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小坂正則の個人ブログ

パリ協定が世界を脱化石エネルギー社会へと変えた

小坂正則

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               (出典)United Nations Framework Convention on Climate Change

伊方原発3号機仮処分のショック

 昨年12月13日の広島高裁決定は、近ごろ久方ぶりの幸せになれたひとときでした。河合弁護士から「広島高裁では勝てそうだ」という噂が私の耳にも聞こえてきていたのですが、何せ、あのようなひどい決定を出した広島地裁と同じ場所にある上級審で、そんな仮処分を認めるなどあり得ないだろうと考えていたのです。しかし、それが期限付きとは言え、9月までの10ヵ月間も伊方原発3号を止めるというのですから、正に青天の霹靂のような出来事でした。広島高裁の決定は今後の伊方仮処分にも少なからず影響を与えることでしょう。しかし、この決定に世界のエネルギー政策の大きな波が影響を与えたということを証明はできませんが、世界で起こっている再エネ革命は日本の経済界は基より、司法の場にも何らかの影響は与えることでしょう。
 私が今年になって最初に観た映画が「不都合な真実2放置された地球」です。前作の「不都合な真実」は2006年に発表されて、今回の第二作目は10年目の地球温暖化を訴える映画です。この映画を観て、私が考えていたスピードを遙かに越えるスピードで世界が大きく変わりつつあるのだということを実感しました。
 昨年、トランプ米大統領が「パリ協定を脱退」というニュースがありました。しかし、カリフォルニアの知事や米国の大手企業など米国で排出するCO2の30%排出する企業や自治体が、「トランプが脱退しても我々はパリ協定に残るんだ」と、表明しています。日本ではそんなに「パリ協定」のニュースは大きく報道されませんが、実は「パリ協定」が、今日の「脱炭素革命」を引き起こした大きな理由なのです。

パリ協定が世界を変えた

「パリ協定」とは、第21回気候変動枠組条約の国会議(COP21)が開催されたパリにて、2015年12月12日に採択された、気候変動抑制に関する国際的な協定のことの略称です。その目的は「産業革命前からの地球の気温上昇を21世紀後半に2℃より低く抑えることと、21世紀の後半に世界の温室効果ガス排出を実質ゼロにする」というものです。
 そして、2016年4月から各国による署名が始まり、9月には世界で二酸化炭素排出国の1位と2位の中国と米国も署名をしました。1997年の京都議定書には米国は元より発展途上国の中国やインドなどは入っていませんでしたが、パリ協定は世界192カ国とEUが加盟している文字道理の世界協定です。残念ながら米国は17年6月に脱退を表明しましたが、「パリ協定は2020年の末から始まるが、その前に米国の大統領選挙があるから、トランプを落とせば何の問題もない」とアル・ゴアは言います。
 実はこのパリ協定が世界のビジネスモデルを激変させているのです。なぜなら今世紀末には温室効果ガスは完全に排出できなくなるのだから、「これからは再エネや電気自動車など二酸化炭素ゼロの製品でなければ売れないし、そのような産業が爆発的に拡大する」ことは誰にでも分かることです。大手企業の経営者で、その意味が分からない者は経営者失格です。だから東芝や三菱や日立が今、窮地に追い込まれているのです。
 日本政府と石炭火力発電機のメーカーである三菱や東芝などの大手企業と安倍首相は「石炭ガス化複合発電で16%CO2を削減」のパンフレットを引っさげて、東南アジアなどへ高効率の石炭火力発電を売り込んでいて、実際にアジアで十数機の石炭火力発電を日本政府の融資付きで売り込みに成功しています。そのことで、COP23の開場前では日本の「石炭火力反対」のNGOや投資家から冷たい視線に晒されました。何よりもそのことが今日の日本の現状を表しているように思います。

