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小坂正則の個人ブログ

一般市民に共謀罪は決して無関係ではない

一般市民に共謀罪は決して無関係ではない
小坂正則
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共謀罪は内心の自由を罰するものであり、どれほど民主主義社会を壊す悪法であるかを知るために、以下の文章を私は4月23日「つゆくさ通信142号」という私の出しているミニコミ誌に書きました。そこでは、これまで捜査当局による不当な扱いについて書いたのですが、4月28日に法務副大臣が答弁したことが一番真実をついていておもしろいと思って、この文章を書いています。それは「あなたも決して共謀罪と無関係ではない」と、いうことを知ってほしいからです。
「一般人は捜査対象にならない」が、「何らかの嫌疑がある段階で一般の人ではないと考える」と、答えたからです。つまり、「一般人」と「容疑者」を分ける根拠は捜査当局(一般的には警察官)の「判断」だけで決められるのです。そこには何の具体的な証拠も根拠さえなくてもいいのです。警察官が嫌疑があると思えばあなたは容疑者なのです。そして、あなたは監視され盗聴されるのです。
共謀罪や盗聴法が執行されたら、その中身や容疑者への情報公開法がなければおかしいですよね。私が「過激派」と、規定する判断材料の根拠は本人へも開示すべきです。少なくともその疑いが晴れた段階や10~20年後など、一定の年月が経った後には捜査当局は容疑者に対して情報開示義務を課すべきです。


つゆくさ通信第142号「編集後記」

▼トランプ大統領が就任したアメリカでは今、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』が空前のブームなのだそうです。私も学生時代に読みました。『動物農場』と共にオーウェルの代表作です。内容はあまり覚えていないのですが、独裁者によって人々は監視され、歴史は作り替えられ、敵国のミサイル攻撃が、実は自国の支配者の自作自演だったのです。現在の社会を暗示しているような、恐ろしい小説です。▼20世紀は戦争の世紀だったとよく言われますが、21世紀は民主主義が崩壊した世紀だったと、22世紀の人々は振り返るのではないかと心配です。▼さて、『1984年』に登場するような首相によって、この国の民主主義も崩壊寸前です。いま、国会で審議されている「国民から内心の自由を奪う」ための法律、「テロ等準備罪」という名の、テロとは無関係の「共謀罪」が成立したらどんな社会になるのか、私はそれを少しだけ予感できます。▼私が大分で反原発運動を始めた31年前から、実に奇妙な体験をしました。「小坂は虫も殺さないような顔をしているが、奴は夜な夜な人殺しをする過激派なんだ」と、大分中央署の署員から、私の同僚は言われたと聞きました。私が昭和天皇が亡くなった年の秋に1週間休暇を取っていた時のことです。私の職場(郵便局)の組合委員長に警察が「小坂はどこに行ったか知らないか」と、聞いたそうなのです。委員長が「小坂に何の容疑があるのか」と問うと、刑事は「彼は皇居にミサイルを打ち込む可能性がある」と、言ったそうです。こんな根も葉もないことを言われたら、民間企業の社員なら、とっくにクビになっていたでしょう。幸いにも私は公務員だったので、クビになることはありませんでした。私の恩師である松下竜一氏は、日本赤軍の泉水博を書いた『怒りていう、逃亡には非ず』を出版したら、警察当局から過激派シンパとみなされて、家宅捜査を受けました。松下さんは国を相手に裁判を起こして慰謝料10万円で勝訴したのですが、「東京への裁判旅費を100万円以上使った」と、私に話してくれました。お金よりも何よりも莫大な時間と名誉を著しく傷つけられたのです。▼では、警察は市民の正当な活動をなぜ妨害するのでしょうか。それは国家の安寧を図るための治安維持が最大の仕事だからです。この国では「反原発」など、国家に刃向かうことは御法度なのです。だから私たちは常に監視されていたのです。この国の支配者は私たちが騒げば秩序が崩壊して、革命集団によって国家が転覆させられるのではないかと、常に不安なのです。だから警察は捜査の宝刀である「共謀罪」や「盗聴法」を使って、私たちが何を考えているのか、常に知りたいのです。▼もう1つ理由があります。大分には過激派らしき人々がほとんどいません。だから誰かを適当に過激派とでっち上げて予算と自分たちの仕事を守っているのです。▼私は「共謀罪」が国民の人格権を否定する恐ろしい法律であると分かっていても、現在の一強他弱の国会勢力では手も足も出ません。「共謀罪」はやがて強行採決されることでしょう。それを止められるとしたら、国会会期中に安倍晋三が辞職するか衆議院解散しかありません。安倍を辞めさせることができそうな人物として、私が最も期待している人は、1番に明仁天皇。2番が森友学園の籠池泰典氏。3番が自民党の石破茂氏です。▼法律は後で廃止もできますが、健康は取り戻しはできません。原発事故による甲状腺ガンに苦しむ子どもと、その家族にご支援を。 (小坂)
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スノーデン氏は語っていた「世界中の人々の必要な情報は手に入る」と

