2014年 10月 25日
正規雇用と非正規雇用の格差をなくすたたかいを進めよう
正規雇用と非正規雇用の格差をなくすたたかいを進めよう
小坂正則
私は33年間、郵便局の正規職員として働きました。郵便局に入る前には民間企業に何社か勤めたこともあるのですが、35年前はどこでも正規社員でした。ところが、95年ですか小泉内閣によって、派遣社員が製造業にまで拡大されて、今では労働者の三分の一、若者の半分が非正規雇用という状況です。なぜ非正規雇用のパート社員や派遣社員が増えたかというと、正規雇用労働者は簡単に首を切れないので、企業は景気の動向で労働者数を調整するために、派遣社員やパート労働者を増やしてきたのです。またもう1つの理由は、小泉政権時代にバブルがはじけて、失われた10年と言われるような構造的な不況に見舞われて、大企業が大量の新規採用者を採らなくなったことなどが大きな原因です。企業は優秀な人材で、しかも安い労働力がほしいのは当たり前です。ですから、正規雇用の労働者の募集枠を全体で減らして、そこに溢れた若者を安く働かせようとする、この労働コスト削減政策は政府と経団連の連係プレーが見事に成功したのだと私は思います。そんないい例が世界トップ企業ともてはやされている「ユニクロ」や「ディズニーランド」や「コンビニ」「ワタミ」や「すきや」など店長以外はみなパート社員というような、異常な低賃金労働現場が、今では政府が奨励して、当たり前になってしまったのです。
日本の労働者の賃金は本当に世界一高いのか
そして経営者はこういいます。「日本の高度経済成長が終わり、日本の労働賃金が世界一高いので、国際競争力が失われたために、賃金の安い非正規雇用を増やさざるを得なかった」と。はたして本当に日本の労働賃金が世界一高いのでしょうか。
グローバルノートというサイトから引っ張ってきた数字で、昨年度の世界中の労働者の平均賃金を見ると、1位はスイスで9.1万$、2位はノルウェー、3位はルクセンブルグ、4位はオーストラリア、5位はデンマーク、10位は米国で5.5万$、11位はオランダ、 14位イギリス、ドイツ、フランスと続いて、やっと日本が17位で4万$と登場します。日本の下にイタリア、スペイン、イスラエルと続き、21位が韓国で3万$です。
しかし、これは2013年度の円高時の金額です。平均で1$97円くらいだと思います。現在は107円から108円ですから、10%下がっていますので、3.6万$です。すると、イタリアに抜かれて、スペインと同列の賃金なのです。何が世界一高い賃金なのですか。
高いのはほんの一握りの大企業の正規職員だけなのです。なぜなら、2番目のグラフにあるように日本の最低賃金は欧米各国に比べて、最低です。またグラフの一番下は平均賃金と最低賃金の相対率というものですが28%でこれも欧米各国に比べて最低です。
若者を非正規で使い捨てて、子どもを生めなど虫が良すぎる
日本政府と経団連の年寄りどもは何も分かってはいません。とにかく目先の賃金を安くしたいというもくろみは十分達成しています。世界で22番目か23番目の賃金水準で、まだ労働者の賃金が高すぎるとでも言うのでしょうか。改善するべきは最低賃金を大幅に上げて、非正規労働者やパートの待遇を改善するのが真っ先にやらなければならない労働者の待遇改善策です。そして日本は超少子高齢化に突入しています。だから安倍政権は「女性の活用」や「子育て支援」などを大きな目玉にして景気を上向かせて、子どもを増やそうと言ってます。そうです。言うだけで中身が伴っていないのです。子どもを生んでくれるのは20代から30代の若い女性です。彼女らが結婚できなければ子どもは産みません。結婚にしても妊娠出産を安心して出来なくて、夫婦とも派遣社員でいつ首になるかもしれなくて、子どもを作るなど夢のまた夢でしかないのです。
いま、早急に取り組むべきは若者に働く場を提供して、貧しくても子どもを産み育てることが出来る社会政策が何よりも真っ先に改善させなければならないのです。フランスでは特殊出生率が2.01倍だそうです。先進国では最高です。そしてフランスでは赤ん坊の半分が未婚の母が産んだ子供だそうです。子どもは未婚、既婚に限らず自由に産めて、育てられる社会保障がなければ、日本のように自己責任を求める橋下大阪市長や安倍政権の掲げるアベノミクスの「労働者の首切り自由特区」の新設をめざす新自由主義政策では少子化に歯止めはかからないでしょう。TPPもしかりです。安心して子どもを産めて、安心して若者が生活できるような社会を国を挙げて作らなければ、日本の次の世代は生まれてこないのです。
子どもは社会の宝だ!労働者は使い捨雑巾ではない!