再エネとEVに対して失速する石炭火力と原発

 昨年12月17日のNHKスペシャルで「激変する世界ビジネス“脱炭素革命”の衝撃」という番組がありました。そこでは、日本の石炭火力が批判さえた映像が流れていました。そして太陽光発電の発電コストがこの数年で衝撃的なほど価格低下が起こったと言うのです。それは生産量が毎年倍々ゲームで伸びていることから来ているのですが、企業や政府が太陽光発電を導入を決めるきっかけが「パリ協定」にあったのです。中東や中国では太陽光発電の発電コストが3円を切っているそうです。すると、日本のような手厚い補助をしなくても市場が太陽光発電を普及させるのです。いまや石炭火力が1キロワット当たり5円ですから、3円の太陽光発電の方がCO2を出さなくて石炭火力よりも安いのですから、石炭火力など世界から不要になりつつあるのです。もちろん原発は安全対策のために発電コストがどんどん上がっていますから、論外ですが、日本では原発の発電コストが12円以上だそうですから、元々話にもならないのです。
 世界中の企業が企業イメージをアップするために再エネに投資するのではなく、経済的な利益のために太陽光発電への投資を行っているのです。また投資家は、これから伸びていく企業として温暖化対策を取る企業に投資を集中させているのです。ウォルマートは全ての店の屋根に太陽光を設置して、そこで消費する電気の全てを賄う計画だそうです。再エネ投資で1年間に1千億円の利益を上げたそうです。また投資家が石炭火力発電などへの投資から撤退しつつある理由として、今後現在のペースで化石燃料を使い続けると、後25年でCO2の排出上限に達してしまい、化石燃料があっても使うことができなくなるから、化石燃料が無価値になってしまうというのです。だから投資家などを中心にして「脱炭素革命」が起こりつつあるのです。
 さて、電気自動車ですが、これは電気で走るので、走行人はCO2を出しませんが、充電時に使う電気を何で発電するかによって随分変わってきます。確かにプリウスなどエコカーと言われていた省エネカーにより石油の使用量を減らすことはできるようになりましたが、電気自動車を石炭火力発電で走らせたらCO2削減効果にはなりません。ただ将来的には再エネで電気自動車を走らせたらCO2ゼロを実現できます。それと、中国の北京が石炭火力発電と自動車排気ガスで空がスモッグで覆われていることも電気自動車普及の理由です。また、中国が再エネや電気自動車の普及に国家を上げて取り組むもう1つの大きな理由があります。それは再エネ関連の産業を育成して、世界をリードしていこうという習近平政権の国家戦略があるからです。
 そんな理由から電気自動車導入のために環境規制が中国と米国カリフォルニアで始まりました。中国やカリフォルニアでは一定数の電気自動車の販売実績がない企業は、車を売れないという規制を掛けるそうです。だから電気自動車を販売してないトヨタも慌てて2019年から電気自動車を販売すると方向転換したのです。それに呼応するようにフランスでもイギリスドイツなどでガソリン車の生産規制が始まります。インドでも2030年には全自動車を電気自動車へシフトさせると伝えられています。世界中の自動車が電気自動車に代われば石油消費は減りますが、電力消費は爆発的に増えます。しかし、その分は太陽光発電の爆発的な導入でカバーできて、電気自動車のバッテリーの需要が増えれば、バッテリーのイノベーションが起きて、性能は上がりコストは下がるでしょうから、世界中で増える太陽光発電の負荷調整用のバッテリーが低コスト化して普及するでしょう。ですから、太陽光発電と電気自動車とバッテリーは三角関係で互いにイノベーションを起こし合うのです。

地球温暖化説の異論

 実は「地球温暖化説」と「地球寒冷化説」や「地球温暖化懐疑説」などがあって、特に地球温暖化説の中には原発推進派も混ざっているので、私はスンナリと「温暖化説」を支持する気にはなれませんでした。
 もちろん私は「温暖化懐疑説」や「地球寒冷化説」を支持するわけでもありません。科学は真実の追求を行う学問ですから様々な説があるのはむしろ当たり前です。科学の真実は多数決で決めることではありません。真実は歴史が証明するでしょうから、それまでの間は色んな説を科学者の間で戦わせればいいのです。
 ただ、政治や環境対策はそういうわけにはいきません。政治的な対策は多数決で決めざるを得ないのです。「100年後に地球の温度が6度上がったから、これは何とか対策を講じなければならない」といっても手遅れです。ですから、今人類にできることの全ての対策を講じる必要があるのです。温暖化対策をやって、100年後に温暖化しなかったなら、それはそれで良かったということでしょう。

