人気ブログランキング |
ブログトップ

小坂正則の個人ブログ

高濃度の放射性汚染土を再利用してはならない!

8000ベクレル前後の放射性汚染土は拡散しないように厳重に管理すべきだ
小坂正則

d0174710_16452838.jpg
たまり続ける汚染土
d0174710_16410092.png

「南極のペンギンでも放射能に汚染されている」という話を聞いたことがあります。地球上で放射能に汚染されていない地はないのです。だから福島原発事故で汚染した「放射能汚染土」を再利用してもやむを得ないのでしょうか。それは程度の差というものです。8000ベクレル以下の「放射能汚染土」は隔離保管しなくて、再利用することを環境省は進めています。今のところ福島県内に限って行われているようですが、東京都でも8000ベクレルを越えた汚染土は各ゴミ焼却場などに保管していますが、「8000ベクレル以下のものは再利用しても問題ない」という見解を環境省は出しているようです。
でも、私たちは8000ベクレルがどれくらいの汚染なのかと言われてもピンときませんよね。そこで、私の農園の放射性セシウムの値を測ってもらったことがありますので、そのお話を少しします。
2014年3月8日に京大原子炉実験所で働いていた今中哲二さんに大分に来て頂いて講演会を行いました。その前日に私の事務所で小さな学習会を開催したのです。その時、今中哲二さんから「私は講演に行った先で、そのお宅の土壌の放射能測定をさせて頂いているんですが、小坂さんの農園の土壌を測らせてもらえますか」と聞かれたのです。私は「もちろんOKです」と答えました。その結果、私の農場の土壌の放射性セシウム濃度は1kgあたり5.7ベクレルでした。(後からメールで教えてもらったようです)
しかもこの中には放射性セシウム134は検出されなかったそうです。セシウム134の半減期は3年ですから、もし、134が検出されたら、それは福島由来のセシウムという可能性が高いのです。チェルノブイリも大気圏核実験も30年以上経っていますから、セシウム134は消えているのです。私の農園のセシウムはチェルノブイリ原発事故と大気圏核実験で出たものでしょう。(京大の今中さんが測ってくれた数値ですので、これほど正確なものはないでしょう)一般的な土地では10ベクレル前後だと話していたような気がします。それが環境省は8000ベクレルという数値を再利用するというのですから、如何にこの値が高いかがお分かりでしょう。我が農園の1,400倍以上の汚染値です。

放射性汚染土の定義

以下の文章は環境省のHPにある「指定廃棄物について」という文章です。
東京電力福島第一原子力発電所の事故によって大気中に放出された放射性物質は、風にのって広い地域に移動・拡散し、雨などにより地表や建物、樹木などに降下しました。これが、私たちの日常生活の中で排出されるごみの焼却灰、浄水発生土、下水汚泥、稲わらやたい肥などに付着し、放射性物質により汚染された廃棄物が発生しました。
これらの汚染された廃棄物のほとんどのものは放射能濃度が低く、一般の廃棄物と同様の方法で安全に処理できます。一定濃度(1キログラム当たり8,000ベクレル)を超え、環境大臣が指定したものは、指定廃棄物として、国の責任のもと、適切な方法で処理することとなりました。(ここまで引用)
とあります。実は「環境省が指定したものだけが適切な方法で処理します」とあるように、実際には各自治体ごとにバラバラで、東日本の薪ストーブの灰も8000ベクレルを越えるものがたくさんあったようなのですが、自治体によって回収する所と回収しないところなどがありました。住民から苦情があればいやいや回収していたようです。今はどうなっているのか、私にはわかりませんが、稲ワラなどが汚染していても、自主的に計測しなければ分からないままで済むのです。環境省が進んで測定したという話は今まで聞いたことはありません。

福島原発事故周辺では1億倍の10兆ベクレルもある?

