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小坂正則の個人ブログ

「伊方原発をとめる大分裁判」の原告申し込みが続々郵送されて来ています

「伊方原発をとめる大分裁判」の原告申し込みが続々郵送されて来ています
小坂正則
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連日猛暑日が続きますが、そんな暑さを吹き飛ばすような出来事が我が家には起こっています。と言うのも、裁判の原告申し込み用紙と委任状が1昨日には7通10人分が郵送されてきました。これまで毎日のように1通から2通の委任状や電話の問い合わせがあったのですが、1昨日はどっと送られてきたものです。きっと7月16日の広瀬隆講演会に参加した方が申込用紙を持って帰って、手続きを行ったものや電話で申込用紙を請求した方が送り返して来たものなどです。本日までに原告数は120名を超えました。それに昨日は郵便振り込みが5件の4万6千円も送られてきました。それは裁判の原告参加費や応援団の申し込みやカンパなどです。
事務局スタッフの裁判準備が追いつけないほど時間がどんどん過ぎています。リーフレット編集や会員ニュースの発行準備や名簿の整理などの仕事に追われています。それに本訴の提訴を8月をめどにして準備している弁護団の訴状作成に呼応して、私たちはできるだけ多くの原告を集める必要があるのです。
原告になって頂いた方や応援団の申し込みをしてくれる方や県外からカンパを送って頂く方などに背中を押されて事務局スタッフはうれしい悲鳴を上げています。今後もよろしくお願いいたします。
本日の大分合同新聞朝刊に載りました。

第2回仮処分審尋は四電も来て、8月10日14時半から

「伊方原発をとめる大分裁判の会」が行った伊方原発3号機運転差し止め仮処分の第1回審尋が7月21日に行われましたが、第2回目の審尋は8月10日となりました。
次回の審尋は四国電力側弁護士も来ます。そこではこれからの審尋のスケジュールが決まる予定です。初めて裁判所で対峙する四国電力の弁護団とこれから我が脱原発弁護団の法廷闘争が繰り広げられます。我が方には「被害現地」の120万大分県民がいます。そして1日でも早く原発をとめたい全国の脱原発を求める60%以上の国民の支持があります。
そんな圧倒的な市民の支持に支えられた法定でのたたかいです。負けるわけにはいきません。必ず大分地裁仮処分でまずは伊方原発の運転を指しどめて、本訴でも勝って、伊方原発を廃炉にします。
8月10日の第2回大分地裁審尋でも3時から大分県弁護士会館にて記者会見と裁判報告集会が行われます。ぜひ多くの方の参加を呼びかけます。一般参加も自由です。

関東平野で頻発する群発地震は何を意味しているのか
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16日から27日までに茨城県南部地域に起こった地震は中央構造線に沿っている
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6月から7月まで関東地域で起こった震度1以上の地震は千回をこえている
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中央構造線とは4つのプレートがぶつかってできた皺と活断層帯のこと

7月16日17時40分:茨城県南部 最大震度1 マグニチュード3.8
7月17日13時24分:茨城県南部 最大震度4 マグニチュード5.0
7月19日12時57分:千葉県東方沖 最大震度4 マグニチュード5.2
7月19日16時28分:茨城県沖 最大震度3 マグニチュード4.1
7月19日23時55分:茨城県南部 最大震度2 マグニチュード3.6
7月20日03時06分:駿河湾 最大震度2 マグニチュード4.1
7月20日07時25分:茨城県南部 最大震度4 マグニチュード5.0
7月27日23時47分:茨城県北部 最大震度5弱 マグニチュード5.3

上の図のように、熊本地震から3ヵ月が過ぎた7月17日に茨城県南部でM5、震度4の地震が起きて、19日にもM3、2、度3、2の地震が2回。20日にM5、震度4、27日にはM5.3、震度5弱の地震が茨城県南部で頻発しています。この地震動は熊本・大分地震とは全く関係がないように思われがちですが、実はどっちも中央構造線の上で起きた地震なのです。気象庁は「この地震は2011年3.11の余震の可能性が高い」と説明していますが、果たして東日本大震災の余震なのでしょうか。私には「中央構造線が動き出す予兆と考えるべきではないか」と思うのです。
これだけ地震が全国で頻発している時期に川内原発を九電は止めることもなく「安全」と説明し、伊方原発は来月11日にも再稼働されようとしているのです。私たちは4月14日と16日の熊本・大分地震の怖さかを忘れることはできないのに、そして熊本ではまだ被災者が体育館などに一時避難しているというのに、中央構造線の真横の伊方原発の再稼働を国や電力会社は強行するつもりなのでしょうか。

