
7月8日に決定された「震源を特定しない地震動」の答申結果によれば、九電の1.5兆円もの安全対策費用に上乗せで、数千億円の耐震対策を要求される可能性があるのです。
ただ、一番問題なのは、川内原発も玄海原発も現行の基準地震動620ガルは相当無理して出した耐震基準なのです。耐震対策には限界があるのです。原子炉の中は狭くて、手が届かないような場所には耐震補強などできません。ですから原子炉内部はなどほとんどやることはなく、ただコンピューターによるシミュレーションで出た数値なのです。建設当初は372ガルを「新規制基準」で620ガルまで上げたものを、今度は700ガルや800ガルなどの数値を出すことができるのでしょうか。やろうと思えばできるでしょう。つまり、コンピューターの数値を操作して出すだけならいくらの数値でも出すことはできます。しかし、それを世間では「改竄」と言います。それが本当に地震が来ても堪えられるかどうかは誰にも分からないのです。つまりは一か八か実際に地震が来るまで誰にも分からないのです。そんなものに私たちは依存していていいのでしょうか。
電気は原発でなくても、安全でしかもクリーンな再エネ電力は原発よりも安くできます。それでも、「何が何でも危険な原発を動かそう」とする人びとの神経が私には理解できません。もう21世紀の日本は狂っているとしか言いようがないのでしょうか。

検討委員会の委員の皆さんは御用学者ではない

 規制庁の委員会はネット発信と議事録も公開されています。私はこの第10回の最終答申の委員会をネットで見ました。そこでは「震源を特定しない地震動」の基準を上げる結論を出した委員の学者から「国内の89例だけしか検討しないのはおかしい。海外の例も入れるべきだ」という意見も出ていました。「この答申はあくまでも現時点での答申として、今後も新たな知見がでたら再度検討する」と事務局はまとめました。
 検討委員会の委員は御用学者の集まりではありません。彼らが頑張ってくれたことが、今回の大きな成果です。また彼らが頑張ったのも、私たちが全国で「再稼働反対」の裁判を打ったり、全国でデモや集会を行っ来た、私たち国民の声が彼ら学者の背中を押したのだろうと思います。このことは電力会社にとっては正に「泥沼の脅威」でしょう。彼らを金で支配できなくなってきているのです。
みなさん一番下の動画は第10回の最終検討委員会の動画です。なかなか中身は難しい話ばかりなのですが、委員会の雰囲気を少しは感じることができます。ぜひ見てください。





原発安全費、想定の3倍超す 関電・九電1兆円規模
エネルギー政策に影響も
2019/7/9 2:00日本経済新聞 電子版
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47084510Y9A700C1SHA000/


地震審査モデル見直しへ
 未知の震源、全原発適用も
7/8(月) 12:46配信 共同通信
https://this.kiji.is/520808504988648545


(もっと知りたい)原発再稼働のいま
4 新たな知見で規制を上乗せできるの?
  2019年7月11日朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14092740.html


九電、追加対策「必要かも」
 川内・玄海で可能性 原発耐震強化
2019年7月10日朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14089904.html


全国共通に考慮すべき
「震源を特定せず策定する地震動」
に関する検討
報告書(案)
震源を特定せず策定する地震動に関する検討チーム
令和元年7月8日

https://www.nsr.go.jp/data/000276314.pdf

第10回震源を特定せず策定する地震動に関する検討チーム(2019年07月08日)動画です




by nonukes | 2019-07-13 14:49 | 原発再稼働は許さない | Comments(0)