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小坂正則の個人ブログ

原子力発電の経済性を検証する!原発は商業的には成り立たない

小坂正則
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「いまの原子力は『国家事業』だ。つまり商業的には成り立たない」とジェフ・イメルトGE会長
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上の写真は2013年、日経新聞のインタビューにジェフ・イメルトGE会長が「いまの原子力は『国家事業』だ。つまり商業的には成り立たない」と答えた時の写真です。
2番目の図は、ここ最近の原発建設費の推移を一覧表にしてみました。これまでは100万kw級の原発の建設費は5千億円と言われていましたが、福島原発事故以前から欧米ではジェット機が墜落しても原子炉が持ちこたえられるように、二重の格納容器やメルトダウンしても核燃料を受け取るコアキャ-などの設置で、軒並み建設費が上がり、1基が1兆円を超えるようになった来ました。特に2011年の福島原発事故以後、各国の安全基準が厳しくなり、原発の建設費が高騰しているのです。
3番目の図はこれまでの原発の発展を図式化したものです。現在の欧米の原発は第3世代+です。今動かしてるものやこれから再稼働させようとしている日本の原発は、全て第2世代の原発です。ですから100万キロワット1基が5千億円で作れました。
ところが、欧米で標準の次世代の原発は1基の建設費が1兆円から1.5兆円もかかるのです。
ですから、その分だけ、減価償却に莫大な経費がかかりますし、償却期間が長期にわたることとなるのです。

現行世代の原発は元が取れるのか

2番目の図にあります、英国に建設中のヒンクリー・ポイントC原発は、建設費が1基が160万kwで1.25兆円かかる予定です。ですから英国政府は1kw当たり14円で35年間の間価格保証をすることが決まっています。それでは年間にどれだけ発電するでしょうか。160万kw×24h×365日の80%の設備利用率では112億1,280万kwhの電力を発電します。それが1kwあたり14円ですから、売り上げは1,570億円になります。
この14円という価格は普通の2倍の価格だそうです。それだけ英国はフランスのアレバに思い入れがあるのでしょう。
次に英国に建設予定の日立の原発を見てみましょう。こちらはウイルファ原発は130万kwで1基あたりが1兆5450億円です。
発電量は130万kw×24h×365日の80%=91億1千万kwhです。それに保証価格が1kwhあたり10.8円ですから、983億8800万円にしかなりません。

一体これで減価償却ができて利益が出るのか?

それではヒンクリーポイントC原発の減価償却を計算してみましょう。1基1.25兆円を借り入れで建設するのですから、この借入金を毎年返さなければなりません。通常原発の減価償却は20年ですから、20年で減価償却するのなら、毎年5%の償却が必要でしょう。年間625億円になります。売上金額の1570億円から625億円がマイナスされるのです。残額は945億円です。さて金利はいくらかかるでしょうか。年利3%なら365億円です。つまり、原価償却と金利負担で約1千億円になります。これに運転経費の従業員の経費と核燃料費に13ヵ月に1度の定期検査の費用がかかります。それに固定資産税も必要ですね。従業員の賃金は1人年間2千万円(賃金+退職金に社会保障費)として40人としますと、年間8億円です。定期検査費用は1日に300人が33日として賃金が5万円とすると10000人×5万円=5億円です。それに消耗品などに最低でも10億円は必要でしょう。核燃料費は九電の平成20年度の購入費が223億円で、約500万kwですから、160万kwでは71億円です。これらの経費の合計は1094億円になります。ここには固定資産税は入っていませんし、そのほかの経費も入っていません。でも、ヒンクリー原発は何とか赤字にならずに476億円の利益が見込まれます。これに税金と本社費用などがかかりますので、高額の買い取り保証で何とか黒字になったのです。

