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小坂正則の個人ブログ

原発に補助金をつぎ込み、パリ協定に原発推進を書き込ませる?

破綻したアベノミクスを繕う「原子力マフィア」の悪あがき
小坂正則
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3月23日の朝日新聞


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資源エネ庁:原子力小委員会第5回会議資料

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3月23日の朝日新聞のスクープと言えばいいのか、それとも経産省官僚による観測記事なのかは定かではありませんが、「原発支援へ補助制度案 経産省、2020年度創設めざす」という記事がありました。朝日の記者が経産官僚から聞き出した記事なのでしょう。この記事を要約すると、
「原発については、発電事業者と電力小売事業者との間で取引する際の市場価格に一定の価格を上乗せすることを認めるものだ。原発を温室効果ガスを排出しない「ゼロエミッション電源」と位置づけ、環境への貢献で付加価値をもたらしている、との理屈だ。」また「モデルにするのは、米国のニューヨーク州が導入する「ゼロ・エミッション・クレジット(ZEC)」という制度で、原発の電気について市場価格への上乗せを認める。直近では、原発の発電量1キロワット時あたり約1.9円を価格に上乗せして売ることができる。日本の電力業界関係者は「赤字の原発が黒字になるくらいのインパクトがある」と分析する。」とあります。
また「経産省が検討を進める背景には、東京電力福島第一原発事故を受けた規制基準の強化で安全対策費用が高騰し、原発でつくった電気の価格競争力が低下していることがある。それでも政府は原発を「ベースロード電源」と位置づけ、30年度の電源構成に占める原発の割合を20~22%に引き上げる目標を掲げており、特別扱いしてでも原発の競争力を維持するねらいがある。」
つまり、これまで「原子力は低コストだから普及させる必要がある」と国民に説明していたのが、太陽光発電などの発電コストが世界中でどんどん下がっていることと、電力自由化で電気料金が相対的に下がる傾向がある中で、今後電気料金が上がる気配がないので、既存の原子力を中心に販売している9電力会社の経営が厳しくなることが予想されるから原発の電力に特別扱いを考えているのです。

「安いから原子力」が「原子力は必要」へ手段が目的化

これと同じような記事が以前にもありました。2014年の9月21日に開催された、資源エネ庁の「エネルギー部会」で経産省は「原発の電力価格保証」案というものを参考資料として出したそうです。
この「価格保証」というもは電力自由化で電気が市場で売り買いされるようになると、電気が余った時には電気の売り買いが発電コストを下回ることもあり得るので、「長期間に及ぶ投資が必要な原発の安定経営を保障するために一定の価格を下回った場合にはその差額を価格保証する」というものです。この制度はイギリスが既に実施しているものです。私の過去のブログです→https://nonukes.exblog.jp/21179510/
また、上の画像は2014年8月総合資源エネルギー調査会原子力小委員会第5回会合の資料4が上記の画像の一部です。その中に、2014年第186回通常国会で電力自由化による電気事業法の1部改正における付帯決議が決定されています。その中身は、「電力自由化による競争下の電力事業で原子力発電と核燃料サイクルを行うことに不安のないように適切な処置を講ずること」また、その対策は「必要な措置を速やかに検討し遅滞なく実施するものとする」とあるのです。これが今回の原発優先政策の案が出てきた背景なのです。
そして官僚の皆さんは、恥ずかしげもなく、4月20日の新聞によると「政府、国連に「原発推進」の戦略案提出へ 温暖化対策で」と朝日新聞の見出しです。地球温暖化防止「パリ協定」に、原発による二酸化炭素削減案を提案するというのです。世界では急激に発電単価の下がった再エネ電力によって二酸化炭素削減と新産業のイノベーションで、経済成長と雇用の創出を世界中で競争しているのです。そんな世界の中に、いまだに原子力に未練を残しているバカは日本の官僚と電力会社と自民党しかいません。

