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小坂正則の個人ブログ

玄海原発3号機の配管損傷は小さな事故と無視できるのか?

小坂正則

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損傷事故を起こした配管

玄海3号機が3月23日に再稼働して徐々に出力を上げていた30日夜に2次冷却水系の配管から蒸気が漏れていることが分かり、発電は止めて、点検したら、配管1㎝ほどの穴が空いているのが確認できたと言います。その配管は鋼鉄製で、保温材にくるまれていて雨が染みこんで錆びて穴が空いたものと思われるそうです。報道では「放射能が漏れることはなかった」と、言いますが、配管で余計な配管はないわけで、それだけが穴が空いたのだからよかったのですが、これが複数の事故が一度に起きた時などは複合的な影響で原子炉への重大事故に発展する可能性が、ないとは言えないのです。
もともと、原発の配管が雨ざらしになっていることに驚きましたし、ステンレスではなく鋼鉄であれば錆びるのは当たり前で、2006年に点検した時は何も異常がなかったからといって、僅か12年で1センチの損傷が起こるなど考えられません。だって7年以上も運転していなかったのですから、その間は内部から傷口が広がる可能性は少ないでしょう。
しかも3号機は2010年12月から7年以上も止まったままだったのです。機械は長い間止めていると、思わぬ所に機器の故障や異変が起こるものです。特に複雑な機械であればあるほど、危険なのです。それに定期家点検をやっていても、今回は再稼働のための新規制基準検査をやったというのに、このような事故を起こしたのです。なぜこんな事故をおこしたかっと言うと、検査できる配管などは限られていて、全部の配管を点検することなどは不可能なのです。特に原子炉立て屋内部は狭くて人間が入れないような場所に配管が縦横無尽に走っているのです。配管の総延長数百キロと言われています。
よく、自動車の車検をしたばかりに故障することがよくありますが、車検などは本当にバカみたいな点検でしかないのです。ブレーキケーブルが切れていないかとか、ランプは切れていないかとか。もちろん原発の点検はもう少し大がかりにやるでしょうが、点検などは限られた範囲しかしないのです。だから当たり前のことですが、古くなった原発は事故の危険度が大きくなるのです。

7年間動いてないからどんな事故を起こすか分からない

原子炉は鋼鉄ですから錆がでます。配管はステンレスが多いでしょうが、ステンレスだって、冷却水は海水ですから錆びもあり得ます。原子炉の中はきっと錆びだらけれしょう。原子炉の中に入って、錆び落としなどしていませんしできません。配管も錆の固まりがくっついている可能性も大きいのです。その錆の固まりがどこかに詰まって悪さをするかもしれないのです。それに一番恐ろしいのは、一カ所の故障や事故から、連鎖的に事故が拡大していくことです。1つ1つの事故や故障には対応出来るでしょうが、一気に連鎖的な事故や故障が起きたら対応できない可能性が高いのです。福島原発事故も正にそれでした。鉄塔が倒れて、外部電源を失い、ジーゼル発電機を動かそうとしたら、これも動かなかった。しかも配管があちらこちらで損傷していたというような複合事故に人間は対応不可能なのです。何系統もの冷却機能が一遍にダウンしたから、マニュアルには載っていないかったし、あっても瞬時での対応はできなかったでしょう。
だからヨーロッパの原発はメルトダインがあるものとして、コアキャッチャーが原子炉の下に設置しているのです。メルトダウンしてもいいように。ところが日本の原発はメルトダウンしたらお終いなのです。
今度日本に巨大地震が襲ってきて、外部電源を喪失して、配管も次々に破損したら、新規制基準に合格していてもメルトダウンする可能性はゼロではありません。福島原発への地震は直下ではなかったので、M9.0といっても揺れの影響は僅かだったのです。震度6程度だったのにあのように配管が損傷したのです。今度来るであろう、伊方原発は震度7の直下型の地震かもしれないのです。それは誰にも予測はできません。自然現象は予測が不可能ですからマニュアルに書いていない事故が起こり得るのです。そんなことに人間は対応できません。

