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小坂正則の個人ブログ

「美味しんぼ」の「低線量被曝による人体への影響」は真っ赤なウソなのか?

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「美味しんぼ」の「低線量被曝による人体への影響」は真っ赤なウソなのか?
小坂正則

雁屋哲氏の漫画「美味しんぼ」の第604話と、単行本第110巻「福島の真実」の話題で政府や福島県に御用学者などによる批判がマスコミを賑やかせています。私は「美味しんぼ」という漫画を読んだことがないので、内容はよくは分かりません。ただ、ここで描いたことについて新聞やテレビで見たり聞いたりした情報から判断した限りでは、なぜこれほど大げさに非難されることなのかが大変疑問に思えてなりません。
ことの発端は作者の雁屋哲氏が福島原発の事故現場を取材して帰ってきたら鼻血が出たり、全身がだるくてたまらなかったということや福島県双葉町の井戸川克隆前町長が鼻血の原因をめぐり「被ばくしたからですよ」と語る場面を「科学的な根拠がない」と批判しているのです。
汚染水への対応は3年もほったらかしにして「汚染水は完全にブロックされている」とウソをつき続ける政府なのに、この漫画への反応は素早いものです。環境省は5月8日に発表した「放射性物質対策に関する不安の声について」で「確定的影響は認められない」と批判し、福島県も5月12日に以下のような声明を発表しています。
「週刊ビッグコミックスピリッツ」4月28日及び5月12日発売号の「美味しんぼ」の表現は、福島県民そして本県を応援いただいている国内外の方々の心情を全く顧みず、深く傷つけるものであり、また、本県の農林水産業や観光業など各産業分野へ深刻な経済的損失を与えかねず、さらには国民及び世界に対しても本県への不安感を増長させるものであり、総じて本県への風評被害を助長するものとして断固容認できず、極めて遺憾であります。
 「美味しんぼ」及び株式会社小学館が出版する出版物に関して、本県の見解を含めて、国、市町村、生産者団体、放射線医学を専門とする医療機関や大学等高等教育機関、国連を始めとする国際的な科学機関などから、科学的知見や多様な意見・見解を、丁寧かつ綿密に取材・調査された上で、偏らない客観的な事実を基にした表現とするよう強く申し入れております。(以下略)


低線量被曝の危険性が証明されなければ安全なのか


「泥棒が警察官をやっているようなもの」ということわざがあります。つまり、それは「取り締まられる側が取り締まりをやっている」という意味で、規制する側と推進する側が同じ経産省の中にあって、人事交流も盛んで仲のいい身内だったという、日本のこれまでの原発推進体制のことを言うのです。今は同じ経産省の中にはありませんが、今もほとんど中身は変わっていません。原発事故の低線量被曝の危険性は確かに科学的には様々な意見があります。御用学者の山下長崎大学教授は「笑っていれば影響ない」といってましたね。大変危険だという医学的な論文も出ています。しかし、医学学会も原発推進派や政府の言いなりなのですから、ここで真実は出てこないでしょう。ましてや原発推進派のIAEAは一貫して低線量被曝の危険性を否定しています。それは当たり前です。自分たちが進めている原発の危険性を誰が好きこのんで受け入れるでしょうか。電力会社や政府は事故の危険性や人体への放射能による影響は少なく評価するか、全く無視することに命をかけているのですから。被害が証明されたら、それこそ賠償責任が問われるからです。
水俣病の患者さんたちがチッソや国の責任を訴えた裁判で勝利したのは、原田医師や無償で支えた弁護団など支援者の努力で、被害者が有機水銀による人体への影響の因果関係を証明したから、国やチッソは賠償に応じたのです。なぜ、弱者の被害者が因果関係を証明しなければ加害者はその責任が問われないのでしょうか。これは科学が支配者側に都合のいいように利用されているからです。また、科学者が良心をなくしているからでもあります。原田医師が生前新聞に書いていたことが今でも印象に残っています。原田医師の周りの医者仲間から「あなたは患者側に近寄り過ぎていないか、医師は中立でなければならない」とよく忠告されたそうです。でも、原田医師は「権力者と無力な患者が戦っていて、その中での中立の立場とは決して真ん中ではない。患者側に近いことで力関係で言えばちょうどバランスの取れた中立になる」と。すばらし涙が出るような言葉です。科学者や医師などが中立といって自己を正当化している人たちに原田医師の言葉をかみしめてほしいものです。私たちの信頼する科学者高木仁三郎さんも同じようなことを言っていました。
元東ドイツの環境大臣が湯布院でチェルノブイリ原発事故の被曝問題の講演をしてくれたときにも同じようなことを話してくれました。私が低線量被曝の危険性をお聞いたときのことです。「危険が証明できていないから安全なのではない。安全が証明出来るまでは危険だという視点が科学者になければならない」と。