原発安全性の最大の根拠である基準地震動の計算式が怪しい

下の毎日新聞の記事を見てください。元規制委員会委員長代理で、規制庁の中で唯一の地震学者だった、島崎邦彦さんが2014年9月18日で規制庁をクビになってから、彼は自ら「基準地震動」の計算を再チェックしたところ、大変な事実を発見したのです。それは基準地震動を計算式(様々な計算式があって、それぞれの電力会社は自分で都合のいい式を使って計算している)を使って計算すると、関電の計算式「入倉・三宅式」ではなく、「武村式」を使うと、倍以上の基準地震動が必要になったというのです。それらのことを島崎名誉教授は昨年から地震学会などで発表して、6月の16日には規制庁へ申し入れを行ったのです。しかし、27日の会見で、田中委員長は「大飯原発の基準地震動を見直す必要はない」と、島崎元委員の申し入れを無視することにしました。
島崎元委員は6月の大飯原3、4号機の発差し止め訴訟で以下のように証言しています。

断層傾斜角が垂直、あるいはそれに近い横ずれ断層の場合、「入倉・三宅式」では、他の計算式(武村式など)の4分の1ていどの数字しか出ず、過小評価になってしまう。大飯と同じような垂直の横ずれ断層で起きた熊本地震は、震源付近で1,000ガルをこえる強さであった可能性が高い。その事実に衝撃を受けるとともに、「入倉・三宅式」の計算による地震動想定では低くなりすぎると確信した。大飯原発差し止め訴訟にかかわる6月の陳述書提出に応じたのは、委員会を退いたとはいえ、かつて審査を担っていた身として、科学的な新知見を提示する必要を感じたからだ。

そして、規制庁に申し入れた結果は27日の田中委員長の「見直す必要はない」となったのですが、その根拠として「大飯原発で想定される揺れを再計算した結果、356ガル(ガルは加速度の単位)で、別の「武村式」では644ガルとなり、ともに関電の基準地震動(856ガル)を下回ったため「過小評価ではない」というのです。
しかし、この計算式には大きな操作があったのです。関電の出した最大856ガルは、「入倉・三宅式」で算出した数字に不確定要素を加える目的で1.5倍した数字だが、規制庁の示した644ガルは1.5倍したものではない。同じ条件で比べるなら644ガルではなく、その1.5倍の966ガルとすべきであろう。少なくとも規制庁は計算のやり方を、関西電力と比較できる形にはしていなかったのです。

「基準地震動」は先に答えがあり、その答えを出すために必要な数値を入力する

つまり、最初から耐震設計できる上限の数値を関電側の現場が出して、その答えに沿って計算式を操作しているのです。不確定要素として1.5倍したなら武村式でも1.5倍の不確定要素を掛けるべきなのは当たり前なのです。
そんなインチキ式とインチキ計算を行って、私たちの生命や財産を守ることなあどできる訳はありません。まったくふざけた「専門家」の騙しのテクニックです。科学理論にも相対性理論など真理に基づく理論と、これまでの仮説に立って「予測数値式」とは、似て非なる理論です。「基準地震動」などの数式理論はこれまでの知見によって求められる予想理論でしかないのです。しかし、地震学で明らかになっている真実など全体の1%もないものでしょう。これから人類が経験するであろうとてつもない巨大地震などの経験により、これまでの学問の不備が訂正されて、より真実に近づくことはあるかもしれません。でも、それまで何度と想定外の巨大地震を私たち人類は経験しなければならないのです。だから事故が絶対起きてはならない原発は動かしてはならないのです。
しかし、電力会社の虜になってしまった規制委員会や規制庁は安倍政権の2030年20~22%の比率で原発をベースロード電源として利用するためには、動かせる原発は全て60年動かすことが自らの仕事と考えているから1機でも動かしたいというのが規制庁の本音なのでしょう。