玄海3号も川内原発も全て止めて総点検を

今回の事故を重く見た九電は全原発の点検をすると記者会見で社長は話しましたが、原子炉の運転は止めないというのです。一旦止めて総点検を行うべきです。じゃなかったら、本当に総点検したのかどうか部外者は誰も分からないからです。
先日米国のウーバーの自動運転車が事故を起こし女性が亡くなりましたが、機械というもは事故を起こして、改良されて安全性や耐久性が向上するのです。航空機も大事故をたまに起こします。乗客100人とか200人と犠牲者が出ます。しかし、原発の過酷事故はその何百倍、何千倍もの犠牲者が出る可能性があるのです。チェルノブイリと福島が証明しました。だから原発は絶対に大事故を起こしてはならないという宿命を背負っているのです。原発は機械の中では最も事故を起こすことができない機械なので事故を経験して改良するということが基本的にはできないのです。だから原発は改良が進まないまま50も60年も旧式のまま今日まできているのです。それに過酷事故対策を行えば行うほど、コストに跳ね返って来るのです。日本の原発は1基が5千億円とかでできましたが、今ヨーロッパの原発は2兆円です。再稼働させたいになら、日本の全ての再稼働させる原発も格納容器を二重にしてコアキャッチャーを設置してから動かすべきです。ヨーロッパではこんな5層の安全対策があって、日本は3層しかなく、しかもボロボロ原発を動かすなど、私たちの生命の価値がいかに安いかを物語っています。国民の生命が安いから、原発をいとも簡単に動かすのです。生命の価値が高かったら電力会社は恐ろしくて動かせないでしょう。
太陽光発電や風力などは一定の事故は許容されるので、事故対策を立てる必要が原発に比べたら月とすっぽんほど軽微でいいのです。火力発電も爆発しても運転員と周辺の住民だけが犠牲になるだけです。だから、原発は「割の合う発電手段」ではないのです。


原発反対で新電力へ乗り替えてない人は自分で自分の首を絞めているのと同じ
川内原発の仮処分で福岡高裁宮崎支部の裁判長は言いました。これだけの安全性があれば今の日本の社会通念上十分だと。つまり、私たちが電力会社に舐められているから、社会通念上、こんな安全対策で動かせるのです。しかし、ヨーロッパでは人びとの安全に対する社会通念が厳しいから2兆円もかけなければ動かせないのです。もっと、もっと、裁判を打ちまくって、デモも、抗議も繰り返して、この国の電力会社を震え上がらせるほど国民は怒りの声を上げなければ、彼らは国民の安全対策などいい加減に済ませてしまうでしょう。
それから忘れてはならないことがもう1つあります。原発反対なのに今でも既存の電力会社から電気を買っているあなた。あなたは自分で自分の首を絞めているようなものです。昨年末までに、電力会社から新電力へ乗り換えた方は関西圏で18%。東電管内で15%。全国で10%です。九州では7%しか乗り換えていません。四国は4%です。悲しくなってきますね。せっかく電力自由化になったのですから、新電力へ乗り替えましょう。そして、毒の電気を売っている電力会社の息の根を止めてやりましょう。放射能電力の不買運動が一番の効果的な、しかもお一人でできて、なおかつ、電気代が安くなり、心も豊かになれるという一挙三得も四得もの消費者運動です。
もう、原発よりも低コストで効率的な電力を作る手段がいくらでもあるのに、なぜガムシャラに原発にこだわるのでしょうか。私には不思議でなりません。
1日も早く原発は止めて、停止から廃炉にすべきです。



「寿命47年」の配管、11年後に穴 玄海原発
朝日新聞2018年4月3日

 九州電力の玄海原発3号機(佐賀県玄海町)の配管の蒸気漏れで、同社が約11年前に配管の厚さを調べ、支障なく使える「寿命」が約47年間と判断していたことがわかった。同種の点検は当面、実施しなくても問題ないとみて、その後配管の外装は外さず、そうした厚さの点検もせず、穴が開く兆候を見落とした。九電は今後、玄海4号機の配管も問題がないか調べる。
九電によると、穴が開いた配管は炭素鋼製で、1994年の運転開始当初から使われていた。屋外にあって周囲を保温材で覆われ、その外側から薄い金属の外装板で覆われている。九電は穴が開いた原因について、外装板の隙間からしみ込んだ雨水を保温材が吸って
 穴が開いた配管は、水から余計なガスを取り除く「脱気器」につながる。放射性物質を含んだ水や蒸気は通らない。九電は2006年度に実施した検査で配管の外装を外し、配管の厚さを確認した。その際の厚みや、その後の使用でどの程度すり減る見込みがあるかなどをもとに、問題なく使用できる「余寿命」を約47年と計算。同種の点検は今年3月の再稼働前には実施しなかった。
ただ、寿命を判断した点検からまだ10年あまりで今回、蒸気漏れが発生。外装板には目につくさびもあった。稼働後も外装で覆ったまま目視で点検をしたが、蒸気漏れの発見まで、異常の兆候があるとはみていなかったという。(以下省略)


by nonukes | 2018-04-04 12:17 | Comments(0)

  小坂正則

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