うろたえる政府や福島県などは自分たちがやましいから徹底して作者を攻撃する

放射能による人体への影響は調査で科学的に証明しやすい甲状腺ガンと白血病だけがIAEA公認の放射能被曝による影響被害です。それ以外は因果関係が証明しにくいから、影響はないというのが世界共通の公式の見解です。しかし、セシウムは筋肉に溜まりやすいので、心臓発作や心筋梗塞で福島では多くの方が突然死を遂げたということを聞いたことがあります。これなども原因を特定することが現代の科学では難しいので「ない」ことになっているだけなのではないでしょうか。鼻血が出たという話は多く聞きました。広瀬隆さんがチェルノブイリ原発事故の現地を訪れて調査してなかでも証明されています。日本政府はそんなことは決してしないでしょう。自分たちに不利な結果が出る可能性のあることをわざわざやる調査する「バカ=正直者」はいません。この国の官僚や政府や御用学者や経済団体は「泥棒」なのですから。泥棒は言い過ぎですかね。それなら「国民が少々死んでも自分たちに金が儲かればかまわない」火事場泥棒と詐欺師の集まりなのですから。

「科学的な根拠がない」というなら第三者による疫学調査を福島で実施すべき

明石昇二郎さんというルポライターがいます。この方はずっと原発の問題を訴えて来たすばらし方です。彼の『敦賀湾原発銀座〔悪性リンパ腫〕多発地帯の恐怖』(1997年、技術と人間)(改訂・増補版、2012年、宝島SUGOI文庫)をぜひ皆さん読んでほしいのですが、確か週刊プレイボーイだと思うですが、若狭湾の原発銀座の低線量被曝とガンの因果関係を学生アルバイトを使って夏休みに現地に住み込んで調べた結果を本にしたものです。当時は政府も火消しに躍起になっていました。週刊誌でも随分騒がれた事件です。内容は若狭湾周辺の町でガン患者が多いという噂が流れていたのです。そこで、明石さんが現地に入って聞き取り調査をした結果、明らかにガンが多発していたのです。そんなことは20年も前から言われていました。この調査を数百万円かけて調べた週刊誌もすばらしと思いますが、このような調査を国が直接やったのでは結果は「顕著な影響は認められなかった」という結論になることは、やる前から分かっているので、利害関係のない第三者機関が行うべきなのです。
少なくとも福島県民の健康とこれからの被曝による影響調査は徹底して全員の追跡調査を第三者機関が行うべきです。福島県医師会や福島県は全く信用できません。彼らは安全を宣伝するためにしか貴重な国家予算を使わないからです。「泥棒に警察は任せされない」からです。それこそが唯一の風評被害を防ぐ解決策なのです。
私は20年前にこんなことを夢見たものです。「私が事業を始めてしこたま稼いだら、明石昇二郎さんに費用は全額私が見ますから疫学調査をやりましょう」と提案したいと。


※DAYS JAPAN6月号(5月20日発売号)では、チェルノブイ リの実測放射能汚染地図と、福島の人が住む町との比較を紹介するそうです。そこで詳しく説明しているそうですので皆さんお買い求めを!
Commented by たっつぁん at 2014-05-14 19:20 x
私は、3年前に東京から大分にUターンしてきたものです。美味しんぼの件、拝見させていただきました。全くをもって同意見です。
日本人は、苦境に陥っても集団でじっと耐えることが得意な人種だと聞いたことがあります。
確かにそれは評価に値する日本人の特性かもしれません。しかし、もしその苦境を引き起こ
した原因が間違った判断によるものである場合、皆でじっと耐えることよりも、間違いに
気づき正しい方向へと是正するアクションをとることのほうが優先されるべきです。しかし、
今の日本の社会においてはそのような合理性よりも、集団として皆同じ方向を向きじっと
苦境に耐えることのほうが美徳とされ優先されるため、ある人がそれに逆らって正しい行動
をとろうとしても、魔女狩りされてしまうのですね。残念でなりません。
Commented by nonukes at 2014-05-14 19:35
たっつぁん様
書き込みありがとうございます。あなたの言うとおりですね。民衆の善意を悪用して為政者の犯罪行為を許さない社会を作っていかなければなりませんね。
Commented by mami at 2014-05-15 23:08 x
このあからさまな隠蔽体質、いつになったら変わるんだ!?と驚き&呆れです。水俣病のとき、「胎盤は水銀を通さない」と言い張った医者が多く、胎児性水俣病患者の認定が進まなかったんですよね。一般市民もなんで、学ばないんでしょうか・・・?政府が必死で嘘をついてるのは明白なのに。
鼻血と被曝は関係ないとする根拠である福岡県民健康調査も、ホール簿ティーカウンターを受けたのは対象者の10%ですって!それで結論づける福島県って・・・。

私信ですが、18日の件、連絡ありがとうございました。ちょっとまだ、行けるかどうか未定なのですが、なんと都合つけるよう努力します。
by nonukes | 2014-05-14 13:01 | 福島原発事故 | Comments(3)

  小坂正則

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