2018年 09月 08日
この夏のバカンスは一週間病院のベットの上だった報告記
緊急入院へ
今年の夏は特に暑くて、毎日エアコンを入れっぱなしで夏の暑さをしのいでいました。とは言ってもこんなに暑いので炎天下での肉体労働はしていませんでしたが、どうしてもやらなければならない薪作業は朝方と夕方には、少しずつやっていました。
さて、8月も終わり頃の21日から兵庫県の仲間の市議選の選挙応援に行っていたのですが、オシッコと便が出ないというダブルパンチの体調不良で、応援3日でダウンしてしまいました。軽い熱中症と疲労でダウンしたのだと思います。それまでも泌尿器科に通院していたのですが、先生から過度のストレスと過労が前立腺炎症の原因だと言われていたので、注意はしていたのですが、「寄る年波には勝てない」ということの自覚が無かったのだろうと思います。
やっとの思いで26日に大分に帰ったはいいのですが、それから何かといろいろあって、泌尿器科へ行ったのが30日で、担当の医師は「今から入院しましょう」と言うのですが、私は「いろいろ今週と来週は忙しいので、入院は無理かと思います」と言いました。すると医師は「それでは明日まで猶予期間をやりますから明日入院して下さい」と。そこで31日から1週間の点滴入院となったのです。
そこで、帰ってから明日までにやっておかなければならない、請求書の支払いや報告ものなど30日中に済ませて、入院中の過ごし方を考えました。まず、ニワトリやヤギの世話を身内に頼んで、さて、病院で退屈な日々をどのようにして過ごそうかと考えたのです。やはり、ここは日頃読まずに積み上げている書物を片っ端から読み進めて行こうと考えました。
今は下腹は痛くて、オシッコは出ないし、最低最悪の状態なのですが、点滴をしてもらうと痛みも止まって、心は元気になります。だから、この入院を私の「一夏のバカンス」と前向きに考えて、どうせベッドにくくりつけられているんだったら、その間、たっぷりある時間を利用して「徹底的に本でも読んで精一杯病院バカンスを楽しんでやろう」と考えたのです。
ですから、私の1週間の「夏休み」が○○病院で始まりました。
「ヨーロピアン・ドリーム」の超大作に挑戦
この入院は三食昼寝付きで、しかも天然温泉も好きなときに入ってもいいのです。それに、私は点滴を朝と昼の2回やるだけなので、少しくらいの外出はOKなのです。だから映画「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」と香港の雨傘革命のドキュメント「乱世備忘」も観に行きました。さまに病院リゾート気分です。さて、翌日には痛みも取れて、すっかり気持だけは元気になりました。そこで、持ち込んだ青木理氏の「日本の公安警察」は1日で読了。翌日からレスターブラウンの氏の「大転換:新エネルギー経済のかたち」も1日で読了。3日めはちょっとハードルが高くなりなって、ジェレミーリフキン氏の「水素エコノミー」です。最後が超大作の「ヨーロピアン・ドリーム」だった。それでなくてもジェレミーリフキン氏の書籍はどれも難解なのに、この本はそれに輪をかけたほど難解だったのです。なにせ507ページという分厚い書籍でして、これまで私が読んだアメリカの著書は日本人には馴染みのない企業やお店などの実例や歴史的な事象の説明が長々と続いて、「結論を言ってよ」と言いたくなるような解説が多いのが特徴のような気がします。500ページの超大作ですが、さすがに第二章の「近代の成り立ち」という120ページはパスしました。読んでも何を書いているのか全く頭には入りませんし、それが分からなくても結論の「ヨーロピアン・ドリーム」にはたどり着けるような気がしたからです。
これまでEUの生い立ちやEUが何をめざしているのかなど、漠然とは分かっているような気がしていたのですが、知っているようで実は何も知らないことが解りました。EUはそれこそ「ヨーロッパで繰り返されてきた戦争と対立をどのようにして防ぐか」という平和への各国の努力が大きな理想を互いに持ち続けることで、成立していることなども初めて知りました。
EUの最初の取り組みが死刑制度の廃止だったことなども全く知りませんでした。これまでヒットラーなどにより罪の無い何百万人という民衆を国家権力が殺害したという血に塗られた歴史を二度と繰り返さないという強い反省から、どのような犯罪者であっても国家による民衆への殺害は「国家権力によるジェノサイド」だとして、一切認めないという考えが成立したのです。
