2015年 04月 10日
これほど個別具体的に報道番組の内容に介入した自民党を批判できないマスコミ
これほど個別具体的に報道番組の内容に介入した自民党を批判できないマスコミ
小坂正則
安倍首相のための「表現の自由」
日本国憲法第二十一条には「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない」とあります。これは憲法の保障する基本的人権の1つです。
安倍首相は3月3日の衆院予算委員会で「私の考えを述べるのは言論の自由」と発言したことは皆さんご記憶あるでしょう。それは、昨年11月18日にTBS「NEWS23」に出演した安倍首相が番組の街頭インタビューで5人中4人が「僕は全然アベノミクスの恩恵受けていない」と言ったことに対して、首相はこう反論したのです。「事実6割の企業が賃上げしている。全然声が反映されてませんが、おかしいじゃないですか。これは問題だ」と。その発言に対して予算委員会の場で「これは報道の自由への介入ではないか」という質問に対して、安倍首相は上のような反論をしたものです。
確かに番組に出演しているゲストがコメントをいうのは自由です。しかし、国家の最高権力者には「国民の言論の自由を守る立場」と、「最高権力者による権力行使の自制」という立場があることを理解しなければならないのです。これが野党時の安倍晋三であれば何と言ってもいいでしょう。もし、あの場で批判するなら「あなた方の街の声の意見はそうであっても、アベノミクスで潤っている方が私は儲かっていますという方は少ないでしょう。知ってる方が番組を見たら嫌みに聞こえるからです」くらいのやんわりとしたコメントならまだしも「これは問題だ」と言った時点で国家権力の介入になるのです。古賀茂明氏が安倍政権を批判する表現の自由やテレ朝による報道の自由と官邸や安倍晋三が行う批判は「表現の自由」と同じ次元では片づけかれないのです。だから、3月12日の予算委員会で民主党の細野豪志政調会長が「国民が権力者を批判できるようになったのが近代立憲主義で、「人権のこれまでの戦い」だと主張して、番組内容にクレームをつけることを「言論の自由」だと主張することは「人権そのものに対する大変な侵害」だと批判したのです。「あなたは近代立憲主義が分かっていない」と明確に言い当てていました。安倍晋三氏は「私は憲法学者ではない」と以前言ってましたが、中学校で日本国憲法を教えてもらわなかったのでしょうか。その程度のレベルの問題ですよ。
こんなミエミエな介入をしていて、介入ではないとうそぶく官邸
自民党は昨年の暮れの総選挙前の11月20日に在京テレビ局各社に選挙報道の公平中立などを求める要請書を渡していましたが、それとは別に以下のような要請書をテレ朝へ送っていたのです。(以下は毎日新聞4月10日記事です)
要請書は衆院解散後の昨年11月26日、自民党衆院議員の福井照報道局長名で出された。同月24日放送の「報道ステーション」について「アベノミクスの効果が、大企業や富裕層のみに及び、それ以外の国民には及んでいないかのごとく、特定の富裕層のライフスタイルを強調して紹介する内容」だと批判。「意見が対立している問題は、できるだけ多くの角度から論点を明らかにしなければならないとされている放送法4条4号の規定に照らし、特殊な事例をいたずらに強調した編集及び解説は十分な意を尽くしているとは言えない」として「公平中立な番組作成に取り組むよう、特段の配慮を」求めている。(ここまで引用)
これほど露骨な報道介入を行っていたことに対して、これまでテレ朝は何事もなかったかのように沈黙していたのです。この介入は放送法4条4号を盾にして、「放送免許」という「伝家の宝刀」をチラつかせて脅迫する、正に「国家権力による直接介入」意外の何ものでもないでしょう。発言内容はこうです。「アベノミクスの効果が、大企業や富裕層のみには及んでいても、それ以外の国民にはその恩恵はまだまだ及んでいないように思えます」と言った解説だったようです。その解説を「放送法第4条4号」違反と批判することが通れば、これからはアナウンサーやコメンテーターの発言原稿をいちいち官邸に事前に見てもらってチェックを受けなければ番組を作ることが出来なくなるではないですか。
