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小坂正則の個人ブログ

「東電福島原発事故」で津波が来ることを東電も保安院も知っていたのに誰も罪に問われない?

「東電福島原発事故」で津波が来ることを東電も保安院も知っていたのに誰も罪に問われない?そんなバカなことがあるか!
小坂正則
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「東電福島原発事故」で津波が来ることを東電も保安院も知っていたのに誰も罪に問われない?_d0174710_15313179.jpg

まずは昨日12月26日の中日新聞の記事から。「東京地検は東電幹部を再び不起訴へ」という記事がありました。記事によると「東京電力福島第一原発事故をめぐり、検察審査会の「起訴すべき(起訴相当)」との議決を受けて、東電の勝俣恒久元会長(74)ら旧経営陣3人を業務上過失致死傷容疑で再捜査している東京地検が、3人を再び不起訴とする方針を固めた。大規模津波の試算を把握していた旧経営陣が津波対策を取らなかったことについて、刑事責任を問うのは困難と判断した」。
検察審査会の議論では「捜査の最大の焦点は、2008年に東電が高さ15.7メートルの津波の試算を得た後、防潮堤の建設や非常用発電機の高台設置など対策を取らなかったことの是非。検審は「原発は1度、事故が起きると甚大な被害をもたらす。原発事業者にはより高度な注意義務があり、想定外の事態を前提に対策を取るべきだった」と指摘。
地検はあらためて地震や津波などの専門家から意見を聞き、旧経営陣ら関係者を聴取。市民グループ側は「15.7メートルの津波試算を得た後、対策を取っていれば深刻な事故は防げた」と主張してきたが、地検は今回の津波を予測し、事故を回避するのは困難だったと結論づけた」。(ここまで引用)
しかし、検察庁が再度不起訴処分をしても、新たな検察審査会が再度「起訴相当」という判断を下した場合は、弁護士が検察に代わって東電社長などを起訴することになるのです。まだ一縷の望みは残っています。

これかもらどんな原発事故が起こっても罪に問われることはない

韓国のフェリー沈没事故の責任を問われた船長は検察の「殺人罪」の求刑に対して、殺人罪は認めず、遺棄致死罪などで懲役36年(求刑死刑)の判決を言い渡したそうです。しかし、日本の検察は東京電力の過失によるレベル7の史上最悪の原発事故を起こして、誰も刑事責任が問われないという、一般市民の感覚では考えられないような判断を検察庁は行ったのです。
2011年8月24日の読売新聞によると、「文部科学省の地震調査研究推進本部が02年7月に三陸沖から房総沖を震源とする地震の発生確率などを公表したのを受け、東電は、08年に明治三陸地震(1896年)規模の地震が、福島県沖で起きたと仮定して、福島第一と第二の両原発に到達する津波の高さを試算した。
その結果、第一原発の取水口付近で高さ8・4~10・2メートルの津波が襲来。津波は陸上に遡上そじょうし、1~4号機で高さ15・7メートル、同5・6号機で高さ13・7メートルに達すると試算した。」のです。(ここまで引用)
しかし、2011年12月26日のNHKニュースによると「この試算結果は平成20年6月、当時、本店で原発の安全対策を担当していた武藤栄前副社長と吉田昌郎前福島第一原発所長に報告されました。また7月には、2人に対して津波を防ぐため新たな防潮堤を建設する場合、数百億円規模の費用とおよそ4年かかることが説明されたということです。
この試算について武藤前副社長と吉田前所長は、根拠が十分でない仮定の試算だとして、実際にはこうした津波は来ないと考え、当面は想定を変えない方針を決めたということです。」(ここまで引用)
つまり、事故の可能性を武藤前副社長と吉田前所長が握りつぶしたのです。
それだけではありません。昨日12月26日の東京新聞によると、「経済産業省原子力安全・保安院は、大津波が襲う可能性を認識しながら、組織内の原発推進圧力の影響で、電力会社にきちんと指導しなかった実態が浮かんだ。保安院の小林勝・耐震安全審査室長の調書によると、2009年ごろから、東日本大震災と同じクラスの貞観(じょうがん)地震(869年)の危険性が保安院内でも問題になっていた。独立行政法人「産業技術総合研究所」の岡村行信活断層・地震研究センター長は、貞観地震が福島第一周辺を襲った痕跡を指摘。自らの調書では「四百~八百年周期で反復していると考えている」と述べた。
岡村氏らの指摘を受け、小林室長らは貞観津波の再来リスクを検討するよう保安院幹部に提案したが、複数の幹部から10年に「あまり関わるとクビになるよ」「その件は原子力安全委員会と手を握っているから、余計なことを言うな」とくぎを刺されたという。」(ここまで引用)つまり、東電のみならず、監督官庁の保安院もが「首になりたくなかったら黙っていろ」と脅されていたというのです。これは日本特有の壮大な無責任体質です。

