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小坂正則の個人ブログ

「私なりの脱原発運動」 その6 〈グリーンズライフを生きよう〉

「私なりの脱原発運動」 その6 〈グリーンズライフを生きよう〉
  伊形順子


経済成長至上主義からの脱却

 右肩上がりの経済成長を望むのはおかしいのではないかと、私や周囲の人々は思い始めています。永遠に経済が成長するなどあり得ないことです。日本は人口も減少し高齢化が進み、右肩下がりの経済の中でどのように生きていくかを考えなければいけない。ダウンシフトの生活を考えていく。収入が減っても、豊かな自然の中、地域で自給自足しながら、生きていけるのではないか・・・。自然環境を破壊せず、最大の環境破壊の原因となる原発は廃炉にして、循環型社会を作っていく。エネルギーも地産地消、農作物も地産地消、水産業も林業も地産地消にし、物流にかかるエネルギーはなるべく減らす。地域で助け合い、地域で共同保育をし、地域で老人を見守る。これら昔はやっていたことが、本当は豊かな暮らしだったのだと、私たちは気付き始めています。そのような地域循環型社会を作り生活することを、グリーンズライフと呼んでいます。

「エンデの遺言」―根源からおカネを問うこと―

 代表作『モモ』で時間を考えたエンデは、小さな人たちの未来を健やかにしたいと願っていました。第一次大戦後のインフレに苦しんだドイツで成長し、直観と思考の末に問題の根本は、お金にあると考えたのです。エンデが本当に考えていたのは、“お金の正体”でした。そこで見えたことは、お金が常に成長を強制する存在であることです。おカネが持つ成長への強制には理由があります。時間とともに加算される利子です。時間がたてばたつほど利子は増えるので、投資されるお金はそれに見合う見返りを求めます。このような金融の仕組みとともに、もう一つ成長を強制する力は“人間の欲望”だと思います。時間とともに膨らむ利子と欲望を推進力として、お金は、国境を越えあらゆる分野で利潤を求めます。・・・経済という天秤の一方の皿の上に有限な資源や人間、もうひとつの皿に無限に増えるお金。2つは最初からアンバランスなのです。均衡しているように見えるのは、何かが奪われて天秤の皿に載せられたからです。何が奪われたのでしょう。21世紀になってもとどまることなく進む現象にそれが表れています。失業者が増え一部の国や人だけが富を得るという地球レベルでの貧富の拡大。資源の枯渇や砂漠化など自然環境の悪化です。『モモ』の時間貯蓄銀行の寓話は、有限な時間に利子をつけ永遠に銀行に貯蓄できるという、金融錬金術のまやかしを描いています。・・・「どうすれば、お金の支配から自由になれるのでしょうか?」不均衡な天秤のバランスを戻す知恵は、例えば「時間とともに消えていく“エイジングマネー”や、時間とともに減る利子(マイナスの利子)などです。

「緑の思想」―経済成長なしで、豊かな社会を手に入れる方法―

足立力也さんは、こう言っています。本来、大地や山河、海などは私たちの経済の「資本」のはずなのですが、現代資本主義社会においてはおカネこそが資本であり、自然は「材料」でしかありません。つまり、「資本の逆転現象」が起こっているのです。私たちは、私たちに恵を与えてくれる自然やエコシステムこそが本来の資本であることを思い出さねばなりません。経済成長至上主義からの脱却のスタートポイントはそこにあります。

「減速して生きる」―ダウンシフターズ―

高坂勝さんは、こう言っています。皮肉なことに、上昇志向の人ほど、大切な食べ物を大量生産の安いものに依存していて、外食の回数や必要のない贅沢品に出費が多いように見受けます。しかし・・・会社での業務や数字からのプレッシャー、上司・同僚・部下といの人間関係、本当に望んでいる仕事はこれでいいのかという悩み。自分の売っている食品に、危険な添加物が入っている現実を知ってしまったとき。自分が関わったキャッシュディスペンサーの24時間稼働システムによって、職を失った人たちがいたことを知ったとき。自社工場跡地の土壌汚染を取締役が隠ぺいしようとしていることを知ってしまったとき、原子力発電の原料のウラン採掘・精製・運搬・発電所現場・使用済み放射性廃棄物の処理などで多くの人々が被曝して病気や死に追い込まれることを知ったとき。――→ここで、考えた末に仕事を辞め、ダウンシフターズとして動きだした人たちが、これまでとはまったく違うやりかたで人生を歩きだし、スモールビジネスを各地で立ち上げています。――→地方に移住して、夫婦で半農半“木工職人”、半農半“パン屋”、半農半“豆腐屋”半農半“NPO”