こんなことやっている国は北朝鮮くらいでしょうし、「放送法4条4号」とは「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」(条文)は「出来るだけ」とあるように、具体的なことにを規定しているものではなく、「様々な意見を盛り込むように努力しなさい」という努力義務として「精神的な意味での心得」を言っているのです。小学校の校長が「皆さん仲良くしましょう」や「しっかり勉強しましょう」と言うようなものです。
それよりも安倍晋三には放送法第三条(放送番組編集の自由)「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない」というこっちの方に、「明らかに官邸は違反していることを自覚しなさい」と、言っても無理でしょうけどね。憲法学んでいないそうですから。
個別具体的な権力の介入の事実が判明しても、なぜかマスコミは静かだ
しかし、マスコミは何と静かなのでしょうか。当該のテレ朝が静かなのは仕方ありません。古賀茂明氏を切り捨てて、安倍晋三に白旗を揚げてしまったのですから、反論の余地などないでしょう。しかし、今朝の毎日新聞は23面の下の端っこに申し訳程度の記事でした。残念ながら朝日には見あたりません。この記事が書かれたのは、月刊文芸春秋に上杉隆氏が書いた記事を元に毎日は後追記事を書いたようです。このような記事は1面トップに書くべき重要な内容の記事なのです。
上杉隆の番組で語られていますが国境なき記者団による「世界の報道自由度ランキング」は何と世界53位だそうです。「2001年には180カ国中、26位が、民主党政権時代の2010年に11位まで順位を上げたが、その後は年々、下げた。東日本大震災と福島原発事故があった後の2012年、一連の情報隠しが批判や特定秘密保護法などにより、一挙に61位まで順位を落とした。韓国よりも下位」だそうです。ガイアナやドミニカ共和国と肩を並べているそうですから、それほど日本の報道は世界から信用されていないのです。イタリアの次に先進国最低から2番目です。このままでは中国176位、北朝鮮179位にも負けてしまうかもしれません。報道の自由度は言論の自由度と同じです。私たち日本に住んでいると「日本は割と自由だ」と思っているかもしれませんが、世界は決してそうではないようです。先進国最低から2番目の自由度なのです。自由報道協会の参加の記者の皆さん頑張って、既存マスコミがおとなしいなら報道の自由のためにみなさんが頑張って闘ってください。そして私たちも闘うメディアやジャーナリストを応援しよう。
上杉隆氏の番組は毎日16時から放送さえています
https://no-border.co.jp/oped/
https://www.facebook.com/video.php?v=863363223729401&pnref=story
ここから上杉隆氏の番組を見ることが出来ます
<テレビ朝日>衆院選前、自民が中立要請 アベノミクスで
毎日新聞2015年4月10日
テレビ朝日の「報道ステーション」でアベノミクスを取り上げた報道に対し、自民党が「特殊な事例をいたずらに強調した」と批判し、「公平中立な」番組作りを要請していたことが分かった。自民党は要請を認め「圧力はなかった」と説明するが、編集権への介入との指摘も出ている。
要請書は衆院解散後の昨年11月26日、自民党衆院議員の福井照報道局長名で出された。同月24日放送の「報道ステーション」について「アベノミクスの効果が、大企業や富裕層のみに及び、それ以外の国民には及んでいないかのごとく、特定の富裕層のライフスタイルを強調して紹介する内容」だと批判。「意見が対立している問題は、できるだけ多くの角度から論点を明らかにしなければならないとされている放送法4条4号の規定に照らし、特殊な事例をいたずらに強調した編集及び解説は十分な意を尽くしているとは言えない」として「公平中立な番組作成に取り組むよう、特段の配慮を」求めている。
◇自民「圧力」否定
自民党は同月20日にも、在京テレビ局各社に選挙報道の公平中立などを求める要請書を渡していた。自民党報道局は毎日新聞の取材に「(要請書を)送ったことは間違いない」と認めたうえで「報道に対する圧力ではないかと言われるが、文面を見ればそういうものではないと理解してもらえると思う」と話した。
テレビ朝日広報部は「文書を受領したことは事実。番組では日ごろから公平公正を旨としており、特定の個人・団体からの意見に左右されることはありません」とコメントした。【青島顕、須藤唯哉】
小坂正則
