2018年 10月 11日
全米1の人気歌手は政治的発言を行い、なぜ日本では政治的発言ができないのか?
発言できないと自分に言い聞かせて、一歩前に踏み出す勇気がないだけ
小坂正則
私は米国で最も人気者の女性シンガーのテイラー・スウィフトさんを知りませんでした。昨日のニュースで初めて知ったのですが、世界的には大変有名な美人シンガーソングライターだそうです。ツイーターのフォロアーが1億人もいるそうです。
11月6日にはトランプ政権の2年間を評価する上・下員議員の中間選挙がありますが、事前に「有権者登録」をしなければ投票できません。その「有権者登録」は10月9日までに行わなければならないのです。そんな中、彼女は米国時間7日に自身のインスタグラムに以下のような書き込みをしました。
「11月6日に行われる中間選挙について、私はテネシー州で投票するつもりです。これまで私は自分の政治的意見を公にすることに消極的でした。でもこの2年間に私の人生や世界で色々なことが起きました。その結果、今では気持ちが変わりました。これまで私はこの国の人たちすべてが持っている人権のために闘ってくれる候補に投票してきました。これからもそうするつもりです。私はLGBTQの権利のための闘いを信じています。性的指向やジェンダーで人を差別することはどのような形でも間違っていると思います。肌の色に基づく制度的な差別はこの国にまだありますが、恐ろしく病的で、蔓延していると思います。肌の色やジェンダー、どんな人を愛するかに関係なく、すべてのアメリカ人の尊厳のために戦ってくれない人に投票することはできません」と自分の政治信条を表明したのです。
そして彼女のファンたちへ「みんな、自分の州の候補者について学んで、自分の価値観と一番近いのは誰なのかに基づいて投票してください。多くの人にとって、すべての問題について100%意見が一致する候補者や党はないでしょう。でもいずれにしても投票はしなくてはいけません。この2年の間で18歳以上になった、賢くて思慮深くて冷静な人たちは投票で考えを表明する権利があるのです。まず有権者として登録をしてください。テネシーの登録は10月9日までです。ウェブサイトvote.orgに行けば情報はすべて見られます。投票しましょう!」と。
何とその書き込みをした後1日で6.5万人の「有権者登録」があり、今日10月11日のテレ朝「モーニングショ-」では「昨夜までに26万人が「有権者登録」を行った」と話していました。米国の若者20~30代の若者の投票率は20%台なのだそうです。ですから、彼女の呼びかけで多くの若者が「有権者登録」を行い、中間選挙に行くことでしょう。米国のタレントには思想・信条の自由だけではなく表現の自由もあるのです。
2年前の大統領選挙ではレディー・ガガさんも民主党のヒラリー候補の応援演説を行っていました。米国には第一級のタレントでも自由に政治的な発言をすることを認める民主主義が守られているのです。それに比べて、日本のタレントや俳優などには所属事務所の檻に入れられて首輪をはめられた飼い犬ののような息苦しさしかないのです。
なぜ日本のタレントは政治的な発言ができないのか
1年前の12月17日放送のフジテレビ系番組「THE MANZAI」で、沖縄の米軍基地問題などの時事ネタで政府や無関心な国民を痛烈に批判した、政治ネタ漫才を行った「ウーマンラッシュアワー」の村本大輔さんもすっかりテレビに出なくなりました。
そんな締め付けの理由は、大手芸能事務所の「バーニング」と「ジャニーズ」がテレビ業界を牛耳っていて、お笑い芸人は「吉本」などが大きな力をもっているので、タレント本人は元より、テレビ局なども「大手芸能事務所」に逆らえないのです。所属芸人も事務所に逆らえば地獄の果てまでいじめられるそうなのです。まるで芸人には自由は元より基本的人権も何もあったもんじゃないのです。芸人は使い捨ての雑巾のようにボロボロになるまで昼夜を問わず働かされて、人気がなくなったらポイと捨てられる運命なのです。
確かにこのような昔の売春宿の主人のような絶対権力を振りかざす非道な世界が続いているのが現状ですが、人のせいにしていたところで何も変わりません。誰も助けてはくれないのです。今回声を上げた米国の人気歌手テイラー・スウィフトさんもプロダクションからは厳しく制限されていたようなのです。ですから彼女も「これまで私は政治的な発言は控えていた」と反省も弁を語っています。米国人タレントの自由はひとり一人が声を上げることで勝ちとったのです。最初から与えられたものなんかじゃないのです。それこそみんな自分に向き合って勇気を出してたたかったのだと思います。
ですから日本の芸能人も声を上げるべきなのです。芸能人の人権を守ってくれる正義の味方などはいくら待っていても誰も助けには来てはくれません。目の前の壁を打ち破る声をみんなで少しずつ出し合って、自由の扉をこじ開けるしかないのです。世界中で広がった女性への性暴力の告発運動「ME TOO」のように。
日本でも声を上げ続ける芸能人はたくさんいる
今は亡き菅原文太さんが4年前2014年11月1日那覇市営奥武山野球場の翁長雄志知事選の応援で「仲井眞さん、玉はまだ1つ残こっとるがよう」と言って現職知事への痛烈な批判演説を行った歴史に残る名演説でした。病身を押して沖縄入りし、心のこもったスピーチをされた菅原文太さんは、それから4週間も経たぬ11月28日、転移性肝がんによる肝不全のために死去したのです。
2009年に亡くなった、和製ロックの神様である忌野清志郎さんは「RCサクセション」や「タイマーズ」で歌った「反原発ソング」は今聞いても鳥肌が立つほど、彼の魂がほとばしるほどのメッセージが込められているのです。だから孤立無援でも「声を上げ続ける人」はいたのです。
