2015年 01月 15日
電力自由化で新エネ電力を買う人から原発廃炉費用を徴収する?
電力自由化で新エネ電力を買う人から原発廃炉費用を徴収する?
小坂正則
これまで国も電力会社も「原発の電気は一番安い」と言ってきた。「一番安いから原発を進める」として、この地震列島に50基以上も作り続けてきた。しかし、私たち消費者は、電力会社が安いといっても、それが本当かどうかの真実はなかなか分からない。安いか高いかは実際には競争のない地域独占の電力事業だから、「原発は安い」というウソがまかり通っていた。
いや、ちょっと違うかもしれない。「原発は発電コストは高いが一番儲かる」が本音だったのだ。電力会社は発電コストが高いか安いかなど、二の次で、一番利益を上げられる発電をやって、とにかく儲けたかったんだ。だから電力会社は「原発は一番儲かる」から進めるというのが真実だったのだ。
しかし、2016年から「電力自由化」が始まるというので、電力会社は慌てふためいている。まず、電気事業連合会の会長の八木関電社長はちょうど今から2年前の13年2月16日「設備投資が巨大で長期に渡って投資を回収しなければならない原発は電力自由化では国の支援がなければ原発の建設は不可能」と本音を言った。
自由化になれば、これまで儲かる仕組みだった「総括原価方式」が廃止されて、自由競争で自動車や冷蔵庫や携帯電話を売るように、1円でも安く機能のいいところのものしか売れなくなる。しかし、電気は見た目には見えないし、携帯のように違いが何もない。あるのは価格と、何で作っているかの違いだけだ。いうなれば、企業イメージによって売れるか売れないかが決まる可能性がある。「少々高くても再エネ電力の方がほしい」という顧客も必ずいるだろう。
だから、完全自由化になれば既存のダーティーなイメージの電力会社は間違いなく販売量が大幅に落ちるだろう。しかも、これまで儲かるからと、コストの高い原発に利益を上乗せして売るにはガスや石炭火力に比べたら割高になることは分かり切っている。
電力自由化を骨抜きにする攻撃が始まっている
まずその第一段は「会計ルールの見直し」だ。これまでは発電所を廃炉にすれば、資産価値はゼロになるのは当たり前で、1基あたり約210億円の資産が失われることになる。そこで、資産を10年間でゼロにするように会計処理できるようにするというが、わずか210億円くらいで債務超過になるのだろうか。
そしてこれが一番のくせ者なのだが、電力自由化で売り買いされる電力の全てに一定の金額を上乗せして、その金を廃炉の会社に与えるというのだ。つまり、私は再エネ電力会社と契約して電気を買ってるのに、原発の廃炉負担金を支払わなければならないというのだ。そんなバカなことがあろうか。それじゃあ「電力自由化」した意味がないではないか。自由化なのだから、原発の廃炉費用は原発を持ってる会社が支払うのは当たり前だし、廃炉費用を電気料金に上乗せして、そこの会社の電気を売ればいいではないか。それが自由主義の国のルールだし、市場主義のルールだ。日本はいつから社会主義になったんだ。
しかし、それだけでは終わらない。今度は「新規原発の建設を進めるために、そのコストを全消費者で負担しよう」というルールも電力自由化の中に入れ込むというのだ。
つまるところ、安倍政権は自由化を骨抜きにして「原発を基幹エネルギーとして未来永劫に使いたい」とうのが本音なのだろう。だったら、自由化など言わなければいいが、ここは規制緩和やOEC加盟34カ国で日本とメキシコしか自由化してないという批判をかわすために見せかけの自由化で茶を濁そうとしているとしか、私には見えない。
「電力会社も自由化になれば、発電部門なんか利益を生む商売じゃないから送電部門を持って、発電部門は売り払ってもいい」が本音なのだろう。だから、何としても送電部門を子会社化してそこから利益を生み出そうと狙っているのだ。
これから電力自由化が実現するまで、様々な駆け引きや裏工作が行われるだろうが、公明正大なルールの元での市場取引と消費者が自分の好きな電力会社の電気を自由に買うことができる社会になってほしい。もし、日本の既存の電力会社に自由化や再エネ電力の大幅な導入が無理なら、ドイツやスペインの電力会社に来てもらったて電力事業をやってもらおう。彼らEUの電力自由化の中で鍛えられた会社は素晴らしい実績がある。私たち消費者が声を上げ続けなければ姑息な官僚と電力会社によってまんまと、とんでもない方向に電力自由化はねじ曲げられるだろう。
小坂正則
