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小坂正則の個人ブログ

原発と石炭火力を動かして太陽光と風力を止めるのはおかしい

太陽光と風力を止めるまえに石炭火力と原発を止めろ
小坂正則

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10月13日の電力抑制の実態

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2007年以降、電力需要は確実に減っている



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ドイツの電源構成(2015年)

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毎年安くなり続ける固定価格買取の大口電力と家庭用電力の買い取り価格

無尽蔵の再エネ電気を止めて化石燃料を優先する?

今年の10月13日に九州電力は九州管内の大規模太陽光発電32万kwの太陽光発電に対してを昼間の30分間ずつ系統から切り離しました。つまり発電を停止したのです。その後、数回にわたって土日祝日には工場やオフィスが休みなので、供給が需要を上回る恐れがあるからという理由で発電停止させたものです。今年6月16日の玄海原発4号機の再稼働により4基の原発(合計出力414万kW)が稼働しているためエアコン需要のない春と秋には太陽光発電が邪魔になるからです。今年の5月の連休もきわどかったのですが、秋に比べて玄海4号が運転開始していなかったので、100万kw原発の電気が少なかったので停止させずに済んだのですが、来年の5月は10連休ということで、秋に比べてもっと大規模な停止が行われることでしょう。太陽光発電や風力発電は建設費は膨大な資金が必要ですが、一旦作ってしまえば燃料は太陽エネルギーですから、無料です。それに比べて原発や石炭火力などは多額の燃料費がかかりますし、石炭は二酸化炭素を原発は放射能という毒のゴミをだすのですから、止めるなら、原発と石炭火力が太陽光発電などより先に止めるべきです。普通の市民が考えたらそっちの方が百倍もまともな考えです。

なぜ原発は何が何でも動かしたいのか

日本の原発をもっている9電力と原電という原発専門会社の中で、九電だけが4基も原発を動かしています。しかも九電管内には現在803万kwの太陽光発電が設置されているのですから、春と秋には九州管内の需給バランスが壊れることは明らかです。しかも、そんな原発が414万kwも動いているのに、それに電源開発が長崎に200万kwと100万kwの石炭火力発電所を持っています。その内100万kwは九電に売っていて残りの170万kwは門司と下関を結ぶ本州へと関門連携線278万kwで本州や四国に出ているのです。それは少なくとも春と秋には石炭火力発電は停止もしくは出力を最低に絞って運転して、関門連携線は九電管内の余った太陽光の電気を本州へ流せば、このような太陽光発電の系統遮断などしなくてもよかったのです。また九電が原発を動かしてもいいという規制委員会からもらったお墨付きがあったとしても、それを伝家の宝刀のように振りかざして、ガムシャラに「原発が絶対優先」という考えも見直すべきです。
しかし、経産省と電力会社のいわゆる「原発ムラ」の連中によって作られた「ベースロード電源」という考えが原発と石炭火力優先の電力供給体制を強固に維持させようとしているのです。その理由として「原発と石炭火力は発電コストが一番安くて一定出力で発電することが向いているので、優先的に発電する」という考えです。それに比べて「太陽光や風力は不安定で天候に左右されるので、10数年まえまでは全体需要の5%くらいしか入れられない」と、電力会社はぬけぬけと話していました。さすがに現在はそんなことは言わなくなりましたが、それでも「邪魔な再エネ電力は極力入れさせたくない」というのが本音なのです。世界で起こっている再エネ革命で太陽光や風力の発電コストが劇的に下がっています。特に著しく下がっているのが太陽光発電です。ですから、太陽光は何としても電力自由化の中では電力会社にとっては強敵なので、「電気予報」などでキャンペーンを討って、電力市場から排除したいのです。
東北電力の送電線は最高で18%しか使われていなくて、普段は数%しか使われていないのに、女川原発のフル稼働を予定していて、他の太陽光や風力を設置したいという申し込みを全て拒否しているのです。このように既存の電力会社は太陽光発電をこれ以上増やしたら、それが皆彼らの商売敵になるので、「既得権益」を盾にして嫌がらせのような太陽光発電を停止をわざと行っているのです。