東電勝俣恒久元会長が罪に問われないなら、この国に正義などない

福島第一原発の津波対策の1つ、ジーゼル発電機室のドアの防水対策の実施を担当者が上司に進言したそうです。しかし、東電幹部は「保安院へ設計変更申請をしなければならない。こっそりやるわけにもいかないじゃないか。そんなことしたらこれまでの不備を反原発派に追求されるからやめとこう」と言って扉の防水工事さえしなかったそうです。彼らの頭の中は「事なかれ主義」と「無責任体質」だけだったのです。こともあろうか反原発派のせいにしてドアの防水対策さえしなかったのです。それに対して、東北電力の女川原発は、当時ジーゼル発電室の防水対策を行っていたので、津波に襲われたにもかかわらず、全電源喪失一歩手前でジーゼル発電機が稼働してメルトダウンを防げたのです。
この差は何なのでしょう。そして、それを二度と繰り返さないことがフクシマを経験した私たち大人の責任なのではないでしょうか。
私は東電勝俣恒久元会長を殺人罪で韓国のように死刑を求刑してほしいと願っているわけではありません。「安全神話」にどっぷり浸かって、取るべき安全対策も取らなかったことによって起こった史上最悪の原発事故。その張本人が刑事責任を問われないのなら原発事故関連死した数千人の人びとや甲状腺ガンにかかって一生ホルモン剤を飲み続けなければならない福島の子どもたちや、いまだに故郷に帰れない何万人もの避難者の皆さんの怒りは収まることはないからです。この国に正義などなくなってしまったかのようです。



津波対策「関わるとクビ」 10年 保安院内部で圧力

2014年12月26日 東京新聞

政府は25日、東京電力福島第一原発事故で政府事故調査・検証委員会が政治家や東電関係者らに聴取した記録(調書)のうち、新たに127人分を公開した。当時の規制機関だった経済産業省原子力安全・保安院は、大津波が襲う可能性を認識しながら、組織内の原発推進圧力の影響で、電力会社にきちんと指導しなかった実態が浮かんだ。 
保安院の小林勝・耐震安全審査室長の調書によると、2009年ごろから、東日本大震災と同じクラスの貞観(じょうがん)地震(869年)の危険性が保安院内でも問題になっていた。独立行政法人「産業技術総合研究所」の岡村行信活断層・地震研究センター長は、貞観地震が福島第一周辺を襲った痕跡を指摘。自らの調書では「四百~八百年周期で反復していると考えている」と述べた。

岡村氏らの指摘を受け、小林室長らは貞観津波の再来リスクを検討するよう保安院幹部に提案したが、複数の幹部から10年に「あまり関わるとクビになるよ」「その件は原子力安全委員会と手を握っているから、余計なことを言うな」とくぎを刺されたという。
当時、国策で使用済み核燃料を再処理した混合酸化物(MOX)燃料の利用が推進されており、保安院の幹部の中には、地震・津波対策より国策の推進を重視する体質があった。
これまでの本紙の取材で、プルサーマル関連のシンポジウムでは賛成派の動員要請などの「やらせ」に加わった。06年には、事故に備えた防災重点区域を検討しようとした原子力安全委員に、院長自らが「寝た子を起こすな」と圧力をかけたことも判明している。
小林室長は、保安院内の雰囲気について「貞観地震に懸念を示す人もいれば、福島第一のプルサーマルを推進したいという東電側の事情に理解を示す人もいた」と打ち明けた。
 電力会社の姿勢について、保安院の山形浩史・原子力安全基準統括管理官は調書で「(電力会社は)ありとあらゆる場面で、嫌だ嫌だというような話だったし、指針の見直しだといった時も、ありとあらゆるところからプレッシャーを受けた」と吐露した。

 一方、東電の地震・津波対策を担当する吉田昌郎(まさお)原子力設備管理部長(後の福島第一所長)らは、10年3月ごろの朝会合で、保安院の担当者から「貞観地震の津波が大きかった」と指摘された。しかし、東電側は具体的な検討を先送りした。 (肩書はいずれも当時)

<政府事故調> 2012年7月に最終報告書をまとめるにあたり、福島第一の吉田昌郎(まさお)所長(故人)や菅直人首相ら計772人を聴取。調書は、承諾が得られた関係者から順次、公開されている。公開は3回目で、計202人分になる。
 今回が最後の公開とみられる。


