2017年 10月 24日
立憲民主党は市民共闘で安倍の暴走を食い止めることができる
小坂正則
安倍政権は常識では考えられないような姑息な手を打って、森友・加計学園疑惑隠しのために9月28日、秋の臨時国会開催と同時解散を決行。おまけに所信表明を行えば、野党から森友・加計疑惑の代表質問で追及を受けたり、内閣不信任案を提出されることを怖れて、所信表明も代表質問も行うこともなく臨時国会の冒頭解散を強行したのです。解散の大義名分は、北朝鮮のミサイル発射や核実験を理由に「国難突破解散」と説明していますが、野党共闘がまとまる前に、そして小池新党ができる前の今しか解散のチャンスはないとした大義なき解散だったのです。8月に誕生した新改造内閣を「仕事人内閣」と自分で言いながら、1回も仕事をすることもないままの解散でした。
今回選挙で唯一の希望は「立憲民主」の誕生
そして選挙結果は自民党280議席を越える一強他弱に終わりましたが、森友・加計学園疑惑がこれで終わったわけでもなければ、ミソギが済んだとして逃げ切ろうとしても、予算委員会などで野党は安倍首相を追及することは可能です。しかも自民党の圧勝に終わってと言っても内閣支持率は依然低迷していて不支持が支持を上回る状態が選挙が終わるまで続いていました。このことは自民党に投票した有権者の多くが「自民党は支持するが安倍政権は支持しない」という表れなのです。ですから、安倍政権を倒すためには自民党の中から宏池会の岸田文雄元外務大臣や石破氏などが出てきて、来年9月の総裁選で安倍を引きづり下ろすことで安倍政権を終わらせることが、今では最も現実的な安倍政権を倒す方法だと私は思います。もちろん、この国の将来を自民党の派閥争いに希望を託すわけにはいきませんが、安倍晋三首相は天候までもが味方をしたように台風で投票率が低迷したままだったことも安倍政権圧勝に有利に働いたようです。
共産党の協力がなければ立憲民主は勝てない
ただ、今回の民進党の前原代表による小池新党への合流劇と小池都知事の「排除します」発言などをおもしろおかしく伝えるテレビなどのマスコミに振り回されて、肝心の「森友加計疑惑隠し」解散を忘れさせる効果が大きかった劇場型選挙だったように思われます。今回の総選挙で唯一の望みが持てるとしたら、国民の声をキチンと吸い上げて野党第一党となった、立憲民主党が誕生したことだと言えるのではないでしょうか。
前原氏は「共産党との共闘はしたくない」と、希望の党への合流をめざしたのですが、今度は立憲民主党の枝野氏は共産党に支えられて大きな勝利を得たのですから、自民党と安倍政権が公明党抜きには成立しないように、立憲民主党も共産党抜きには選挙に勝てないという状況の中で、これからは共産党との「野党共闘」の難しい舵取りが枝野代表に求められるのでしょう。ただ、共産党に振り回されて独自の立ち位置を失っては元も子もなくなってしまいます。ぽっかり空いてしまった真ん中の民意をしっかり受け止めて「右でもなければ左でもない。前へ」を貫いてほしいものです。
立憲民主党は脱原発の旗を掲げ続けられるか
安倍政権の強引な政治に嫌気の有権者が、安倍政権に代わるもう一人の英雄である小池百合子に憧れたが、小池知事の「排除します」という発言で、小池ブームは萎んでしまいました。東京選挙区の比例の得票数は自民党と立憲民主党の得票差はほとんど開きはないそうです。立憲民主党は希望の党に代わって有権者の大きな支持を得たのです。その現象は全国でも起こりました。これからは、大きく空いた右でも左でもない真ん中の立ち位置を大切にして、民意を反映する政治を行っていく政党として立憲民主党が育っていけばいいのでしょう。昨日の報道ステーションで、枝野代表への「脱原発についてはどのように進めるのか」というキャスターの質問に対して、「できるだけ速やかに脱原発を実現できるように、具体的には来年の通常国会には原発ゼロ法案を提案したい」と語り、「現状のままでの原発再稼働には反対だ」とまで語ったのです。国民の7割が原発再稼働に疑問を持っている中で原発ゼロのロードマップを連合による横槍を怖れることなく掲げられるかが当面の大きな課題ではないでしょうか。これまで、民主党も民進党の蓮舫氏も一旦は「脱原発」を掲げては連合の待ったで、引き込めた例があるからです。