環境省のHPに「8000Bq/kgとは?」という説明文かありました。以下の通りです。

8000Bq/kgとは?
廃棄物処理の過程で、放射線の影響を最も受けるのは、埋立処分を行う作業者とされています。この埋立作業者の年間での被ばく線量※1をシミュレーションした結果、通常の処理方法でも原子力安全委員会(現:原子力規制委員会)が示した「年間で1mSv(ミリシーベルト)」を下回り、安全に処理できると確認されている基準が「8,000Bq/kg」です※2
※1:作業者は、1日8時間、年間250日の労働時間のうちの50%(合計1000時間/年)の時間を焼却灰のそばで作業すると仮定
※2:指定基準を8,000Bq/kgとすることについては、環境大臣から放射線審議会にも諮問を行い、「妥当である」旨の答申を得ています。

処理する指定廃棄物のレベルは?
原子力施設で発生する廃棄物は、10兆Bq/kg超えるものなど様々なものがあります。
一方、指定廃棄物のほとんどのものは10万Bq/kg以下であり、比較すると約1億分の1とはるかに小さいものになります。(ここまで引用)

この説明では、8000ベクレルの汚染物質でも、その近くで仕事をしても年間1ミリシーベルトを下回るというのですが、それはおかしな話です。まず、年間1ミリシーベルトは日本人が被曝してよいという自然放射能などによる被曝量です。ですから、そこで仕事をする方は、その年間1ミリシーベルトに加算されて、もう1ミリ近くを被爆するのですから年間2ミリシーベルトの被曝になるではないですか。
しかも、原子力施設で発生する汚染物質には10兆ベクレルの汚染物質もあるから、8000ベクレルはその1億分の1だという論理は成り立たないでしょう。そんな10兆ベクレルの汚染物質の近くで生活していたら、経ちどころにガンや白血病になってしまうでしょう。ふざけた比較をしないでほしいものです。赤ん坊を欺すようなジョークです。

原子炉から出る鉄は100ベクレルなのに汚染土は8000ベクレル?

原子炉等規正法のクリアランスレベル(「放射性物質」と「放射性物質として扱う必要のない物」を区分する基準となる放射能濃度) ⇒ 放射性セシウムで100ベクレル/kg以下と法律で決められているのです。それが8000ベクレルが突如として出てきたのは福島原発事故で、各地に高濃度の汚染物質ができてとても隔離などできなくなったからなのです。環境省のHPにありました。
「廃棄物に含まれる放射性セシウムについて、100Bq/kg と 8,000Bq/kg の二つの基準の違いについて説明します。ひとことで言えば、100Bq/kg は「廃棄物を安全に再利用できる基準」であり、8,000Bq/kg は「廃棄物を安全に処理するための基準」です。」(ここまで引用)
それなら、8000ベクレル以下の汚染土を再利用するということは、環境省の言う説明にも矛盾するではないですか。詳しくは「100Bq/kg と 8,000Bq/kg の二つの基準の違いについて」を検索して見てください。下の日経新聞では、現在福島に移住している田中俊一元原子力規制委員会委員長が「科学的に見れば食用作物を育てても問題はない」と安全性を主張いているようですが、それならあなたがその土壌を使って野菜でも米でも作って一生涯でも食べればいいのです。

私には汚染土をどうすればいいのか解はありません

この文章を書いている私が、正義の味方のようなことを言っているのではありません。確かに福島県をはじめとして放射性汚染土が各地に溜まっています。でも、それをどんどん再利用して誰もそこで使われている土壌が放射性汚染土であると分からなければ、触ったり、近づいて危険性を意識しなくなるではないですか。しかも問題はリサイクルされた土壌の再々利用の場合です。最初に利用される場合は人間に近づかないような配慮があるかもしれませんが、それが大雨で流されたり、再々利用されるときは誰も気づかずに拡散してしまう恐れがあるのです。ですから、私には解はありませんが、まとめて厳重な管理を行うしか方法はないのではと思うのです。原発事故は解のない問題です。だからこのような事故を繰り返さないためにも「日本中の全ての原発を一刻も早く止めろ」と、私は主張しているのです。


