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小坂正則の個人ブログ

2020年「発送電分離」実施の前にやることがある


送電線利用は公正中立に接続させなければならない
小坂正則

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写真① 2017年12月18日テレビ朝日 報道ステーション
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写真②送電線は公平に利用できるべきもの

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写真③飯舘村に風力発電を建設計画


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         写真④20億円の送電線工事費を要求された
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写真⑤東北電力は送電線に空きがないと言う

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写真⑥東北電力の送電線利用率を計算したら?

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写真⑦送電線の空きは98~80%の空きが常にある
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写真⑧山口市が費用の金額根拠を問い合わせたら大幅に下がった




「送電線は電力会社の所有物ではない」国民の電気料金で作った公共財産だ

 2020年の4月から「発送電分離」が実施されます。しかし、使っていない送電線の権利を電力会社に既得権として認めるなら、新電力は現状と何も変わらなく、再エネ電力を増やすことなどできません。系統連携できないことや、系統につなぐために莫大な費用を求められるからです。それなら、日本の電力自由化が「見せかけの電力自由化」と批判されても仕方ないでしょう。
 2016年4月から始まった「小売り自由化」により、新電力による送電線への系統の受付が公平に行われているかなどをチェックする機関として、「電力広域的運営推進機関」(略称:広域機関)という組織が作られています。そこがチェックしているのですが、現状では既存の電力会社が送電線の利用受付を行っているため、「どのような手続きや費用が掛かるのか」などがブラックボックス状態なのです。

送電線費用は電力会社の言い値

 現状では新電力が発電所から電力会社の送電線に繋いでもらう場合、系統連携費用は電力会社が作った紙切れ1枚の請求書の金額が全てです。私が建てた太陽光発電の連携費用の場合、60数万円の請求金額だけで、その内訳も何もありませんでした。
 12月18日テレ朝の報道ステーション、(写真①②)こんなことが報じられていました。(写真③④⑤)福島県内の住民が県内に風力発電を建てようと、東北電力へ申請したら20億円の費用を請求されたので、諦めたということです。
(写真⑥⑦)ところが京都大学で空き容量が80%から98%もあることが分かったのです。なぜ、そんなに空いているのに電力会社は使わせてくれないのかという問いに「原発再稼働や夏場のピーク時に全発電所が動いた場合を想定しているため、使わせることは出来ません」と、回答したそうです。そんなバカなことはありません。夏場でも発電所の全てが動くことなどあり得ません。ましてや送電線は電力会社の所有物と思っているかもしれませんが、本当は消費者が払った電気料金で作ったものですから、公共設備です。だから「発送電分離」になった2020年からは、欧米のように「中立な運用」が求められるのです。
 次の例は、山口市のNPOが市と連携した事業として7千万円でメガソーラーを作りたいとして、中国電力に申し込んだところ、連携費用が4億5千万円という請求が来たそうです。ところが山口市が交渉に乗り出して、「何でそんなに費用が掛かるのか」と問い詰めたら、その後「70万円」という回答がきたというのです。(写真⑧)いきなり4億4千930万円の値引きです。森友学園の値引き以上の値引きです。
 こんなウソのような話しが、今日まで公然と行われているのです。
 ですから、2020年4月から始まる「発送電分離」には、送電線の利用は公平に行い、系統費用などの根拠を明らかにする必要があります。そのためには、本当は公的機関が送電線を運用するのが一番なのですが、自民党案は、そのようにはなっていません。欧米のように、電力会社とは資本関係のない送電線会社が行う「所有分離」なら公平な運用ができるですが、自民党の発送電分離案は「送電線会社を電力会社の子会社化にする」という「法的分離」です。

系統連携の運用ルールと市民の監督が必要

 ドイツでは送電会社4社の内3社は所有分離の完全分割された送電会社です。そして、系統への連携は再エネを優先するということ条件で運用されています。それに中立的な運用が行われているか、連邦政府と州政府により厳しくチェックされているそうです。はたして日本はどうでしょうか。経産省の天下りや御用学者が管理監督するのではないかという不安を、私は払拭できません。2020年の「発送電分離」の実施前に送電会社は「オープンで公平なルール」として国民が納得いくようなものにする必要があります。それにドイツのような監視・監督する公的機関のダブルチェックやそこに市民が参加できることなども必要でしょう。
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大手電力10社の送電線平均利用率が2割
朝日新聞2018年1月28日