原発を止めることができるのは、普通の市民と良心的な科学者と裁判所

お金や地位の誘惑に負けた科学者や官僚などと金目しかない電力会社の社員などの人間には科学的な根拠などいくら並べても、曇った目をした彼らには、真実のそれを見ることはできません。だから安倍政権の矛盾に満ちたエネルギー政策をNHKなど御用マスコミも批判できないのです。「裸の王様」で「王様は裸だ」と言えたのは澄んだ瞳を持った子供でした。私たちが子どもの目を持って、「安倍は裸だ」と大きな声で国民に訴えればきっと分かってくれる人がどんどん出てくるでしょう。事実、大分県内の60%が伊方原発の再稼働に反対という事実があるのですから。
結論として規制庁はいくら伊方原発などが地震に耐えられないという新たな知見が出ていたとしても,それに対して真摯に向き合うことはありませんから、規制庁は危険な原発を自らの手で止めることなど決してないでしょう。ですから、裁判所や市民が危険な原発は直接とめるしかないのです。

伊方原発運転差し止め訴訟 原告数100人超え
大分合同新聞 2016年8月1日

県内の住民が今夏をめどに大分地裁に起こす予定の「伊方原発運転差し止め訴訟」は、原告数が当初の目標としていた100人を超えた。訴訟の準備を進めている市民団体「伊方原発をとめる大分裁判の会」は「今後も200人、300人と、どんどん輪を広げていきたい」としている。
伊方原発をとめる大分裁判の会は7月29日に大分市内で事務局会議を開き、弁護士に訴訟手続きを依頼する委任状を出した原告が112人になったことを確認した。男女別では女性の方が多く、「関心の高さが伝わってくる」という。さらに参加者を募った上で、9月までに提訴する方針。
伊方原発は四国電力の原発。大分県から最短45キロ先の愛媛県伊方町に立地し、3号機が8月中旬にも再稼働する見込み。原発近くの海域には国内最大級の活断層「中央構造線断層帯」が走っており、同会は「大地震が起きて重大事故に至る可能性が高く、対岸の大分県にも放射能被害が及ぶ」と訴えている。
同会は訴訟に先行し、既にメンバー4人が伊方3号機の運転差し止めを求める仮処分を大分地裁に申し立てた。仮処分は緊急に申請したため4人に絞ったが、訴訟は「多くの県民の参加を」と呼び掛けている。原告の参加には訴訟費用などで1万円が必要。
伊方原発を巡っては、松山、広島両地裁でも差し止め訴訟が起き、仮処分も申し立てられている。四国電は松山、広島両地裁で「安全性は十分確保されている」と主張しており、大分でも全面的に争うとみられる。
原告への参加などの問い合わせは同会の小坂正則事務局長(TEL090・1348・0373)。
◆カンパ送り先 郵便振替口座
 伊方原発をとめる大分裁判の会
 01710-7-167636
◆原告募集中です(大分在住者に限ります)
 原告になるには1人(1世帯)で1万円が必要です
 未成年者も外国人も原告になれます。
◆連絡先 097-529-5030
 携帯090-1348-0373(小坂正則)


大飯原発
基準地震動、見直し不要 規制委見解まとめ

毎日新聞2016年7月27日 

原子力規制委員会は27日の定例会で、関西電力大飯原発(福井県)で想定する地震の揺れ(基準地震動)について、見直す必要はないとする見解をまとめた。規制委の前委員長代理の島崎邦彦氏が「計算結果が過小評価になっている」と指摘していたが、関電の計算結果は妥当で、現行の計算方式以外について「科学的・技術的な熟度には至っていない」と島崎氏の主張を退けた。
過小評価の原因と指摘されていたのは、関電が使っている「入倉・三宅式」。規制委事務局の原子力規制庁は「武村式」など、別の計算方式の妥当性を調べたが、予測の「不確かさ」を考慮する方法が確立されていないなどとする検証結果をまとめ、規制委の5委員が了承した。【柳楽未来】