国内の勤労者の僅か17%しか組織されてない連合という組織で、その中でも公務員労組などは脱原発なので、電力総連や鉄鋼労連などの民間労組の数とすれば100万人そこそこの労組に媚びを売って、振り回されて数千万人の有権者を切り捨ててきた民進党の轍を踏むのか、それとも政党と労働組合の自主性と緊張関係を保って、党の理念を貫けるのかどうかが試されているのだと思います。今回の選挙で連合が取った選挙応援の方式は実にまともでした。連合本部が一元的にどの政党を支持するなどという、北朝鮮や中国のような独裁的な決め方を行うのではなく、各単産や地方連合が、もっと言えば組合員がそれぞれ自分たちが支持する政党を応援するという選挙方式をぜひ実現してほしいものです。
立憲民主党はSEALDsの元メンバーが裏方で支えていた
枝野氏が立憲民主党を立ち上げて、僅か2週間でこれでけ多くの有権者の支持を得られたのには理由があったようです。SNSの1つである、ツイーターのフォロアー(自分のツイーターでカバーすること)が数日で自民党のフォローを上回り(10月24日現在19万。自民党の13万や希望の党の1.3万を大きく引き離している)トップに躍り出たり、枝野氏の演説の見せ方を工夫して、選挙カーの上など高い位置から聴衆に演説すると周りにたくさんの観客が一緒に動画や写真に写らないから、観客の真ん中の小さな箱の上に乗って演説をするという方法を取ったそうです。この方法は米国の大統領選で使われる手法だそうです。その周りでは多くの若者がスマートフォンで演説の様子を動画で撮影し、1分くらいの短い映像をSNSで拡散して、実際よりも多く観衆が居るように写して、それを見た有権者が演説を聴きに行きたくなるようにして、最終日は8千人が集まったそうです。また、党を象徴する色も工夫して、青と白を基調に統一したカラーで素人とは思えない演出などをSEALDsの元メンバーが裏方でしっかりと支えていたそうです。SEALDsと言えば奥田愛基さんが有名ですが、彼も含めて元メンバーの多くが、立憲民主党を影で支えているということですから、若い彼らによって国会前の運動から、より具体的に政治の世界に進出して、着実に大きな流れをこれから作ってくれることでしょう。
政治家や政党は政策の一貫性と自分の言葉に責任を持つことなどが非常に重要なことですが、それと共に有権者が何を求めているかなどのリサーチや有権者の声をすくい上げる敏感さをも兼ね添えていなければならないのだと思います。
これから立憲民主党は国民に大きく試される
今回の選挙では自民党は小選挙制度で獲得票が3割で6割以上の議席を獲得できました。しかも全有権者から見れば僅か17%の得票数で6割の議席です。これは制度上の問題ですから、現行の小選挙区比例並立制度では文句は言えませんが、有権者の意思を歪にした制度です。私はドイツにように完全比例制度にすべきだと思います。また、公明党は議席を減らし、維新の凋落傾向は加速しています。有権者の多くが、自民党の亜流は必要ないという判断をしたのです。その意味では、「自民党とも組むことはあり得る」という小池新党の「希望の党」はこれからは分裂と崩壊に向かって突き進むことでしょう。
議会制民主主義の中で野党の大切な役割があります。それは政権与党の暴走をチェックすることと、政権与党の政策でこぼれ落ちた少数派の国民の声を拾い上げて、政治に反映させることなのです。それが民主主義政治での野党の役割なのです。与党と同じことを主張するのであれば野党に居る必要などないのです。だかた維新はまやかしの野党なのです。
安倍政権は当分続くことでしょうから、改憲の動きも加速するでしょう。護憲というスローガンではこの動きを止めることはできません。沖縄の基地が集中している現状やオスプレイが日本中を我がもの顔で飛び回っている現状など、立憲民主党が日米同盟を強化するというだけでは解決できない課題は山積みです。しかし、米軍のロビイストの言いなりの自民党にはできない地位協定の見直しなどに取り組めば、やれることは山ほどあります。これまでの民主党は米国でのロビー活動もやってこなかったのですから、これからは米国の民主党を中心としたロビー活動など国際的な協力、協調関係を築いていかなければ、護憲の殻を打ち破ることはできないでしょう。しかも北朝鮮に対する対応など平和を守るための行動など、一歩間違えば「希望の党」のように一気に国民の支持を失う危険性を孕みながらの綱渡りがまっているのです。しかし、これまでの政党がやって来なかった常識を覆して、党の中の議論を公開して、有権者や支持者と共に議論して、有権者に隠さない政治を行ってもらいたいと思います。そのような姿勢を貫けば、立憲民主党は必ず、困難な課題にも正面から立ち向かい、逃げずにぶれずに進むことができると、私は信じています。頑張れ立憲民主党!
by nonukes
| 2017-10-24 11:39
| 脱原発選挙
|
Comments(0)