2016年 01月 06日
電力完全自由化を成功させよう その2
電力完全自由化を成功させよう その2
やはり託送料を8.57円(東電)にして新規参入を閉め出そうとする政府官僚
小坂正則
ここから東京ガスのHPに入れます。
https://youtu.be/DRSDQy3ykig
私たちは携帯電話を買うときにドコモにするか、それともAUかソフトバンクと自由に選んで買えるのに、なぜか電気だけは自由に選んで買うことができませんでしたね。実は一般家庭で自由に電気を選ぶことのできない国は「経済協力開発機構」略称OECD加盟34カ国中で日本だけだったのです。そういえば昔は電話と言えばNTTだけしか使えませんでしたよね。今では固定電話もKDDIなどいろいろ選べます。日本は社会主義国家でもないのに、なぜか電気だけは一方的に決められた電力会社から買しかなかったのです。先進各国では自由に電力会社を選べるのになぜ日本だけは電気を自由に選べないのでしょうか。
戦争を遂行するために電力会社を一本化
戦前は各地に電力会社が乱立していました。東京では2社の大手電力会社があって、道路に平行してそれぞれ別々の会社の電柱が立っていたそうです。しかし、1937年に日中戦争へ突入して電力供給が不足するようになる中、1939年に国家総力戦体制を構築しようとする当時の日本政府の電力国家管理政策に基づき、東京電燈・日本電力など全国の電力会社を統合して「日本発送電(株)」が設立したのです。戦争遂行するためには競争を排除して効率よく電力を供給させるために取った政策です。そして、戦争が終わった後も全国一体の制度は残っていましたが、独占解体のために1951年に地域独占のまま9つの現行の電力会社に分割されて今日に至ったのです。ですから、今日の地域独占の電力会社も日本が第二次世界戦争を起こしたがためにできた会社なのですから、これも戦争による負の遺産なのかもしれませんね。
77年前に失った自由がやっと戻ってくる
電力会社の歴史がそんな戦争に翻弄されて生まれたものですが、今年の4月から77年ぶりにこの国の電力売買も自由化されるのです。私たち日本人に取って電力自由化とは初めてやって来た自由化などではなく、77年ぶりに戻ってくる自由なのです。
ではどんなにすれば電気を自由に買えるのでしょうか。東京ガスはすでにホームページで電力購入の申し込みを受け付けています。それによると東京ガスを購入している家庭で東京ガスから電気も購入する平均的な一般家庭では東京電力に比べて年間4千円から5千円の割引になるそうです。既存の電力会社よりも安くならなければ電力会社をわざわざ乗り換える方は少ないでしょうから無理してでも割安なメニューをこれから各社は出してくることでしょう。
九州の私たちは残念ながら大手の新電力会社はまだ受付を開始していません。でも全国で4月までにはそれぞれのメニューが発表されるでしょう。私たちもやっと原発なしの電気をほしいという願いが叶うかもしれないのです。原発を遮二無二動かしたい電力会社は動かせばいいでしょう。でもそんな会社の電気は買いませんという賢い消費者にそっぽを向かれた会社は電力自由化の新たな制度の中では生き残って行けいことでしょう。一昨年ブラック企業で有名になったワタミという居酒屋チェーンは赤字転落してしまいました。自由主義社会のこの国では消費者をバカにした企業は生き残れないのです。
じゃあ新電力の電気は安くてクリーンな電気を私たちに売ってくれるの
そんなに簡単に私たちの夢が叶うわけにはいかないでしょうね。だって電力自由化を行うのは政府で、原発を既存の電力会社に押しつけているのも政府ですから、政府の本音としては「何とか原発だけは温存したい」と思っているからです。
電力会社は日本を代表するような超大手の企業です。それに電力会社は日本の経済を牽引する設備投資を積極的に行って、景気を引っ張てくれる企業なのですから、そんな企業を政府がみすみす潰すような真似は決してしないでしょう。
つまり、これから始まる電力自由化は始まったばかりで、まだ大筋が決まっただけで、これから新電力と既存の電力会社の駆け引きや競争で大きく変化する可能性があるということでしょう。ただ言えることは、「政府は既存の電力会社を守ろうとするし、私たちは新電力を応援して守り育てる」ことが必要だということでしょう。これからは既存対新規産業との攻防戦が始まるのです。その攻防戦に私たちも参加して、不当な圧力や横暴をはねのけて公明正大な市場競争社会を実現させましょう。