専門家の指摘に耳を傾けて

一連の問題は、原子力規制委員会の専門性に疑問を投げ掛ける結果にもなった。
事務局の原子力規制庁は関電と同じ「入倉・三宅式」で、大飯原発で想定される揺れを再計算した結果、356ガル(ガルは加速度の単位)で、別の「武村式」では644ガルとなり、ともに関電の基準地震動(856ガル)を下回ったため「過小評価ではない」と判断。規制委が13日に了承した。
しかし、19日になって規制庁は「無理な計算だった」と事実上撤回。規制委が事務局の計算の妥当性を検証せず、追認していたことが明らかになった。今回の計算結果は関電の計算と食い違い、関電の詳細な計算過程を把握していなかったことも発覚。一昨年秋に関電の基準地震動を了承したが、審査のあり方にも疑問が生じた。
規制委の5委員の中には地質学者はいるが、地震動の専門家は不在だ。田中俊一委員長は27日の会見で、専門性の不足について「反省点としてはある」と認めた。一方で19日に島崎邦彦氏に面会した際には「(外部の)専門家の意見を聞く余裕もないし、その立場ではない」と言い切った。最新の知見を安全対策に反映させることが、福島事故の最大の教訓だったはずだ。外部の専門家らの議論や指摘に耳を傾けるべきではないか。【柳楽未来】



「忘災」の原発列島 揺れ過小評価を指摘、島崎元規制委員長代理 「過ち繰り返したくない」
毎日新聞2016年7月20日 東京夕刊
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毎日新聞のインタビューに答える島崎邦彦・元原子力規制委員=東京都千代田区で2016年6月16日、中村藍撮影

「想定外だった」。東日本大震災の東京電力福島第1原発事故後、この言葉を政府や東電は何度も口にした。それから5年4カ月。再稼働が進む中で、地震や津波の現在の想定に対して「過小評価だ」と警告を発するのは、2014年9月まで原子力規制委員会の委員長代理を務めた島崎邦彦さんである。“古巣”にもの申すのはなぜか。インタビューで明らかにした真意とは。【高木昭午】

東京大地震研究所の教授や日本地震学会長などを歴任した島崎さんは、地震研究の重鎮として知られる。規制委では、電力会社が策定した原発の地震想定を審査していた。

その人が先月から、関西電力の大飯原発を襲い得る地震の揺れの想定は「過小評価だ」と指摘している。規制委に対し再計算を要請し、その結果に納得せず再々計算も求めた。自らも審査に関わった原発なのに、だ。大飯原発の運転差し止めが争われている名古屋高裁金沢支部に、同じ趣旨で陳述書も出している。加えて、内閣府が14年8月に発表した、日本海沿岸を襲う津波の予測にも「西日本の一部では過小評価で、本当の高さは2倍程度だ」と見直しを求めている。

このように訴えるのは「揺れや津波を起こす震源断層の規模が本来の3〜5割に小さく推定された」という自らの研究結果に基づいている。規制委を退職した後にデータを調べ直し、「震源断層の規模を計算する式が、断層の種類によっては不適切で過小評価を生む」との答えに行き着いた。

リスクを知ってもらおうと、昨年から学会で4回発表した。さらに今年4月、震度7を記録した熊本地震が起きた。「熊本地震に式を当てはめると、過小評価がさらにはっきりした」。雑誌「科学」7月号に論文を出した。

在職中に過小評価に気がつかなかったのか、という疑問は当然ある。島崎さんに会うとこう話した。「震源断層規模の計算式は幾つかあり、大飯原発の審査で使ったのはその一つ。原子力規制庁の職員が私に『式によって違った揺れの規模が出る』と問題提起しましたが、誤差の範囲だと思っていました」

問題点に気づいても黙っている学者は多い。声を上げれば時間的、精神的にかなりの負担になるからだ。それを覚悟でなぜ今?と尋ねると、はっきりした口調でこう答えた。「過ちを繰り返したくないからです」

東日本大震災前の東北津波想定 言っても無駄と黙った原罪
「過ち」を犯したのは十数年前にさかのぼる。この時、島崎さんは政府の地震調査委員会に所属し、02年に発表した津波に関する報告書の責任者だった。報告書は、青森県から千葉県までの太平洋岸はどこでも10メートルを超す津波の危険がある−−と読める内容だった。

一方、津波対策を検討したのは、地震調査委とは別組織の「中央防災会議」。その傘下の調査会は04年、島崎さんたちの警告を退け、「岩手県では20メートルを超す津波も予想されるが、福島県以南では最高でも約5メートル」という別の試算結果を採用した。実は島崎さんも調査会のメンバーで、低い津波想定に反対したのだが、結局は黙認した形になった。