上の文章を書いたのは4月23日でした。その5日後の4月28日の衆議院法務委員会で
盛山正仁法務副大臣は「一般人は捜査対象にならない」と答弁した根拠について「何らかの嫌疑がある段階で一般の人ではないと考える」と述べた。と、マスコミは伝えています。
つまり、私が共謀罪でいうところの「組織犯罪集団もしくは、それに関係する人間の疑いがある」という嫌疑を警察からかけられた時点で、私は一般人ではないので、「共謀罪は一般人には捜査対象ではない」というロジックが成立するのです。
それでは、私は「組織犯罪集団もしくはそれに関係する人間」と、疑われているのですから、私と付き合いのある方は全て、「組織犯罪集団もしくはそれに関係する人間」となります。すると、私と付き合いのある方のそのまた友人も同じように「組織犯罪集団もしくはそれに関係する人間」と定義されます。
オリバー・ストーン監督作品「スノーデン」の映画を観た方はご記憶があることでしょう。
スパイを作るために中東の要人の情報を調べる場面がありました。その金融関係者の子どもから友人に、そのまた友人までNSAは情報を持っていたのです。つまり、「容疑者」と捜査当局が判断した時点で、容疑者の家族から、子どもの友人までプライバシーを暴かれるのです。
このように共謀罪が入れば何の物的証拠がなくても、捜査当局に取って必要な情報を持っているかもしれないと思われる者は「容疑者」となり、「一般人」を卒業するのです。その判断基準は何も具体的は証拠も判断基準も何もありません。なぜなら、私が過激派とでっち上げられて尾行や捜索をされた根拠なども何もなかったのと同じです。あるもは「捜査員の勘」だけです。私は1回も違法な行為をしていませんし、逮捕もされていません。ただ長年にわたって原発に反対していただけです。ですから、権力に刃向かう者は「共謀罪」の容疑者として立派に「一般市民」を卒業させられるのです。私はそんなことなで動じることはありませんが、私と付き合うことで「容疑者」とされる私の友人や私の周りの方々には大変迷惑なことですし、それってやっぱりおかしいですよね。当局が市民のプライバシーを引き剥がす権利などどこにもないはずではないですか。憲法の保障している「基本的人権」が完全に否定されているのですから、明らかに憲法違反です。

共謀罪は盗聴法がなければ成立しない

フルスペックの盗聴法が昨年の5月に改正されて、何でもどこでも自由に警察官は盗聴できるようになりました。おまけに米軍から日本政府はインターネットを盗聴できるシステムをもらい受けたとNHKの「クローズアップ現在」が伝えいています。以下はNHKより。
2017年4月27日(木)「プライバシーか?セキュリティーか? ~スノーデン“日本ファイル”の衝撃~」 http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3968/
4年前、アメリカのCIA=中央情報局のスノーデン元職員が持ち出した、NSA(国家安全保障局)の機密文書。今月24日、未公開だった文書の中に、安全保障の分野を中心に日本に関わる情報があることが明らかになった。NSAが「XKEYSCORE」(エックスキースコア)という、ネット上の電子メールや通話記録などを検索できる監視システムを日本側に提供したという記述もある。番組では、関係者や専門家を取材。さらにはロシアに亡命したスノーデン元被告へのインタビューも交え、セキュリティーとプライバシーをどう両立できるのか考える。(ここまで引用)

このようなシステムを使って必要な人間の情報を日本の捜査当局は適宜情報収集をおこなっているのです。すでに「共謀罪」の準備作業は始まっているのです。それでもあなたは「オリンピックのために『テロ等準備罪』が必要だ」と思いますか。
by nonukes | 2017-05-10 20:16 | 小坂農園 薪ストーブ物語 | Comments(0)

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