福島の汚染土再利用 住民の反対根強く 国・東電に負担軽減の思惑
2019/4/29 日経新聞 

東京電力福島第1原子力発電所事故で出た汚染土壌の処分計画がつまずいている。国は昨年末、汚染土を除染して長期間保管した後でほぼ全量を再利用する方針を打ち出したが、住民の反発で思うように進まない。計画にこだわる背景には処分費用を抑えて国や東電の負担を減らす思惑が垣間見える。
「再利用は住民の理解がなければ進まない。絵に描いた餅にしてはならない」。3月19日に開いた環境省の検討会で大学教授らが再利用に向けた技術的な課題を詰めた。
福島第1原発事故ではセシウムなどの放射性物質が大量に放出され、汚染が広がった。国は汚染土を集める除染を進め、放射線量を毎時0.23マイクロ(マイクロは100万分の1)シーベルト未満まで下げ、住民を帰還する計画をまとめた。
汚染土壌の総量は1300万立方メートル。除染作業は7市町村に残る帰還困難区域を除き18年3月で終え、福島県内の10万5千カ所に仮置きする。国は12年7月に閣議決定した「福島復興再生基本方針」で福島第1原発近隣(同県大熊町・双葉町)の中間貯蔵施設で長期間保管し、貯蔵開始から30年以内に福島県外で最終処分する計画を立てた。
ただ1300万立方メートルもの土壌を集約した後、再び県外の別の場所に運ぶのは現実的ではなく候補地のあてもない。国の検討会で座長を務める東京農工大学の細見正明名誉教授は「再利用で量を減らさないことには最終処分は到底できない」と指摘する。こうした専門家の意見を踏まえ、国は汚染土を最大99%再利用する方針に踏み切った。
再利用は放射線量が1キログラム当たり8千ベクレル以下まで下がった汚染土。農地や公園などの造成、高速道路や防潮堤の公共工事に利用を見込む。環境省は再利用で、最終処分する汚染土の量が最大99%削減できるとしている。
17年3月に住民の避難指示が解除された同県飯舘村では再利用が始まった。低地を汚染土で埋め立てバイオマス燃料の原料作物を栽培する。原子力規制委員会の初代委員長を務めた田中俊一氏は同村に移住。汚染土を再利用した場所で放射線量を調べ安全性の確認を続ける。田中氏は「科学的に見れば食用作物を育てても問題はない。(収益面を考慮して)住民の要望もある」と話す。
ただ再利用が頓挫しかけているケースもある。

「安全なら東京五輪の工事に使えばいい」「風評が心配だ」

3月7日に同県南相馬市で開いた住民説明会。環境省が市内を通る常磐自動車道の拡幅工事に汚染土を使う計画を説明したところ出席した10人の行政区長らが抗議した。同省は3月中の工事着工を断念。同省福島地方環境事務所の中尾豊次長は「丁寧に説明していくしかない」と肩を落とす。
同県二本松市でも約200メートルの市道整備で汚染土を活用する計画を市議会で説明したが、反発が相次いだ。住民の反対署名運動まで広がり計画の中止を余儀なくされた。
なぜ国は住民の反対が強いにもかかわらず汚染土の再利用を進めるのか。除染費用を抑えて東電などの負担を減らす意図が見え隠れする。
政府は16年12月、福島第1原発の処理にかかる費用が約21.5兆円に達するとした。これは原子炉の廃炉や住民などの賠償も含むが、中間貯蔵建設も入れた除染費用は5.6兆円にのぼる。当初は3.6兆円だったが、すでに2兆円膨らんだ。
除染費用は事故後に購入した東電株の売却などで充てる計画だったが、それでは足りず中間貯蔵施設の費用では税金の投入も決まった。これ以上、除染費用を膨らませたくないというのが国の本音だ。最終処分地を新たに作れば莫大なコストがかかる。再利用できれば費用が大幅に減る。
長崎大学の鈴木達治郎教授は「国民負担は不可避となっており、政府は費用の内訳や見通しを説明し、透明性を確保すべきだ」と語る。
事故から8年がたち、放射線への差し迫った危機はなくなった。しかし汚染された土壌をどう処分するか。住民にとっては先送りできない現実的な課題として突きつけられている。

by nonukes | 2019-04-29 16:43 | 原発再稼働は許さない | Comments(0)