ブログトップ

小坂正則の個人ブログ

米電力最大手が「ディアブロキャニオン原子力発電所」廃炉決定

米国カリフォルニアで出来て日本では実現できないのか
小坂正則
d0174710_12310336.jpg



下の記事を見つけました。この記事は2年前の記事ですが、カリフォルニアの電力会社PG&E社が州の条例で「電力会社に対し2030年までに総発電量の最低50%を太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーにするよう義務付けた」ことを受けて、そのために原発を止めて、再エネ電力を増やして行くことを決めたというのです。しかもその決定をしたのは環境保護団体と労組と企業経営者の三者による協議で決めたという記事だったのです。
こんな画期的なことがカリフォルニアで「全米最大の電力会社が脱原発を決定できた」のだから、この方法を日本の電力会社でも真似てみたらどうだろうと、記者は提案しています。
カリフォルニアの電力会社PG&E社が2025年までにディアブロキャニオン原発を廃炉にして原発ゼロを実現することを決めたというのです。そして、その政策を環境保護団体の「地球の友」や「NRDC」など有力環境団体と労組との「共同提案」として発表。この会社が脱原発に舵を切った理由として、①「昨年成立したカリフォルニア州条例。同条例は、温暖化ガスの排出量削減のため、電力会社に対し2030年までに総発電量の最低50%を太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーにするよう義務付けた」こと。②「同時に、建物のエネルギー効率を2倍にし、総電力消費量の抑制を目指している。この条例が結果的に、PG&Eが脱原発を決断する決め手となった」といいます。

なぜ原発を止める決断に至ったのかを分析する

報道によると、上の2点の理由で原発から撤退の決めた理由だと書かれてるのですが、それだけでは理由が分かりにくいので、その中身をもう少し分かりやすく分析してみます。
原発の発電量は大きいのです、一旦事故などで止まったら、再稼働までに長時間の停止を余儀なくされます。そのために原発が止まった時のために代替手段の発電所を作っておかなければならりません。でも、その発電所は普段は動かすことが殆どないわけですから、その分コストがかかってしまいます。それに太陽光発電などの再エネ電力の50%達成を条例で決められているので、再エネ電力をこれからもっと増やして行かなければなりません。ところで全電力の50%を再エネで賄うということは常に50%ずつ化石燃料と再エネが発電し合うということではなく、結果的に総発電量で半分ずつ担うということです。ですから、現実的には天気の日中は太陽光が70%とか80%以上を担い、曇りの日や夜は太陽光発電はゼロで風力が10%そこそこで、残りを化石燃料が担う必要があるのです。原発は夜は100%運転をすればいいでしょうが、昼間に太陽光発電が80%も発電した時には原発の電気は20%運転が必要になり、電力が余ってしまうことになり、原発は再エネ電力とは共存できないのです。

原発を優先するか再エネを優先するか

日本の電力会社は原発をベース電源として使うと決めているので、常に20%から30%のベースを原発が担い、残りの需要を再エネと火力による調整で撒かなう計画です。それでしたら、再エネ50%などという目標達成は不可能です。せいぜい20%が限度でしょう。九州電力は川内原発2基に加えて、玄海原発3号機を動かして4号機も動かそうとしています。そうすると、5月の晴天の昼間には原発の電気が全て余ってしまうことになります。ですから、日本の電力会社は、その時には太陽光発電など再エネの発電を止めるというのです。この考えはカリフォルニアとは逆の発想です。
カリフォルニアのPG&E社はベース電源に再エネを当てるという日本とは逆の発想で発電する計画ですから、再エネの電気を増やすためには原発を止めるしかないのです。原発は止めたり動かしたりが苦手なので、再エネ電力の負荷調整を原発に行わせるのは困難です。だから再エネ電力が増えるに従って、負荷調整のための天然ガス発電などが必要になるので、原発が邪魔になってくるのです。つまりは必要なことは「政治的な意思」が求められているのです。再エネ社会を実現したいという意思があるのなら原発は止めざるを得ないし、再エネ社会を否定して原発中心の化石燃料社会を続けようとするのなら、「原発を動かし続けて再エネは増やさない」という両国の市民の意思の違いが結果に表れるのです。