これまで国も電力会社も「原発の電気は一番安い」と言ってきた。「一番安いから原発を進める」として、この地震列島に50基以上も作り続けてきた。しかし、私たち消費者は、電力会社が安いといっても、それが本当かどうかの真実はなかなか分からない。安いか高いかは実際には競争のない地域独占の電力事業だから、「原発は安い」というウソがまかり通っていた。
いや、ちょっと違うかもしれない。「原発は発電コストは高いが一番儲かる」が本音だったのだ。電力会社は発電コストが高いか安いかなど、二の次で、一番利益を上げられる発電をやって、とにかく儲けたかったんだ。だから電力会社は「原発は一番儲かる」から進めるというのが真実だったのだ。
しかし、2016年から「電力自由化」が始まるというので、電力会社は慌てふためいている。まず、電気事業連合会の会長の八木関電社長はちょうど今から2年前の13年2月16日「設備投資が巨大で長期に渡って投資を回収しなければならない原発は電力自由化では国の支援がなければ原発の建設は不可能」と本音を言った。
自由化になれば、これまで儲かる仕組みだった「総括原価方式」が廃止されて、自由競争で自動車や冷蔵庫や携帯電話を売るように、1円でも安く機能のいいところのものしか売れなくなる。しかし、電気は見た目には見えないし、携帯のように違いが何もない。あるのは価格と、何で作っているかの違いだけだ。いうなれば、企業イメージによって売れるか売れないかが決まる可能性がある。「少々高くても再エネ電力の方がほしい」という顧客も必ずいるだろう。
だから、完全自由化になれば既存のダーティーなイメージの電力会社は間違いなく販売量が大幅に落ちるだろう。しかも、これまで儲かるからと、コストの高い原発に利益を上乗せして売るにはガスや石炭火力に比べたら割高になることは分かり切っている。
電力自由化を骨抜きにする攻撃が始まっている
まずその第一段は「会計ルールの見直し」だ。これまでは発電所を廃炉にすれば、資産価値はゼロになるのは当たり前で、1基あたり約210億円の資産が失われることになる。そこで、資産を10年間でゼロにするように会計処理できるようにするというが、わずか210億円くらいで債務超過になるのだろうか。
そしてこれが一番のくせ者なのだが、電力自由化で売り買いされる電力の全てに一定の金額を上乗せして、その金を廃炉の会社に与えるというのだ。つまり、私は再エネ電力会社と契約して電気を買ってるのに、原発の廃炉負担金を支払わなければならないというのだ。そんなバカなことがあろうか。それじゃあ「電力自由化」した意味がないではないか。自由化なのだから、原発の廃炉費用は原発を持ってる会社が支払うのは当たり前だし、廃炉費用を電気料金に上乗せして、そこの会社の電気を売ればいいではないか。それが自由主義の国のルールだし、市場主義のルールだ。日本はいつから社会主義になったんだ。
しかし、それだけでは終わらない。今度は「新規原発の建設を進めるために、そのコストを全消費者で負担しよう」というルールも電力自由化の中に入れ込むというのだ。
つまるところ、安倍政権は自由化を骨抜きにして「原発を基幹エネルギーとして未来永劫に使いたい」とうのが本音なのだろう。だったら、自由化など言わなければいいが、ここは規制緩和やOEC加盟34カ国で日本とメキシコしか自由化してないという批判をかわすために見せかけの自由化で茶を濁そうとしているとしか、私には見えない。
「電力会社も自由化になれば、発電部門なんか利益を生む商売じゃないから送電部門を持って、発電部門は売り払ってもいい」が本音なのだろう。だから、何としても送電部門を子会社化してそこから利益を生み出そうと狙っているのだ。
これから電力自由化が実現するまで、様々な駆け引きや裏工作が行われるだろうが、公明正大なルールの元での市場取引と消費者が自分の好きな電力会社の電気を自由に買うことができる社会になってほしい。もし、日本の既存の電力会社に自由化や再エネ電力の大幅な導入が無理なら、ドイツやスペインの電力会社に来てもらったて電力事業をやってもらおう。彼らEUの電力自由化の中で鍛えられた会社は素晴らしい実績がある。私たち消費者が声を上げ続けなければ姑息な官僚と電力会社によってまんまと、とんでもない方向に電力自由化はねじ曲げられるだろう。
by nonukes
| 2015-01-15 13:27
| 電力自由化
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