「巨砲・巨艦主義」の戦艦大和を造って破滅した日本海軍の二の舞

悲しいかな、この国の官僚制度は戦前から1ミリの変わってはいません。1945年8月15日のままに今日まで受け継がれています。それは「一度決めたことは途中で変更できない」という前例主義です。1953年に「原子力の平和利用」を掲げて、日本政府も科学者もこぞって「原子力の平和利用」に夢を託しました。私の尊敬する故人の科学者高木仁三郎さんや久米三四郎さんに、現在もご活躍の小出裕章さんも、みなさん一度は、原子力に明るい未来の可能性を信じていたそうです。しかし、現実は全くの真逆だったのです。そのことに気づいた時期が、1979年の米国スリーマイル島事故からか、1986年ソ連のチェルノブイリ事故からかの違いはあるでしょうし、小泉元首相のように2011年福島原発事故からかもしれませんが、方向転換できた方とできない官僚的思考の人間の違いだけなのです。公務員は仕事上で異論を言うことは大変な勇気がいります。私も以前公務員の端くれでしたが、その中で郵政民営化を労使双方が反対していた中で、私は民営化賛成でした。でも、公にはほとんど「民営化賛成」と声を出すことはできませんでした。しかし、このお国の進路が破滅に突き進むことが明白なのに、なぜ日本は戦争を回避できなかったのか、誰も反省をせず、一億相懺悔というわけの分からない総括で、「赤信号みんなで渡れば怖くない」風の「過去を水に流す」ことで「戦争責任」なども忘れてしまったのでしょう。そのツケが今日の日本へ襲いかかっているのではないでしょうか。

この現実を見れば日本の繁栄が「砂上の楼閣」であることが誰でも分かる


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4月19日の新聞各紙は一斉に「2040年の世帯数、15年比5%減 75歳以上が4分の1」という記事を配信しています。
「国立社会保障・人口問題研究所は19日、世帯数の将来推計を発表した。2040年の世帯総数は5075万世帯となり、15年と比べて4.8%減少する。世帯主が75歳以上の世帯は15年の888万世帯から1217万世帯に増え、全世帯の4分の1を占めるようになる。医療や介護のニーズが高い後期高齢者世帯の急増に向け、政府や企業は対応を迫られる。▼同研究所が15年の国勢調査に基づいて、40年まで5年ごとの都道府県別の世帯の数を推計した。▼40年の推計で全世帯に占める一人暮らしの割合は39.3%で1994万世帯。このうち75歳以上の独居は512万世帯で、全体の10.1%になる。15年の6.3%から4ポイント近く上昇する。▼世帯主が75歳以上の世帯の割合を都道府県別でみると、青森、秋田、長崎、鹿児島で30%以上。東京は18.2%となる。」(ここまでは日経新聞)
大分合同新聞によると「2040年には高齢者世帯の内一人暮らしの割合が大分県では40%」とありました。日本の平均値ですが、人口減少も加速化して、移民労働者は140万人以上いても日本の総人口は2050年には30%減という最高値を厚生省は掲げています。それだけではありません。国民実質所得はこの20年間ほとんど増えていないどころか減っているのです。労働者の実質平均賃金は20年でマイナスです。米国も英国も80%くらいは増えているのにです。
高齢化と少子化と「貧困と格差の拡大」で国内消費はどんどんこれからは落ち込むばかりでしょう。老人はそんなに多く消費しません。消費をするのは若者と子どものいる家庭です。その子どもの出生数が1973年には200万人だったのが、44年経った2017年には100万を切っているのです。ですから、50年前の半分しか消費する人(働く人も)が誕生していないのです。それに日本から工場がなくなれば、働きたくても雇用の場は減って、労働者の賃金は下がるばかりでしょう。おまけに世界中で電気自動車社会になったら、世界のトヨタも潰れてしまう可能性も大きいのです。そんな暗澹とした日本の将来に「大量生産=大量消費」の象徴のような「原子力発電」が生き残れるはずはありません。この間の日本全国の電力消費傾向を見れば一目瞭然です。いくら電気自動車が普及しても電力消費拡大には結びつかないでしょう。だったら、40年や60年間という長期間で投資を回収する原子力など不可能なことは小学生でも分かります。安倍や中西(経済連会長)は小学生以下ということでしょうか?

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by nonukes | 2019-04-22 11:44 | 小坂農園 薪ストーブ物語 | Comments(0)

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