2014年 04月 17日
城南信用金庫理事長吉原毅氏の「原発ゼロで日本経済は再生する」を読もう!
城南信用金庫理事長吉原毅氏の「原発ゼロで日本経済は再生する」を読もう!
小坂正則
「原発ゼロで日本経済は再生する」吉原毅著(城南信用金庫理事長)角川新書800円(税別)
この著書は一気に読めて実におもしろい本です。いわゆる反原発の作家が書いた本ではありません。経営者の側が「なぜ脱原発か」という話を書くという意味では、異色の著書です。しかし、読み進む内に、その理由がよく分かります。本来経営者だろうが、市民だろうが願いは同じなのです。「社会を少しでも良くしたい」とか「人々が幸せに生きていける社会を作りたい」という共通の願いがあるのです。
経営者はだれでも「生命よりもお金の方が大切」とか「24時間死にものぐるいで働け」などと思っているわけではないのです。ユニクロやワタミの社長の方が異常なのです。吉原さんのような経営者がいることに、私はこの国も捨てたものじゃないと、少し安心しました。
城南信用金庫は脱原発を宣言した唯一の金融機関です。それも吉原理事長の考えが全面に出ていたのですが、もともと信用金庫とは中小企業が集まって出来た協同組合だったので、営利を目的とした一般的な銀行とは出来たときから、その性質が異なっているのです。「信用金庫は会員の出資による協同組合組織なので非営利法人」だと、この著書の中で吉原さんは語っています。
城南信用金庫の社会的使命
脱原発宣言を出すときにこのように考えそうです。(p96)「…原発は人類が直面している最大の環境問題ではないか。しかし、普段さまざまなCSRを掲げる多くの企業も、原発に対してはなぜかひとことも発しない。人間の命に関わる大問題に横並びで沈黙を決め込んでいた。見て見ぬ振りをするのは企業倫理的にも言語道断ではないか。それまで彼らが宣言し。実践してきたCSRは偽善だと指摘されても反論できないだろう。原子力発電に対して勇気を持ってNOを突きつけるとともに、実際に「原発ゼロ」を実現させるためにはどうしたらいいか、具体的な方法を伝えることが使命であり、当金庫が果たすべきCSRだと考えた」という。実にすばらしい企業のCSRだ。吉原理事長の「脱原発宣言」に「最終的には職員全員が賛成してくれた」そうです。
この城南信用金庫の決断に対して、三井住友銀行の頭取で日本郵便の社長も務めた西川善文氏は2011年5月11日の日経新聞へ「脱原発は可能か」というコラムを書いて支持してくれたそうです。(以下一部抜粋)「城南信用金庫の英断は、原発依存から脱却するため再生可能な代替エネルギーへシフトする意識の大転換に貢献すると評価される。国として脱原発に取り組むのであれば、こうした動きが大銀行をはじめ全金融機関に波及することを期待する」と。
城南信金は新たな脱原発運動に取り組む
脱原発宣言をした城南信金は2011年度で金庫の電気wo」23.5%削減したそうです。それだけではなく、脱原発や再生可能エネルギーや省エネを行う企業へ低利の融資を行ったり、さまざまなユニークな金融商品や融資を行っているそうです。
広瀬隆氏が6月29日の官邸前の抗議行動にマスコミが全くと言っていいくらい無視するので、自分たちでヘリコプターを飛ばして空撮をするためのカンパを呼びかけたのですが、その口座を作りに城南信金を訪ねたそうです。すると、吉原さんと広瀬さんは意気投合して、「正しい報道ヘリの会」という名前がいいと吉原さんが提案して、ポンと10万円カンパしてくれたそうです。そして、カンパは700万円以上集まったそうです。
経営者の使命
2012年7月の大飯原発の再稼働がなければ関西圏内の夏は乗り切れないと関西電力がキャンペーンを繰り広げたことに対して、吉原さんは語っています。(p121)原発を再稼働させて火力発電所を止めたことに対して「国民を欺いたと指摘されてもおかしくないはずなのに、8基の火力発電プラントを停止させた理由を問われた関西電力の八木誠社長は「発電の多様化が必要だ」と答えている。「電気が足りない」としていた前言をいとも間単に翻し、苦しい言い訳に逃れようとしてのだ。経営者がウソをつく。これだけで、経営者としては失格ではないか」と。