10年以上法人税を払っていないメガバンクがマスコミでも話題になりました。私の大嫌いな石原東京都知事が「利益を上げているメガバンクが法人税を払わないのはおかしい」と、石原都政時代に「外形標準課税」という法律を作って、資本金1億円以上の都内の大企業から、赤字でも税を取るようにしました。なぜなら、交通信号がちゃんと動いて、ゴミが町中に散乱してなくて、メガバンクが商売を出来るのは、交通インフラなど見えないコストを都民が払っているから彼らは安心して経営が出来るのです。私たちが空気のように思って、タダで使っている公共インフラの維持のためには莫大な維持費がかかっているのです。その費用を大企業が払わずただ乗りするのは許せないという、石原知事の意見を私も全面的に支持しました。それと同じように子どもを育て、教育して一人前の労働者に育てる経費を企業も支払う義務があるのです。子育ては日本社会全体で担わなければならないのです。また医療も年金もしかりです。
そのような女性が暮らしやすく、若者も暮らしやすく、子どもたちが安心して暮らせる社会をつくること、それこそがこの国の国富なのです。
ワークシェアリングで誰でも安心して働ける職場を
安倍政権は「首切り自由特区」や残業代払わない「ホワイトカラーエグゼンプション」 制度などを今国会で成立させようと目論んでいます。残業代ゼロのハードルとして、経済界は年収を500万円以上としたいと言ってましたが、政府は1千万円以上を対象にすると説明しています。1千万円ならそんなに対象者は少ないので安心だというマスコミなどもありますが、法律が一度できてしまえば、法律の改正は簡単に出来るのです。作らせないことが一番です。日本の労働者の働き過ぎは世界トップです。その正規労働者をもっと、しかもタダで働かせようとするのですから、これも少子化への逆効果になるでしょう。そのように利益を上げたい企業の内部留保は330兆円にも達しているのです。その大企業の法人税を安倍政権は切り下げようとしているのです。消費税を上げて、そのお金を法人税の切り下げに使おうとしているのです。
日本の社会保障や年金や医療や国民皆保険を守るためには働ける者は働き、働けない者は安心して休める社会にしなければなりません。その第一歩は最低賃金の大幅値上げです。まず、最低千円をクリアーすべきです。そして、同一労働同一賃金を法律で決めれば、首になっても新たな仕事を探せば、非正規も正規も同じような賃金で働けるので差別はなくなります。そして不況で仕事がなくなれば、みんなが半分ずつでも三分の二ずつでも働いて、その代わり賃金も半分や三分の二で我慢する社会をめざすべきなのです。そんな社会を作るためにみんなで政治を変えていきましょう!
民間給与実態:13年平均給与413万6000円 1%増
毎日新聞 2014年09月26日
◇非正規雇用との格差広がる
民間企業で働く会社員やパート従業員らが2013年に得た平均給与は413万6000円で、前年を5万6000円(1.4%)上回り、3年ぶりに増加したことが国税庁の民間給与実態統計調査で分かった。10年の412万円と同水準で、景気回復を裏付けた形だ。
一方で、正規雇用者の平均給与は前年比1.2%増の473万円だったのに対し、非正規雇用者は0.1%減の167万8000円。両者の格差は305万2000円と、前年(299万6000円)より5万6000円拡大した。
国税庁が抽出した民間企業約2万社(約29万5000人)の給与から推計した。男女別では、男性が511万3000円で前年比9万3000円(1.9%)増。女性は271万5000円で同3万7000円(1.4%)増にとどまり、男女格差も広がった。
業種別では「電気・ガス・熱供給・水道業」が695万5000円でトップ。「金融業・保険業」の616万9000円、「情報通信業」の591万7000円と続いた。最も低かったのは「宿泊業、飲食サービス業」の233万円。
パートやアルバイト、契約社員などを非正規雇用者、給与所得者から非正規と役員らを除いたものを正規雇用者としている。正規は3055万6000人で前年比44万人増、非正規は1039万7000人で同52万1000人増えた。雇用者数が増える中で、非正規の給与が減少した点について、国税庁は「新たに雇用された非正規の給与水準が低いのではないか」としている。
by nonukes
| 2014-10-25 14:10
| 「緑の党」をつくろう!
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