2019年 05月 14日
「南海トラフ地震の前兆ではない」と言う気象庁は官邸への忖度では
頻発する日向灘地震は巨大な「南海トラフ地震」の前兆ではないか?
小坂正則
今年はG20にラグビー・ワールドカップ来年はオリンピックなので火消し
5月10日8時48分に日向灘の深さ25kmと比較的浅い場所を震源とするM6.3の地震が発生しました。また、この地震発生前の同日7時43分にほぼ同じ場所でM5.6の地震が発生しました。これらの地震は、発震機構が西北西・東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界で発生したそうです。翌日の5月11日8時59分に、日向灘の深さ36kmを震源とするM5.0の地震が発生しました。この地震は、発震機構が東西方向に張力軸を持つ型で、フィリピン海プレート内部で発生したそうです。いよいよ「南海トラフ巨大地震」が近づきつつあるのではないかという不安に駆られるところです。しかし、政府にとっては今、東海・南海地震が起こるととても都合が悪いのです。今年は6月にはG20が開催されて、秋にはラグビー・ワールドカップで、来年には東京オリンピックです。こんなイベント尽くしの時に「巨大地震が来る可能性がある」というだけで、世界中から観光客が来なくなることを怖れているのです。しかも3兆円もかけて準備しているオリンピックの開催前後に地震が襲ってきたら、被災者対応でオリンピックどころではなくなるからでしょう。そこで気象庁も忖度して「南海トラフ地震の前兆ではない」と言わざるを得なかったのではないでしょうか。
しかし、南海トラフ地震は必ず来ます。この地震はこれまでに100年から150年周期できていますので、ところが東海地震は1854年の安政東海地震から165年も経っているのです。ですから、いつ東海地震が襲ってきてもいかしくないのです。約70年までの1944年には東南海地震が起きて、1946年には南海地震が起きています。ただ、今度は3つが一緒に動く可能性があるのです。そうなるとM9.1程度の巨大地震が起きるのではないかと恐れられているのです。
危ないものにはフタということ
以下は日刊ゲンダイ5月11日号「南海トラフ巨大地震を即否定 気象庁の“忖度”を識者が懸念」という記事です。
10日午前8時48分ごろ、宮崎県沖の日向灘を震源とするマグニチュード(M)6.3の地震が発生し、宮崎市と都城市で震度5弱の揺れを観測した。11日9時過ぎにも宮崎、高知、愛媛各県で震度4を観測するなど、日向灘を震源とする地震が相次いでいる。幸い、大きな被害はなかったが、要注意だ。南海トラフ巨大地震の予兆とみられるからだ。
南海トラフは、「フィリピン海プレート」と「ユーラシアプレート」が接する海溝。駿河湾(静岡県)から、今回の震源である日向灘にかけて存在する。立命館大環太平洋文明研究センター教授の高橋学氏(災害リスクマネジメント)が言う。
「ユーラシアプレートが跳ね上がろうとするのを、フィリピン海プレートが抑えつけている構造なのですが、今年になって、プレート間でズレが生じ、たびたび地震が発生している。いつ留め金が外れてもおかしくない状態です」今年に入って以降、日向灘を震源とするM3以上の地震はきのうまでに17回も起きている。3月27日にはM5クラスが同じ日に2回も発生している。茨城県沖や紀伊水道でも地震が頻発しているが、これらも南海トラフの動きだ。
きのうの地震は南海トラフ巨大地震の警鐘と捉えた方がいい。ところが、地震発生後、緊急会見した気象庁地震津波監視課の中村雅基課長は「震源は南海トラフ地震の想定震源域だが、直ちに巨大地震につながるものではない」とし、巨大地震への懸念を即刻、火消ししたのである。
「このところ、気象庁は不安を打ち消すことを繰り返しています。今年はG20、ラグビーW杯、来年には東京五輪を控え、対外的に“危ない国”という印象を与えたくない政権に忖度しているのではないか。本来、気象庁は、科学的に冷静に判断し、国民に警鐘を鳴らすのが役目です。10日の地震も含めてデータを客観的に見れば、南海トラフ巨大地震は1~2年以内に起きると考えるのが自然です」(高橋学氏)