日立の原発は黒字にはなり得ない

日立の原発は電力販売価格が984億円です。ところが借入金が1兆5450億円ですから減価償却費が毎年5%で772.5億円です。金利3%の利息支払いが463.5億円です。これだけで既に1236億円ですから採算が合いません。原価償却を40年にしてもらった場合はどうでしょうか。減価償却費が2.5%ですから、386.25億円です。金利が3%にで463.5億円です。合計で879.75億円です。それに核燃料費が60億円、人件費が8億円に定期検査費用が5億円にその他の経費が10億円として、932.75億円ですから、残りは僅か51億円です。ここから固定資産税などを払ったり、核燃料税などがかかれば初年度から赤字にしかなりません。だから日立の会長は何としても、価格保証が1kwあたり14円にしてほしくて、連休中にメイ英国首相に直談判に行ったのです。でも、とても日本のために大金をだすことなどメイ首相がOKすることはあり得ませんから、この計画は流れてしまうでしょう。

環境でもコストでも原発は再エネに負け

太陽光発電の発電原価は中国やアフリカでは3円以下です。それに対して、原発は14円という価格保証を35年間やってもらって初めて採算に合うのです。そんなバカ高いお買い物をするおバカさんは世界中どの国を探してもいないでしょう。そう言えば、関電の八木会長も2012年に話していました。「40年で元が取れるような長期間の投資が必要な原発を今後も進めると政府が言うのなら、何らかの支援がなければやれない」と。しかも、今回比較したコスト計算には、使用済み核燃料の保管費用や核のゴミ最終処分費などは計算に入れていません。まあ、現在の電力会社も核のゴミ最終処分費は考えていません。国が何とかしてくれるか、電気料金で核のゴミ処理はやればいいと思っているのです。こんな不道徳な企業が他にあるでしょうか。
原発を始める60年以上前から、「核のゴミ処分費用」などを考えれば商業的には採算が取れにことは分かっていたのです。ところが、最新の原発は軍事利用であれば別ですが、核のゴミ処分費を除いた、見かけ上の運転費用だけでも、商業的にも採算が合わないことが、福島原発事故以後の安全対策費用から、ハッキリ表面化してきたのです。その事実は電力会社も原発メーカーも、みな公然の秘密です。唯一知らないのは、その事実を今井秘書官から教えてもらっていない「裸の王様」安倍首相ぐらいでしょう。



対トルコ原発輸出、建設事業費が倍に 安全対策費かさむ
朝日新聞2018年3月15日

 三菱重工業など日本企業がトルコで手がける原発建設計画の総事業費が、想定の2倍以上にふくらむ見通しであることが分かった。計画は原発輸出を成長戦略に掲げる安倍政権が推進しているが、2011年の東京電力福島第一原発事故後、原発の安全対策費がかさみ、日本企業が採算を取るのが難しくなっている。
 計画ではトルコ北部の黒海沿岸のシノップ地区に原発4基(出力計440万キロワット規模)をつくる。三菱重工と仏企業が共同開発した新型炉「アトメア1」を採用し、建国100周年の23年の稼働をめざす。伊藤忠商事や現地の電力会社なども参画する予定だ。
 当初、事業費は4基で2.1兆円程度と見込まれていた。だが、事業関係者によると、日本側が事業化に向けて調査する過程で1基あたり1兆円を超え、総額4兆円以上にふくらむ見通しが分かったという。原発の安全規制を強化する流れが加速したためだ。23年までに完成させるのも厳しそうで、日本側は今年に入り、トルコ側に想定通り進めるのは難しいことを水面下で伝えた。トルコ側からは「失望した」との感想が漏れたという。
 参加企業がいったん建設費を負担し、発電事業による利益で建設費を回収する仕組みを想定しているため、事業費が膨らんだ場合、高い料金で電気が売れなければ事業は採算割れしかねない。
 ただ、日本政府はあくまで計画を推進する姿勢だ。日本側は近く、事業化調査の最終報告をトルコ政府に提出する。建設する場合、トルコ政府による資金支援が必要なことや、電気料金が高くなることなどを伝える方針だ。原発運営に電力会社の関与を強めることや、事故時のリスク負担の検討も求める見通しだが、トルコ側が応じるめどは立っていない。


by nonukes | 2018-05-06 00:22 | Comments(0)

  小坂正則