省エネ技術の進化も再エネに追い風

原発の撤退を決めたカリフォルニアのPG&E社にはもう1つの大きな背景があったのでしょう。これまでは人口が増加したり電力需要が毎年拡大していきました。しかし、最近の社会は人口減少やLEDなどの省エネ技術の進化によって、電力需要の増加が見込めなくなって来ているのです。ところが原発は40年以上の長期需要を見込んで建設しなければなりません。40年先の社会がどんなエネルギーシステムとなっているかなど誰にも予測不可能なのです。つまり長期に渡って資金を回収する投資は投資家にとってはリスクが大き過ぎるのです。またもう1つの大きな背景があります。バッテリーの開発と再エネ電力、特に太陽光発電の発電コストが劇的に下がってきて、太陽光発電とバッテリーの組み合わせたコストが原発の発電コストよりも安くなったら、原発は無用の長物と成り果ててしまいます。そんな長期の見通しなども考慮してPG&E社は決断したのでしょう。

環境派の市民と電力会社と労組が一緒に手を組む

この報告書にも書いていますが、このPG&E社の決断には環境保護団体の「地球の友」などと労組も参加して出した結論だと言います。実にすばらし3者の連携で生み出された結論です。環境派の市民組織は電力会社の敵ではありません。味方というわけでもありませんが、同じテーブルに着いて話し合えば同意できることは必ずあるでしょう。しかもそこに労組が入って調整をしたのかもしれません。日本では考えられないようなことですが、これは米国だからできたのかもしれません。自由と民主主義が確立している国だからでしょう。日本の電力労組は経営者と一体で、いわゆる御用組合ですから、経営者よりも原発推進に凝り固まっています。そんな労組と話し合うかけらも日本にはありませんね。以前日本の電力会社にも総評系の全九電労という労組がありました。電産中国という闘う組合も中国電力の中にありました。この組合は原発に反対をして闘っていました。しかし、企業側の介入で組合員は減って、解体されてしまいました。もちろん彼らは経営者に何でも反対していたわけではありません。原発は事故の危険性や労働者の安全などが保てないから反対していたのです。正に真っ当な主張をしていたために企業と国によって潰されたのです。私たちも何も九電や四電が憎くて原発に反対しているわけではありません。
事故が起これば私たちが被曝する可能性が高いからであり、そこで働く労働者や警察や自衛隊員も被曝を余儀なくされるから反対なのです。企業が正当な利益を上げるために話し合うというのならいくらでもテーブルに着く用意はあります。

四国電力こそ1日も早く原発から撤退すべき

九州電力は川内原発と玄海原発4基の再稼働に1兆円あまりの予算をつぎ込んだと新聞報道されていますが、四国電力は伊方3号機の再稼働に1900億円余りの予算しか使っていないそうです。それに本日3月27日の取締役会で2号機の廃炉を決めるそうです。それだったら、3号機しか残っていないのですから、まだ引き返すことも可能でしょう。九電のように1兆円もつぎ込めばその資金を回収するためには原発を動かすしかないということに突き進むかもしれません。カリフォルニアのPG&E社のような選択肢も可能かもしれません。もともと伊方原発が作られた経緯をひもとけば、経産省が四電に原発を持つように強引に進めた経緯があるからです。第6代1985年~1988年まで社長社だった佐藤忠義氏は業界紙のインタビューに「こんな小さな会社に本当に原発が必要なのか疑問もあった」(小坂の記憶の再現)というような発言をしていたことを反原発新聞で読んだ記憶があります。ですから1900億円を不良資産として切り離せばいつでも原発をやめることだって可能なのです。だって、裁判で止まったり、また動き出したりしたら本当に採算など合うのでしょうか?私には大変疑問です。


d0174710_18041107.jpg


米電力最大手が画期的な脱原発案
猪瀬聖 | ジャーナリスト
2016/7/10(日)