また、吉原さんは、6月29日の官邸前に若い信金の職員と奥さんと5人でデモに参加したそうだ。「理事長以下全員が首になるのではないかと内心びくびくしていたが、目にした光景はそれまでの思い描いていたデモとはまったく異なる光景だった」「ベビーカーを押す若いお母さんたちや子どもを肩車したお父さん、…。イデオロギーうんぬんではなく、日本の未来を憂慮するさまざまな立場の人たちが主義主張を越えて集まり、心の叫びを伝える。子どもたちや孫の世代にツケを残すなと訴えている。これこそが本当のデモだと、思わずにはいられなかった」と。
銀行が儲かるからカード会社と提携することや大手の銀行がサラ金を子会社化してサラ金に手を出すなど金融機関の行うことではないといい、城南信金は「カードは麻薬と同じ」という理由でローン会社のカードとは提携していないそだ。全国の信金でも城南信金だけだろうと語っている。
徹底した公益を重んじる金融機関なんだ。
実は私は2011年に郵便局を退職したので退職金が転がり込んだ。私は非営利の労金に全額預けたのですが、城南信金に貯金したくて、脱原発宣言をした直後に城南信金へ電話したのです。「私の退職金を貴行に預けたいのですがどうすればいいですか」と。すると対応して女性行員は「大変うれしいことですが、大分には大分の信用金庫がございますので、大分の信用金庫へお預け願えませんか」と、丁寧に断られたのです。その潔さにも感銘したことを覚えています。
最後に吉原さんは語っています。「原発の背後でうごめく「原子力ムラ」の住民たちだけではない。成果主義と拝金主義が蔓延した日本社会で、増殖した利己主義的、自己中心的な人たちの存在が、原発問題の背景に深く根を張っている」と。後はみなさん買って読んでください。読み終わったら心地よい気分になりました。これからも城南信用金庫は頑張ってください。そしてありがとう吉原毅さん。
小坂正則
「原発ゼロで日本経済は再生する」吉原毅著(城南信用金庫理事長)角川新書800円(税別)
この著書は一気に読めて実におもしろい本です。いわゆる反原発の作家が書いた本ではありません。経営者の側が「なぜ脱原発か」という話を書くという意味では、異色の著書です。しかし、読み進む内に、その理由がよく分かります。本来経営者だろうが、市民だろうが願いは同じなのです。「社会を少しでも良くしたい」とか「人々が幸せに生きていける社会を作りたい」という共通の願いがあるのです。
経営者はだれでも「生命よりもお金の方が大切」とか「24時間死にものぐるいで働け」などと思っているわけではないのです。ユニクロやワタミの社長の方が異常なのです。吉原さんのような経営者がいることに、私はこの国も捨てたものじゃないと、少し安心しました。
城南信用金庫は脱原発を宣言した唯一の金融機関です。それも吉原理事長の考えが全面に出ていたのですが、もともと信用金庫とは中小企業が集まって出来た協同組合だったので、営利を目的とした一般的な銀行とは出来たときから、その性質が異なっているのです。「信用金庫は会員の出資による協同組合組織なので非営利法人」だと、この著書の中で吉原さんは語っています。
城南信用金庫の社会的使命
脱原発宣言を出すときにこのように考えそうです。(p96)「…原発は人類が直面している最大の環境問題ではないか。しかし、普段さまざまなCSRを掲げる多くの企業も、原発に対してはなぜかひとことも発しない。人間の命に関わる大問題に横並びで沈黙を決め込んでいた。見て見ぬ振りをするのは企業倫理的にも言語道断ではないか。それまで彼らが宣言し。実践してきたCSRは偽善だと指摘されても反論できないだろう。原子力発電に対して勇気を持ってNOを突きつけるとともに、実際に「原発ゼロ」を実現させるためにはどうしたらいいか、具体的な方法を伝えることが使命であり、当金庫が果たすべきCSRだと考えた」という。実にすばらしい企業のCSRだ。吉原理事長の「脱原発宣言」に「最終的には職員全員が賛成してくれた」そうです。