EU各国は軍隊をそれぞれ持っていますが、軍隊の出動はEU憲章に基づく軍事行動でなければ決して出動しないそうです。EUはNATOに加盟していますが、米軍のいいなりにはならないそうです。特にEUは米国のように紛争解決の最大の方法が軍事行動とは考えていないそうです。まずは紛争が起こったら外交努力により軍事衝突の前に衝突回避に努力するそうです。そしてEU軍は平和維持軍として世界一軍隊を派遣しているそうです。米軍の2倍以上世界各国に派遣しているそうです。そう言えば、シリア難民などを最も多く受け入れているのはドイツなどEU各国でした。そう言えば、9.11の後のイラク侵攻などは米国の金魚のフンのように英国軍は侵攻しましたが、ドイツやフランスなどは米国とは一線を画していました。少しでもEU軍が米国と歩調を合わせないことはすばらしいことだと思います。
アメリカンドリームからヨーロピアンドリームへ
戦後、東西冷戦構造の中では、社会主義国家との対立の中、西側諸国では米国の民主主義が世界の正義のように考えられて来ました。また、敗戦国の日本人もアメリカのような生活を夢見て人びとは働いたものです。その「アメリカンドリーム」が今日では音を立てて崩壊したのです。世界の模範であった米国は「アメリカ民主主義」こそが正義だと世界の警察官よろしく、世界中で軍事力にものを言わせて支配し続けてきました。世界一強大な軍事力によって由主義国の平和は一定程度は維持されて来たのかしれません。しかし、2000年代になって東ドイツやソ連の崩壊によって東西冷戦構造が壊れた結果、社会主義という敵がいなくなった以後の米軍は自国の利益のためにのみ戦争を繰り返すようになったのです。その典型的な戦争がイラク侵攻でしょう。「大量破壊兵器」を持っているイラクのフセイン政権は米国の平和への脅威だという理由で、罪のない100万人以上のイラク国民を米軍は殺害したのです。そのようなインチキな「メリカンドリーム」のメッキが剥がれ落ちた後に、出てきた思想が「ヨーロピアンドリーム」なのです。
EUはCO2削減などの地球温暖化対策や再エネ普及や脱原発や生態系の保護や電気自動車の普及政策などについては米国や日本より一歩も二歩もリードしています。しかもEUは世界のリーダーとして難民問題へ積極的に取り組んでいます。
実際には英国がEU離脱をしたり、ドイツやフランスなど各国にネオナチ勢力が台頭して、決して難民問題などがうまくいっていわけではりませんし、ISやイスラム過激派によるテロなども起こっていて、理想どうりに全てがうまく行っているわけではありません。世界は欺瞞と悪意に満ちた駆け引きや暴力に満ちています。しかし、私たちは世界平和と地球環境を守らなければならないという次世代への義務があります。トランプや金正恩に習近平やプーチンに安倍晋三のような悪意に満ちた政治家によって世界は愚弄されていますが、EUが未来への希望を掲げて努力しているという現実を知るだけでも私たちには救いです。
「ヨーロピアン・ドリーム」が完璧な理想だとは私も決して思ってはいません。それでも「アメリカンドリーム」に代わる希望を私たちに少しでも与えてくれる可能性があるということだけでも私にとっては希望です。ちなみにジェレミーリフキン氏は米国人ですが、彼はEUやメルケル氏のブレーンとしてEUを牽引する思想的な指導者だそうです。私の尊敬する学者のロバートブラウン氏やエイモリーロビンス氏など皆なさん米国人です。ですから私は米軍やトランプは大嫌いですが、人種のルツボの米国人は決して嫌いではありません。これからもジェミリーやエイモリーやレスターを時間の限り学んでいきたいと思っています。
そのほか、最後に読んだのが、「体力の正体は筋肉」も。これは暇つぶしの書です。私はこの書籍を1週間の入院中に5冊の本を読むことができたことが、今夏最大の喜びでした。
ぜひ、皆さんも一度ジェレミーリフキン氏の書籍を手に取って読んでみてはいかがですか。ジェレミーリフキン氏の過去の書籍はアマゾンの古書でしたら、格安で手に入ります。
by nonukes
| 2018-09-08 18:22
| 小坂農園 薪ストーブ物語
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