2014年 10月 10日
「英国新規原発35年間価格保証」安倍政権も価格保証で新規原発建設目論む?
「英国新規原発35年間価格保証」安倍政権も価格保証で新規原発建設目論む?
小坂正則
10月8日の参議院予算委員会でのことです。小渕優子経済産業大臣が「原発事業の優遇措置を検討する」考えを示した上で「原発のコストに関しては、福島以降の試算では8.9円で、他のものより割安だ」と述べた。これに対し、みんなの党の水野議員が「安いのならば優遇措置は必要なく、自由競争すべきではないか?」と問うと、「平均したコストは安かったが、想定外の廃炉があった場合は多額の費用がかかり事業継続は困難になる」として、優遇措置が必要との認識を示し、事故が発生したときの対応を含めれば原発のコストが割高になることを認めた。また、小渕大臣が「可能な限り原発依存度を低減する」と述べたことに対して、「現在は原発稼働はゼロだが、どの基準に対して原発依存度を低減させるのか?」との質問には回答することができないなど、原発政策への認識不足を露呈している。(ヤフーニュース10月9日より)
安倍政権は「何が何でも原発優先策は外せない」という決意を固めている
小渕経産大臣はなにせ子どもの使いのような方なので、原稿を棒読みしか出来ないから中身がないなど仕方有りません。だって安倍首相も集団的自衛権など自分の得意分野以外は全て官僚が書いた原稿の棒読みです。しかし、ここに来て英国の新規原発への着工が決まり、その新規原発は「電力の買い取り価格保証」が大前提で建設が決まったのですが、この制度を日本でも取り入れようとしているのです。経産省の総合資源エネルギー調査会原子力小委員会で、最近突然にも英国で取り入れようとしている「原子力発電の価格保証制度」の資料を委員に配布して「日本でも検討願いたい」とこっそりと持ち出したというのです。経産官僚は「これは単なる参考資料です」といって、「日本で導入する意図などありません」と火消しにやっきですが、うち消せばうち消すほど「その意図」が見え見えです。
下の記事のように英国は核兵器開発と原発は密接に繋がっているのために、「原発のコストが高かろうが安かろうが進める」が国の方針なのです。ですから原発優先は英国の強い意思なのです。しかし、日本政府は依然として「原発は安い」と国民をだましてマインドコントロールさせようとしているのです。でも、英国は「1kwhあたり16円を原子力発電には保証する」と決めたのです。英国は石炭火力が中心なので平均価格は8円だそうですから、2倍の発電を35年間保証してまで原発を進めるのです。
日本の原発の建設コストは100万kw1基が約5000億円です。それが英国の新規原発は160万kwと少し大きいのですが、その額たるや2兆1千億円以上と日本のこれまでの原発の4倍です。それもそのはずです。この原発は二重の格納容器やコアキャッチャーなどメルトダウンや飛行機が落ちても壊れないような安全性を確保した施設だからです。
ただ、日本政府が原発を進めたいというのが「とにかく原発の発電コストは安い」からなのですから、安くなかったら原発など続ける必要はありませんね。核兵器を持つためなら話へ別ですが。
しかし、安倍政権の狙いはハッキリしています。「海外に原発を売り込むのに日本では新規の原発が一基も動いていないなら売れるわけがない」からなのです。そして、何が何でも原発の発電コストを安く見せるためにあの手この手を使っているのです。その1つが今回の太陽光発電の固定価格買い取り中断なのです。太陽光発電に全てバッテリーをつけさせて太陽の発電コストを上げることによって比較原発のコストを安く見せようとしているのです。
安倍政権がどうしても原発を動かしたいならEU最高規制基準を達成させろ
つまり、先に「原発の価格は16円と保証して、それ以外は自由化競争に皆さん打って出てください」と言っても原発のコストは国民負担で残るわけですから、そんなものは何ら「電力自由化」などではないのです。
もし、原発を動かしたいのなら、少なくとも今ある原発の規制基準を「世界最高の基準」に改良して、それ以外は全て廃炉にしてもらいましょう。だって安倍首相は国連演説で「世界最高の規制基準でなければ原発は動かさない」と、言明したのですから。川内原発も玄海原発も伊形原発も泊原発もコアキャッチャーと二重の原子炉格納容器を作ってもらいましょう。「既存の施設にはこれらのものはつくれないので現行の基準で十分」という規制委員会の田中委員長の発言は取り消してもらって、動かすならイギリスなどEUの規制基準に最低でも合わせてもらいましょう。
