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小坂正則の個人ブログ

東海第二原発を原発再稼働させる理由

「原子力ムラ」が経営破綻の日本原電
小坂正則
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1kwも発電しない電力会社

 2012年から電力を1kwも発電していない原発専門の発電会社が5年間潰れることなく1132人の社員の給料を支払い続けることができたという「世にも不思議なお話」を皆さんご存じですか。
 そんな会社が日本原子力発電(株)なのです。この会社は日本初の東海第一原発を動かすために1965年に作られた国策民営企業です。現在の持株比率は東電28.2%、関電18.5%、中部電15.1%、北陸電13%、東北電6.1%、電源開発5.3%。その他に九電中国電力、日立製作所や三菱重工業なども株主です。 2011年の福島原発事故以後、原電の全ての原発は止まったままでも潰すわけにはいかないので、東電や関電などから「基本料金」という名目で毎年1,000億円以上の電気料金収入を得てきました。2012年から2017年まで総額7,350億円にもなるのです。

東海第二原発が動かなければ原電は倒産

 原電の持っている原発の中で敦賀原発1号機は廃炉が決まり、2号機は116万kwで1987年に発電開始した原発ですが、「敦賀原発2号機の真下に活断層が通っている可能性が高い」と原子力規制委員会の統一見解ですから廃炉は確実です。頼みの敦賀3号、4号は建設途中なのですが、これまでに1,732億円の建設資金を投下しているのですが、この2基を完成させるにはこれから2兆円以上の建設費用が必要になるでしょうから、建設再開は永遠に延期されることでしょう。すると日本原電の純資産は1,649億円だそうですから、純資産からこれまでの建設資金1732億円を引けば83億円の債務超過に陥ってしまうのです。
 しかも原電は敦賀1号機の廃炉積立金まで、3,4号機の建設資金として流用しているそうす。その上、東海第二原発の再稼働のためには現状の安全対策工事費用が1740億円必要だそうです。すでに銀行は多額の融資を行っているので、これ以上の融資を行うには原電に対して「貸し付け融資保証」を求めているそうです。それは当然でしょう。すでに債務超過で、実質倒産状態の発電しない電力会社にカネを貸すバカはいません。以下はFoE Japan満田夏花氏のパブリック・コメントより引用です。

 日本原電は、2018年3月14日付で、東京電力と東北電力の二社に対して、「電気料金前払、債務保証等によって弊社に支援資金する意向を有している旨、書面をもってご説明いただきたく何卒よろしくお願いいたします」と要請を出した(2018年3月14日付)。ここで債務保証のみならず、「電気料金前払」という言葉を入れていることに注意が必要である。
 東電と東北電の二社は3月30日付で「工事計画認可取得後に資金支援を行う意向があることを表明いたします」と文書で回答。しかし、両者とも「なお、本文書は、…何ら法的拘束力ある約諾を行うものではないことを申し添えます」とも書いてあり、資金支援を確約したものではない。(ここまで引用)
 とあるように、東電も東北電力も債務保証をする気はないのです。世界一大きな電力会社だった東電さえ原発事故を起こせば倒産するほど事故のリスクが大きいのに、そんな債務超過で銀行融資の債務保証もない企業が原発を動かすなど到底考えられないことなのです。

東海第二原発は再稼働のハードルが高かすぎ

 「原子力規制委員会は7月4日、電東海第二原発の安全対策が、再稼働の前提となる新規制基準を満たすと認める審査書案を了承した」と朝日新聞は伝えています。このまま行けば規制庁は再稼働を認めることになるでしょう。しかし、再稼働の事前了解権を巡っては今年3月に常陸太田市のほか、水戸市、東海村など30キロ圏の計6市村が納得しなければ再稼働しないことを盛り込んだ「安全協定」を原電と締結したために、自ら再稼働のハードルを上げてまで、原電は再稼働に躍起となっているのです。規制庁が審査しない避難計画と周辺5市の「同意」という一番の難関を越えることができるのかが最後の難関なのです。
 6市の1つである水戸市議会は6月19日、再稼働に反対する意見書を可決。「住民理解のない再稼働は認めない」などの内容です。安全性を協議する有識者会議も立ち上げる方針で、委員の半数を一般市民から選ぶ予定です。那珂市の海野徹市長は、4月にあった原発政策をめぐる小泉純一郎元首相の講演会で、「原発ゼロは大いに共感できる」と、明確に姿勢を打ち出しました。常陸太田市は、専門家は入らず、市民の代表者だけでつくる組織を年内に設置する。那珂市の海野徹市長は「住民の意見を聞いて反映しなければいけない。行政と議会だけでは決められない」と住民投票も視野に。そのほかの半径30キロ圏内の8市の中でも高萩市の市長や北茨木市の市長も再稼働反対を表明しています。このように規制庁がゴーサインを出しても、運転再開は実に困難なのです。周辺30キロ圏内に96万人が住んでいて、福島級の原発事故が起これば東京圏が死の都市になってしまう程の危険性がある中で、原電は再稼働を強行しようとしているのです。以下は7月5日の朝日新聞社説の一部です。