例えば、政府の考えている電力自由化とはこんなことだろうと思います。大手の電力会社の持っている原発の電力が余ってしまえば、国がその面倒を見なければならなくなるので、「新電力会社は大手の経営を圧迫しない程度のシェアで、それ以上には伸びないようにしてほしい」と思っている節があります。そして電力自由化による競争で新たな市場が開拓されて電力需要が伸びることにより経済成長が起こることを望んでいるのでしょう。
でも、私は全く逆の考えです。激しい競争で電気料金の値下げ合戦となり、そのためにいかにして電力コストを下げるかが求められるようになるのです。これまで様々な理由を付けて原発のコストをごまかして来た既存の電力会社も、もうこれ以上はごまかしきれなくなって、高コストの原発から撤退を余儀なくされるか、会社が倒産するかの選択を迫られる時代が来ることが望まれるのです。
政府は送電線使用料を高めに設定して電力市場参入を妨害
しかし、すでに国は既存の電力会社を守るための制度を導入しつつあります。その1つが電力会社の送電線使用料を高めに設定するやり方です。昨年の暮れに経産省の中にある
「電力取引監視等委員会」で託送料(送電線使用料)が決められたのですが、その料金が予想どうりの高額に設定されていたのです。東京電力で託送料が8.57円という額に決まりました。24円の小売価格で送電線使用料が1kwh当たり8.57円といえば、小売価格の35.7%が電線使用料に取られてしまうことになるのです。これじゃあ商売あがったりです。東電と同じ価格で電力を販売しようと考えたA電力会社は最初から東電に1kwh8.57円を取られてしまうのですから、実質24円で販売する電力の正味の価格は15.43円にしかなりません。そこで電力の発電コストを引かなければなりませんね。それが15円だとしたらもうけは1kwhあたり0.4円にしかならないのです。もし、東電よりもキロワット当たり1円でも安くするものなら、0.6円の赤字しなってしまうのです。10年以上前から電事連の幹部はこう話していました。「電力完全自由化になれば託送料は高圧3.5円で低圧も3.5円で、合計で7円もらわなければ電力会社はやっていけない」と言っていたのです。当時の電気料金は21円から22円でしたから、現在よりも1割から2割安かったので、8円以上という価格は当時の発想そのままに1円も割り引くことなく、電力会社の言い分をそっくり国は反映して新規参入の企業いじめを行っているなと、私は思います。
つまり、電力会社は仕事をしなくても送電線を持っているだけで、ガッポガッポと懐にもうけが転がり込んでくるという殿様商売が待っているのです。しかし、そうは問屋が卸しません。アメリカでは電気料金に占める託送料は10%未満だそうです。それがなぜ日本では30%以上も託送料が必要なのでしょうか。このように必要以上に電力会社を手厚く守ることが国内企業の国際競争力を下げて輸出力をなくす大きな要因となるのではないでしょうか。
東京ガスや大阪ガスを応援しよう
東京ガスはすでに電力の新規購入者の受付を始めました。最初は赤字覚悟の取り組みだと思います。なぜなら、東京ガスが東電よりもほんの少しだけ割安の価格を提示すればすかざす東電も対抗値下げを行う可能性があります。つまり値下げ競争が起きるのです。東電もなりふり構わず値下げを行ってくるかもしれませんね。その競争にジワジワと効いてくるのが託送料というブラックボックスの威力です。東京ガスなどの新規企業はこの託送料を安くする手段を持っていないからです。東電などの電力会社は電力販売で利益が出なくても最後は託送料でもうかればいいのですから、自分の会社は赤字でも、その赤字分を託送料でもうけるなんてこともやるかもしれないのです。それほど既存の電力会社は反社会的な犯罪企業だということを皆さん肝に銘じていてください。「原子力マフィア」がどんな汚い手を使うかもしれないのです。
不当な託送料の高額化に異議を唱える運動を全国で巻き起こしましょう。
そして東京ガスや大阪ガスなどの新規電力会社の電気の購入で彼らを応援しよう。
やはり託送料を8.57円(東電)にして新規参入を閉め出そうとする政府官僚