まだ居ます。吉永小百合さんは物静かに「反核」や「反原発」などの声を上げ続けています。
サザンオールスターズの桑田佳祐さんは2014年のNHK紅白歌合戦で、「ピースとハイライト」の歌で安倍政権を批判する歌詞とヒットラーを思わせるちょび髭を付けて歌ったことにネトウヨから激しいバッシングを受けて、芸能事務所が反省文を出す騒動になったことがありましたが、「文藝春秋」2018年10月号のインタビューで「六十歳を過ぎたシンガーソングライターとしては、世の中のタブーめいたことを、むしろ積極的に扱っていきたいとも思います。生きていると、「なんでこうなってしまうのか」「これを動かしているのは誰だ?」などと思うことってあるじゃないですか」と元気はつらつなのです。彼らのように声を上げ続けるタレントや芸能人はたくさんいます。
政治的発言はかっこ悪くない!格好いいことなんだ
日本では「政治的な議論はかっこ悪い」という風潮があります。欧米人は「自分の主義主張がない人間は価値がない」とまで言うかどうかは分かりませんが、「ドイツ人が3人集まれば政治論争が始まる」というほど政治的な論争が好きで、自分の「支持政党」がハッキリしています。
しかし、日本の有権者の6割が「支持政党なし」です。ですから日本の政党の第一党は「支持政党なし」という「見えない政党」なのです。これは国家によって操られた「政治的」な表象なのかもしれません。だから支持政党なしという幽霊が大手を振って歩いているのは欧米では異常なことなのです。
よくこのように言う人がいます。「私は右でもなければ左でもない。中立だ」と。「中立」と言えば一見格好いいように思うかもしれませんが、要は「何も考えていない」人間のことを「中立」というのです。沖縄県民に取って「基地問題」に中立などあり得ないのです。米軍基地の存続を支持するのか、「米軍基地の撤退を願う」のかどちらかしかないのです。
原発問題でも言えます。「私は原発推進派でもないし反対派でもない」という人にたまに出会います。そんな人とちょっと議論したらすぐ分かります。何も原発のことを知らないし考えていない人なのです。推進派はハッキリしています。原発利権があるからか、「原発が必要」という人の教えを信じている方です。
私は左翼か右翼かのような旧来の二項対立を好みません。現在の政治的対立軸は「革新か保守」かの対立ではないのです。私にいわせれば、この間の安倍政権の「集団的自衛権」の問題や「安全保障政策」や「憲法改正」などは保革対立ではなく、ネオナチ(極右)とリベラル保守の対立だと思います。その左側に革新という名のグループが僅かにいるのだと思います。私は「リベラル保守」です。日本の伝統ある文化や鎮守の森を守り、自由な社会や民主的な政治や自由主義市場経済などの制度を守りたいと思っているリベラル保守です。安倍政権はそれをぶち壊して、全体主義恐怖政治を作ろうとしているのです。ですから、現在の社会的な対立は「極右とリベラル保守のたたかい」だと私は考えているのです。
(KITERAより)
今生天皇が安倍晋三を嫌っていて、「日本国憲法」を誰よりも守りたいと願っていて、ことあるごとに「日本国憲法と平和を守もらなければならない」と発言していますが、美智子様も昨年10月22日の誕生談話で以下のように発言しています。
この1年を振り返るなかで、先日発表されたノーベル賞に「日本も関わる二つの賞の発表がありました」と前置いたうえで、日系イギリス人のカズオ・イシグロの文学賞受賞と並び、平和賞に「ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)」が選ばれたことに言及。そして、この受賞を「大きな意義があった」と評価してこう綴ったのだ。
〈平和賞は、核兵器廃絶国際キャンペーン「ICAN」が受賞しました。核兵器の問題に関し、日本の立場は複雑ですが、本当に長いながい年月にわたる広島、長崎の被爆者たちの努力により、核兵器の非人道性、ひと度使用された場合の恐るべき結果等にようやく世界の目が向けられたことには大きな意義があったと思います。そして、それと共に、日本の被爆者の心が、決して戦いの連鎖を作る「報復」にではなく、常に将来の平和の希求へと向けられてきたことに、世界の目が注がれることを願っています。〉
周知のように、100カ国超のNGOが参加し、日本からも7団体が加わっている連合組織であるICANは、被爆者の証言を聞く会合を開き、各国政府に直接働きかけるなどして、今年7月の国連核兵器禁止条約の採択に貢献。そのことが評価されてノーベル平和賞を受賞した。
だが、国連核兵器禁止条約の交渉にすらのぞまず、批准を拒否するという強硬な態度をとってきた安倍首相は、ICANの平和賞受賞には一言もコメントを出していない。(LITERAより引用)https://lite-ra.com/2017/10/post-3533.html
サッカー日本代表選手の本田圭佑さんが7月19日、横浜市にある神奈川朝鮮中高級学校を訪れたそうです。ネトウヨがヘイトスピーチを繰り広げる中で、在日朝鮮学校を訪問して彼らを励ましたそうです。「すべてにおいて簡単なことではないですが、結果から言うと世界を平和にすることではないでしょうか?国益だけを考える政治家は、今後は必要とされなくなっていく時代になると思います」と語っています。本田圭佑は世界のスポーツマンです。
by nonukes
| 2018-10-11 23:07
| 小坂農園 薪ストーブ物語
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