化石燃料にすがりつく日本政府と企業

 このような世界の動きに逆行しているのがトランプ政権と安倍政権です。トランプは支持者の石炭や石油オーナーの支持を得るために、パリ協定から離脱したのですが、トランプと安倍晋三はよく似ています。お二入は世界がどうなろうと知ったことではないし、自分の目先の利益しか頭にない人間でなのです。政権に群がった「重高長大」の古い産業のトップと官僚と一緒に国家を食い物にしているのです。
 安倍政権が日立の原発をイギリスに売り込むために、1兆5千億円の政府債務を保証して、産業界から1兆5千億円の投資を呼び込むという計画が報じられていました。結局、この原発建設が頓挫したら湯治場と同じような目に遭うのです。今度はその負債分は国民の税金で賄うというところが違うだけです。こんなふざけた計画は許してはならないし、日本でも1日も早く再エネへシフトさせなければなりません。


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「パリ協定」1.5℃目標に反する恥ずべき日本の石炭政策
緊急声明
第23回気候変動枠組条約締約国会議(CO23)、ボン
2017年11月16日

私たち世界中の環境団体は、国際協力銀行(JBIC)がインドネシア・西ジャワ州チレボン石炭火力発電事業の拡張計画(チレボン2、1000 MW)への貸付を実行したこと、および日本政府がパリ協定の1.5℃目標の達成に相反する化石燃料、特に石炭事業への経済支援を継続していることに強く抗議します。

11月14日、JBICは現地で新たに発行された環境許認可に関わる問題が解決していないにも関わらず、チレボン2拡張計画への1回目の貸付を実行しました。このチレボン拡張計画には、日本の大手商社の丸紅株式会社および東京電力と中部電力が共同で設立した火力発電事業のための株式会社JERAが出資しています。新しい環境許認可は、地裁によって違法と判断された元の環境許認可に代わって発行(2017年7月17日発行)されたものですが、現地住民はこの新しい許認可に対しても無効を求めて起訴する考えです。

JBICには、2017年4月にも住民訴訟判決が出る前日に融資契約を締結したという前科があります。私たちは、このように違法性を軽視し、現地住民の訴えと権利を無視し続けるJBICの態度に断固抗議します。

現地住民は、既設のチレボン1(660MW)によって生計手段を奪われるなど、既に多大な損害を被っています。チレボン1にもJBICは融資しており、住民はこれ以上の彼等の生活への悪影響が出ないようにJBICがチレボン2への融資を行わないことを求めていました。

JBICがチレボン2への融資貸付を実行し、日本政府が石炭関連事業への支援を続けていることは、世界中の現場、および、今まさにここで開催されているボンでのCOP23において気候変動を食い止めようとしている世界の努力を台無しにするものです。

また、JBICはインドネシアの石炭火力発電事業だけ見ても、最近、バタン新設、タンジュンジャティB拡張、ロンタール拡張への融資を行なっています。さらに、国際協力機構(JICA)がインドラマユ石炭火力発電事業への円借款供与を検討しています。これらの計画は全てジャワ島に位置しており、すべてが建設された場合の発電容量は6,455MWに上ります。

JBICは、インドネシアに限らずベトナム、ミャンマー、ボツワナを含む世界8ヵ所で建設が予定されている新規の石炭火力発電所に対し、融資を行なうことが予想されています。これらの計画の多くは、土地収用、つまり、土地収奪、不透明性、人権侵害および環境破壊などの問題を引き起こしています。

私たちは、日本政府がクリーンではないエネルギー計画に投資することを止め、民主的かつ分散型で持続可能な解決法により住民とコミュニティーに電力のユニバーサルアクセスを提供する支援を行うことを要請します。

以上






by nonukes | 2018-02-14 17:38 | 小坂農園 薪ストーブ物語 | Comments(0)

  小坂正則