2014年 05月 20日
東電吉田元福島第一原発所長への政府事故調による「吉田調書」が判明
吉田所長(故人)の一時待機の指示を聞いている職員たち、その後大半の職員が逃げてしまう
東電吉田元福島第一原発所長への政府事故調による「吉田調書」が判明
小坂正則
東京電力福島第一原発事故の原因調査は、政府事故調や国会事故調に東電事故調に民間事故調と4つの事故調査委員会が、事故の原因やなぜこのような大事故が起こるまで国や東電は事前に対策を取らなかったのかなどについて調査がされました。しかし、国会事故調が主張したように「この事故調査は未完であり、引き続き国会によって調査は継続されるべきである」というように、真の原因は未だに何も分かっていないのです。
しかし、1つだけ分かっていることがあります。それは東電は全く信用できないということです。「東電は福島原発のメルトダウン事故は地震が原因で起こったものではなく、津波が原因であるとして、津波対策さえ行えば原発の再稼働は行える」と常に様々な画策を行ってきたのです。そうしなければ日本中の原発が動かせないからです。
今日の朝日新聞のスクープに「2011年3月15日の未明副島原発2号炉が爆発する危険性があって一時待機を吉田所長が呼びかけたら、命令に背いて大勢が第二原発の敷地まで逃げてしまった」というものです。しかし、この事実を政府事故調は隠していて、東電も当然ながら隠していたのです。東電が公開した本社と現場とのテレビ会議のやりとりのビデオの公開も切り張りだらけでしか公開されていません。切り取られた場面は見せたら困る本当は一番公開しなければならない事故の調査には最も大事な場面ではないかと疑うのは当たり前でしょう。
実際に爆発事故が起こったら運転員は逃げ出すだろう
この「吉田調書」は生々しいものです。また、東電清水社長が菅総理大臣に運転員を退去させてほしいと言ったが総理大臣が逃げ出すな」といったとか言わなかったとかいう話もありましたが、これだって録音はあるはずです。東電は隠しているのです。しかし、東電の社員も人の子です。奥さんもいれば子どももいるでしょう。爆発現場にいて死にたくはありません。だからいざとなれば責任者といえどもみんな逃げ出すのです。これが現実です。しかし、それは国も東電も隠さなければならなかったのです。その調書を公開しないのかという5月20日に記者の質問に菅官房長官は「事故を二度と起こさないように施策を政府をあげて行っている。それ以上でもない」と公開しない理由を話さないで逃げているのです。公開したらもっと生々しい事実が出てくるかもしれません。国は「美味しんぼ」の「鼻血問題」でも調査する事もなく風評被害だと決めつけて、一方的に作家を非難してもみ消しに躍起ですし、甲状腺ガンのこどもが50人という事件に対しても福島県は「福島原発事故との因果関係は認められない」と否定に躍起なのです。「事故との因果関係は不明」というなら科学的に証明できていないのでわからないと言うべきところを「分からないから原発の性ではない」と決めつけているのです。
そのほかにも国会事故調の田中三彦さんが原発事故の1号機の中に入って現場を調べたいと国会を通して申し出たら、東電の部長が「中は真っ暗で入ったら迷子になって帰って来られない」とウソを言って、事故現場を隠し続けたのです。実際は照明もついていて、シートを通して昼間なら電気なしでも中を調べることはできなかったのです。(私のブログに詳しく書いています)
東電ほど信用できない集団はありません。そのほかの電力会社も東電ほどではないにしても似たり寄ったりでしょう。そんな電力会社に原発再稼働などさせたら大変です。メルトダウンの危機が迫ったら、みんなして逃げ出すのではないでしょうか。川内原発の再稼働が迫っていますが、もし、再稼働させるなら、九電の川内原発運転員の全員に「私は原発が爆発してもコントロール室から決して逃げ出す真似はいたしません」という念書を書いてもらわなければなりません。いえ、そんな神風特攻隊のような真似はしないで結構です。運転しなければそんな念書など不要なのですから。
福島第一の原発所員、命令違反し撤退 吉田調書で判明
朝日新聞デジタル 5月20日
東京電力福島第一原発所長で事故対応の責任者だった吉田昌郎(まさお)氏(2013年死去)が、政府事故調査・検証委員会の調べに答えた「聴取結果書」(吉田調書)を朝日新聞は入手した。それによると、東日本大震災4日後の11年3月15日朝、第一原発にいた所員の9割にあたる約650人が吉田氏の待機命令に違反し、10キロ南の福島第二原発へ撤退していた。その後、放射線量は急上昇しており、事故対応が不十分になった可能性がある。東電はこの命令違反による現場離脱を3年以上伏せてきた。
by nonukes
| 2014-05-20 18:41
| 福島原発事故
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