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小坂正則の個人ブログ

「原発事故の危険性」という社会通念は新たな知見で大きく変わる

「原発事故の危険性」という社会通念は新たな知見で大きく変わる
小坂正則
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川内原発は「社会通念上動かしていい」と高裁判決

昨日の高裁宮崎支部で下された川内原発運転差し止め仮処分の抗告を棄却する判断を西川知一郎裁判長は判決で以下のように説明しています。
どのような場合でも放射性物質が放出されない安全性を確保することは「現在の科学水準では不可能」と指摘。「どの程度の危険性を容認するか、社会通念を規準として判断するしかない」として、「住民側が主張するような合理的な予測を超えた水準の安全確保を求めることは社会通念ではない」とした。(4月7日朝日新聞より)
この仮処分棄却の決定で、西川裁判長は何度も社会通念という言葉を使っています。では社会通念とはなんでしょうか。裁判ではよく使われる言葉だそうですが、簡単に言えば「常識」です。それでは西川判事は「原発を動かすべきだというのは多数の国民の常識だ」というのでしょうか。でも、「福島原発事故で電力会社や規制する側が安全神話に浸かって事故は起こらないものだという過ちを犯していた」という社会通念も出来上がっているのです。その反省の元で出来た規制庁が作った「規制基準」が国民の中に社会通念として浸透しているのかどうかという判断は意見の分かれるところでしょう。しかし、「規制基準が万全」だということは社会通念となっているのでしょうか。いないから、高浜原発の仮処分が二転三転したのではないでしょうか。
原発の再稼働や安倍政権の進める原発優先のエネルギー政策については国民の意見が分かれていることは事実です。でも、安倍政権も認めている事実として、本心はそうではないのでしょうが、「出来る限り原発をなくしていく」ということは圧倒的多数の国民の社会通念です。これはさすがに安倍も西川判事も認める事実でしょう。
だから、再稼働に対して反対する世論が過半数を占めているのです。社会通念と言うのなら、8割以上の国民が「出来るだけ原発はなくしてほしい」という社会通念を持っているのに対して、西川判事は、原発推進政策を進めている安倍政権の意向を忖度して、ここは何としても、私が安倍政権を支える先兵として国民の前に水戸黄門の印籠のような時代錯誤の「社会通念」を掲げて立ちはだかるべきだと考えてのでしょう。しかし、それは明らかに次代の日本が進むべき希望という国民の「社会通念」からは大きくかけ離れた、誤った判断です。

耐震設計を上げるとは数字を改ざんするようなもの

建築基準法などの法律は巨大地震が起きるたびに、その基準値が大きく見直されてきました。特に阪神大震災によって、「絶対壊れない」と国は絶対の自信を持っていた高速道路が倒れたことは大きなショックだったようです。しかし、建築基準法は作ったときの規準が適応されるので、古いビルは巨大地震が襲ってきたら崩壊するとしても、建て替える義務はないのです。しかし、原発は事故が起こったら環境への影響が余りにも大きいので、阪神大震災や新潟中越沖地震など想定外の地震が起きたことにより、これまでの耐震設計が不十分だと分かってから、耐震設計の見直し(バックチェック)という作業が行われていたのです。それらの見直し作業の中には津波対策もあったのですが、東電は意識的に遅らせたり、無視したりした結果によって福島原発事故が起きたのです。
飛行機も同じように事故の教訓として、より安全性が向上するのです。ただ、原発は絶対事故は起きてはならないので、バックチェックという作業が繰り広げられるのですが、格納容器の二重化やコアキャッチャーの設置などのような基本設計に関わるような安全対策は出来ません。だからできるのは対症療法的な対策だけなのです。
このことは地震対策(耐震設計基準の見直し)を見れば一目瞭然です。できることは基準値を上げても大丈夫かどうかをコンピューターでシミュレーションして、大丈夫だと結果が出たら、そこで、耐震設計基準を上げるという数字上の誤魔化しをするだけなのです。それは数字の改ざんのようなものです。九電の担当者が交渉で認めていました。「自動車のエンジンの回転数がレッドゾーンだからといってエンジンが壊れるわけではないのと同じように、安全上の余裕を持って製品は作ってますから、基準値を引き上げてもいいのです。ただ安全の余裕はその分減ります」ということなのです。これまで、耐震設計基準が400ガルを650ガルに上げて耐震安全性を引き上げたというのは、コンピューターで大きな地震を想定しても壊れなかったという仮想の数字の作り話に過ぎないのです。

