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小坂正則の個人ブログ

東電が黒字で社員の給料上げるなら、その前に廃炉作業下請け労働者の手当を上げろ

東電が黒字で社員の給料上げるなら、その前に廃炉作業下請け労働者の手当を上げろ
小坂正則
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最新の天然ガス発電所に建て替えたら電気料金など値上げしなくてよかった

東京電力が今年度の第1四半期(4~6月期)の決算を発表。経常利益が前期の294億円の赤字から525億円の黒字へと浮上したと発表。4年ぶりの黒字を叩き出したというのです。もちろん福島原発事故等の費用や原子力賠償機構などからの借り入れなどあるので、それらを差し引けば赤字なのですが、発電事業だけを見たら黒字になったと。
その大きな理由は電気料金の値上げがじわじわと効いてきたことと、これまで高値で入札していた工事や物品購入を入札にしてコスト削減をしたことも大きな理由でしょう。また、千葉県と茨城県のガス火力発電所をコンバインドサイクル化したことで熱効率が以前の37%から56%へと向上した結果、約110億円の燃料費節減に効いたというのです。
東電には25機の火力発電所があります。全体で約3,869万kWもあるのです。それらを全てガスコンバインドサイクルに替えるのは無理だとしても、これまで原発に依存するばかりで、火力発電を最新鋭の高効率のLNG発電に更新してこなかったので、これまでが発電効率が非常に悪かったのです。火力の平均効率は47.1%しかありません。これを最新鋭の62%の高効率ガスコンバインドに替えたら、エネルギー効率は15%も一気に上がるのです。東電のガスなどの輸入金額が13年度2兆7885億円ですから、4182億円も削減できるのです。もちろん全部を替えるのは無理ですが、少なくとも1/3の8機でも替えたら、1300億円も経費節減ができるのです。これまで原発が何らかの理由で止まったときのバックアップ用に使わない前提で古い非効率の発電所ばかりを持っていたからこんな時に困るのです。おまけに原発をいまだに動かそうとして柏崎借羽原発に全職員を配置しているので、その費用が1200億円以上。また日本原電は1KWも発電していないのに、この会社に277億円も基本料金として無駄金をドブに捨てているのです。これらはみな東京都民を中心とした消費者の電気料金です。

黒字になったから社員の給料を上げる?

2012年9月に電気料金を一般家庭が8,46%、事業所は15%以上値上げした結果、黒字になったというと、すぐさま社員の給料を上げると言い出したのです。4月からすでに給料は上がっていて、この四半期で人件費は18.5%(156億円)も増えているのです。(退職金も含めて)2012年からボーナスも復活していて、2012年度の東電社員の平均で年収が571万円が650万円まで引き上げるというのです。
確かに福島原発の収束作業に従事している社員には「危険手当」などの特別手当を払ってもいいと思います。でも、一般社員には福島原発被災者の痛みを分かち合う責任がありるのではないでしょうか。しかもこの会社は債務超過で国から支援を受けて生命維持装置をはずされたらすぐ死んでしまうという倒産企業なのですよ。

社内からはこんな声が聞こえてくる。 「初夏の時点で、猛暑になれば500億円ほどの黒字になるんじゃないかと言われていました。もちろん値上げが最大の要因。それが思った以上に暑くて焦りましたよ。黒字になりすぎたらどうするんだ、という声が上がったほどです。社内では、これで原発が再稼働すれば、さらに黒字が大きくなるとホクホク顔の連中もいれば、この黒字で正々堂々とボーナスをもらえ、忘年会もできる、冬も極寒になればさらに…と期待する不届き者もいます」(東電社員)AERA 2013年11月18日号より
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先に給料を上げるのは廃炉作業の下請け労働者だ

8月2日のNHKのETV特集で収束作業にあたる原発下請け労働者の実体を訴えるテレビ番組がありました。彼らは「東電が下請けの賃金を入札にかけるから各企業が値下げして、日当が1日4000円も下がられた」と訴えていました。彼の日当は1万6000円くらいになったというのです。彼の年収はわずか380万円ですよ。税込み、社保険料込みですよ。彼らこそ、国が指導して日当3万円は出すべきです。いのちをかけて戦っているのですから。これでわずかの720万円です。いのちを削りながら放射能と戦って廃炉作業に汗を流している原発戦士が380万円そこそこで、片や若い東電社員はエアコンの効いたビルで朝9時から午後5時きっかり働くだけで650万円なのです。何か間違っているとは皆さん思いませんか。
私の給料は月額12万円です。もちろん安いのですが、自営業みたいなものだから、稼ぎが悪いので給料が安くても文句はいいません。決してひがんで言っているのではありません。普通の会社がどんなに高額の給料を支払っていてもかまいません。儲かっているんだったら。でも、東電は放射能をばらまいて、福島の子どもたちに甲状腺ガンにさせておいて、補償金の支払いには値切ったり、一方的に支払い停止などして、嫌がらせを繰り返しておいて、おまけに国税に支えられて原発事故の尻拭いを国民にやってもらっていることを忘れているんじゃないですか。それでいて自分たちだけはぬくぬくと高額の給料をもらうことなど許されるわけはありません。いまだに14万人の避難者がいつ我が故郷に帰ることが出来るかと悩みながら仮設住宅の暑さに耐えて生きてるのですよ。今すぐでも社員の賃金を元に戻して、その分は下請け労働者への手当や避難者対策費用に充てるべきです。そうしないなら、電気料金を下げるべきです。東電管内の消費者の皆さんはお人好しです。電気料金の値上げは東電社員の給料を上げるためだったのですからね。皆さん電気料金不払い運動を始めましょうよ。私は九電なので出来ませんが、東電管内の皆さんは東電社員の給料値上げ分の電気料金を不払いすることは、正義でありあなた方の権利です。

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NHKのETV特集「ルポ原発作業員日常の記録」より 日当を切り下げられた労働者の証言

話の続きです。8月8日にETV特集の再放送がありました。そこで、再度詳しく上の番組を見たのです。何と、昨年暮れから福島原発の廃炉作業への労働者が集まりにくくなって来たそうです。東京オリンピックの影響だそうです。そこで東電は昨年暮れに労働者の日当を1万円上げることにしたというのです。下請けの皆さんは期待したそうなのですが、ふたを開けてみたら何のことはない、実際に彼らの元に届いた上乗せはわずか千円だけだったというのです。残りの9千円は全て元請けの利益となって消えていたのです。それが日本の下請け系列の元で働く労働者の実体なのです。ふざけたことだとは思いませんか。それじゃあ何のために東電は1万円の日当分を上げたのでしょうか。上げても上げてっも彼らの元に入るのはそのほんの一部でしかないのです。こんな労働環境で安全な仕事や丁寧な仕事など出来るわけはありません。
by nonukes | 2014-08-07 19:04 | 福島原発事故 | Comments(0)

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