10m超の津波試算も対策取らず

NHKニュース 2011年12月26日

東京電力は3年前、福島第一原子力発電所で10メートルを超える津波のおそれがあるとする試算をしながら、今回の事故が起きるまで具体的な対策を取っていませんでした。
政府の事故調査・検証委員会が26日に公表した中間報告は、東京電力内部の検討の詳細を明らかにしています。
この試算は、平成20年に東京電力が行ったもので、明治三陸地震と同様の規模の地震が福島県沖で発生したと想定すると、福島第一原発周辺では津波の高さが最大10メートルを超えるとしています。
中間報告によりますと、この試算結果は平成20年6月、当時、本店で原発の安全対策を担当していた武藤栄前副社長と吉田昌郎前福島第一原発所長に報告されました。
また7月には、2人に対して津波を防ぐため新たな防潮堤を建設する場合、数百億円規模の費用とおよそ4年かかることが説明されたということです。
この試算について武藤前副社長と吉田前所長は、根拠が十分でない仮定の試算だとして、実際にはこうした津波は来ないと考え、当面は想定を変えない方針を決めたということです。
また同じ平成20年に東京電力は、平安時代に東北地方沿岸を襲った「貞観津波」を基にした試算で福島第一原発に最大9.2メートルの津波が来るおそれがあるとの結果を得て、社内で検討、調査が行われていました。
これらの試算は原子力安全・保安院にも説明されましたが、津波の想定や具体的な対策の見直しにはつながらなかったということです。
こうした経緯について中間報告は「津波対策を見直す契機があったものの、見過ごされ、結果的に事故を防ぐことができなかった」として「具体的な津波対策を講じておくことが望まれた」と指摘しています。


東電、福島第一で高さ15mの津波予測していた
読売新聞 2011年8月24日

東京電力が、福島第一原子力発電所で、同社の想定を大きく上回る高さ15メートルを超える大津波が遡上そじょうする可能性があると2008年春に試算しながら、津波対策強化に生かしていなかったことが24日、わかった。
これまで東電は、政府の事故調査・検証委員会に対し、高さ10メートル以上の津波の可能性があるとの試算を説明してきたが、15メートル超の遡上高の試算が明らかになるのは初めて。東電は、結果を、東日本大震災4日前の今年3月7日に経済産業省原子力安全・保安院に対し報告していた。

福島第一原発は3月11日の東日本大震災の際、試算結果とほぼ同じ高さ14~15メートルの津波に襲われた。
東電によると、文部科学省の地震調査研究推進本部が02年7月に三陸沖から房総沖を震源とする地震の発生確率などを公表したのを受け、東電は、08年に明治三陸地震(1896年)規模の地震が、福島県沖で起きたと仮定して、福島第一と第二の両原発に到達する津波の高さを試算した。
その結果、第一原発の取水口付近で高さ8・4~10・2メートルの津波が襲来。津波は陸上に遡上そじょうし、1~4号機で高さ15・7メートル、同5・6号機で高さ13・7メートルに達すると試算した。



東電元幹部、再び不起訴へ 福島原発事故で東京地検
中日新聞2014年12月26日

東京電力福島第一原発事故をめぐり、検察審査会の「起訴すべき(起訴相当)」との議決を受けて、東電の勝俣恒久元会長(74)ら旧経営陣3人を業務上過失致死傷容疑で再捜査している東京地検が、3人を再び不起訴とする方針を固めたことが、関係者への取材で分かった。大規模津波の試算を把握していた旧経営陣が津波対策を取らなかったことについて、刑事責任を問うのは困難と判断したもようだ。東京高検など上級庁と協議の上、年明けに最終判断する。
複数の市民グループによる告訴・告発を受けて捜査を始めた地検は昨年9月、旧経営陣3人や事故当時の首相だった菅直人氏ら42人全員を不起訴とした。これに対し、検審は7月に勝俣元会長ら3人を起訴相当と議決し、地検は再捜査している。

関係者によると、捜査の最大の焦点は、2008年に東電が高さ15・7メートルの津波の試算を得た後、防潮堤の建設や非常用発電機の高台設置など対策を取らなかったことの是非。検審は「原発は1度、事故が起きると甚大な被害をもたらす。原発事業者にはより高度な注意義務があり、想定外の事態を前提に対策を取るべきだった」と指摘した。
地検はあらためて地震や津波などの専門家から意見を聞き、旧経営陣ら関係者を聴取。市民グループ側は「15・7メートルの津波試算を得た後、対策を取っていれば深刻な事故は防げた」と主張してきたが、地検は今回の津波を予測し、事故を回避するのは困難だったと結論づけるとみられる。

地検が3人を再び不起訴とした場合、起訴相当と議決した検審とは別のメンバーによる検審が、あらためて審査する。再び起訴相当と議決すれば、3人は強制的に起訴され、公判が開かれる。
福島県民らでつくる福島原発告訴団は25日、最高検と東京地検に申し入れ書を提出。記者会見した武藤類子(るいこ)団長(61)は「原発事故の被害がどれだけひどかったかを理解し、起訴してほしい」と訴えた。
by nonukes | 2014-12-27 15:34 | 福島原発事故 | Comments(0)

  小坂正則

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