2018年 11月 26日
日本政府と日産によるルノー支配へのクーデターは成功するか?
頑張れ!カルロス・ゴーン。前近代的な日本の人質司法をぶち壊してくれ
小坂正則
先週の19日に東京地検が羽田空港に降り立った日産自動車の会長ゴーン氏を逮捕して1週間が経ちました。そのニュースは蜂の巣をつついたように世界中に流れています。日本の国会で行われている「移民政策」や片山大臣の疑惑報道も安倍のモリカケ事件も影を潜めています。しかし、ゴーン氏逮捕の容疑が「証券取引法違反」で、自分の報酬を有価証券取引報告に記載しなかったことが罪に問われているそうです。「10億円の収入という有価証券報告書の記載が、実際には20億円だった」と報道されているのですが、何でも「不記載の10億円は会長職を退任した後に相談料として支払う約束」というだけのようだとマスコミは伝えています。そんなことで東京地検は逮捕しても、実際に裁判になったら、「有罪判決を勝ち取ることは不可能」と、元東京地検の郷原弁護士は話しています。東京地検はゴーン氏の悪行を数々をマスコミにリークしていますが国内では通用しても世界には通用しません。世界中に豪邸を日産に作らせて、そこを私邸として無料で使っているとか、家族旅行費用も日産に出させているとか、ミネラルウオーター代金まで社費で使用していた等々です。
このような微罪は日本国内の世論をゴーン氏悪者説になびかせる世論操作です。そして今回のゴーン氏逮捕は東京地検による国策捜査です。
東芝の証券取引法違反では動かなかった東京地検がなぜ日産では動いたのか
東電福島原発事故でも、東芝による有価証券報告書への不正報告でも誰一人と逮捕することもなく、一切罪に問うこともなかった東京地検が日産の「有価証券取引報告不記載」くらいの微罪で世界で最も有名なゴーン氏を逮捕するような荒療治に出るというのは国策捜査以外の何ものでもないでしょう。それはルノーが日産を吸収しようとしてフランス政府が執拗にルノーやゴーン氏に迫っていたことから、菅官房長官が東京地検を動かしたと言われています。菅の地元の横浜に日産の本社があるからだと言われると「なるほどな」と思ってしまいます。しかも、日産を守ればネトウヨだけではなく、国内の有権者は諸手を挙げて菅官房長官や安倍政権の大きな勝利として拍手喝采を受けて支持率も上がると読んだのでしょう。
確かに私もルノー・日産の提携で日産はルノーの1.5倍の利益を上げているというのにルノーの子会社というのは日本人としては割り切れない思いがします。日産の利益をルノーやフランスに持って行かれるのことは頭に来ます。ただし、グローバル化時代ではやむを得ないことなのです。スウェーデンを代表する大手自動車メーカーVOLVO も2010年、浙江吉利控股集団に13億ドルで買収されていて中国企業となっているのです。日産が中国企業ではなくフランス企業に買収されてよかったと思うべきなのです。
日本の人質司法にフランス政府はカンカンに怒っている
この問題はフランスと日本政府の国家間の問題へと発展する可能性があります。フランスのマスコミは「日産のクーデター」と報道しているそうです。それに日本政府が荷担していると。それにゴーン氏は留置場に入れられて、20日の拘束と、新たな罪状が出てきたらもう20日が加算されて、その間に検察が起訴すれば、数ヶ月でも1年間でも拘留することができるのです。特に自白しない場合や逃亡の恐れがある時と、証拠隠滅の可能性があれば、何ヶ月でも拘束可能なのです。籠池夫妻は昨年から逮捕されて10ヵ月も拘束されたのです。彼らは逃亡の怖れもなければ証拠隠滅の怖れもないのにです。
日本の司法は先進国ではあり得ない独裁国家顔負けの不当勾留を実施しています。おまけに、検察による取り調べには弁護士の付き添いができません。これも先進国では考えられない人権無視の取り調べです。しかも取り調べ時間に制限がありません。10時間以上取り調べることだってできるのです。おまけに、起訴されるまでは留置場での面会者は日本語以外を使うことは許されないそうです。ということは逮捕された被疑者が外国人で日本語を喋ることができなければ、誰とも面会ができないことになるのです。実際に籠池夫妻は何ヶ月も家族の接見が禁止されていました。国連からも「日本の検察の取り調べは拷問に値する」と指摘を受けているのだそうです。
人質司法と言われる長期拘留は「えん罪」を産む温床
元厚労事務次官の村木厚子氏も、虚偽有印公文書作成および行使の罪などを否認したことで5カ月以上も勾留されました。ホリエモンこと堀江貴文氏も約3カ月間勾留されました。ホリエモンは保釈された後に以下のように話しています。
「単なる勾留ではなくて、私の場合は経済事犯でしたので、接見禁止命令というのがつきまして、担当の弁護士さん以外は誰にも会えない、そして雑誌、新聞の閲覧もまかりならぬということが94日間続きまして、非常に孤独で隔絶された世界におりました。これは、被告人、被疑者にとっては非常に精神的な不安になっておりまして、かなり精神的プレッシャーになるので、脳の記憶が書きかえられてしまうぐらいの記憶になります。これは村木(厚子)さんもおっしゃっていましたけれども、自分がやっていないことをさもやっているかのように思ってしまう」と。
KITERA 2018.11.25号では以下のように指摘しています。
被疑者を外界から遮断し、完全に捜査当局のコントロール下に置いて自白を強要する長期勾留は、はっきり言って「認めるまで外に出さんぞ」と脅しているようなものだ。ここには、近代法の大原則である「推定無罪」がまったく働いていない。また、日本国憲法38条では〈強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない〉とされているが、「人質司法」においてはこれも事実上無視されているに等しい。国際的にも強く批判されて当然だろう。(ここまで引用)
フランス政府は「中世」並の日本の刑事司法をぶち壊してくれ
今回のゴーン氏のやったことが罪になるかならないかは裁判でハッキリすることでしょう。しかし、国際的に日本の「人質司法」のあり方が厳しく問われることによって、不当な被疑者の取り扱いが改善されることを私は大いに期待しています。取り調べの全体の録画化(現在は部分録画なので検察に都合のいいように編集されている可能性があります)や、取り調べに弁護士を同席させることや、「外国人被疑者に日本語以外では話をさせない」というのは国際的に問題に今までならなかったことの方がおかしなことです。
日本政府はフランス政府の抗議でゴーン氏を早く仮釈放させるかもしれません。それならそれで、なぜ籠池夫妻を10ヵ月も拘留したのかを厳しく問い詰めなければなりません。この国の腐った官僚支配を外圧でぶち壊してもらいましょう。
頑張れカルロス・ゴーン氏!
(私はゴーン氏を支持しているわけではありませんが人質司法の犠牲者のゴーン氏には同情します)
推定無罪のゴーン氏を1日も早く釈放して、在宅起訴で検察は正々堂々と国際的な批判の矢面に晒されろ!!
by nonukes
| 2018-11-26 22:55
| 小坂農園 薪ストーブ物語
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