 今春には、再稼働に対する実質的な事前了解権を新たに水戸市など周辺5市に与える安全協定が結ばれた。住民の強い不安を背景に、水戸市議会が再稼働反対の意見書を可決するなど、地元同意の道筋は見えない。
 それでも原電が再稼働をめざすのは、存亡がかかっているからだ。原発専業の発電会社なのに、保有する原発はすべて運転が止まったままで、経営は厳しい。1700億円以上と見込まれる東海第二の安全工事費も自力で調達できず、株主で電気の販売先でもある東京電力と東北電力が支援するという。
だが、東電は福島の事故処理のために実質国有化され、政府の管理下に置かれている。巨額の国民負担で生かされているのに、苦境の他社の事業リスクを肩代わりする資格があるのか。
 東電は「東海第二は低廉で安定した電源として有望」というが、その根拠を示さず、規制委の会合でも疑問の声が出た。東電と経済産業省には、具体的に説明し、国民の幅広い理解を得る責任がある。東海第二を取り巻く厳しい状況を直視すれば、再稼働は無理筋というほかない。原電と株主の電力大手各社は問題を先送りせず、原電の経営の抜本見直しを真剣に考えるべきだ。(ここまで引用)

それでも東海第二原発を動かしたい日本原電

 朝日新聞の社説が「再稼働は無理筋」と批判するように、動かすには東海村以外に周辺5市の同意も必要なのですから、避難対策や安全対策費用が限りなく上乗せされることでしょう。そうなればますます発電コストは上がり、売電価格は高くなるのです。しかしも東海第二原発110万kwは1978年11月に運転開始した原発なので、今年の11月までに全ての審査が終わり、20年延長運転の審査を通過しなければなりません。そのためにはケーブルの不燃化など20年延長の工事も必要になるのです。
 そんなにしてまで、なぜ原電は動かしたいのでしょうか。東電も国も東海第二原発の再稼働がハードルが高くても動かさなければならない理由に、こんなことがあるのではないかと私は考えます。

原電を潰すと脱原発の世論がドミノ倒しに

 普通に考えたら、原電は「廃炉専門企業」などとして、これから全国で続々と行われる廃炉作業専門に請け負う企業となれば1100人以上の社員の仕事は余りあるほどなのです。しかし、「原電が原発の発電をやめたら、原発のイメージが損ねられて、これからドミノ倒しのように『原発をやめろ』や『脱原発』の世論が高まって、『原発ムラ』の勢力が衰退していくのではないかと考えているのではないか」と私は考えるのです。
 「原発ムラ」は全てを曖昧にして何とか問題を先送りすることしか考えていません。もう何十年もの間そのようにして来たのです。「もんじゅ」は2兆円もつぎ込んだ後に、やっと廃炉を決めましたが、高速増殖炉は決して諦めてはいません。「フランスと一緒に新たな実証炉を建設する」と言っています。
 六カ所村で行われようとしている再処理もプルトニウムの量は減らすと決めましたが、根本的な「再処理をやめる」判断はできません。
 この国の官僚やリーダーたちは戦前の戦争に突き進む前にストップをかけられなかった体質と全く同じことがここでも繰り返されているのです。
 だから問題を先送りして対症療法的な小手先の対策しかできないのです。その結果が東海第二原発の再稼働なのではないでしょうか。

問題の先送りは世界から取り残されるだけ

 東電など電力会社は東海第二原発を再稼働させて、借金が増えた原電の経営には「国が何らかの形で支えてほしい」と発言しています。「国策企業を潰すわけにはいかない」という理由です。そんなバカなことはありません。東電は「原電の安い電気は経営上必要不可欠」と説明していますが、どんなに考えても安いわけはありません。それは運転を始めればすぐ分かることです。
 日本はGDPがマイナスで社会保障費は増え続けているのに、これ以上税金で原発を支えることなどできません。しかも日本のエネルギー需要はこれから減って行くのです。世界では再エネが普及して発電コストも石炭火力を下回るようになりました。そんな中で長期にわたり利益を回収しなければならなくて、しかも放射能事故の危険性が大きな原発よりも、小回りの利く分散型の再エネが、これからの日本には一番適した発電方法なのは明白です。


by nonukes | 2018-08-09 22:32 | 原発再稼働は許さない | Comments(0)