2018年 11月 30日
天皇や皇室による政治介入の制限と表現の自由はどこまでが許されるのか?
明仁天皇や秋篠宮氏の行動は安倍政権への抵抗
小坂正則
浜松市外国人学習支援センターで、外国人支援者のためのポルトガル語講座の受講者らに声をかけられる天皇、皇后両陛下=28日午前10時
明仁天皇が移民労働者へねぎらいの言葉をかける
明仁天皇の在位は来年の4月30日までですから、すでに残すところ僅か4ヵ月となりました。そんな明仁天皇は私的な旅行ということですが、今月27日から28日にかけて、静岡県へ旅行したついでに、浜松市の「外国人学習支援センター」を訪問したそうですが、そこで外国人の方々に対し「どうぞ日本で幸せにお過ごしください」と言葉をかけ、日本人ボランティアらを「(外国人の)日本での滞在が楽しいものになるよう、皆さんのご努力が大事ですね」などと激励したそうです。ところが、そのタイミングがちょうど今国会で、安倍政権が衆院で僅か17時間で強行採決した「入管法改正案」の真っ直中で、外国人への訪問を行ったことが、「安倍政権への嫌がらせではないか」という批判がネトウヨなどから出ているそうなのです。
私は、明仁天皇が安倍晋三への最後の「抵抗」として、「国民に『外国人労働者をないがしろにしたこんな法案を簡単に通してはらない』という強い意志を表明するために、わざわざこの機を狙って訪問したのではないか」と思っています。
もちろん天皇が政治に関与することは憲法で禁止されていますので、直接「この法案はよくない」という発言はできませんし、反対の行動を行うこともできません。しかし、天皇にも行動や表現の自由はありますので、慎重な形で、「外国人労働者や留学生に声をかける」ことは政治介入とは言えませんし、天皇としての行動の許容範囲内でしょう。
日刊ゲンダイ2018年11月30日号には以下のような記事がありました。
最低賃金割れや長時間の違法労働を強いられた技能実習生らが国会で待遇の悲惨さを訴えても、安倍政権はガン無視。つまり、天皇、皇后の外国人らをねぎらう“お言葉”が安倍政権への牽制と受け止められても不思議ではないのだ。聖学院大教授の石川裕一郎氏(憲法・フランス法)がこう言う。
「憲法上、天皇が国政に関わることは禁止されています。私的な旅行とはいえ、国会で入管法改正の議論がされている時に外国人支援センターを訪れたのは、天皇として憲法違反になるかならないかのギリギリの行為でしょう。天皇、皇后の言葉には、技能実習生らを人間扱いしてこなかった行政に対するアンチテーゼが読み取れます。外国人労働者を受け入れる側の心構えを発したともとれるメッセージで、政治へのインパクトは大きいでしょう」(ここまで引用)
秋篠宮氏の誕生日会見で「大嘗祭の国費支出を批判」
昨日報道された秋篠宮氏の53歳の誕生日会見の録画撮りが今月20日に行ったそうですが、そこでは宮内庁の記者クラブの質問に答える形で、眞子さんと小室圭さんとの結婚についての質問が出ていて、これにはマスコミ各社が群がっていたようです。今朝のテレビはどのチャンネルを回してもこの会見と日産のゴーン元会長の話題ばかりでした。
秋篠宮氏は記者の質問が終わった後にテレビの画像は終わった段階で、ご自分から発言をしたテーマがあったそうです。それは「大嘗祭は皇室の私的な行事なのだし、憲法との整合性からも国費で大々的にやるのではなく、皇室の「内廷会計」の範囲で小規模に行うべきだと宮内庁長官に話したら、長官は聞く耳を持っていなかった」という話したそうです。会見内容は下に添付します。
【代替わりに伴う即位の行事や儀式に関する考え】
《秋篠宮さま》代替わりに伴う行事で、国事行為で行われるものについて、私が何かを言うことができるかというと、なかなかそういうものではないんですね。一方、皇室の行事として行われるものはある程度、例えば私の考えというものもあっても良いのではないかなと思っています。
大嘗祭(だいじょうさい)は皇室の行事として行われるもので、ある意味宗教色が強いものになります。宗教色が強いものを国費でまかなうことが適当かどうか、これは平成の大嘗祭の時にもそうするべきではないという立場だったわけで、多少意見を言ったぐらいですけれども、今回も結局踏襲することになったわけですね。ただ私として、やはりすっきりしない感じは今でも持っています。
宗教行事と憲法との関係はどうなのか、という時に、私はやはり内廷会計で行うべきだと思っています。ただ、それをするためには相当な費用がかかりますけれども。大嘗祭自体は絶対にすべきものだと思います。ただ、できる範囲で、言ってみれば身の丈に合った形で行うのが、本来の姿ではないかなと思いますし、そのことは宮内庁長官などにはかなり言っているんですね。ただ残念ながらそこを考えること、言ってみれば話を聞く耳を持たなかった。私は非常に残念なことだったなと思っています。(ここまで朝日新聞より)
明仁天皇や秋篠宮氏の行動は安倍政権への抵抗
このような秋篠宮氏の発言は、彼が1人で考えて宮内庁長官に話したのか、それとも兄貴の明仁氏と相談して、秋篠宮氏が「兄貴が喋ったら天皇の国政への介入になるからよくないので、私が喋ろう」と言ってお二人で協議して喋った可能性もあるのではないでしょうか。天皇は国政への関与や政治的な発言はできませんが、それ以外の皇室人が喋るのは、憲法上違憲ではありません。ましてや現在の秋篠宮氏は天皇になる可能性のあるかたではないからです。しかし、来年の5月からは新天皇が即位すると、彼が天皇の代替わりの皇太子の役目となり、自由な発言が制限されるので、今の内に言っておこうと思ったのではないかとマスコミには書かれています。
秋篠宮氏の発言は「できる限り憲法の理念と矛盾しない範囲で皇室は存在し続けたい」という思いでしょう。それ自体は実に賢明な考えだと私も思います。皇室の私的な行事として質素な儀式として代替わりを行うことは、「天皇制を政治利用させない」というお二人の強い意志の現れではないかと私には見えるのです。安倍晋三は天皇の代替わりを自分の総理大臣としての功績として歴史に残そうと企んでいるのです。ですから、ど派手に演出して、「天皇の上に安倍晋三首相が君臨している」という映像を世界に発出させたいのでしょう。日本版・狂気のヒットラーよろしく「憲法改正もオリンピックも天皇の代替わりもみんな安倍晋三が取り仕切った」と日本の憲政史上一番長く君臨したバカ総理大臣としてレガシーになりたいのです。しかし、天皇も秋篠宮氏も、だから安倍晋三の企みを阻止したいのだろうと私には思えるのです。私の読みは「当たらずとも遠からず」というところだろうと思います。
by nonukes
| 2018-11-30 23:23
| 小坂農園 薪ストーブ物語
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