原発の安全という社会通念は50年前と比べものにならないくらい大きく変わった

事故を起こした福島第一原発の1号機は1958年に計画が決まって、66年から造成工事、本体工事着工が67年で71年に完成してそれから40年動かして爆発事故を起こしたのです。この原発の設計は50年代のものです。日産ブルーバードが世に出たのが63年です。博物館に収まっている初代のブルーバードよりも古い車にいまだに乗って高速道路を時速100キロでぶっ飛ばしているようなものなのです。家電製品や車で50年も前のものを使っている家庭が日本にありますか。それをこの国は「原発は60年間使っても安全だ」とのたまうのです。
地震についても検証してみましょう。大陸のプレートがいくつかに別れて、それが沈み込むところで地震が起きるという、「プレートテクトニクス理論」が世に出たのは1960年代です。つまり、日本海溝にフィリピン海プレートが沈み込んで巨大津波が東北地方を襲おうという理論が確立する前に福島原発は計画されたのです。だから高台だった建設現場をわざわざ削って海面すれすれに原発を建てたのです。西日本にある原発がリアス式海岸の地震の巣に建っているのも、そこが活断層の巣で危険だというのも本当に分かったのは1号機が建った後だと私は思います。ただ、建ててしまった以上は危険でも、どこも建てさせてくれないから、危険な場所に2号、3号と造ってきたのでしょう。
そして、現在は日本列島が4つのプレートから成り立っているという50年前に確立した理論が塗り変えられつつあるのです。つまり、地震や地球物理学の科学的知見は日々変化しています。これまでは安全だと思われていた事実が一気に崩壊して危険と180度変わることがあるのです。
今回NHKが放送した「巨大災害MEGA DISASTER Ⅱ」「地震列島、見えてきた新たなリスク」という番組の意味は実に大きいものです。私たちが安全だと思っている活断層のない場所でも、「プレートの割れ目付近では巨大地震が起きる」という新たな知見が発見されたのです。だから、これが現代の新たな知見として世論に訴えれば、それは新しい社会通念となることでしょう。そしたら、少なくとも西日本に建っている原発は即時廃炉しかあり得ません。
(再々放送があるそうです! 総合 2016年4月29日(金)の深夜0時10分~翌朝は30日です)
このHNKの番組を拡散しましょう。




https://youtu.be/EZjJeSJbXOg

この動画は東日本大震災の関係です。4分後から上のようなわれたプレートが出てきます。↑



https://youtu.be/SfDWyktCoNg

米国の学者の説です。消される前にぜひ見てください。↑

巨大災害 MEGA DISASTER Ⅱ
日本に迫る脅威
地震列島 見えてきた新たなリスク


再放送 総合 2016年4月30日(土)午前0時10分~0時59分(29日深夜)
Commented by 辻重義 at 2016-04-08 03:04 x
原発事故は取り返しの付かないことはあの福島原発事故が証明しました!
九州電力は過去に私に対して日本原発事故でも放射能を放出することはないと断言しました!物は必ず壊れると思っています!
だからこそ危険な原発と人類は共存出来ないと思っています!私は原発に頼ることに反対したいと思います!
Commented by nonukes at 2016-04-08 09:24
辻重義さま

コメントありがとうございます。私も同感です。事故は必ず起きるし、この世の中に絶対はありません。事故が起これば取り返しのつかない状況になるのが核です。核は核兵器以外の利用方法はありません。核の平和利用ということがあり得るという言説自体をなくす必要を強く感じます。たかが電気を作ることくらいのことに何で生命をかけて臨まなければならないのか。ばかげた話です。電気など、ソーラーパネル1枚あれば作る音ができるという時代にですよ。
by nonukes | 2016-04-07 14:29 | 原発再稼働は許さない | Comments(2)

  小坂正則

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