危ないものにはフタということなのか。(ここまで引用)
来年には「復興五輪」と銘打って東京オリンピックがありますし、2025年には大阪万博も計画されています。それなのに「南海トラフ地震」の可能性があるなんて気象庁は言えないのでしょう。「30年以内に南海トラフ地震が起こる確率は70~80%」と言われていますから、どう考えても「南海トラフ地震」という巨大地震がジワジワと迫って来ていることだけは火を見るよりも明らかです。
南海地震は必ず来るのだから、いつ来てもいいように備えるしかない
日本の地震研究は戦前から行われていたでしょうが、地震対策として1969年に「地震予知連絡会」が政府の肝いりで結成されて、莫大な予算をつぎ込んで「地震予知研究」が行われて来たのですが、2011年311東日本震災を予知できなかったことなどから「地震は予知できないことが日本の地震予知研究の成果」と揶揄されるまでに「地震予知」は困難なのです。ですから、私たちは「予知」に頼るのではなく、地震が起きても最小限の被害に食い止めるための「減災」や「防災」に心がけるべきだと私は思います。天気予報や台風の進路予想などはある程度の実績と気象測定によって、予報や予想が可能ですが、地震だけはいつ来るか正確な日時を予想することは非常に困難なのです。ただし、地震は確実に来ることだけは事実です。しかも直下型地震は1万年から数千年の範囲で起きる幅がありますが、プレート型地震は100年から150年の幅で繰り返し規則正しく起きてるのですから、地震が起きる日時を予測するのは不可能でも、地震に備えることは十分可能なのです。ですから、最大限の地震規模を想定して、それへの対策を取っていればいいのです。しかし、どう考えても東海地震の震央の真上にある浜岡原発を撤去せずに動かそうとする中部電力経営陣の考えが、私には理解できません。必ず定期的に起こる地震対策で一番の「防災」は被害が及ぶ可能性のある危険因子を除去することなのですから、浜岡から核燃料を全て抜き取って、いつ地震が来て原子炉が倒れても放射能漏れ事故が起きることがあり得ないようにするべきなのです。
伊方原発は「南海トラフ地震」による揺れの影響はそんなに大きくはないでしょう。ここでは中央構造線が動く時の直下型地震の恐れが大きいのです。
中央構造線が動くのは南海トラフの歪みエネルギーが原因
1596年9月1日に慶長伊予地震が起きて、4日には慶長豊後地震が、翌5日には慶長伏見地震が起きました。そしてその10日後には熊本で直下型地震が起きたのです。そして、それから9年後の1605年2月3日には「南海トラフ地震」の慶長地震が起こっているのです。つまり南海トラフが動くことと前後して中央構造線が動く可能性があるのです。これらは連動しているのです。特に考えなければならばならないことは、2016年の熊本地震は中央構造線が動いたのですから、その続きにある大分や伊予などが動くと考えることは常識ではないでしょうか。素人でも考えつくことです。
また地震と火山噴火には密接な関係があると言われています。地下のプレートが動けばマグマも一緒に動くのでしょう。富士山の噴火やカルデラ火山の噴火なども想定して対策を取るべきです。日本は世界一の地震国であり火山国だからです。
直下型地震が伊方原発を襲って、取り返しのつかない被害が出て、その対策に何兆円や何十兆円もつぎ込むよりも減災や防災につぎ込む方がいかに低コストで被害を最小限に食い止めることができるかを、311の福島原発事故で嫌というほど日本政府も電力会社も経験したはずなのに、そこから何も学ぼうとしない無能な政治家と経営者は退場してもらうしかありません。
by nonukes
| 2019-05-14 14:23
| 小坂農園 薪ストーブ物語
|
Comments(0)