原発事故をきっかけにグリーンライフを始めた木村雄一さん


 私は、8月23日~24日に、長崎県長崎市の高島で開かれた《グリーンズライフ体験&木村雄一さんと語る会》に参加しました。木村雄一さんは、福島第一原発事故の後、福島から高島に妻子とともに移住してきた50台の男性です。2013年の参院選に、緑の党から立候補した10人のうちの一人です。木村雄一さんから聞いたお話を箇条書きにします。
・「高島」は、かつては炭鉱で栄え、一時期は1万5千人を超える人口を抱えていた。石炭エネルギーが後退していく中で、今や500人を切る島となった。国策のエネルギー供給地、元炭鉱跡地で、産業依存の土地。
・高島は、原発立地地域と似たような場所と思う。過疎地や限界集落の実態から見えるものは、脱原発後の世界のようです。
・(隣の)軍艦島も観光地化されていますが、一企業の傲慢な環境破壊の極みだ。経済主義の真っただ中で、時代に翻弄され、現在限界集落となった。
・これから先の地方が抱える問題は、ここ高島で今見えている。前の時代を学ぶ場であり、グリーンズライフスタイルを体験する場として、高島へ来て下さい。
・高島では、「グリーンズライフ」で生きる。お金を使わないで生きる。パンなど、手作りする。(私たちは、1個150円の添加物入りのパンを買うことで、失っているものは多い。)
・高島には、保育所や、15歳までの教育機関はある。老人ホームもある。
・三菱の炭鉱だったことで、インフラは整っている。長崎市の本土から、海底を通り水道が来ている。
・メガソーラー(福岡の会社)もでき、島中の電気を賄える。
・高島で、一人ひとりが起業し、若者に働いてもらう。
・木村さんは、海の家のレストラン〈ハイランド・グリーンズカフェ〉を経営している。海での遊び、シーカヤックのレンタルも、シュノーケリングと同じように、来年からは行政の支援をもらう予定。さらに民宿などを営業し、この島で、セミナーなどが開けるようにしたい。
・現在サポーターも入れて7名が働いている。(若者7名の雇用を生み出した)(子供を産める世代の移住)
・最近、畑も始めた。家と土地も50万円で購入した。
・ここに住んでいる人達は、もともと移住者。
・長崎市の本土と橋で結んだら、グリーンズライフができなくなる。橋は作るべきではない。船で来てもらう。
・今、漁業従事者は、6名。魚の加工場はない。魚屋もない。島民は自分で食べる分くらいは捕って良い。
・昔は、高島町だったが、今は、長崎市に入れられている。
・将来、長崎市議を出したい・
・私は、隙間商売をする。
・4月~11月は仕事。年の半分は遊びたい。ライブもしたい。
・本土と橋でつながっている伊王島から、フェリーで、350円。気軽に来て欲しい。
・グリーズライフの根幹は、お互い支え合うこと。
次の言葉は、翌日私と話しているときに木村さんから出た言葉です。
「既得権は、次の若者世代の為に、手放して欲しい。(漁業権など)」
含蓄のある言葉だと思いました。今、お金、財産、土地、種々の権利を持っている60歳以上の人達は、私も含め、若者たちの為にそれを手放すべきだと思いました。どういう風に手放すか。グリーンズライフの精神で手放します。
翌日は、楽しみの時間でした。私は、初シュノーケリングをやってみました。装備も借りて3000円でした。サンゴ礁と色とりどりの魚の群れにうっとりしました。シーカヤックを選んだ方達は、雨の為今回はできず、残念そうでした。
グリーンズライフを実践している人がいる。経済至上主義を捨て、弱者や他国の人々を抑圧しないで、助け合って豊かに暮らすことができる。勝ち組・負け組など無い社会。目覚めてしまったひとは、グリーンズライフで生きよう!循環型社会で生きよう!

参考文献
・「エンデの遺言」―根源からおカネを問うこと―河邑厚徳+グループ現代・講談社
・「緑の思想」―経済成長なしで、豊かな社会を手に入れる方法―足立力也・幻冬社ルネッサンス
・「減速して生きる」―ダウンシフターズ―高坂勝・幻冬社
by nonukes | 2014-09-28 23:31 | 「緑の党」をつくろう! | Comments(0)

  小坂正則

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