安倍政権もこれから日本で新規立地するなら、EUと同じような規制基準が必要になると考えているのでしょう。そのためにはどうしても「価格保証」が必要だと。しかし、「安全基準は昔の施設はおざなりでもいい」というわけには行きません。ましてや原発は規制基準が厳しくなったら、古い施設も全て最新の基準に改良してもらわなければ私たち国民は納得できません。既存の原発を立て替えるなら、これまで立地基準として考えられなかった火山の存在や活断層の存在など全ての安全基準を満たす場所に移動してもらいましょう。それでなければ私たち国民は安心して暮らすことが出来ないからです。
まずは川内原発はすぐ近くに活断層があるし、火山の影響もあるので、これは廃炉ですね。そしてどこか別の場所に移動してもらいましょう。伊方原発は中央構造線が動けば大変なことになるし、南海トラフ地震の震源域の中に入っている原発ですから、これもどこかに移動してもらいましょう。日本中の原発の設計基準と立地基準を全てヨーロッパ基準に変更して、新たな場所に建設してもらえばいいと私は思います。
電力自由化を骨抜きしようとして崩壊する安倍政権
しかし「口先」だけの安倍首相には何が何でも川内原発をこのまま再稼働させて、全国の動かせる原発は動かそうと企んでいるのです。そして後は野となれ山となれなのでしょうが、2兆数千億円かけて原発を建設する電力会社が出てくるとは私にはどうしても思えません。どんなに国民をマインドコントロールしようと安倍晋三が企んでも国民の多くがマインドコントロールから覚醒して来つつあるのです。その証拠が59%が原発再稼働反対の世論です。6割が反対というとそんなに多くの国民が反対していないように一見すると見えますが、実は違うのです。再稼働賛成は28%です。(朝日新聞3月18日)つまり反対派は2倍以上なのです。しかもこの調査は今年3月の結果です。どんどん増えているはずです。
安倍政権の人気は経済成長で保っていたのです。しかし、ここに来て消費税10%にしなければ財政再建が出来ないので財務省は何が何でもやると言うし、自民党の中からは1年半延期しようという声も上がっていますが、財務省は自民党政権がつぶれても平気です。安倍政権は財務省に押しやられて10%導入するでしょう。そして、4月には大不況が日本を襲い、自民党は統一地方選にぼろ負けして、安倍政権は崩壊です。再稼働を何としてもさせない闘いを来年の春まで続けられたら、安倍政権の人気低落と共に入院で政権放棄が見えてくるでしょう。そのあと、衆院選挙が待っているのですが、その先は私には読めません。安倍政権の後を担う政党がないからです。「緑の党」がもう少し大きくなれたら、社民・民主・緑の連立政権もあり得るかもしれないのですが。
<EU>英国の原発2基新設計画を承認 価格保証制度認める
毎日新聞2014年10月9日(木)
【ロンドン坂井隆之】英国では約20年ぶりとなる原発の新設計画について審査を行っていた欧州連合(EU)は8日、「EUのルールに適合している」として、建設を認める判断を下した。原発で発電した電気の買い取り価格を政府が保証する制度について、EU法が禁止する「国家補助」にあたるかが問題になっていたが、英国政府が制度の一部修正に応じたことで、合法と判断した。
英国政府は、老朽化で閉鎖する原発や火力発電所に代わり、原発を8カ所に新設する方針だ。今回建設が認められたのは、仏電力公社(EDF)と英政府が昨年10月に合意した計画で、EDFが英南西部ヒンクリーポイントに2基を新設する。
ただ、安全対策費などが膨らんで建設費は2基で約245億ポンド(約4兆2630億円)と巨額になり、電気料金が下がると、建設費を回収できなくなる。このため政府は、従来は風力など再生可能エネルギーに適用していた電力買い取り価格保証制度を原発に適用。現在の市場価格の2倍近い1000キロワット時当たり92.5ポンド(約1万6000円)で電気を買い取ることを、EDFに保証していた。
EUの執行機関である欧州委員会は、支援が手厚過ぎるとして審査を続けてきたが、英政府は「安全対策などで建設コストが急増しており、企業が投資を回収するためには価格保証は不可欠」と主張。建設費や金利負担が予定を下回って余剰利益が出た場合は、消費者に還元するとの制度を加えたことで、容認を取り付けた。
英国内では、日本の日立製作所と東芝がそれぞれ原発の新設計画を進めており、欧州委の判断は大きな後押し材料となる。「政府による原発支援のモデルケース」(英シンクタンク)と注目された今回のプロジェクトにゴーサインが出たことで、英国の他の新設計画や、EU域内の原発新設にも拍車がかかる可能性がある。ただ、オーストリアなど原発新設に反対する加盟国が反発するのは必至で、欧州司法裁判所に提訴する可能性もある。
by nonukes
| 2014-10-10 13:46
| 原発再稼働は許さない
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