小坂正則
ここから東京ガスのHPに入れます。
https://youtu.be/DRSDQy3ykig
私たちは携帯電話を買うときにドコモにするか、それともAUかソフトバンクと自由に選んで買えるのに、なぜか電気だけは自由に選んで買うことができませんでしたね。実は一般家庭で自由に電気を選ぶことのできない国は「経済協力開発機構」略称OECD加盟34カ国中で日本だけだったのです。そういえば昔は電話と言えばNTTだけしか使えませんでしたよね。今では固定電話もKDDIなどいろいろ選べます。日本は社会主義国家でもないのに、なぜか電気だけは一方的に決められた電力会社から買しかなかったのです。先進各国では自由に電力会社を選べるのになぜ日本だけは電気を自由に選べないのでしょうか。
戦争を遂行するために電力会社を一本化
戦前は各地に電力会社が乱立していました。東京では2社の大手電力会社があって、道路に平行してそれぞれ別々の会社の電柱が立っていたそうです。しかし、1937年に日中戦争へ突入して電力供給が不足するようになる中、1939年に国家総力戦体制を構築しようとする当時の日本政府の電力国家管理政策に基づき、東京電燈・日本電力など全国の電力会社を統合して「日本発送電(株)」が設立したのです。戦争遂行するためには競争を排除して効率よく電力を供給させるために取った政策です。そして、戦争が終わった後も全国一体の制度は残っていましたが、独占解体のために1951年に地域独占のまま9つの現行の電力会社に分割されて今日に至ったのです。ですから、今日の地域独占の電力会社も日本が第二次世界戦争を起こしたがためにできた会社なのですから、これも戦争による負の遺産なのかもしれませんね。
77年前に失った自由がやっと戻ってくる
電力会社の歴史がそんな戦争に翻弄されて生まれたものですが、今年の4月から77年ぶりにこの国の電力売買も自由化されるのです。私たち日本人に取って電力自由化とは初めてやって来た自由化などではなく、77年ぶりに戻ってくる自由なのです。
ではどんなにすれば電気を自由に買えるのでしょうか。東京ガスはすでにホームページで電力購入の申し込みを受け付けています。それによると東京ガスを購入している家庭で東京ガスから電気も購入する平均的な一般家庭では東京電力に比べて年間4千円から5千円の割引になるそうです。既存の電力会社よりも安くならなければ電力会社をわざわざ乗り換える方は少ないでしょうから無理してでも割安なメニューをこれから各社は出してくることでしょう。
九州の私たちは残念ながら大手の新電力会社はまだ受付を開始していません。でも全国で4月までにはそれぞれのメニューが発表されるでしょう。私たちもやっと原発なしの電気をほしいという願いが叶うかもしれないのです。原発を遮二無二動かしたい電力会社は動かせばいいでしょう。でもそんな会社の電気は買いませんという賢い消費者にそっぽを向かれた会社は電力自由化の新たな制度の中では生き残って行けいことでしょう。一昨年ブラック企業で有名になったワタミという居酒屋チェーンは赤字転落してしまいました。自由主義社会のこの国では消費者をバカにした企業は生き残れないのです。
じゃあ新電力の電気は安くてクリーンな電気を私たちに売ってくれるの
そんなに簡単に私たちの夢が叶うわけにはいかないでしょうね。だって電力自由化を行うのは政府で、原発を既存の電力会社に押しつけているのも政府ですから、政府の本音としては「何とか原発だけは温存したい」と思っているからです。
電力会社は日本を代表するような超大手の企業です。それに電力会社は日本の経済を牽引する設備投資を積極的に行って、景気を引っ張てくれる企業なのですから、そんな企業を政府がみすみす潰すような真似は決してしないでしょう。
つまり、これから始まる電力自由化は始まったばかりで、まだ大筋が決まっただけで、これから新電力と既存の電力会社の駆け引きや競争で大きく変化する可能性があるということでしょう。ただ言えることは、「政府は既存の電力会社を守ろうとするし、私たちは新電力を応援して守り育てる」ことが必要だということでしょう。これからは既存対新規産業との攻防戦が始まるのです。その攻防戦に私たちも参加して、不当な圧力や横暴をはねのけて公明正大な市場競争社会を実現させましょう。