そして11年3月11日。東日本大震災が発生し約1万8000人が亡くなった。島崎さんの推定では死者の8割が、中央防災会議が採用した津波想定の、2倍を超える津波に見舞われていた。福島第1原発に到達した津波は15メートルを超えた。

「調査会で、もっと強く主張すべきでした。でも当時は言っても無駄だと思い、私は黙ってしまい『負け犬』になった。今回は、『変人』と言われるのを覚悟でしつこく主張していきます」。反省を交えながら語る島崎さんは今、若手の地震学者にも目を向ける。「彼らに『審議会に入るな』とアドバイスをしています。世の中の役に立ちたいならば外にいて『おかしいと思ったら指摘をしろ』と」。中で声を出しても「行政の裁量」という理由で退けられがちだと思うからだ。

政府は今回も警告受け入れに消極的だ。日本海沿岸の津波を予測した内閣府は「過小評価でない」と修正しない姿勢だ。規制委は大飯原発の揺れを再計算したが強引に問題なしと結論づけた。島崎さんの抗議に田中俊一規制委員長は「(不適切だとされた従来の計算法を)やめる手立てを我々は持たない」と開き直ったが、20日の規制委会合で問題の検討継続を決めた。

元委員の指摘すら受け入れない規制委の対応を見ていると、気になるのが原発耐震審査の実情だ。規制委は自ら作成した「審査ガイド」で、「原発を襲う可能性がある揺れの全てを考える」ことを基本原則に掲げている。だが、原則通りの審査が行われているのかを疑問視する専門家も多い。

この点について島崎さんの答えは当初、「ノーコメント」だった。ただ、インタビュー前に、次のような回答をメールで寄せてくれていた。<(全ての揺れを考えるという)原理に穴があいているのではないか、というのが私の現在の主張です。在職中にこのような(穴がないかの)検討は行っておりません>

この回答について質問を重ねると、次のように話した。「強震動(地震の強い揺れ)の計算が、どの程度確かなのかが問題です。私は強震動の専門家ではなく、在職中は計算を疑いませんでした。『揺れはちゃんと計算できるから、審査でカバーできる』と思ったわけです」。だが今は自らが、揺れの計算法に異を唱え、規制委と対峙(たいじ)している。

一方、強震動計算の専門家は揺れの計算に慎重さを求める。纐纈(こうけつ)一起・東大地震研教授は「揺れの計算では、倍半分(実際の値の5割〜2倍)程度の誤差が不可避。以前からの常識です」と話す。藤原広行・防災科学技術研究所社会防災システム研究領域長は、審査ガイドの作成中に「揺れの計算結果に、もっと大きな幅を見込んで規制してはどうか」と島崎さんに提案したが、採用されなかった。

このような意見を採用しなかったのはなぜか。「当時は『何年に1度程度の原発事故まで許容するか』という安全目標が未定でした。計算結果の幅をどこまで見込むかは、その目標次第なのです。揺れに幅を持たせるとの提案には厳し過ぎるとの批判もあった。だからガイドでは明文化せず、実際の審査に任せました」

安全目標は「大事故は原子炉1基あたり約100万年に1回以下」などと決定済みだ。揺れの計算に慎重を期すならガイド改定が必要ではないか。島崎さんは「今の規制委には何も言いたくない」と前置きするのだが、「一般論として科学はどんどん進む。ガイドは不断の見直しが必要です」と話す。

規制委は揺れの専門家が不足しており、「電力会社と対等に議論できていない」との指摘もある。島崎さんは「米国と違い、日本はそういう専門スタッフを雇う制度がありません。仕方なく強震動の専門家を招いて講演をしてもらっていました」と実情を明かした。

話を聞いて、規制委の専門性に疑問を抱いた。規制委は専門家の指摘に謙虚に対応し、審査の精度を向上させるべきではないか。

 ■人物略歴

しまざき・くにひこ
 1946年東京生まれ。68年東大理学部地球物理学科卒。74年理学博士(東大)。89〜2009年東大地震研究所教授。06〜08年日本地震学会会長。09〜12年地震予知連絡会会長。12〜14年原子力規制委員会委員長代理。
by nonukes | 2016-08-01 10:30 | 原発再稼働は許さない | Comments(0)

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