安倍首相のための「表現の自由」
日本国憲法第二十一条には「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない」とあります。これは憲法の保障する基本的人権の1つです。
安倍首相は3月3日の衆院予算委員会で「私の考えを述べるのは言論の自由」と発言したことは皆さんご記憶あるでしょう。それは、昨年11月18日にTBS「NEWS23」に出演した安倍首相が番組の街頭インタビューで5人中4人が「僕は全然アベノミクスの恩恵受けていない」と言ったことに対して、首相はこう反論したのです。「事実6割の企業が賃上げしている。全然声が反映されてませんが、おかしいじゃないですか。これは問題だ」と。その発言に対して予算委員会の場で「これは報道の自由への介入ではないか」という質問に対して、安倍首相は上のような反論をしたものです。
確かに番組に出演しているゲストがコメントをいうのは自由です。しかし、国家の最高権力者には「国民の言論の自由を守る立場」と、「最高権力者による権力行使の自制」という立場があることを理解しなければならないのです。これが野党時の安倍晋三であれば何と言ってもいいでしょう。もし、あの場で批判するなら「あなた方の街の声の意見はそうであっても、アベノミクスで潤っている方が私は儲かっていますという方は少ないでしょう。知ってる方が番組を見たら嫌みに聞こえるからです」くらいのやんわりとしたコメントならまだしも「これは問題だ」と言った時点で国家権力の介入になるのです。古賀茂明氏が安倍政権を批判する表現の自由やテレ朝による報道の自由と官邸や安倍晋三が行う批判は「表現の自由」と同じ次元では片づけかれないのです。だから、3月12日の予算委員会で民主党の細野豪志政調会長が「国民が権力者を批判できるようになったのが近代立憲主義で、「人権のこれまでの戦い」だと主張して、番組内容にクレームをつけることを「言論の自由」だと主張することは「人権そのものに対する大変な侵害」だと批判したのです。「あなたは近代立憲主義が分かっていない」と明確に言い当てていました。安倍晋三氏は「私は憲法学者ではない」と以前言ってましたが、中学校で日本国憲法を教えてもらわなかったのでしょうか。その程度のレベルの問題ですよ。
こんなミエミエな介入をしていて、介入ではないとうそぶく官邸
自民党は昨年の暮れの総選挙前の11月20日に在京テレビ局各社に選挙報道の公平中立などを求める要請書を渡していましたが、それとは別に以下のような要請書をテレ朝へ送っていたのです。(以下は毎日新聞4月10日記事です)
要請書は衆院解散後の昨年11月26日、自民党衆院議員の福井照報道局長名で出された。同月24日放送の「報道ステーション」について「アベノミクスの効果が、大企業や富裕層のみに及び、それ以外の国民には及んでいないかのごとく、特定の富裕層のライフスタイルを強調して紹介する内容」だと批判。「意見が対立している問題は、できるだけ多くの角度から論点を明らかにしなければならないとされている放送法4条4号の規定に照らし、特殊な事例をいたずらに強調した編集及び解説は十分な意を尽くしているとは言えない」として「公平中立な番組作成に取り組むよう、特段の配慮を」求めている。(ここまで引用)
これほど露骨な報道介入を行っていたことに対して、これまでテレ朝は何事もなかったかのように沈黙していたのです。この介入は放送法4条4号を盾にして、「放送免許」という「伝家の宝刀」をチラつかせて脅迫する、正に「国家権力による直接介入」意外の何ものでもないでしょう。発言内容はこうです。「アベノミクスの効果が、大企業や富裕層のみには及んでいても、それ以外の国民にはその恩恵はまだまだ及んでいないように思えます」と言った解説だったようです。その解説を「放送法第4条4号」違反と批判することが通れば、これからはアナウンサーやコメンテーターの発言原稿をいちいち官邸に事前に見てもらってチェックを受けなければ番組を作ることが出来なくなるではないですか。
こんなことやっている国は北朝鮮くらいでしょうし、「放送法4条4号」とは「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」(条文)は「出来るだけ」とあるように、具体的なことにを規定しているものではなく、「様々な意見を盛り込むように努力しなさい」という努力義務として「精神的な意味での心得」を言っているのです。小学校の校長が「皆さん仲良くしましょう」や「しっかり勉強しましょう」と言うようなものです。