 風力や太陽光発電などの導入のカギを握る基幹送電線の利用率が、大手電力10社の平均で19.4%にとどまると、京都大学再生可能エネルギー経済学講座の安田陽・特任教授が分析した。「空き容量ゼロ」として新たな再生エネ設備の接続を大手電力が認めない送電線が続出しているが、運用によっては導入の余地が大きいことが浮かび上がった。
 基幹送電線の利用状況の全国調査は初めて。29日に東京都内であるシンポジウムで発表される。
 50万ボルトや27万5千ボルトなど各社の高電圧の基幹送電線計399路線について、電力広域的運営推進機関(広域機関)が公表しているデータ(2016年9月~17年8月)を集計した。1年間に送電線に流せる電気の最大量に対し、実際に流れた量を「利用率」とした。
 分析の結果、全国の基幹送電線の平均利用率は19.4%。東京電力が27.0%で最も高く、最低は東北電力の12.0%。一時的に利用率が100%を超える「送電混雑」が1回でもあったのは60路線で東電が22路線を占めた。
 一方、「空き容量ゼロ」とされた基幹送電線は全国に139路線あったが、実際の平均利用率は23.0%で、全体平均と同程度。大手電力がいう「空き容量ゼロ」は、運転停止中の原発や老朽火力も含め、既存の発電設備のフル稼働を前提としており、実際に発電して流れた量ははるかに少なく、大きな隔たりが出たとみられる。
 電気事業連合会の勝野哲会長は昨年11月の会見で、送電線に余裕があるのに再生エネが接続できない状況を指摘され、「原子力はベースロード(基幹)電源として優先して活用する」と述べた。
 ある大手電力は「空き容量は、送電線に流れる電気の現在の実測値だけで評価できるものではない」と説明する。だが、欧米では、実際の電気量を基にしたルールで送電線を運用して、再生エネの大量導入が進んでおり、経済産業省も検討を始めた。
 「空き容量ゼロ」路線の割合は、東北電、中部電力、北海道電力、東電で高く、西日本の電力会社は少ない。東北電、北海道電などでは、空き容量ゼロの利用率が、管内全体の基幹送電線より低かった。
 安田さんは「本来は利用率が高く余裕がないはずの『空き容量ゼロ』送電線が相対的に空いているのは不可解だ。『なぜ空き容量をゼロというのか』『なぜそれを理由に再生エネの接続が制限されるのか』について、合理的で透明性の高い説明が電力会社には求められる」と指摘する。

再生エネ事業者に巨額の負担も

 再生可能エネルギーの導入に重要な基幹送電線が有効に利用されていない実態が明らかになった。一方で、接続を希望する事業者に、新たな送電線建設に向けた巨額の「請求書」が送りつけられている。再生エネの受け入れは大手電力で取り組みに差が出ている。
 再生エネ事業者の「レノバ」(東京都)は秋田県由利本荘市沖で洋上風力発電を計画している。最大出力は原発1基並みの100万キロワット。地元漁協の同意を得て、海底のボーリング調査などを進めてきた。2021年度に着工、26年度に運転開始を目指す。
 ところが、東北電力は、青森、岩手、秋田などの基幹送電線が「空き容量ゼロ」だとして、総額1千億円以上とみられる送電線増強費用の負担を前提に、新規接続希望を募集した。280万キロワット(当初)の枠に1500万キロワット以上が殺到、9割以上が再生エネで8割が風力だった。
 入札は来月の予定。既存の発電所も新しい送電線を利用するが、費用のほとんどを新規事業者が出す。レノバの負担は数百億円とみられ、木南陽介社長は「地元の期待が高く実現したいが、送電線への接続可能量などについて情報公開を徹底してほしい」と言う。
 京都大学再生可能エネルギー経済学講座の安田陽・特任教授の分析では、東北電は基幹送電線の約3分の2を「空き容量ゼロ」とし全国で最も割合が高いが、管内の平均利用率は最も低い。「空き容量ゼロ」路線で利用率が一時的に100%を超えた「送電混雑」は1路線だけだった。
大手電力の基幹送電線の路線数と平均利用率
既存送電線の有効利用を探る動きもある

 九州電力は14年度から6万ボルトの送電線に流せる電気を従来の2倍に増やした。故障の際の出力抑制が条件だが、再生エネの接続は増え続け、昨年4月には、一時的に電力需要の76%を太陽光が占めた。電気をためる揚水発電なども組み合わせて送電線の運用を工夫し、離島以外では再生エネの出力抑制も出ていない。
 安田さんは「九州では原発も再稼働し、太陽光が大量導入されつつあるのに、空き容量ゼロの送電線が少なく、興味深い。電力会社で運用方針に違いが出ている可能性があり、適切に運用すればさらなる再生エネの導入拡大が可能であると日本でも実証されつつある」と話している。




by nonukes | 2018-02-22 15:05 | 電力自由化 | Comments(0)