2018年 11月 12日
移民受け入れもいいが、日本政府は難民をもっと受け入れるべきだ
若者の劣悪な雇用と難民・移民問題を考える
小坂正則
劣悪な労働環境の技能実習生の実態
臨時国会に自民党が出してきた新たな移民政策の審議が続いていますが、3K職場(ブルーカラー(現業系、技能系)とされる職種について、その労働環境・作業内容が「きつい 」「汚い 」「危険」であることを意味する)と言われる職種や4K(給料が安い)へ若者が就職したがらないため、留学生や「技能研修生」という名の元にベトナムなどの東南アジアから多くの若者が日本に働きに来ています。彼らは本国のブローカーに多額の手数料を支払って日本に来るのですが、留学生の中には労働目的で日本語学校に籍を置き、実際にはほとんど学校には出なくて働いている若者も多いそうです。中には日本の受け入れ企業の社長からパスポートを取られて、365日休みなしで働かされたり、時給300円で働かされていた農場研修生などもいるそうです。昨年ベトナムの技能実習生の失踪が7000人いたそうですが、今年はすでに4000人を超えているそうです。先日野党が実施した聞き取り調査では、自殺した女性の報告や、印刷機に指を3本遮断した労災の若者に労災にしないばかりか治療費も払わない企業の話などがありました。これは移民労働などではなく、現代版奴隷労働者です。新たな移民政策を入れる前に、現行の「技能実習制度」の若者が安心して安全に、そして最低賃金を守る雇用契約を結ばせる、当たり前の就労契約を実行させることの方が先に取り組むべきことです。「技能実習生」は労働者ではなく、研修生だから最低賃金の規定が当てはまらないのかもしれませんが、実態は技能など、ほとんど関係ない単純労働をさせられているのです。ある農場では大葉を摘み取る仕事で1時間めいいっぱい働いて300円にしかならないそうです。そんな仕事ば現在では奴隷労働です。そんな低賃金でしか農業経営が成立しないのなら、そんな農業経営は倒産させるべきです。ただ、劣悪な農家の実態は私にも実感があります。農家の平均収入を労働時間で割ったら300円くらいにしかならないとよく言われます。農家の方々が経営者としてのコスト感覚がないから赤字でも自給300円でも今までやって来た農業を続けているのです。利益の上がらない農業を支えるために外国人労働者を犠牲にするのは本末転倒の話です。
非正規の若者と移民労働者が互いに低賃金競争の構造
総務省が11月6日に発表したデータでは、日本の労働者人口は役員を除く雇用者5618万人で、正規の職員・従業員は前年同期に比べ65万人増加し、3500万人。 非正規の職員・従業員は68万人増加し、2118万人だそうです。すでに三分の一以上が非正規雇用なのです。またリーマンショックの2008年前後に大学を卒業した若者を中心に30代から40代の非正規雇用の日本人の労働者も劣悪な労働実態があります。総務省の「就業構造基本調査」では、2017年時点で35~44歳のうち、初職(初めて就いた仕事)が非正規雇用労働者の場合、現在の雇用形態が正社員は76万6500人、非正規雇用が164万100人で、非正規が正社員の倍以上となる。同様に、初職が正社員の場合は、正社員が779万6300人、非正規が187万9700人で正社員であるほうが3倍以上となる。社会人のスタートが非正規か正社員かで、人生が決まってしまう方が多いのです。
一生非正規雇用の若者は結婚もできませんし、できても互いが非正規から子どものつくれません。若者や壮年者を使い捨てにして、少子化に歯止めがかかるわけはありませんし、彼らが高齢者になったときに自身の年金では食べて行けなくて、結局は生活保護に頼ることになる可能性があるのです。こんな劣悪な低賃金構造をやめなければこの国の将来はありませんし、少子化がますます進み、国内消費も落ち込んでしまうのです。
そんな労働実態の中に今度は新たは移民政策を導入すれば日本人の非正規雇用の労働者と移民が就職競争を繰り広げて賃金低下がいっそう進み、企業は低賃金労働者を雇用できて一時的には利益を上げることができるとしても購買力のない労働者だけが増えて国内消費は上向かないのです。
外国人労働者を排除するのではなく、労働基本権を守らせて受け入れよう
どれだけの外国人が日本で働いているのかというと、法務省によると6月末時点の在留外国人数が263万7251人だったそうです。2017年末と比べ7万5403人増え、過去最多。日本の総人口の約2%にあたる。技能実習生や17年9月に新設した在留資格「介護」による在留者が増えたそうです。
外国人は労働力としてしか見ない政府や企業の姿勢は改めなければなりません。ひとり一人の血の通った人間なのです。彼らを人間として社会保障や文化の違いを認めて、私たちと一緒に暮らして行く覚悟が私たち日本人には必要です。労働力だけを必要として5年間したら自国へ返すというような移民排斥するネトウヨのような政策ではこれからはベトナムの若者も日本に働きには来てくれません。日本でもベトナムでも好きな場所で暮らせるような自由が彼らに保障されて初めて安心して働けるのです。
日本政府は多くの難民を受け入れるべき
日本政府は昨年難民を受け入れた数は28人だそうです。申し込みは1万人いたそうですが。
1951年に難民条約が国連で決まり、1951年難民条約の第1条で、難民とは「人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であることまたは政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けられない者またはそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者」と定義されています。
難民条約には、難民の権利や義務についての規定があります。その中でも特に保障されているものとして
1.難民を彼らの生命や自由が脅威にさらされるおそれのある国へ強制的に追放したり、帰還させてはいけない(難民条約第33条、「ノン・ルフルマンの原則」)
2.庇護申請国へ不法入国しまた不法にいることを理由として、難民を罰してはいけない(難民条約第31条)
そんな国連加盟の先進国でGDPが世界3位の日本が昨年受け入れた難民が28人だなんてあまりにも少なすぎます。シリアなど中東の難民の多くはドイツなどEU各国を希望していいるようですが中東紛争は石油の争いです。日本政府も責任はあります。彼らは友人や親族が多くいる国へ行きたがるようですが、日本にも中東から来た移民の方も多くいます。
イラン人が5200人でイスラム教徒はインドネシア人が2万5千人ついで、バングラデシュ人が約1万1000人で、多くの方々は関東近辺に集まって住んでいるようです。モスルも近ごろはできつつあります。日本政府は安い労働力としての移民を大量に受け入れる前に、国連条約で求められている、難民を数万人単位で受け入れるべきです。シリア難民が日本に来て安心して暮らして行ければ、シリアに平和が戻ったら自国へ帰る人もいるでしゅし、日本に永住して私たちと共に暮らす人も出てくることでしょう。もちろん移民の受け入れも認めるべきです。ただし、彼らの労働条件は日本人と同じでなければなりませんし、最低賃金ももっと上げるべきです。
私の住んでいる大分市のお隣の別府市には外国人がたくさんいます。4400人で人口の3%だそうです。コンビニや飲食店では外国人の方が多いのです。私たちはこの国にも多くの外国人を受け入れて異文化共生社会を作って行く必要があるのです。
中国共産党は新疆ウイグル族の少数民族1千万人の内、100万人を不当に拘束しているそうです。日本政府は中国ウイグル族の難民も大量に受け入れるべきです。中国国内では独立運動が禁止されています。日本では自由に独立運動ができるのですから、安倍政権は中国敵視するのなら、ウイグル族の難民や、その家族を受け入れることこそ自由主義国家のすべきことでしょう。
by nonukes
| 2018-11-12 13:45
| 小坂農園 薪ストーブ物語
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