カリフォルニアが原発ゼロ州に

福島第1原子力発電所の爆発事故以降、原発大国の米国でも、原発の安全性に対する懸念が強まっている。しかし、原発への依存度を下げると温暖化ガスの排出増加につながるとの理由から、脱原発の動きは鈍い。そうした中、米最大の電力会社が画期的な脱原発案を打ち出し、注目を集めている。
この電力会社は、カリフォルニア州中北部地域を基盤とするパシフィック・ガス・アンド・エレクトリック(PG&E)。6月下旬、所有するディアブロキャニオン原発の原子炉2基を、免許の更新時期を迎える2025年までに廃炉にすると発表した。
カリフォルニア州では1950年代以降、計6つの原発が建設されたが、うち4つは1980年代までに閉鎖。残る2つのうち、同州南部のサンオノフレ原発は放射能漏れ事故などをきっかけに住民の間で不安が高まり、2013年に稼働を停止。ディアブロキャニオン原発が唯一現役の原発となっていた。同原発の廃炉により、米最大の人口を抱えるカリフォルニア州は、主要州で初めて原発ゼロの州となる。
米全体では依然、100基前後の原子炉が稼働中。新設の動きもあり、ディアブロキャニオン原発の廃炉で、米国が一気に脱原発に突き進むわけではない。しかし、米最大の州で米最大の電力会社が脱原発に踏み切った意義は、けっして小さくない。ニューヨーク・タイムズ紙は社説で、「カリフォルニア以外の州や米国以外の国が、温暖化ガスの排出を増やさずに原発の老朽化問題を解決しようとする際の、よい前例となるだろう」とPG&Eの脱原発案を高く評価している。

決め手は州条例
ニューヨーク・タイムズ紙などがPG&Eの脱原発案を取り上げるのは、単に電力最大手が脱原発を打ち出したからだけではない。注目すべきは、脱原発の決断にいたる経緯だ。
PG&Eの決断に最も影響を与えたのは、昨年成立したカリフォルニア州条例だ。同条例は、温暖化ガスの排出量削減のため、電力会社に対し2030年までに総発電量の最低50%を太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーにするよう義務付けた。
同時に、建物のエネルギー効率を2倍にし、総電力消費量の抑制を目指している。同条例は脱原発を目的としているわけではないが、結果的に、PG&Eが脱原発を決断する決め手となった。
なぜか。企業として利益を確保しつつ、同時に再生可能エネルギー比率50%以上という目標を達成し維持するには、エネルギーミックス(電源構成)に高い柔軟性が欠かせない。ところが、図体のでかい原発は、いったん稼動停止したらすぐには営業運転を再開できないなど、小回りが利かない。さらには、福島原発のメルトダウン事故以降、日本と同様、米国でも原発の安全対策費が膨らんでいる。原発は、どこであろうと、経済的かつ柔軟なエネルギーミックスに不向きになっているのだ。
PG&Eのトニー・アーリー社長も、カリフォルニア州の新たなエネルギー政策の下では「原発は必要性がなくなった」と、脱原発決断の理由を明確に述べている。
条例の制定はもちろん、有権者の意向なしにはあり得ない。その意味では、カリフォルニア州の脱原発は、民主主義が健全に機能した結果とも言える。

反原発団体とも協働

注目すべきもうひとつの理由は、PG&Eの脱原発案が、反原発の市民団体などと一緒に練られた点だ。実際、PG&Eは同案を、「地球の友」や「NRDC」など有力環境団体と労組との「共同提案」として発表している。
参考までに、地球の友は、有力環境団体「シエラ・クラブ」の幹部だった故デヴィッド・ブラウワーが、シエラ・クラブがディアブロキャニオン原発の建設に賛成したことに激怒し、離脱して新たに設立した団体という因縁がある。
共同提案によると、PG&Eは今後、脱原発と同時に、再生可能エネルギー分野への投資を大幅に増やし、2031年までに総発電量の55%を再生可能エネルギーにする計画。ちなみに、2014年のPG&Eのエネルギーミックスは、再生可能エネルギーが総発電量の27%、原発が同21%。カリフォルニア州は自然環境に恵まれているとは言え、目標の55%を達成するのは容易ではない。
そのほか、米メディアによると、PG&Eは、原発事業に従事する社員を配置転換するための再教育費用など、従業員対策として3億5000万ドル(約350億円)を計上する計画だ。
反原発団体との共同提案は、見方を変えれば、脱原発を目指す市民団体の作戦勝ちとも言える。やみくもに反原発を叫ぶのではなく、電力会社が脱原発しやすいような戦略を立て、粘り強く交渉し、実行に移したからだ。カリフォルニア州の脱原発は、ニューヨーク・タイムズ紙が指摘するように、「米国以外の国」にも参考になるに違いない。


by nonukes | 2018-03-27 12:31 | 原発再稼働は許さない | Comments(0)

  小坂正則