この城南信用金庫の決断に対して、三井住友銀行の頭取で日本郵便の社長も務めた西川善文氏は2011年5月11日の日経新聞へ「脱原発は可能か」というコラムを書いて支持してくれたそうです。(以下一部抜粋)「城南信用金庫の英断は、原発依存から脱却するため再生可能な代替エネルギーへシフトする意識の大転換に貢献すると評価される。国として脱原発に取り組むのであれば、こうした動きが大銀行をはじめ全金融機関に波及することを期待する」と。
城南信金は新たな脱原発運動に取り組む
脱原発宣言をした城南信金は2011年度で金庫の電気wo」23.5%削減したそうです。それだけではなく、脱原発や再生可能エネルギーや省エネを行う企業へ低利の融資を行ったり、さまざまなユニークな金融商品や融資を行っているそうです。
広瀬隆氏が6月29日の官邸前の抗議行動にマスコミが全くと言っていいくらい無視するので、自分たちでヘリコプターを飛ばして空撮をするためのカンパを呼びかけたのですが、その口座を作りに城南信金を訪ねたそうです。すると、吉原さんと広瀬さんは意気投合して、「正しい報道ヘリの会」という名前がいいと吉原さんが提案して、ポンと10万円カンパしてくれたそうです。そして、カンパは700万円以上集まったそうです。
経営者の使命
2012年7月の大飯原発の再稼働がなければ関西圏内の夏は乗り切れないと関西電力がキャンペーンを繰り広げたことに対して、吉原さんは語っています。(p121)原発を再稼働させて火力発電所を止めたことに対して「国民を欺いたと指摘されてもおかしくないはずなのに、8基の火力発電プラントを停止させた理由を問われた関西電力の八木誠社長は「発電の多様化が必要だ」と答えている。「電気が足りない」としていた前言をいとも間単に翻し、苦しい言い訳に逃れようとしてのだ。経営者がウソをつく。これだけで、経営者としては失格ではないか」と。
また、吉原さんは、6月29日の官邸前に若い信金の職員と奥さんと5人でデモに参加したそうだ。「理事長以下全員が首になるのではないかと内心びくびくしていたが、目にした光景はそれまでの思い描いていたデモとはまったく異なる光景だった」「ベビーカーを押す若いお母さんたちや子どもを肩車したお父さん、…。イデオロギーうんぬんではなく、日本の未来を憂慮するさまざまな立場の人たちが主義主張を越えて集まり、心の叫びを伝える。子どもたちや孫の世代にツケを残すなと訴えている。これこそが本当のデモだと、思わずにはいられなかった」と。
銀行が儲かるからカード会社と提携することや大手の銀行がサラ金を子会社化してサラ金に手を出すなど金融機関の行うことではないといい、城南信金は「カードは麻薬と同じ」という理由でローン会社のカードとは提携していないそだ。全国の信金でも城南信金だけだろうと語っている。
徹底した公益を重んじる金融機関なんだ。
実は私は2011年に郵便局を退職したので退職金が転がり込んだ。私は非営利の労金に全額預けたのですが、城南信金に貯金したくて、脱原発宣言をした直後に城南信金へ電話したのです。「私の退職金を貴行に預けたいのですがどうすればいいですか」と。すると対応して女性行員は「大変うれしいことですが、大分には大分の信用金庫がございますので、大分の信用金庫へお預け願えませんか」と、丁寧に断られたのです。その潔さにも感銘したことを覚えています。
最後に吉原さんは語っています。「原発の背後でうごめく「原子力ムラ」の住民たちだけではない。成果主義と拝金主義が蔓延した日本社会で、増殖した利己主義的、自己中心的な人たちの存在が、原発問題の背景に深く根を張っている」と。後はみなさん買って読んでください。読み終わったら心地よい気分になりました。これからも城南信用金庫は頑張ってください。そしてありがとう吉原毅さん。
by nonukes
| 2014-04-17 19:07
| 脱原発大分ネットワーク
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