ベースロード電源の考えは古い

原発は負荷調整が難しと電力会社は言いますが、フランスでは毎日負荷調整していますし、少なくとも4月から5月いっぱいは太陽光発電の過剰が出る時期に定期点検を行うことや、停止しても何の問題もないはずです。石炭火力も旧式のやつは火を止めたら、また起こすのに重油を使うのでコストがかかるなら、最低出力の17万kwくらいでの低出力で運転すればいいのです。
日本もこれから再エネを増やして二酸化炭素ゼロの社会を実現するためには、電力会社の「既得権益」の「ベースロード電源」という考えをドイツのようにやめて、再エネをまずは優先的に入れて、それを補うように天然ガス発電と揚水発電で負荷平準化を進めればいいのです。そうすることで原発も石炭火力も不要になるのです。だって、いつ巨大な地震が襲ってくるかもしれないのですよ。北海道東部地震で石炭火力に頼っていたため長い間停電が続きましたよね。それがもし泊原発が動いていたらもっと長い間止まっていたことでしょう。それに比べたら太陽光や風力は1日か2日で運転再開できますし、大規模集中型の発電よりも地域分散型の再エネの方が災害には強いのです。

夏場の電力需要ピークがなくなりつつある

これまでは夏場のデパートやオフィスや工場などでエアコンのフル稼働が電力需要のピークを作っていました。それがこの頃は太陽光発電の拡大で、そのピークが下がってきたそうです。これからは逆に夏場の昼間は電力が余るような情況になるかもしれません。春と秋は極端な例ですが、日本の電力需要のピークは2007年で、その後11年間毎年のように電力需要は総じて減少傾向なのです。その一番の理由として、省エネ製品の普及と人口減少でしょう。ですからこれからはますます電力需要は下がって行く可能性の方が大きいのです。
確かに電気自動車の普及が進めば電力需要は増えるでしょうが、電気自動車はバッテリーの役目をしてくれますから、再エネと相性がいいのです。これまでの日本では高度経済成長の時代から2007年まで、電力需要は未来永劫増え続けるものと考えられていたために、「日本中に原発を建てなければ電気が足りなくなる」と電力会社と国は国民を脅迫して、危険な原発を過疎地に押しつけて来たのです。それがリーマンショックや福島原発事故を経験して、低成長からマイナス経済成長社会へと日本も世界も変化したのです。
この社会変化の波に私たちも乗っていかなければならないのです。

発送電の完全分離で中立的な送電線管理を

これからの日本の再エネ中心のエネルギー政策を実現させるためには、再エネ電力の送電線への系統への優先接続と、炭素税や環境税の導入で、石炭火力の廃止を積極的に進めることや、原発の完全廃止を1日も早く実現させることなどがエネルギー政策の基本としなければなりません。それにはドイツのような再エネ政策が必要です。ドイツは現在再エネ電力が30%ですが、2030年には再エネ電力が50%、2050年には80%が目標です。それに比べたら日本は2016年度で10.3%を2030年に22~24%目標というお恥ずかしい目標でしかありません。このまま政府が再エネ政策を何も取らなくても22%を超えることは間違いありません。なぜなら、再エネ電力の方が石炭火力や原発よりも発電コストが安くなる傾向にあるからです。上の表は固定買い取り価格の推移ですが現在一般家庭(10キロ未満)の買い取り価格は26円~28円ですが、来年度からは2円安くなります。ここまで来ると電気代よりも売る価格の方が安くなるので、電気を売るよりも、電気自動車用に使ったり、バッテリーに貯めて太陽が沈んでから自家消費する家庭が増えてくることでしょう。何もしなくても必然的に電気は「自家生産・自家消費」の時代に入ってくるのです。企業も工場の屋根に太陽光パネルを敷いて、電気を「自家生産・消費」した方が安い時代は目の前まで来ているのです。そんな時代になるのに、まだ電気は独占企業が殿様商売の感覚で独占的に送電線を占有することなど許されるわけはないのです。送電線の管理と運用が公平で公正でなければなりません。そして、電力市場取引も透明化される必要があります。2020年に実施される電力の発送電分離では、「原発と石炭火力優先」の電力会社の既得権益を壊すことが何よりも必要です。なぜなら地球温暖化防止「パリ協定」実現のためにも再エネ優先社会の実現に向けて、日本はドイツを中心としたEUのような「再エネ優先の完全電力自由化」を実現させなければならないのです。ちなみにドイツは「2022年原発全廃」に向けて様々な作業が行われています。ドイツが世界に向けて大きく脱原発社会を実現できて、なおかつ再エネ比率が世界有数の社会を実現できるのなら、日本だってできないわけはないのです。ですから太陽光発電を止めて原発を動かすなどというバカげたことはドイツ人が聞いたら笑うことでしょう。日本でも国民世論が、そんなことは許してはならないのです。


by nonukes | 2018-11-19 12:54 | 原発再稼働は許さない | Comments(0)

  小坂正則

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