それよりも安倍晋三には放送法第三条(放送番組編集の自由)「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない」というこっちの方に、「明らかに官邸は違反していることを自覚しなさい」と、言っても無理でしょうけどね。憲法学んでいないそうですから。
個別具体的な権力の介入の事実が判明しても、なぜかマスコミは静かだ
しかし、マスコミは何と静かなのでしょうか。当該のテレ朝が静かなのは仕方ありません。古賀茂明氏を切り捨てて、安倍晋三に白旗を揚げてしまったのですから、反論の余地などないでしょう。しかし、今朝の毎日新聞は23面の下の端っこに申し訳程度の記事でした。残念ながら朝日には見あたりません。この記事が書かれたのは、月刊文芸春秋に上杉隆氏が書いた記事を元に毎日は後追記事を書いたようです。このような記事は1面トップに書くべき重要な内容の記事なのです。
上杉隆の番組で語られていますが国境なき記者団による「世界の報道自由度ランキング」は何と世界53位だそうです。「2001年には180カ国中、26位が、民主党政権時代の2010年に11位まで順位を上げたが、その後は年々、下げた。東日本大震災と福島原発事故があった後の2012年、一連の情報隠しが批判や特定秘密保護法などにより、一挙に61位まで順位を落とした。韓国よりも下位」だそうです。ガイアナやドミニカ共和国と肩を並べているそうですから、それほど日本の報道は世界から信用されていないのです。イタリアの次に先進国最低から2番目です。このままでは中国176位、北朝鮮179位にも負けてしまうかもしれません。報道の自由度は言論の自由度と同じです。私たち日本に住んでいると「日本は割と自由だ」と思っているかもしれませんが、世界は決してそうではないようです。先進国最低から2番目の自由度なのです。自由報道協会の参加の記者の皆さん頑張って、既存マスコミがおとなしいなら報道の自由のためにみなさんが頑張って闘ってください。そして私たちも闘うメディアやジャーナリストを応援しよう。
上杉隆氏の番組は毎日16時から放送さえています
https://no-border.co.jp/oped/
https://www.facebook.com/video.php?v=863363223729401&pnref=story
ここから上杉隆氏の番組を見ることが出来ます
<テレビ朝日>衆院選前、自民が中立要請 アベノミクスで
毎日新聞2015年4月10日
テレビ朝日の「報道ステーション」でアベノミクスを取り上げた報道に対し、自民党が「特殊な事例をいたずらに強調した」と批判し、「公平中立な」番組作りを要請していたことが分かった。自民党は要請を認め「圧力はなかった」と説明するが、編集権への介入との指摘も出ている。
要請書は衆院解散後の昨年11月26日、自民党衆院議員の福井照報道局長名で出された。同月24日放送の「報道ステーション」について「アベノミクスの効果が、大企業や富裕層のみに及び、それ以外の国民には及んでいないかのごとく、特定の富裕層のライフスタイルを強調して紹介する内容」だと批判。「意見が対立している問題は、できるだけ多くの角度から論点を明らかにしなければならないとされている放送法4条4号の規定に照らし、特殊な事例をいたずらに強調した編集及び解説は十分な意を尽くしているとは言えない」として「公平中立な番組作成に取り組むよう、特段の配慮を」求めている。
◇自民「圧力」否定
自民党は同月20日にも、在京テレビ局各社に選挙報道の公平中立などを求める要請書を渡していた。自民党報道局は毎日新聞の取材に「(要請書を)送ったことは間違いない」と認めたうえで「報道に対する圧力ではないかと言われるが、文面を見ればそういうものではないと理解してもらえると思う」と話した。
テレビ朝日広報部は「文書を受領したことは事実。番組では日ごろから公平公正を旨としており、特定の個人・団体からの意見に左右されることはありません」とコメントした。【青島顕、須藤唯哉】
by nonukes
| 2015-04-10 12:26
| 小坂農園 薪ストーブ物語
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