例えば、政府の考えている電力自由化とはこんなことだろうと思います。大手の電力会社の持っている原発の電力が余ってしまえば、国がその面倒を見なければならなくなるので、「新電力会社は大手の経営を圧迫しない程度のシェアで、それ以上には伸びないようにしてほしい」と思っている節があります。そして電力自由化による競争で新たな市場が開拓されて電力需要が伸びることにより経済成長が起こることを望んでいるのでしょう。
でも、私は全く逆の考えです。激しい競争で電気料金の値下げ合戦となり、そのためにいかにして電力コストを下げるかが求められるようになるのです。これまで様々な理由を付けて原発のコストをごまかして来た既存の電力会社も、もうこれ以上はごまかしきれなくなって、高コストの原発から撤退を余儀なくされるか、会社が倒産するかの選択を迫られる時代が来ることが望まれるのです。
政府は送電線使用料を高めに設定して電力市場参入を妨害
しかし、すでに国は既存の電力会社を守るための制度を導入しつつあります。その1つが電力会社の送電線使用料を高めに設定するやり方です。昨年の暮れに経産省の中にある
「電力取引監視等委員会」で託送料(送電線使用料)が決められたのですが、その料金が予想どうりの高額に設定されていたのです。東京電力で託送料が8.57円という額に決まりました。24円の小売価格で送電線使用料が1kwh当たり8.57円といえば、小売価格の35.7%が電線使用料に取られてしまうことになるのです。これじゃあ商売あがったりです。東電と同じ価格で電力を販売しようと考えたA電力会社は最初から東電に1kwh8.57円を取られてしまうのですから、実質24円で販売する電力の正味の価格は15.43円にしかなりません。そこで電力の発電コストを引かなければなりませんね。それが15円だとしたらもうけは1kwhあたり0.4円にしかならないのです。もし、東電よりもキロワット当たり1円でも安くするものなら、0.6円の赤字しなってしまうのです。10年以上前から電事連の幹部はこう話していました。「電力完全自由化になれば託送料は高圧3.5円で低圧も3.5円で、合計で7円もらわなければ電力会社はやっていけない」と言っていたのです。当時の電気料金は21円から22円でしたから、現在よりも1割から2割安かったので、8円以上という価格は当時の発想そのままに1円も割り引くことなく、電力会社の言い分をそっくり国は反映して新規参入の企業いじめを行っているなと、私は思います。
つまり、電力会社は仕事をしなくても送電線を持っているだけで、ガッポガッポと懐にもうけが転がり込んでくるという殿様商売が待っているのです。しかし、そうは問屋が卸しません。アメリカでは電気料金に占める託送料は10%未満だそうです。それがなぜ日本では30%以上も託送料が必要なのでしょうか。このように必要以上に電力会社を手厚く守ることが国内企業の国際競争力を下げて輸出力をなくす大きな要因となるのではないでしょうか。
東京ガスや大阪ガスを応援しよう
東京ガスはすでに電力の新規購入者の受付を始めました。最初は赤字覚悟の取り組みだと思います。なぜなら、東京ガスが東電よりもほんの少しだけ割安の価格を提示すればすかざす東電も対抗値下げを行う可能性があります。つまり値下げ競争が起きるのです。東電もなりふり構わず値下げを行ってくるかもしれませんね。その競争にジワジワと効いてくるのが託送料というブラックボックスの威力です。東京ガスなどの新規企業はこの託送料を安くする手段を持っていないからです。東電などの電力会社は電力販売で利益が出なくても最後は託送料でもうかればいいのですから、自分の会社は赤字でも、その赤字分を託送料でもうけるなんてこともやるかもしれないのです。それほど既存の電力会社は反社会的な犯罪企業だということを皆さん肝に銘じていてください。「原子力マフィア」がどんな汚い手を使うかもしれないのです。
不当な託送料の高額化に異議を唱える運動を全国で巻き起こしましょう。
そして東京ガスや大阪ガスなどの新規電力会社の電気の購入で彼らを応援しよう。
by nonukes
| 2016-01-06 01:22
| 電力自由化
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